【特別企画】

ファミコン版「チャレンジャー」が発売38周年! ファミコンブーム最盛期に登場した、個性派アクションゲームの魅力をプレイバック

【ファミコン版「チャレンジャー」】

1985年10月15日 発売

 1985年10月15日にハドソンが発売したファミリーコンピュータ用ソフト「チャレンジャー」が、本日でちょうど38周年を迎えた。

 本作は、主人公の考古学者チャレンジャーを操作して、敵キャラをナイフを投げて倒したり、ジャンプでかわしたりしながら全4シーン(ステージ)クリアを目指すアクションゲーム。最終シーンで待ち受ける敵の親玉ドン・ワルドラドを倒し、捕らわれている王女を救出すればハッピーエンドとなる。発売当時はテレビCMのほか、雑誌広告が盛んに掲載されたこともあり、当時のプレーヤー間では広く知られていた作品だ。

 以下、本稿では発売直後からプレイしていた筆者の体験を交えつつ、本作の魅力などを改めて振り返ってみた。はたして、ファミコンブーム期の真っ只中に登場した作品はいったいどんなものだったのか? 当時の知らない皆さんも、ぜひ最後までご一読いただきたい。

【「チャレンジャー」ゲーム画面】

広大なマップと数々の裏技の存在でプレーヤーを虜に

チャレンジャーの操作はいたってシンプル。十字キーで移動、Aボタンを押すと向いた方向にナイフを投げ、Bボタンを押すとジャンプする(※シーン2はA、Bともにナイフ発射ボタンとなる)。敵に捕まるか、着地に失敗して転落するとミスとなるが、シーン2のみライフ制になってるので、ごく一部の敵以外は一度触れただけではミスにならない。

 シーン1は、王女を誘拐したドン・ワルドラドが乗り込んだ列車「メタモルフォセス号」が舞台で、屋根の上を通って最後尾の車両から車内に飛び降り、先頭までたどり着けば(ドン・ワルドラドが逃走すれば)クリアとなる。シーン2は、上下左右に移動できる広大なマップ上を敵と戦いながら進み、シーン4につながる建物の入口を目指す。

【シーン1】
【シーン2】

 シーン3はシーン2に点在する、全部で9か所ある入口のいずれかに入るとスタートする。固定画面方式で、制限時間内に4つの噴水を飛び移りながら、最奥部にある王冠、鍵、指輪のいずれかのキーワード(アイテム)を取り、スタート地点に戻ればクリアとなる。シーン4も固定画面で、敵を倒したり避けたりしつつ上部へと進み、最上段にいるドン・ワルドラドにナイフを4発当てて倒し、王女のいる所にたどり着けばクリアだ。

【シーン3】
【シーン4】

 チャレンジャーのアクション自体は少ないが、これらのバラエティに富んだ4つのシーンにチャレンジできるのが、本作の最も面白いところと言えるだろう。なお、クリア後は再びシーン1に戻り、ラウンド2(2周目)がスタートする。

 全4シーンのうち、とりわけ当時のプレーヤーがワクワクし、なおかつ苦戦を強いられたのは、やはりシーン2になるだろう。シーン2のマップは、実に100画面分にも及び、その巨大さは発売前からメディアを通じて喧伝され、大きな話題となっていた。その広さゆえ、シーン3の入口の場所を探すだけでもかなり大変で、しかも敵キャラがひんぱんに出現するので、攻略は一筋縄ではいかなかった。

 シーン2に限り、4発連続で敵にナイフを当てるとパワージュエルまたはパワーソードが出現する。前者は画面内の敵を全滅させる効果が、後者は一定時間チャレンジャーの移動速度とナイフがパワーアップする効果を持つ、どちらも攻略には必須のアイテムだ。ただし、4発連続でナイフを当てるだけでも慣れるまでは意外と難しい。パワーソードの持続時間が短いこともあり、特に通常のナイフでは倒せない、敵のタマが出現する場所を突破するのもやはり難しい。

 シーン4に進むためには、シーン3で全3種類のキーワードを集めることが必要なので、苦手だからとシーン3を無視することはできない。また、シーン2には落ちると即ミスとなるアリジゴクや、中に入った瞬間に即死する「トラップケーブ」もあったりする。シンプルなアクションゲームでありながら、覚えなくてはいけない要素が非常に多いのも、本作ならではの特徴と言える。

敵のタマ(ピンク色のオバケ)に通常のナイフは無効。パワーソードでパワーアップした状態のナイフか、パワージュエル(画面の中央やや右にあるアイテム)でなければ倒せない
同じく、シーン3への入口を通せんぼするカラ(ガイコツ)も通常のナイフでは倒せず、パワーソードかパワージュエルが必須となる(※倒さずにすり抜けて中に入る裏技もある)
シーン3ではパワーアップアイテムが出現しないのでタマは避けるしかない。タマがジャンプするタイミンが読めないこともあり、ナメてかかると痛い目に遭う
ここがシーン4の入口。中に入るためには、シーン3で3種類のキーワードをすべて集めておくことが必要だ
ドン・ワルドラドを倒し、王女の所にたどり着けば全シーンクリアとなる

 本作には、特定の条件を満たすと隠れキャラクターが出現するなど、多くの裏技が用意されていた。これも本作の大きな特徴のひとつで、その存在はファミコン専門誌や漫画雑誌などのメディアを通じて、当時のプレーヤー間で広く知られることとなった。

 中でも特に有名なのが、シーン1のBGMの途中で鳴る「カンカン」という音に合わせてボタンを連打すると、上空に隠れキャラの「まっとうくじら」が出現する裏技だろう。「まっとうくじら」を出現させると、以後チャレンジャーが無敵状態となり、1万点のボーナスが獲得できる特大のメリットが得られる。ちなみに、シーン1のBGMはシューベルト作曲の「軍隊行進曲」がモチーフになっていることを、今でもご記憶の方も多いことだろう。

 本作は2013年にニンテンドー3DSでダウンロード配信されて以降、現在に至るまで一度も移植されていないため、残念ながら手軽にプレイできる状況ではない。とはいえ、当時ファミコンでヒット作を連発していたハドソンの有名タイトルの1つであり、プレーヤーの記憶に鮮明に残る作品であったことは間違いないだろう。いつの日か、また日の目を見る機会があることを願っている。

シーン1で「まっとうくじら」を出現させたところ
シーン2では、隠れキャラの「まっとうくじら」にナイフを当てると1UPする
穴に引き込まれるとミスになるアリジゴク地帯から、パワーソードで足が速くなった状態を利用して脱出すると1万点の隠しボーナスが加算される