【特別企画】

「鉄拳8」新操作スタイル「スペシャルスタイル」は初心者救済の機能になるのか? CNTプレイレポート

【鉄拳8】

発売日・価格:未定

<クローズドネットワークテスト>

Week1:7月21日17時〜7月24日16時(PS5)

Wee2:7月28日17時~7月31日16時(PS5/Xbox/Steam)

 バンダイナムコエンターテインメントは、プレイステーション 5/Xbox Series X|S/Steamにて発売予定である3D対戦格闘ゲーム「鉄拳8」において、「クローズドネットワークテスト(CNT)」のWeek1を7月21日17時より7月24日16時まで開催した。

 「鉄拳」シリーズは、1994年に稼働を開始した3D格闘ゲームだ。最新作「鉄拳8」は現段階でリリース時期は未定だが、前作の「鉄拳7」が2015年リリースなので、年内リリースなら8年振り、2024年リリースなら9年ぶりの新作となる。

 このテストでは、オンラインで他のプレーヤーと対戦してランキングを競う「ランクマッチ」(10段まで)及び、チュートリアルのみがプレイ可能。プレイアブルキャラクターは現在発表されている「風間 仁」、「三島一八」、「風間 準」、「ポール・フェニックス」、「マーシャル・ロウ」、「キング」、「ラース・アレクサンダーソン」、「ジャック8」、「リン・シャオユウ」、「ニーナ・ウィリアムズ」、「風間飛鳥」、「リロイ・スミス」、「リリ」、「ファラン」、「ブライアン・フューリー」、「クラウディオ・セラフィーノ」の16キャラクターで、バトルステージは5ステージから選択してランクマッチに挑める。

 今回CNTに参加する機会を得たので、その模様をレポートしたい。なお、CNTの目的はネットワーク対戦のパフォーマンスや動作をチェックするテストのため、ゲームその物の仕様については今後大幅に変更される可能性がある。

【TEKKEN 8 - ファーストトレイラー】
オープニングデモより。前作「鉄拳7」ではオープニングで三島平八とその息子、一八とのバトルが展開していたが、「鉄拳8」では三島一八とその息子、風間 仁とのバトルが展開する
ムービー前半では三島 一八が圧倒的有利の状況ながら、新システム「ヒート」の発動で一気に逆転勝利を決める風間 仁の様子が描かれていた

チュートリアルはコンボの仕組みや新システムの説明が中心

 先ずはチュートリアルについてチェックしてみた。

 チュートリアルでは、ボタン割当についての説明やパンチ、キックボタンを使ったコンボ攻撃を実際に操作させる形で操作説明が行われたほか、今回新たに追加となった「ヒート」について特にガッツリと使い方を説明していた。

 一方で「鉄拳」シリーズ固有の操作についての説明はやや不足気味という印象を受けた。例えば投げについての説明や、投げに対する対抗手段としての投げ抜け、3D格闘ゲームの「鉄拳」シリーズならではの横移動の操作についても、チュートリアルで言及がないなど、この辺りはまだ準備万端ではない印象だ。

 これらチュートリアルはあくまでも今回のCNT向けに急遽用意したチュートリアルになっている可能性が高いと思われるので、製品版でどのようなチュートリアルになるのか再度チェックしておきたいところだ。

チュートリアルでは、基本的なボタン操作が学べる
ボタン入力のタイミングが遅い場合などは先に進めず、結構きっちりとしたチュートリアルになっている
今回追加の新システム「ヒート」の機能もきっちり説明してくれる

新システム「ヒート」で突破口を開け!

 「鉄拳」シリーズ共通の特徴として、△/◯/□/×(PS5)の4ボタンにそれぞれパンチ/キックが割り当てられており、移動操作とこれらボタンの組み合わせでキャラクター毎に必殺技が繰り出せる仕組みがある。また、コンボがより重要視されているのも同シリーズの特徴の1つであり、様々な技を連続で当てていくことで対戦相手に絶大なダメージを与えられる。

 今回CNTでプレイした「鉄拳8」についても基本操作や挙動については過去作とほとんど変わらず、コンボ重視の仕組みは従来同様といった印象だ。ただ、前作「鉄拳7」と比較して真っ先にわかる変化ポイントとして、映像品質の圧倒的向上が挙げられる。ジャック8では、表面上のメカニカルなディテールが明らかに向上しているのがわかる。また、シャオユウも服のディテールなどがより自然な雰囲気を醸し出しており、操作するだけでテンションが上がる。

 元々「鉄拳」シリーズは受けよりも攻め重視のゲームシステムだったが、本作では新システム「ヒート」の採用で序盤からさらに凶悪な攻撃を重ねられるようになり、より攻撃性が増した印象だ。体力が一定以下になると攻撃力が上昇する既存の「レイジシステム」も健在のため、体力が一定値以下では「ヒート」と合わせて逆転も狙える。なお、「レイジシステム」についてはレイジ状態の時に1度だけ使える超必殺技のような「レイジアーツ」のみ継続となり、キャラクター毎に性能や効果が異なっていた「レイジドライブ」は現段階では利用できなくなっていた。

ゲームの基本動作は前作「鉄拳7」と大きな違いは感じられない
前作「鉄拳7」のシャオユウとジャック7の様子
最新作「鉄拳8」のシャオユウとジャック8の様子。デザインが刷新されているのもあるが、キャラクターのディテールがかなり向上しているのが一目で分かる
前作にもあった、体力が一定値以下になると発動する「レイジシステム」は本作でも健在だ。発動可能な必殺技は「レイジアーツ」のみとなった
発動に成功すればド派手なカットシーンとともに大ダメージを与えられる

 新システムの「ヒート」について見ていこう。ヒートは1ラウンド中に1度発動が可能な強化システムだ。発動方法には2種類あり、1つはR1ボタン、または「×」+「△」同時押し(振り下ろし攻撃)で発動する「ヒートバースト」があり、この方法でヒートを発動する場合、攻撃がヒットしてもガードされても発動し、自身が少し有利な状況になる。

 発動時には一瞬カットが変わる演出が入り、発動後は体力ゲージの下にヒートタイマーのゲージが表示され、ゲージがある間のみキャラクターが強化される。ヒート状態の演出はキャラクターごとに異なり、シャオユウの場合は表面上に白いオーラが表面を覆い、ジャック8の場合、表面上を白いオーラを覆う演出に加えて手首部分に青白いリングが点灯するなど、強化状態がビジュアルで確認できる。ヒートバーストで発動した場合のヒート状態は10秒間持続、こちらの攻撃をガードされても回復可能ゲージとしてダメージを与えられるほか、キャラクター毎に特定の技が強化される。

 なお、回復可能ゲージは、空中やダウン状態で攻撃を受けた場合や特定の大技やヒート中の攻撃をガードすることで発生するシステムだ。回復可能ゲージとしてダメージを与えられた体力は、攻撃をヒットさせたりガードさせたりすることで回復していく。

「ヒートバースト」で発動する場合、一瞬キャラクターの正面カットが入る
ジャック8の場合。キャラクターごとにポージングなどが異なる
ヒート発動中はヒートゲージが光り、少しずつ減少していくほか、体を白いオーラが覆うなど、分かりやすい状態になる
ヒート発動中のジャック8は手首の部分が青白く光る

 ヒートの発動は他にも、相手にヒットする事でヒート発動できる攻撃を仕掛ける「ヒート発動技」もキャラクター毎に用意されている。ヒットしなければヒートが発動しないが、ヒート状態は15秒間持続するようになり、その後に連携やコンボなどが繋げやすい。また、ヒート発動技のヒット時はカットが変化し、スロー演出も入るため、その状況がお互いにわかりやすい。

 ヒート持続中のメリットを生かして戦うのも手だが、ヒート持続中にのみ発動可能な必殺技「ヒートスマッシュ」も用意されている。ヒートスマッシュを使用した場合、残りのヒート持続時間は全て消費して大ダメージを与えることができる上に、ヒートスマッシュの発動はヒートバーストと同じ操作とシンプルなので、他の攻撃と組み合わせてダメージを稼ぎやすい。

 実際にジャック8とシャオユウを使ってヒートスマッシュを試してみたが、敵の攻撃の隙をついてヒート発動技でダメージを与えつつヒート発動、間髪入れずに吹っ飛んだ敵に向かってダッシュして近づいてヒートスマッシュを発動して攻撃することで、連続ヒットで大ダメージを稼げた。他のコンボなどでダメージを稼いでおき、とどめの一撃(リーサル)としてヒートスマッシュを狙うのは大いにアリな攻撃スタイルと言える。

 ヒートは1ラウンドに1度発動可能なシステムのため、発動せずにラウンドを終えてしまうのはもったいないという気持ちもある。特に「鉄拳」シリーズの場合、うっかり相手の攻撃を食らってそのままコンボを受けてしまうと、大ダメージに発展する可能性が高く、折角のヒートを使うことなくそのまま負けてしまうことも多い。かといって、ヒート発動技は隙も大きいため、強気でガンガン使っていると、全てかわされてしまってヒートが発動できない場合もある。一方で早々に発動してしまうと、後半まで粘られた時に使う技が限られてしまう場合もあるため、どこで使うかの使いどころがポイントと言えるだろう。

ヒート発動時のみ利用可能な「ヒートスマッシュ」は強力な技なのでゲージが残っているうちに使っていきたい
ジャック8の「ヒートスマッシュ」は巨大レールガンを使って物理で殴るど派手な攻撃だ
ヒート発動技で決めてヒート発動するとスロー演出も入る上に持続時間が5秒伸びる

実践にはまだ及ばず? 操作簡素化システム「スペシャルスタイル」の魅力

 今回新たに追加になった「スペシャルスタイル」は「鉄拳」シリーズにおいて、初心者がついていけない豊富なコンボや連携のアシストをしてくれる簡単操作モードだ。前作「鉄拳7」でも「簡単コンボ機能」や「アシスト機能」などが用意されており、基本的な機能を見てみると、これらと類似する点は多い。このモードに切り替えると、全ての攻撃が簡略化した操作スタイルに変化するため、従来の「鉄拳」シリーズからは考えつかないくらいシンプル操作で戦えるようになる。

 「スペシャルスタイル」では、前述の“ヒットすればヒートが発動できる”強力なヒート発動技を放つ「得意技」、初手が決まると相手を空中に飛ばし、そのまま連打することで連続でダメージを与えられる「空中コンボ」、ダウンが奪える「パワークラッシュ」、しゃがみガードが必要な「下段攻撃」の4種類が攻撃の4ボタンにそれぞれ割り当てられる。「鉄拳7」での簡単コンボやアシスト機能よりも具体性が高くなっており、下段で攻めたい場合は下段攻撃、相手を浮かせてコンボを決めたい場合は空中コンボなど、状況に応じて簡単に目的に到達できる点においては、使いやすさはかなり向上していると感じられた。

 特に本作最大の魅力の1つ、ヒート発動技を1ボタンで繰り出せる「得意技」ボタンはかなりの脅威だ。もちろん、ヒート発動技はヒットしないとヒートが発動しないため、当てるためには相手との駆け引きが重要になるが当てられた時の気持ちよさは格別だ。ボタン表示もヒット後は連続でコンボが決められる動作に変化するので連続で決めていきたい。また「ヒートバースト」のボタンはヒート発動中は「ヒートスマッシュ」ボタンに変化しており、かなり簡単操作でヒートスマッシュも発動できるのが嬉しいところ。

「スペシャルスタイル」を有効にすると画面下部に「スペシャルスタイル」時のシンプルな操作コマンドが表示され、何を押したかのガイドも表示されるようになる
「鉄拳7」の初回起動時にも「簡単コンボ」や「アシスト機能」についての説明が表示される。こちらは設定で変更すると試合中には元に戻せない
「スペシャルスタイル」最大の恩恵の1つが、ヒート発動技を1ボタンで出せる点だ。これにより初心者であってもヒート発動からの連携などが楽しめる
宙に浮かせた相手に連続で攻撃を決める空中コンボも1ボタンで繰り出せるのはうれしい。ヒット中は「スペシャルスタイル」の枠が光るので分かりやすい点も初心者に優しい
レイジ状態の時に、1ラウンド1度のみ発動可能な「レイジアーツ」もR2ボタン1つで発動できるのも魅力

 一方で「スペシャルスタイル」で発動する技の連携やコンボは「鉄拳」シリーズならではの豊富な技をかなり絞り込んで組み込まれているため、これだけで戦うにはやや物足りなさを感じる場面も多々見られた。また、従来のパンチやキックの操作が一切行えなくなるため、キャラクターによっては重要な固有技が出せなくなってしまう場合があるのが痛い。

 例えばシャオユウは低姿勢で構えて低空飛行で敵に攻撃を仕掛けられる「鳳凰の型」のポーズが出せなくなってしまうため、これはかなりの戦力ダウンだ。ジャック8の場合、座り込んで攻撃を仕掛けるための姿勢「シットダウン」や「ガンマチャージ」などが出せなくなってしまう。

 メリットもデメリットもある「スペシャルスタイル」だが、その最大のポイントは通常操作と1ボタンで切り替えが可能になっている点だ。L1ボタンを押すことで、操作スタイルが通常のスタイルからスペシャルスタイルにあっという間に切り替えられる。そのため、前述のようなキャラクター固有の操作については通常操作で行ないつつ、ちょっと苦手なコンボや連携をここぞというところで決めたい場合に、「スペシャルスタイル」に切り替えることで、よりスムーズにコンボ攻撃が決められるようになる点は、鉄拳初心者救済としてはかなり役に立つ機能に進化したと言える。

ジャック8のその場に座り込んでしまうアクション「シットダウン」。ここから派生する技などもあるのだが、この辺りは「スペシャルスタイル」では利用できない
コマンドリストを眺めていると、どのキャラクターも100以上の技が設定されている。これをシンプルにまとめるのはちょっと厳しそうだ
「スペシャルスタイル」をオフにすると簡易コマンド表示が消えるので現在の状態が分かりやすい。試合中に切り替えて使いやすい点は魅力の1つといえる

 ただし、いくら「簡単コンボ」から進化したとはいえ、「スペシャルスタイル」を万全な初心者対策と言うにはやはり物足りなさを感じてしまう。というのもゲームプレイ中に簡単に切り替えができるとはいえ、出せる技に制限がある以上、常時「スペシャルスタイル」で戦っていると、攻撃が単調になってしまうほか、プレイしている側もちょっと飽きやすくなってしまう。

 特にキャラクター固有の特殊な操作などに対応していないため、キャラクターを満喫するためには「スペシャルスタイル」だけではなく、並行して通常操作も覚える必要が出てくる。純粋な初心者以外は段々と使わなくなってくる機能にも感じられた。

 「スペシャルスタイル」についても、おそらく開発中の段階と思われるので、開発チームにはさらに初心者が中級者になるくらいまで末永く使える機能にブラッシュアップしてほしいところだ。

無限の可能性「スペシャルスタイル」のさらなる進化に期待

 以上、ざっくりと「鉄拳8」CNTでのランクマッチでの対戦についてチェックしてみた。

 個人的には最も注目ポイントだった「スペシャルスタイル」が思った以上に汎用性が低かったのが残念なポイントだった。とはいうものの、久しぶりにプレイした「鉄拳」シリーズで、CNTに参加する猛者たちを相手に、勝率は低いながらもある程度勝ち星が拾えたというのは「スペシャルスタイル」による恩恵に他ならない。

 「鉄拳」シリーズの対戦の魅力はなんといってもコンボなどで圧倒的なダメージを与えて勝利する爽快感にある。中段か下段かなどの攻撃の読み合いがうまくいけば、初心者であっても勝利できる可能性があるのが「鉄拳」シリーズの面白いところだが、「鉄拳」シリーズのコンボは技の順番もさることながら、タイミングも難解なため、これをミスなく繋げて勝利を掴むのは非常に難しく、折角のチャンスを活かせずに負けてしまう初心者も多かったと思われる。

 こうしたコンボなどの操作ををシンプル操作で楽しめる仕組みとして用意した「スペシャルスタイル」はとにかく無限の可能性に満ちている。

 また、新たな強化システム「ヒート」についても、序盤から自由に使うことができるので、どこで発動するかといった戦略の幅が広がるユニークな仕組みと感じられた。

 現段階ではこれら新システムの完成度がどこまでの物か、判断することは難しいが、少なくとも今の段階でも十分に魅力的に感じられるシステムになっていると感じられた。これが発売時までにどのような進化を遂げていくのか、今後のクローズド/オープンテストからも目が離せない状況と言えるだろう。

対戦した人たちは強者ばかりだったので、激戦の連続で3ラウンド、3先のランクマッチでは負け試合がほとんどだったが、全敗することはなく、1度はラウンドを取れていたのが印象的だった
初代「鉄拳」からずっと出続けているポールも老けたなぁと感慨深く思った(負けました)
「鉄拳8」の主人公の1人、風間 仁。イケメンがさらにイケメンビジュアルになっているのも「鉄拳8」の魅力といえる