【特別企画】
「スターオーシャン4 -THE LAST HOPE-」本日で14周年! 実質「SOゼロ」とも呼べるストーリーに深く感動
2023年2月19日 00:00
- 【スターオーシャン4 -THE LAST HOPE-】
- 2009年2月19日 発売
スクウェア・エニックスより2009年2月19日に発売されたXbox360用ゲームソフト「スターオーシャン4 -THE LAST HOPE-」(以下、「SO4」)が、本日発売14周年を迎えた(後にPS3などでも発売されているが、本稿ではいちばん最初に発売されたXbox360版準拠)。開発は、「ヴァルキリープロファイル」シリーズなどで知られているトライエースだ。
「スターオーシャン」シリーズといえば、一番の魅力はSFとファンタジーの融合。「星の海」を駆け巡るSFと、中世らしさを彷彿させる従来のファンタジーらしさが合わさったストーリーは非常に壮大だ。そして、簡単操作でありながらテクニカルなアクションも楽しめるバトルも、ストーリーを上回ると言っても過言ではないもうひとつの魅力だ。
長らく「スターオーシャン」シリーズを追いかけてきている筆者だが、筆者の最推し「スターオーシャン」は「SO4」である。本稿では14周年のお祝いと共に、「SO4」について振り返りたい。
まずは壮大なストーリーについて語りたい
「SO4」といえば、最初に語らなくてはならないのが“ストーリー”だ。「SO4」は、「4」というナンバリングでありながら、宇宙歴10年、つまり初代「スターオーシャン」よりも前の時代を舞台にした物語となっている。
わかりやすく、シリーズの年表を辿ってみよう。
・西暦
2064年:第三次世界大戦勃発。地球は壊滅状態に陥り、人類は宇宙へと目を向ける。
2074年:国際科学技術局(USTA)が、他惑星文明の接触に成功。
2087年(宇宙歴元年):人類が史上初の「ワープドライブ実験」に成功。
・宇宙暦
10年(西暦2096年):スターオーシャン4 -THE LAST HOPE-
346年(西暦2432年):スターオーシャン
366年(西暦2452年):スターオーシャン セカンドストーリー
368年(西暦2454年):スターオーシャン ブルースフィア
537年(西暦2623年):スターオーシャン5 -Integrity and Faithlessness-
539年(西暦2625年):スターオーシャン アナムネシス
583年(西暦2669年):スターオーシャン6 THE DIVINE FORCE
772年(西暦2858年):スターオーシャン Till the End of Time
「スターオーシャン」シリーズはこのような歴史となっており、「SO4」は実質「SOゼロ」に近い物語だと言っても過言ではない。
また、「SO4」は他タイトルとの関係性も非常に深く、「スターオーシャン」シリーズを知っていれば知っているほどテンションが上がる内容となっている。もちろん「SO4」からプレイしても、「SO1」や「SO2」をプレイすると「なるほど」と手を打つ場面も多いし、順序としてはどちらからでも問題はない。ただ個人的には「SO4」は「SO1」や「SO2」あってこそ完成する物語だと思っている。
逆にいえば、この「SO1」や「SO2」があってこそ完成する物語だから、筆者は「SO4」が一番好きなのかもしれない。
まず主人公のエッジが物語の中盤で降り立つ惑星ロークは「SO1」の舞台である。そのため、フィールド、バトル、街のBGMが「SO1」の時のもののアレンジとなっている点だけでも感動する。
当時DVD-ROMだったXbox 360版の定めか、惑星ロークの砂漠のど真ん中で唐突に「ディスク2に入れ替えてください」と出てきたことも今は楽しい思い出のひとつである。否、あの件に関しては今でも「ディスク交換のタイミングっていうものがあるだろうが!」と大声で叫びたいくらいに本当に唐突に砂漠のど真ん中でディスク入れ替えの指示が出るので、少々恨んでいる。
仕方ないとはいえど、当時から非常に美麗なグラフィックを誇っていた本作では、各エリアごとにディスクに収めるしかなく、最終ディスクに全てのエリアを入れておくようなことも容量的に難しかったのだろうと思われる。そういった事情を加味してもあのディスク1の交換タイミングだけはひどかったと思うのですよね(PS3版以降はディスク入れ替えが発生しないため、この不満は解消されている)。
少々話題が逸れてしまったが、他にもゲーム終盤で訪れるEnIIは「SO2」で登場するエナジーネーデの基盤となっており、こちらでも「SO2」のアレンジ楽曲が楽しめる。
そして「SO4」最大の謎(?)といえば、クロウルートのエンディングである。もちろんこの謎は「SO1」を知っていれば「そういうことだったのか!」となるものなのだが、「SO1」を知らないとよくわからないままだろう。逆に「SO4」をプレイしてから「SO1」をプレイしてもこのエンディングの意味はわかるようになっているので、「SO4」は本当に「SO1」や「SO2」との関わりが非常に深い。
そのため「SO4」は、「SO1」や「SO2」をプレイしているかによって評価の分かれる作品になってしまったとも言えるのだが、長らくシリーズを追っていた身としては「この作品を待っていた……」と涙するほどの内容となっている。全体的にイベントが長めのため、そこで揶揄されることもあるのだが、ストーリーは非常に濃密である。ストーリー重視派こそ、満足のする内容だ。とにもかくにも「SO4」をプレイしてほしい。
サイトアウトを決めまくれ! バトルが最高に面白い
「SO4」はストーリー重視と書いたが、バトルも最高の仕上がり。シリーズ伝統のリアルタイムバトルでシンボルエンカウント制ではあるものの、フィールド内を自由に走り回るアクション性の高い戦闘が可能だ。
「SO4」では、「SO6」で採用された「サプライズアタック」の原型となる、一瞬で敵の後ろに回り込んで、敵がこちらを見失っている間に攻撃するという「サイトアウト」というシステムを導入。基本的には「サプライズアタック」とほぼ同様のシステムで、「SO6」のバトルが楽しかったという人ならば、ほぼ間違いなく満足する出来栄えとなっている。
バトルでは、様々な条件で敵を倒すと「ジュエル」を獲得し、ボーナスボードに保管される。一番獲得しやすいのはサイトアウトを決めまくってクリティカル攻撃で敵を倒すことで得られるブルージュエル。ブルージュエルには獲得EXPが10%アップする効果があり、これをボードいっぱいに埋めることで最大EXP140%アップまで上げることができる。この状態をいかに維持するかでゲームの難易度にも大きく差が出てくる。
操作キャラクターがクリティカル攻撃を受ける、戦闘不能になる、戦闘から逃走すると、ボーナスボードがブレイク。連結していないジュエルは全てなくなり、連結していたジュエルは半減する。ちなみに、ゲームを終了するとジュエルは全てなくなるので、ボードブレイク→セーブデータからロード、という手段は使えない。ゲームを起動するたびにジュエルを積むところから始まる。
こう書くと面倒そうであるが、とにかくサイトアウトを決めるのが楽しい本作のバトルでは、ジュエルを積み直すことも苦ではない。むしろバトルを楽しんでいれば、自然とジュエルが積みあがっているという感覚だ。
また、本作はシリーズの中でもバトル曲が非常に秀逸! 本作の音楽を担当した桜庭統氏は、トライエースの多くのゲームの楽曲を手掛けている作曲家で、キーボード奏者としても活躍している。Revo氏によるLinked Horizonの楽曲・コンサートなどにもキーボード奏者として参加している。
通常バトル曲の「Blood On The Keys」はもちろんのこと、ボスバトル曲の「The Eleventh Hour」や「Seeker」などはもちろんのこと、前述の通り惑星ロークで流れる「SO1」のバトルBGM「For Achieve (Brass Remix)」は「SO1」の「For Achieve」のオーケストラアレンジとなっており、「SO1」を知っていれば背筋がぞわっとするほど壮大なアレンジとなっている。
そして「SO2」のバトル曲のアレンジである「Stab The Sword Of Justice (Heroic Remix)」はバリバリのプログレアレンジとなっており、原曲から正統な進化を遂げたアレンジだ。
このように聞いていて飽きない多彩なバトル曲によって、本作のバトルはプレイだけではなく耳でも楽しむことができるのだ。
キャラクターも好きです。エナミカツミさんによるキャラクターデザインも魅力
本作はイラストレーター、エナミカツミさんによるキャラクターデザインも魅力のひとつ。
主人公エッジは自身も優秀な軍人ながら、幼馴染で自分よりもさらに優秀なクロウをライバル視しているものの、艦のクルーたちからの信頼を集めている。
そんなエッジを支える、お尻が魅力的なヒロイン・レイミ。
エッジが最初に出会う惑星エルダー出身の異星人フェイズ、小さな可愛い少女のリムル、本作のお色気担当ミュリア、自身をサイボーグ化した熱いソウルを持つバッカス、猫タイプのムード—メーカー・メリクル、惑星ロークの有翼人で「SO1」のヨシュア&エリスの伯母であると思われるサラ、「死神」の異名を持つ冷酷な軍人でありつつ実は仲間思いなエイルマット、そして仲間キャラクターにこそならないものの特殊エンディングがあるクロウ。
仲間キャラクター以外にもウェルチといったおなじみのキャラクターはもちろんのこと、シマダのような愛着のあるキャラクターも多数登場する。
なお、基本的に「SO」シリーズのキャラクターには名前と苗字のフルネームがそろっており、フルネームで覚えておくと後々のシリーズで「おっ」となることがある。例えば主人公のエッジの苗字はマーベリックだが、マーベリックといえば「SO6」でもルカ・マーベリック提督が登場する。マリエルがマーベリック家について「名家」と説明するが、エッジの功績を思えばそれも当然のことだろう。かくいうマリエルもケニーという名家の出で、「SO4」ではケニー家はスティーブ・D・ケニーが登場。通称「光速のスティーブ」とも呼ばれ、ムーンベースの司令官を務めているなど、知っていれば楽しい要素が様々散りばめられているのだ。
「SO4」は面白いぞ!
駆け足で「SO4」の魅力を振り返ってみたが、とにかく全シリーズ知れば知るほど楽しめるのが「スターオーシャン」の世界。特に実質最古の歴史を扱うことになる「SO4」は、後のシリーズに繋がる要素も多く、エンディングまで見た時の衝撃は大きいものだ。
途中の展開に鬱要素があり、エッジもその重みに苦しみ、当然ながらプレーヤーも苦しむこととなるのだが、その展開を受けてのエッジの成長も見どころだ。
そして「エッジのエッチ」の名言を産み出したレイミは、歴代ヒロインの中でも非常に人気の高いキャラクターとなっているので、ぜひ注目してほしい。
「SO4」は、4K & Full HD Remaster版がPS4とSteamでプレイできるので、「SO6」をプレイしたものの「SO4」は未プレイという人がいたらぜひプレイしてみてほしい。リマスターされているとはいえ、美麗なグラフィックについては当時から非常に評価が高く、Xbox360版でDVD-ROM3枚組という大容量になったのも、頷ける。
今プレイしても全く見劣りしないレベルの作品となっているので、まだの人はぜひプレイを、そしてすでにプレイ済みの人も4K版で「SO4」の世界を懐かしんでくれると嬉しい。
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