【特別企画】
「Gears of War」日本発売16周年おめでとう! このゲームとの出会いが筆者の人生を変えた
2023年1月18日 00:00
- 【Gears of War】
- 2007年1月18日 日本発売
本日1月18日、Epic Gamesが開発、Microsoftが発売したXbox 360用TPS「Gears of War」の日本発売16周年を迎えた。
「Gears of War」は、欧米や、日本を除くアジア圏で2006年11月に発売され、2006年度に最もプレイされたXbox 360のゲームとなった。そこから遅れること約2カ月、2007年1月18日に日本で発売された。本作は日本でも日本ゲーム大賞2007のグローバル賞(海外作品部門)を受賞している。
日本で発売されたバージョンは少し欧米版と異なる表現がされており、バラバラになったキャラクターの断面が黒塗りになっていたり、部位欠損の死体がないものになっている。それでもかなり衝撃的なシーンが多く18歳以上が対象のゲームとなっている。
現在ではWindows 10版やXbox Series X|S/Xbox Oneでの本作の購入、及びXbox Game Passでプレイすることができるようになっている。
今回は本作との思い出や当時について振り返りながら、本作の魅力について語っていきたい。
出会いは偶然だけど、この出会いが人生を変えた
筆者が本作と出会ったのは、実は本作が発売されてから約半年ほど経ってからだったように思う。東京で就職した友人の家を訪ねたら、見たことがないゲーム機があった。それがXbox 360で、友人が会社の先輩におもしろいゲームがあるからと薦められて買ったそのソフトこそが「Gears of War」だった。
友人もかなりおもしろいよと強めに薦めてきたので、そこまで薦めるのならと一緒にプレイした。正直なところ筆者はこの年の春に大学卒業をして就職をしてからは、仕事を覚えることに必死過ぎて全くゲームをプレイしていなかった。多分ここで本作を薦められなければ間違いなく今現在ゲームはしていないと思う。
それだけ本作はキャンペーンモードのストーリー、バトルシステム、対戦モードのどれをとってもゲームってやっぱり楽しいと実感させてくれるものだった。特に本作の、上手くいっているようで常にトラブルと窮地に追い立てられるストーリー展開と、それに立ち向かうキャラクターたちの強さや、仲間を思う優しさに心を引き付けられたことでもっとおもしろいストーリーのゲームを探してみたいと感じた。また、対戦モードで誰かと戦い徐々にうまくなる実感、時には遠いところにいる仲間とも楽しく遊ぶことができたことで、もっとみんなで遊んでみたいと感じたことは大きい。
本作は地球によく似た惑星「セラ」が舞台となっている。この「セラ」では地下資源である「イミュリシオン」と呼ばれる液体を巡って世界大戦が起こっていたが、種族「ローカスト」による襲撃を受けたことで世界が一変する。地底を掘って神出鬼没に現われる「ローカスト」たちのあまりの強さに、人類はローカストに襲撃されないための要塞を作りそこに統一連合政府(通称:COG)を設立する。COGの兵士たちは「ローカスト」たちからセラ全土を取り戻すために日夜奮闘と続けているという物語だ。
本作の主人公はこのCOGに所属していた兵士「マーカス・フェニックス」。マーカスはある事件により投獄されていたが、この投獄されていた刑務所がローカストたちに襲われる。その際に助け出してくれた親友ドミニク・サンチャゴ(通称:ドム)の計らいで兵士として復帰する。プレーヤーはこのマーカスを通して惑星セラで起こっていることやローカストたちとの戦いを体感できる。
また、本作ではストーリーを進めるキャンペーンモードを2人のプレーヤーによる協力プレイで楽しむこともできる。その際は基本的に1Pはマーカス、2Pはドムを操作してストーリーを進めて行く。
本作は画面にあまり明るい色がないのも特徴となっており、荒廃した街の建物や地下に入ってしまうとグレーや黒や茶系といった色ばかりで構成されていることもある。この色合いがより人の気配を感じさせず、人類がどれだけローカストとの戦いで苦しい思いをしているかを感じさせる。
本作のキャンペーンモードでは、敵にやられてしまうと即時ゲームオーバーとなるが、2人での協力プレイ時には敵の攻撃を受けてダウンしてしまっても、一定時間内にもう1人のプレーヤーが助けてくれると戦線に復帰することができるようになっている。当時、今以上にゲームの腕がなかった筆者だが、友人に助けてもらいながら楽しくゲームを進められた。
本作はサードパーソンシューティングゲームだが、戦い方にも特徴がある。まず、本作の登場人物はあまり足が速くない。そのため銃撃戦で俊敏に動き回って敵の攻撃を躱すことは難しい。猛ダッシュをしたり、ローリングで敵の攻撃を避けることもできるが、それを連発すると今度は攻撃が難しくなる。そのため、遮蔽物に隠れる「カバー」や「カバー」した状態で敵を銃撃する「ブラインドファイア」をうまく使いながら戦闘を突破していく必要がある。ほかにも銃弾の装填をゲージに合わせてタイミングよく行なうことで、少し攻撃力が上がるなど、うまく戦う方法がたくさん詰め込まれているのが特徴となっている。
この「カバー」や「ブラインドファイア」などでうまく身を隠しながら戦うことができたのも楽しくプレイできた要因の1つだった。この2つをうまく使えば十分に戦えるようになっており、アクションが苦手でも楽しめた。
また、協力プレイでは、プレーヤーがそれぞれ別の道を進み、違う位置から敵を攻撃したり、ギミックを解除して相棒の道を開く仕掛けなどもあった。協力して物語を進めていくので、ただただ友人が敵を倒すのを見ているだけではなく、ちゃんとプレーヤーとして参加できているのが感じられて、当時はドキドキ半分ワクワク半分でこの分岐を楽しんでいた。
本作では、道中で銃弾を拾ったり、自前の武器と道中に落ちている武器を交換しながら目的地に向かって進んでいく。武器の種類は本作の象徴的な銃であるチェーンソー付きのアサルトライフル「ランサー」をはじめとした8種類と、使用できる時間や場所が限られる特殊系銃が1種類、グレネード系が2種類、据え置きの機関銃が1種類と多岐にわたる。
持てる銃の数が決まっているため、時にはお気に入りの武器の銃弾が手に入らず、苦手な武器を拾って、泣く泣くそれを使いながら進んでいくこともあるが、それも戦場ならではという感じがして臨場感がある。
敵を倒すのは銃撃だけではなく、ランサーについているチェーンソーで敵を一刀両断したり、ダウンした敵にとどめを刺す「処刑」アクションもある。処刑アクションはプレーヤーだけが使えるわけではなく、ローカストたちも使ってくる。この処刑アクションで倒されてしまうと、問答無用でゲームオーバーとなってしまう。道中ローカストに処刑アクションで倒されて、ものすごく悔しい思いをした数は数え切れない。
また、敵であるローカストたちにもたくさんの種類がおり、それぞれ戦い方を考えながら戦うことになる。出会っただけで頭を抱えたくなるローカストも数体おり、苦戦しながらも前に進むためにいろいろな方法を試してみた。やっと突破できた時の達成感と爽快感はかなり大きい。ただし、中にはもう二度と会いたくないローカストもいてちょっとだけトラウマになっている。
こうしてプレイを進めていくうちに、本作のストーリーや世界観、登場するキャラクターどれをとっても魅力的に感じられて、心を鷲掴みにされた。
登場するキャラクターは基本的にガタイがすこぶるいいおじさんたちばかりだが、心がめちゃくちゃ優しい。それも不器用な感じの優しさではなくストレートに優しい心の持ち主ばかりだ。
今プレイしても感じるが、マーカスをはじめとするCOGのメンバーだけでなく、ローカストたちですら戦いの場に殉じていく覚悟を持ちながら、常に仲間に対する優しさを持っているからこそ、ここまで惹きつけられたように思う。
正直初めてプレイした当時は「このおっさん性格悪!!」と思うキャラクターもちらほらいたが、改めてプレイすると行動の端々に仲間を思う動作をとっていたりして、意外と見落としていたり、随分歳をとったからこそ気が付く場面があった。そのためか、よりこの作品が全体として登場人物が他に対して優しい作品だと感じている。
この要素はその後のシリーズでも色濃く反映され、本作では協力プレイで倒れた仲間、その後のシリーズではどんなキャラクターでもダウンしたキャラクターを助けに行くことができるようになっている。
ストーリーもムービーやステージ上での会話などでしっかり描かれているので、物語としてもおもしろい。特に、マーカス・フェニックスを主人公とした物語が綴られている、本作から「Gears of War3」までの三部作。三部作を通して、ローカストとの戦いの中で見え隠れする真実に向かっていくストーリーと、その事実に揺れ動く登場人物達は非常に人間味があり、プレイしていく中でどんどん魅力的になっていく。
ただ、登場人物が本当に魅力的すぎるが故に、さまざまな悲しい出来事が降りかかるたびに胸が潰れそうになるのが本作をプレイしていて1番辛いところだ。人同士ではないとはいえ、戦争というテーマが彼らにもたらす悲しい出来事の大きさを感じずにはいられないし、その度に彼らの優しさも感じられるからこそより辛さが増してしまう。
筆者の別の友人がシリーズ途中であるキャラクターが亡くなったところで精神的に辛過ぎてプレイをやめてしまったと聞いたときはさすがに驚いたが、それぐらい感情移入できるほど、1人1人が細かく描かれている作品ともいえる。
マーカスの父親に対する後悔やドムが捜している人物に対する取り乱し方などキャラクター達の心の葛藤などを包み隠すことなく描かれている。その感情がダイレクトに伝わってくるので道中で誰かを失った時の悲しみもダイレクトに伝わってくるし、凄惨な場面に出くわした時の衝撃も強い。当時はゲームをプレイしていてこんなに気持ちが揺さぶられるのかと衝撃を受けた。それがゆえに本作が好きになったし、ゲームってこんなにおもしろいのかと改めて実感したことだけはストーリーが曖昧な記憶になっても鮮明に覚えている。
他にも本作のキャンペーンには収集物を集めるなど様々な実績解除要素もあり、キャンペーンクリア後も実績解除のために何度も繰り返しプレイした。
また、本作にはマルチ対戦モードが搭載されており、最小1vs1の2人から最大4vs4の8人でCOGチームとローカストチームに分かれて戦うことができた。対戦方法は発売当初からあった相手のチームをせん滅させる「Warzone」、「Warzone」とほぼ同じルールだが、対戦相手をせん滅する方法が処刑アクションのみとなっている「Execution」、相手チームのリーダーを倒すと勝利となる「Assasination」、そして発売後に追加された設定された目的地を一定時間占領することで勝利する「Annex」の4種類が選べる。
この対戦方法で数ラウンド戦いホストが設定したラウンド数を先に制したチームが勝利となるものだった。
対戦相手もローカルやプレーヤー自身と同じぐらいのスキルを持った相手、無差別でいろいろな人と遊ぶなど選ぶことができるようになっていた。
このマルチ対戦モードも随分とやり込んだ。ストーリーモードであるキャンペーンをクリアしたあとも友人と一緒にプレイしたり、ソロでプレイしたこともあった。
COGのメンバー以外にもローカストを操作することもあり、敵として戦って薙ぎ倒してきたキャラクターで戦うのは最初は複雑だったが、ダウンした仲間を助ける際にちゃんと「立て」と声をかけていたりとローカストの方にも仲間意識が感じられて不思議とローカストにも愛着が出る。
対戦方法が複数あるので、その日の気分で対戦方法を選べたのもありがたかった。操作自体はそんなに難しくないためプレイすればするほど、上手くなっていくのがわかって楽しい。
ゲームバランスが絶妙でいろいろな戦略で戦うことができるようになっていたため、様々な戦い方を試していたのも懐かしい。他のプレイヤーたちの新しい動きを見るたびに、その行動の意図を考えて戦うのも楽しかった。
筆者はとどめを処刑アクションでしか刺すことができない「Execution」と、設定された目的地を先に占領する「Annex」が特に好きな対戦方法で、1人でプレイするときはホストになってこの2つをよく遊んでいた。
マルチ対戦モードがあまりに楽しく、友人が「キャンペーンよりこっちが本編」とまで発言してしまうくらいマルチ対戦モードは長くみんなで遊んだ記憶がある。大学時代の友人達とSkypeを繋いで会話しながらプレイしていたのが懐かしい。ちなみにこの友人達とは、Discordを繋いで今でも一緒にいろいろなゲームをしている。
マルチ対戦モードはさすがに今はマッチングしないが、ふとやりたくなることがたまにある。
多分だが、このゲームに出会わなければ筆者は今ゲームをしていなかったと思うし、こうしてゲームに関する仕事をすることはなかったと思う。本作の物語を体験することで、繰り返す絶望とそれを打ち砕こうとするキャラクターたちの強さや優しさに心が揺さぶられた経験や、誰かと一緒に遊んでその楽しさを共有するということの楽しさの再確認は、筆者にとっては本作との出会いは人生のターニングポイントだった。ちなみに本誌の編集長との初対面の時も本作の話をして場が少し和んだ記憶がある。
本作は三部作の最初ということで、物語もローカストとの戦いも序盤に過ぎない。ただ、序盤の物語とはいえボリュームはしっかりあるので満足感もある。今でもプレイできる作品なので、気になる方はぜひプレイしてみてほしい。
ちなみに本作で登場するキャラクターのマーカスたちは、映画「レディ・プレイヤー1」の作中にもランサーを手に出演しているので探してみてもおもしろいかもしれない。
©Gears of War and the Crimson Omen are either registered trademarks or trademarks of Epic Games, Inc. in the United States and/or other countries. All rights reserved.(C)2007 Microsoft Corporation. All Rights reserved. Microsoft, the Microsoft Game Studios logo, Xbox, Xbox360, the Xbox logos, Xbox Live and the Xbox Live Logo are either registered trademarks or trademarks of Microsoft Corporation in the United States and /or other countries.