【特別企画】
フェン参戦など新要素が続々お披露目! 「鉄拳8」メディア向け発表会レポート
AI「ゴースト」とのバトルや4つのモードが楽しめるコミュニティエリアも追加
2023年9月19日 22:00
- 【鉄拳8】
- 発売日:2024年1月26日
- 価格:8,800円
9月19日、バンダイナムコエンターテインメントは、2024年1月26日に発売が決定した同社格闘ゲーム「鉄拳」シリーズ最新作、「鉄拳8」について、メディア向けの先行プレイ体験会及び、新システムなどの発表会をバンダイナムコ未来研究所にて実施した。
「鉄拳」シリーズは1994年より続く3D格闘ゲーム。4つのボタンにそれぞれ両手両足の操作を割り当て、それらを組み合わせて技が繰り出せる直感的な操作感が魅力のシリーズで、前作「鉄拳7」が2015年リリースのため、「鉄拳8」は9年ぶりの最新作となる。
今回、メディア向けに先行プレイ体験会が実施されたが、使用されているのは以前オンラインで開催したクローズドネットワークテスト(CNT)のバージョンと同等の物とのことで、先行プレイ体験会での様子は割愛する。興味がある人は、CNTレポートを参照してほしい。
ここでは開発者らによる最新情報のプレゼンテーションなどの内容について簡単にまとめてご紹介する。登壇したのは「鉄拳8」ゲームディレクターの池田幸平氏、及び「鉄拳」プロジェクト マーケティングプロデューサーの安田イースポーツ氏。
「鉄拳8」の情報については、CNT以降も海外のゲームイベントなどで随時最新情報が公開されており、これまで公開された情報の中では、新たにプレイアブルキャラクターとして、アズセナ、レイヴンの追加が発表されている。
また、既報の中で印象的なのは、新たなシングルプレーヤー向けのモードとして「アーケードクエスト」が追加になった点だろう。このモードでは、自分好みに作成したアバターを操作して、各地のアーケードを回ってライバルキャラとのバトルなどを繰り広げられる。ゲーセンっぽいアーケードを巡るとのことで、どのようなストーリーが展開するのか、今から楽しみなモードの1つとなっている。
本モードのストーリーを進めていくことで、バトルに関する基礎知識やテクニックが習得できるほか、アバターやプレイアブルキャラクターのカスタマイズアイテムが入手できるため、「鉄拳」シリーズ未プレイの人や、ベテランプレーヤーにとっても魅力的なモードになっているようだ。
本稿ではこれらの情報に加えて、新たに発表となった要素などを中心にレポートしたい。
プレーヤーの「ゴースト」と対戦可能な新機能「SUPER GHOST BATTLE」
今回のプレゼンテーションで判明した最新情報として、新たなプレイアブルキャラクターの「フェン・ウェイ(Feng Wei)」の追加が発表となった。フェン・ウェイは「鉄拳5」から登場している中国拳法の使い手で、上半身裸の筋骨隆々としたキャラクターとなっている。
また、ゲームモードとしては、前述の「アーケードクエスト」のほか、通常のオフラインプレイやオンラインのランクマッチなどに加えて、オンラインビジュアルロビー「TEKKEN FIGHT LOUNGE」が新たに追加されることが発表となった。
「TEKKEN FIGHT LOUNGE」には前述のアバターを操作してオンライン上のプレーヤーたちが一堂に介して、みんなでゲームをプレイしたり、コミュニケーションできる場所となっている。このロビーは「鉄拳8」がプレイできる「バトルエリア」、アバターやプレイアブルキャラクターをカスタマイズできる「カスタマイズショップ」、ミニゲーム「TEKKEN BALL」がプレイできる「ビーチエリア」、そしてトレーニングなどを大勢のプレーヤーで楽しめる「鉄拳道場」といった4つのプレイエリアで構成されている。
「バトルエリア」には多くのゲーム筐体が設置されており、筐体に座る事でゲームがプレイできる。ここでは従来同様、オンラインマッチングによる「鉄拳8」のゲームプレイが可能で、ランクマッチ、クイックマッチのほか、グループマッチとして、同じ筐体グループに座ったプレーヤー同士でバトルを行なうマッチングによるプレイも行なえる。筐体グループは2台が向かい合った対戦台もあれば、最大8台の筐体が繋がったグループ筐体もあり、複数人によるマッチングでのプレイが楽しめる。
実際のテスト映像でもオンライン上に個々のアバターがラスベガスのようなド派手な建物の中を自由に行き来する様子が確認できた。また、ゲーム筐体なども設置されており、ゲーム筐体に座ることでゲームプレイが可能になるようなビジュアルも確認できた。
なお、筐体の中には常に人が座っていて、どいてくれない謎の筐体があるが、これについては、将来的には何かしら“別のゲーム”が遊べる可能性があるのだという。ただし、現段階では追加ゲームなどについての情報は得られなかった。
「ビーチエリア」では、「鉄拳3」の時に実装された、ビーチボールの変形バージョンとも言える「ボールモード」がルールなどはほぼ同じまま、調整を経て新たに「TEKKEN BALL」として追加となった。
CPU対戦やオンラインによるプレーヤー同士の対戦も可能となっており、池田氏はこの「鉄拳3」のボールモードを「鉄拳8」に追加するために直訴したほどだという。なお「鉄拳7」で追加された「Ultimate TEKKEN BOWL」とは別物だ。
互いのコートにいる「鉄拳」のプレイアブルキャラクターを操作して、飛んでくるボールに対して、「鉄拳」のバトルと同じように攻撃を与える事で、相手の陣に向けてボールを打ち返す。ボールに蓄積されたエネルギーは「POWER」ゲージで表示され、ゲージが貯まるほど、よりド派手にボールが飛ぶようになる。なお、「TEKKEN BALL」ではヒットエリアを広げるなど、判定を調整しているので、かなり打ち返しやすくなっているようだ。
このようにボールを打ち合って敵からポイントを取るシンプルなルールながら、プレイアブルキャラクターを操作してプレイする「TEKKEN BALL」を楽しむことで、キャラクターの操作にも慣れられるなど、初心者向けのゲームスタイルの1つとして役に立つという。また、「TEKKEN BALL」を使った大会などが開催される事も期待しており、より多くのプレーヤーたちが「TEKKEN BALL」を楽しんでほしいとしている。
なお、「鉄拳7」などで追加されたミニゲームなどの追加については現段階では何も決まった情報はないという。これについて安田氏は「『鉄拳7』のミニゲームは「鉄拳」のキャラクターを使用しなくても遊べる物だったが、リリースしてしばらくはこうしたミニゲームを追加するよりも、『鉄拳』のキャラクターたちを操作して遊べる仕組み作りに注力したい」とした。
さらに、安田氏は新たな機能として「SUPER GHOST BATTLE」というシステムについて発表。これはいわば各プレーヤーのゴーストデータを新たに用意し、そのゴーストと他のプレーヤーが自由に対戦できるようになる機能だ。ゴーストデータはそのプレーヤーの過去のオンラインによるプレイデータをAIがラーニングすることで自動生成され、ゲームプレイの特徴やクセを学習し、進化し続ける人間らしい動きのAIゴーストと気兼ねなく対戦が行なえる機能となっている。ゴーストデータはプレーヤーのプロフィールなどからデータのダウンロードが可能で、実際にプレーヤーがオンラインにいなくても自由に対戦できる。
実際のテスト映像では10試合前後プレイしたゴーストの動きが確認できたが、単なるCPUとは異なる微細な移動の動きなどが再現されていた。なお、学習データは何千何万とプレイしてもそれが蓄積、解析されていくため、リアルなデータが生成されるようだ。
なお、学習自体は非常に短時間で効率的な学習が行なえる「Q-learning」の手法が用いられており、1試合目の最初の数十秒だけでもかなりの動きが学習できるという。なお、プレーヤー毎に全32キャラクターの情報を学習させて、保存する仕組みとなっているが、プレーヤー固有のクセなど、共通で学ぶような情報はないため、全32キャラクターそれぞれが1から学習して蓄積する仕組みになっているようだ。
なお、AI学習では、相手との間合いの取り方や移動時のクセ、ラウンド開始時の行動辺りが特に学習に影響を与えやすいとしている。また、本作で新たに追加される簡単に必殺技などが発動できる操作スタイル「スペシャルスタイル」での操作や切り替えなどについても学習対象となっているようだ。
他のプレーヤーのゴーストデータをダウンロードしてプレイできるほか、自分自身のゴーストとのバトルも可能で、自分の分身となるゴーストと対戦することで、プレーヤー自身の実際の動作や動きを自らの身で体感してプレイを見直す事ができるため、自身の練習に活用できるという。
なお、競技シーンでも使用される「鉄拳」シリーズだが、プロプレーヤーが自身のゲームプレイをあえて学習させないようにするような設定は存在せず、オンラインでのプレイは全て学習の対象になる。そのため、学習させたくない場合には、オフラインでのプレイについては学習できない仕組みとなっているため、それを利用するか、別のIDを用意してプレイするなどの対策を取る手もあるとしている。なお、AIによる学習も万能ではないため、人間のプレーヤーがあえて行なう、想定外の動きや閃きのプレイについては再現できないとした。
ちなみにゴースト同士の対戦が可能かについて確認したところ、技術上は可能だが、製品リリース時に実装の予定はないようだ。
クローズドベータテストが10月20日より開始!応募は今すぐ!
もう1点重要な情報だ。「鉄拳8」のクローズドベータテストが10月20日17時からと10月23日16時から実施される。プラットフォームはPS5/XSX|S、PC(STEAM)で、参加希望者の募集は9月19日22時より開始している。なお、前回のCNTに参加したプレーヤーについては、CNTの際に使用したダウンロード済みの「鉄拳8」CNTバージョンをアップデートすることでCBTに参加が可能となっている。
今回のCBTでは前回のCNTから、追加となったアズセナ、レイヴン、フェンの3キャラが利用可能となり、全19キャラクターがプレイアブルとなった。また、プリセットのカスタマイズコスチュームも選択可能で、ステージについても全16ステージのうち6ステージが使用できる。
なお、今回CBTで利用可能なキャラクターに新たにフェンが選ばれた理由として、安田氏はキャラクターの人気、使いやすく見栄えがする、鉄拳7の競技シーンでよく使われている、といった理由からCBTでの追加ならフェンがいいと判断したとしている。
CBTでも、今回発表となったオンラインビジュアルロビー「TEKKEN FIGHT LOUNGE」も利用が可能となっている。ただしCBTでは4エリアのうち、バトルエリアとカスタマイズショップのみが利用でき、残念ながら「ビーチエリア」で遊べる「TEKKEN BALL」については未実装としている。カスタマイズショップでは、アバターカスタマイズ、プレイヤーカスタマイズが利用可能となっているが、CBTの段階でのキャラクターカスタマイズについては、プリセットのみ利用可能としている。
そのほか、システム面については、前回のCNTで得られた多くのフィードバックを反映している。ヒートシステムやエフェクトなどその修正は多岐に渡るが、個人的に興味深かったのは、簡単に必殺技などが発動できる「スペシャルスタイル」操作についてのアップデートだ。CNTのフィードバックを得て、スペシャルスタイル使用時に、より戦略的な駆け引きを楽しむことができるように機能を拡張、□ボタンで出せる得意技、〇で出せる下段攻撃について、方向キーと組み合わせることで複数の技が出せるように調整されているのだという。
新たな「SUPER GHOST BATTLE」に期待大!プロゲーマーとも手軽に対戦できる夢の機能!
今回発表になった新情報の中では何といっても「SUPER GHOST BATTLE」機能が要注目だろう。自身のプレイをベースに自動で生成されたゴーストを相手に練習できるので、自分自身の弱点やクセなどを把握するのに非常に役に立ちそうな機能だと言える。
また、他のプレーヤーのゴーストをダウンロードしてプレイできるので、普段だったらとても対戦をお願いできないようなプロゲーマーたちのゴーストをダウンロードして対戦することで、プロゲーマーたちのテクニックや動きを体感できるのは、自身のプレイ向上にも大いに役立ちそうだ。
ゴースト同士の対戦について確認した理由は、大会などのオーダーを見てから、このゴーストを使う事で、どのプレーヤーが優勝するか予想するのに利用したり、またゴースト同士だけの大会などが開催されたら面白そうだと考えたからだ。他にもゴーストを使ったユニークな楽しみ方などを考えると、早く試してみたい機能の1つだと言える。
また、CNTでのフィードバックを反映して、「スペシャルスタイル」が強化された点はとても興味深い。CNTレポートでも触れたが、CNTバージョンの「スペシャルスタイル」は使用可能な技にかなりの制限があり、プレイしていてどうしても単調な動きになりがちだったからだ。それが今回方向キーとの併用で複数の技が出せるようになった点は是非チェックしてみたいポイントと言える。
「スペシャルスタイル」以外にも新たなシングルプレイモード「アーケードクエスト」や、多くのプレーヤーがコミュニケーションできる空間「TEKKEN FIGHT LOUNGE」の追加など、これまであまり「鉄拳」シリーズをプレイした事のない新規のプレーヤーにかなり焦点を当てた作りを目指している点が感じられる。「鉄拳8」でどのくらい多くのプレーヤーたちが新たにこの世界にやって来ることになるのか。今から発売が楽しみだ。
TEKKEN8 & (C)Bandai Namco Entertainment Inc.