【特別企画】
「ANUBIS ZONE OF THE ENDERS」発売20周年。現在でも本作を上回るロボゲーはない! そう思わせてくれる超名作を振り返る
2023年2月13日 00:00
- 【ANUBIS ZONE OF THE ENDERS】
- 2003年2月13日 発売
今から20年前の2003年といえば、プレイステーション 2が発売されて約3年が経過しようとしていた時期。各社ともPS2の扱いにこなれてきて、さまざまな名作がわんさかと登場していた頃合いでもある。
例えば、「ファイナルファンタジーX-2」や「真・女神転生III NOCTURNE」、「真・三國無双3」などがこの頃にリリースされ、それぞれ大ヒットを飛ばしていことを覚えている人もいるだろう。
そんなタイミングの2003年2月13日に市場デビューとなった「ANUBIS ZONE OF THE ENDERS」(ANUBIS)は、約2年前に発売された前作「ZONE OF THE ENDERS」(Z.O.E)の続編であり、当時の小島プロダクションが手がけた作品だ。
そんな本作が本日2月13日で20周年を迎えたということで、本稿では作品の想い出と魅力を振り返っていきたい。
最初は「PS2で、これだけのロボットをスムーズに動かすのは荷が重いのでは?」と思っていたのだが、実際にプレイしてみるとあまりにもサクサク動きすぎて驚かされたのを覚えている。しかし「Z.O.E」は、主人公の性格や、どちらかというと終始おつかいさせられてしまった感じのストーリー、そしてもう一声ほしかった爽快感など、自分の中では不完全燃焼気味となってしまった。
それから2年後に発売された「ANUBIS」は、「Z.O.E」で今ひとつと感じられた部分を払拭したどころか、それ以上の完成度で現れて度肝を抜いてきたのだ。ベータ版のDVD-ROMが到着して初めてプレイした時の衝撃と興奮は、今でも忘れられない。
本作のストーリーは以下のようになっていた。
22世紀、人類は“メタトロン”と呼ばれる鉱物の力で、活動の場を木星圏にまで広げていた。しかし、火星では過激派の軍事組織バフラムが台頭し、地球圏を中心とした連合宇宙軍との戦いへと発展する。バフラム側は、メタトロンを使用する人型機動兵器オービタルフレームを開発。連合宇宙軍の機動兵器レヴを圧倒し、戦いを有利に進めていた。連合宇宙軍は起死回生の策として、木星圏のコロニー・アンティリアで建造中の新型オービタルフレーム、アヌビスとジェフティ両機の奪取に動き、一度は2機共に手にしたものの結果としてアヌビスは奪還されてしまうが、ジェフティの確保には成功。そして、偶然乗り込んだ民間人のレオにより、幾度かの戦いを経てアンティリアを脱出する。
その後、戦略上の理由により木星圏の衛星カリストに投棄されたジェフティを、レヴに乗って採掘作業をしていたディンゴ・イーグリットが偶然にも発見する。しかし、レヴを降りてジェフティを調べていたところ、突如としてバフラム軍に襲われてしまう。ディンゴはそのままジェフティに乗り込むと、仲間を守るべくランナー(パイロット)として戦う。この先に待つ、過酷な運命も知らずに……。
プレイヤーは、ディンゴの乗るモビルスーツのような人型機動兵器オービタルフレームを操り、現れる敵と戦いながらストーリーを進めていく。
本作の特徴はなんといっても、オービタルフレームと呼ばれる巨大なロボットを操作し、サクサクと動き、敵を倒していく快感が得られるところだ。自機の動きはそれほどない代わりに、ミサイルなどの武器が目まぐるしく飛び交って戦うというゲームはいくつもあった。しかし「ANUBIS」では操作に合わせて自機が華麗に動き、そして数多く用意された攻撃手段で相手に仕掛けるという、アニメでしか見たことのなかったような光景を、高いグラフィッククオリティを伴って、プレイヤー自らの手で再現することができたのだ。
まさに“蝶のように舞い、蜂のように刺す”動きができるだけでなく、離れたところから無数のホーミングレーザーを放って雑魚敵を一掃したり、チャージを溜めて高威力のバーストショットを撃つ、さらには高火力の大型砲台で邪魔者をなぎ払うなど、ロボットアクションのロマンがこれでもかとばかりに詰まっていた。しかも、たった1機で数百機の敵と戦う体験もできてしまうのだから、ロボットアニメ好きならもちろんのこと、アクションゲームが大好物というユーザーの心もがっちりと掴んだのも頷ける。
またこの時期は、この手のロボットゲームでは複雑な操作が伴うのは当たり前という印象があった。ところが、本作であればそんな心配は無用で、敵との距離が近ければ□ボタンを押すだけでブレード(剣)で斬りつけてくれるし、離れれば自動的にショットでの攻撃となった。
しかも□ボタンを連打するだけで、相手のブレード攻撃を自機のブレードで受け流してくれるという華麗な技も入っており、余程でなければ慌ただしくガードしたりといったことも不要。それまで難しいと思われていたロボットアクションゲームの不安部分を、完全に払拭した点も見事なところだった。
ボタンを4回連打するだけで、サクサクと4連続コンボで相手にダメージを与えられる
12.png 13.png 14.png そのモーションも格好良く、まさにロボットアニメの主人公になった感じを味わうことができた。敵の攻撃も、□ボタンを押しているだけでブレードで受け流してくれるメインとなるブレード攻撃だけでなく、スキを狙って相手を掴んだり、そのまま振り回したり壁に投げつけるといったこともできてしまうほか、棒状のステージ外壁材を剥がして槍のように投擲するなど、ロボットアニメでやっていそうなことはほとんど行える。
プレイヤーが駆るオービタルフレームのジェフティは、サブウェポンを装備することも可能だ。そのどれもが素晴らしい働きをするのだが、特筆すべきもののひとつが「ベクターキャノン」。これはジェフティの脚が設置した状態でのみ使用可能となる大型砲台なのだが、発射準備に入ってから撃つまでに15秒間ほど要するものの、その演出がとにかく秀逸。ジェフティには独立型戦闘支援ユニット「ADA(エイダ)」が搭載されているのだが、段取りが進むのに合わせてナレーションが入り、最後の「撃てます」と同時に○ボタンを離して射出される瞬間は、まさに脳汁が飛び出るというもの。
くわえて、もう1種類のサブウェポン「ゼロシフト」も熱い。手に入れることができるのはゲーム終盤になってからなのだが、使用すると画面が一瞬歪んだ後に、ロックオンした相手の背後へと一瞬で回り込むというものになっている。
当然ながら回り込まれた敵は無防備なので、まさに煮るなり焼くなり好きに出来る状態。これが最初から使えてしまうと、今時のラノベのように序盤から無双ということになってしまうのだが、実際に入手できるのはラスト付近なので、そういう心配は無用。RPGでいうところの、苦労して育てたキャラが最終奥義呪文を手に入れて終盤の戦いを有利に運ぶ、と表現できるだろう。なお、最後に対峙する敵であるアヌビスとは、ゼロシフトvsゼロシフトという戦いになるので、なおさら熱い展開が待っている。
ストーリー展開に関しても非常に練られて作られているため、序盤から中盤、そしてラストと、盛り上がらない部分がないというほど良く出来ていた。そもそもディンゴは当初、自分が乗っていたレヴをバフラム軍に破壊されてしまい、たまたま目の前にあったジェフティに乗り込むことになる。しかし、さまざまな人間関係が交錯する中、ノウマンによって撃たれて死にかけてしまう。
その後、ケンの手により人工心肺の動力をジェフティから供給される形で蘇生するものの、ジェフティから降りたら死ぬと宣言されてしまうのだ。そんな状態の主人公が、今後どのようにして戦っていくのか、そして最後はどうなるのか、先が気にならないわけがない!
前作「ZONE OF THE ENDERS」では今ひとつ印象に残らなかったBGMだが、「ANUBIS」では心にしっかり残る楽曲へと生まれ変わっていたのも良かった点だ。特に初めてオープニングを見た時は、背後で流れる曲「Beyond the Bounds.」とのマッチングが素晴らしすぎて、何度もリピートしたほど。ステージの楽曲も前作から変わって激しいモノや、かと思えば民族調のものが流れてくるなど、いずれも自分の好みにピッタリとハマっていた。
アクションゲームでBGMがこれだけ琴線に触れたのは、これまでほとんどなかっただけに、そういう意味でもより印象深い作品として心に刻まれた。今では、PS2版ではないものの公式がオープニング部分をYouTubeにアップロードしているので、ぜひ一度は見てほしい。
今であれば、本作のリマスター作品「ANUBIS ZONE OF THE ENDERS : M∀RS」がPS4/Steamでリリースされているので、プレイするための敷居はそれほど高くはないと思われる。
ロボットアニメの主人公気分を十二分に味わえるストーリー、容易な操作で非常に自由度の高い戦闘が体験できる部分、場面にマッチした高いクオリティのBGM、物語を盛りあげてくれるアニメーションなど、最新コンソール機が出回っている現代においても、オリジナルのPS2版ですらどのゲームにも引けを取らない完成度だと言えるだろう。
今でも、続編の要望が絶えないという話を耳にするが、それも頷けるというもの。待っているユーザーは数多いと思われるので、これを機に朗報が飛び込んでくることを願ってやまない。
©2001 2002 Konami Computer Entertainment Japan