【特別企画】

その強さ“勇者”というより“魔王”級!? 「遊戯王 マスターデュエル」に追加早々準制限を2枚も生み出した最強テーマ「勇者」の全貌とは!?

【リミットレギュレーション適用予定日】

7月11日 適用

 爆アドォォォ!アドえもんです! 筆者は普段YouTubeにて遊戯王を中心にカードゲーム動画を投稿している愉快でうるさいお兄さんだ。

 さて、本日7月11日に「遊戯王マスターデュエル」では新規カードが多数収録された新パック「ワンダリング・トラベラーズ」がリリースされる。新テーマとして通常召喚を駆使する事で、数多のメタカードを突破しつつ継続的な展開を得意とする「ふわんだりぃず」の登場や、追加カードとして「Evil★Twin」や「マシンナーズ」といった既存テーマに新たなエース級のカードが配られたりなど、今回も「遊戯王OCG」で発売されていたカードパック「BURST OF DESTINY」のカードを中心とした非常に注目度の高い収録内容となっている。

 しかし、そんな数多の新規カードの中でも特に決闘者達が注目し色んな意味で震えあがっているテーマが今回紹介する「勇者」だ。各カードが持つカードパワーもさることながら、圧倒的汎用性が魅力となっているこのテーマは、なんと「マスターデュエル」では初の登場と共にテーマカード2枚が準制限にぶち込まれるという事態を招いている。「マスターデュエル」から始めた決闘者には意味がわからない状況となっていると思われるので、今回はなぜそのような処置が施されたのかを「勇者」というテーマの魅力を交えながら紹介していたい。

 前回のうるさい感じの記事が(何故か)許されたので、今回もこんな勢いで史上最高のゲーム「遊戯王マスターデュエル」について熱く語って行きたいと思う。

7月11日適用のリミットレギュレーション

禁止カード
なし
制限カード
なし
準制限カード
・アラメシアの儀
・聖殿の水遣い
制限解除されたカード
なし

自分自身が“勇者”となる!「勇者トークン」を駆使しながら仲間や装備品と共に戦うのが「勇者」テーマだ!

 まずは今回初めて「勇者」テーマに触れる人向けに簡単にテーマ全体の動きを紹介をしておきたいと思う。「勇者」は「アラメシアの儀」という魔法カードから生み出される「勇者トークン」を中心に戦うテーマとなっており、カテゴリーに含まれるカード達には「勇者トークンが存在すれば〇〇ができる」、「勇者トークンの名前が記されたカードを〇〇する」といった感じに「勇者トークン」を指定するテキストが多く見受けられるのが特徴だ。生み出した「勇者トークン」を他のテーマモンスターでサポートしつつ、テーマ内に複数存在する装備魔法やフィールド魔法を状況に合わせて張り替えながら盤面をコントロールする動きが非常に独特。必殺技のような罠カードも存在し、ド派手な能力も合わさり使っていて楽しいカードが多く筆者もメッチャ好きなテーマの1つである。

 上記の事から何となく想像はつくと思うがテーマコンセプトは恐らくRPGゲームをイメージしており、勇者をサポートする他のモンスターがパーティーメンバーのような役割となる。テーマ内の装備魔法は武器やアイテムを勇者に装備するイメージ、フィールド魔法が探索するダンジョンのようになっていたりなど、非常に遊び心が満載の面白いテーマとなっている。今までの「遊戯王」には無い挙動も相まってその完成されたテーマ性から心惹かれた決闘者も多いテーマなのだ!

【「勇者」テーマとして実装されたカード12種】
テーマに含まれるカードは全部で12種類! それぞれが「勇者トークン」をサポートする効果や「勇者トークン」と共に戦うようなデザインとなっていて、さながらRPGの勇者パーティーのような気分でデュエルする事ができるのだ。

 基本的な動きとしてはサーチカードである「聖殿の水遣い」を何かしらの手段で墓地や手札へアクセスし「アラメシアの儀」を発動させて「勇者トークン」の特殊召喚と「運命の旅路」の発動を成功させる。「運命の旅路」の効果で「流離のグリフォンライダー」を始めとした勇者の強力な仲間をサーチしてフィールドに出し、再び「運命の旅路」の効果を発動させて今度は勇者の装備品をサーチして装備する。この一連の流れが勇者デッキの基本ムーブとなり「アラメシア儀」へのアクセスに他のカードや召喚権などを使って無ければ続けて他の展開も可能となる事から“他テーマとの共存”も非常に容易なテーマとなっているのだ。

 そもそもカテゴリーの罠カードである「リザレクション・ブレス」が自由なモンスターを2体蘇生できたり、各装備カードがテーマ外のモンスターでも効果を発揮できるなど、他テーマとの連携が考慮された効果を持っている。そのため、元々「勇者」というテーマは「自分の好きなモンスターをパーティーに見立てて遊ぶ」というコンセプトもあったのではないかと筆者は思っている。

 純粋なテーマとしての動きを知りたい場合は筆者が現実の「遊戯王OCG」にて初めて「勇者」が登場した際に「純勇者デッキ」として対戦動画を投稿しているので是非そちらを参考にして欲しい!

【ド派手に行くぜ!!勇者アド冒険譚!!『勇者』vs『P.U.N.K』【#爆アド】】

 さてここまで聞くと「勇者」は純構築でも動きが面白く、加えて様々なテーマで活躍が見込まれ色んなコンボを生み出してくれそうな最高テーマのように見えてくるかもしれない。では一体何が問題なのか。なぜ登場と共に準制限カードを2枚も生み出してしまったのか。

 その答えは“あまりにも容易な出張能力”とそこから生み出される“妨害力と突破性能の高さ”が異常だったのだ。この原因となるのが簡単に様々なアクセスを可能とする「聖殿の水遣い」と「アラメシアの儀」の誓約の緩さ、そしてそこから生み出される「流離のグリフォンライダー」と「騎竜ドラコバック」の存在だ。お気づきかと思うがこの4枚こそが所謂”出張セット”と呼ばれる存在だ。本当にヤバすぎるぐらい強い。順番にその強さを紐解いていこう。

容易な出張能力&妨害力と突破性能の高さを兼ね備えた「勇者」テーマの強さに迫る!

 まず「アラメシアの儀」の誓約についてだが、自分はこのカードを発動するターン「特殊召喚されたモンスター以外のフィールドのモンスターの効果を発動できない」という縛りが存在する。少し回りくどい書き方をしているが簡単に要約すると「通常召喚・反転召喚されたモンスターの効果は使えない」という事になる。これによって例えばテーマ的に通常召喚を重要視する「ふわんだりぃず」や「魔界発現世行きデスガイド」のような召喚をトリガーとするモンスターを初動としているデッキ、「サブテラー」や「クローラー」といった反転召喚やリバース効果をある程度駆使するデッキとは相性が悪い作りとなっている。

 が、言ってしまえば“そこ位しか”明確に相性が悪いデッキは存在しないのだ。今の遊戯王は「増殖するG」がほぼ全てのデッキに刺さる事からわかる通り、特殊召喚オンパレードのゲームとなっている。もはや1ターンに基本1回しかできない通常召喚の方が特殊なくらいだ。従って通常召喚したモンスターの効果を発動しなくて良いテーマが星の数ほど存在する事に加えて、デッキ構築事態をそのように組む事が容易なのだ。そんな状態のため「アラメシアの儀」は誓約が付いていても基本的には簡単に発動できる部類のカードとなっており、加えて「聖殿の水遣い」がサーチカードな事を考慮するとMAXでデッキに投入できた場合6枚態勢になる事から簡単に「勇者」の基本ムーヴを行なう事ができてしまうのだ。

種族・属性・レベルが恵まれているおかげで様々なサポートの受けることができる「聖殿の水遣い」は容易に手札か墓地にアクセスする事が可能!
「聖殿の水遣い」にアクセスできれば「アラメシアの儀」に繋がるため「勇者」ギミックの動きが簡単にできてしまう

 ではその簡単に行なえる「勇者」の基本ムーヴから何が起こってしまうのか、その答えが「流離のグリフォンライダー」と「騎竜ドラコバック」なのだ。前述した通りこの基本ムーヴが通ると「勇者関係のモンスター1体」と「勇者関係の装備魔法」をサーチする事ができるため、この2枚に簡単にアクセスできてしまう。そしてこの2枚こそが激ヤバカードなのである。

 「流離のグリフォンライダー」は簡単に特殊召喚する事ができつつ「勇者トークン」が存在すると自身をデッキに戻す事で相手のカード効果を無効にして破壊する妨害能力を持っている。「騎竜ドラコバック」は効果モンスター以外のモンスターに装備されている場合に場の“カード”1枚をバウンスする事ができるのだ。これが「アラメシアの儀」1枚からいとも簡単に行なわれると言うのがヤバすぎたのである。……いや勇者の乗り物ちょっと強すぎィ!? 「遺跡の魔鉱戦士」も流石に泣いていい。

どちらも捲りカードとして破格の性能を持った可能なカードとなっており、グリフォンライダーに関しては先行・後攻問わず活躍できる効果に加えて素のステータスが高い事からも素引きしてもあまり腐る事が無いのも偉い

 この2枚の細かいヤバポイントをさらに追求するなら、まず「流離のグリフォンライダー」はレベル7で高い攻撃力を持つ事からそのままアタッカーとしても運用する事ができる。最悪、効果無効などを受けた場合は、汎用的な手札誘発チューナーとシンクロしてレベル10の「フルール・ド・バロネス」やレベル8の「ヴァレルロード・S・ドラゴン」等の強力なモンスターに変換する事も可能。さらに、自分の効果でデッキに戻ったとしても動きの中で「運命の旅路」が発動しているため、毎ターン「流離のグリフォンライダー」を手札に加える事ができるのだ。つまり「勇者」が生き残ってたら1回乗り切った位じゃ無効妨害は終わらないのである。

 続いて「騎竜ドラコバック」は装備カードのため勿論場に残ってしまったら毎ターンバウンス効果を使われてしまうし、そもそも効果対象がモンスターではなく“カード”のため基本どんな相手のデッキにも有効なカードとなっているのだ。流行りのデスフェニもコイツでバウンスすれば問題ないのである。

 加えて「勇者」テーマの装備カードの共通効果として「墓地へ送られた場合に自分の場の勇者トークンにもう一度装備する」という効果をターン1で使う事ができる。つまり装備だけを1回破壊したところで「勇者トークン」が残っていたらあまり効果的では無いのだ。さらにコイツも「流離のグリフォンライダー」と同じくこのカードもデッキに複数枚採用されていた場合はほぼ毎ターン「運命の旅路」でのアクセスも可能なため、1度好き勝手を許してしまったら敗北するまでバウンスされ続ける事もあると言っても過言ではない。

 そして何度も言うがこの盤石な布陣をサーチ手段が豊富な「アラメシアの儀」“1枚”で、かつ“殆どのデッキで行なう事が可能”というのが問題なのだ。これが厳しい誓約などで他のテーマと混ぜない純構築の「勇者」だけが行なえるという条件であればテーマ性として愛されていた事だと思うが、あらゆるデッキでやられたら流石にヤバいのである。今回リリース前から「アラメシアの儀」と「聖殿の水遣い」が準制限になったのはそんな激ヤバな環境を見越しての采配なのだ。実際「遊戯王OCG」でも登場時にこの2枚が無制限だった頃から「勇者出張セット」を投入したデッキは暴れまわっており、「マスターデュエル」と同じく準制限に爆速でぶち込まれてからも変わらずに出張セットとして暴れ回った結果、現在「OCG」ではこの2枚がより厳しい制限カードにまで至ってしまっている。

 正直普通に勇者テーマが好きだった筆者は嘆き悲しんだし「グリフォンライダーをぶち込めよぉォォォォぉ!!!!」と叫んだのを覚えている。なので今回「マスターデュエル」に追加されつつ両方2枚投入できるというだけでも実際はもの凄い事なのだ。

出張ギミックとして必要なカードは「聖殿の水遣い」×2、「流離のグリフォンライダー」×1、「アラメシアの儀」×2、「騎竜ドラコバック」×1、「運命の旅路」×1の7枚のみ
出張ギミックとしてデッキに入れる際の枚数比率と展開した盤面はこのような感じになる。デッキや考えによってドラコバックと旅路の枚数は変動するが基本はこの5種類のみが採用される事が多い。展開前に無効妨害を構えながら1枚バウンスが行えるのが非常に強力……! 先行の場合でも展開のオマケに「アラメシアの儀」1枚でここまでカード枚数を増やされるのは正直かなり堪えるものがある……!

「マスターデュエル」での影響はいかに?

 ではそんな出張セットが鬼強い「勇者」だが「マスターデュエル」においてはどのようなデッキに投入されランクマッチで活躍しそうなのか。「OCG」で流行ったデッキタイプを鑑みつつ現行の「マスターデュエル」の環境デッキの中で考えるなら「電脳堺」、「天威ローズ」といった展開系の中でも通常召喚したモンスターの効果が重要視されないタイプのデッキ、「プランキッズ」、「十二獣」といったミッドレンジデッキの中でも召喚したモンスターが基本的には場で効果を発動しないタイプのデッキ、「エルドリッチ」のようなそもそも全然召喚を行なわないタイプのコントロールデッキなどかなり幅広いデッキへの投入が予想される。

 加えて新しいタイプのデッキとして「勇者トークン」とも相性が良く展開が容易な「天威」を中心に「水晶機巧-ハリファイバー」による展開や「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」からの「D-HERO デストロイフェニックスガイ」など汎用的な強力展開を数多に行なえる「天威勇者」なんかも台頭できるかもしれない。正直ぶっちゃけ言えばどんなデッキにでも出張の可能性があるのが「勇者」というテーマの強みなため、固定概念に囚われず様々な構築をぜひ試してみて欲しい。

1つ例として筆者がパッと思いついたレシピの「電脳勇者」がこんな感じ。最強の「真竜皇V.F.D.」と「勇者」をダブルパワーで発揮できるというだけで涎が止まらねぇ……!

 最後にそんな「勇者」ギミックの注意ポイントを皆に伝えたいと思う。まず“効果無効”系のカードを構えている状態であれば「アラメシアの儀」を無効にする事を意識して欲しい。「勇者」ギミックの全ては「アラメシアの儀」1枚からスタートする強力な布陣だが逆に言えば「アラメシアの儀」さえ使わせなければギミックの全てが揃う事は早々無い。加えてポイントなのが“発動無効”ではなく可能なら“効果無効”を打つという事だ。「アラメシアの儀」は1ターンに1枚しか“発動できない”カードなので発動を無効にした場合はもう1枚あった時に連続で打たれてしまう。なので妨害の中でも“効果無効”を優先して打つことが非常に重要となってくるのだ。

「アラメシアの儀」は「1ターンに1枚しか発動できず~」というテキストが存在する。先述したように発動を無効にした場合には、同じターンにもう1度「アラメシアの儀」を使われてしまうが、効果を無効にした場合は同じターンに使用できない。「遊戯王」における細かなルールの1つだが“効果無効”を優先して打つことが重要になる
汎用的なカードで言えば「No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー」等のような妨害効果を当てるのが効果的だろう。

 他にも「流離のグリフォンライダー」は再利用をさせない為にも可能な限り墓地や除外に送るよう意識したり、「勇者」ギミックが完成した場合のフィールドは「勇者トークン」から処理する事で多くのカード効果を無にする事ができるなど細かいポイントは幾つもあるが、それは実戦の中で覚えたり筆者の生配信(近日配信予定)などで見てくれると嬉しい。

 そしてこれは勇者ギミックを使う側のポイントにもなるが、基本として「勇者」ギミックはメインの展開を通すための“囮”として使うのが効果的だと言う事だ。勿論「アラメシアの儀」は通れば多くのアドバンテージを得られるカードではあるが他テーマが持つ宇宙最強展開のゴール盤面には及ばない事が多い。なので使い方としては先行の場合は「アラメシアの儀」で「流離のグリフォンライダー」を最速で着地させて相手の妨害をケアする、後攻の場合は「アラメシアの儀」で1妨害を踏む気持ちで使う+もし通ったならグリフォンライダーとドラコバックで妨害を剥がしてメインの動きを通すと言った使い方がベターだ。必ずしもこの使い方が正しい訳ではないが「勇者」を出張ギミックとして考えた場合はこのように運用する事が多いため、自分が使う際も相手に使われた際にもこの基礎を頭の中に入れておくと役に立つだろう。

 さて最後にこの「勇者」の追加で「マスターデュエル」がどのように変化するのかを総括するが、ランクマで「勇者」ギミックは“確実に”爆増すると言って良い。何なら今のデスフェニ現象を超えるレベルで見かける事も十分予想できるほどこのギミックは強い。ただそう聞くと悲観する決闘者もいるかと思うがそんな必要は無いと筆者は思っている。「勇者」ギミック自体は既存の「遊戯王」には無い独自の挙動と面白さを持っているので、初めて触るプレーヤーなら使っていて楽しいだろうし、何より「OCG」プレーヤーからすると準制限というある程度力が押さえられた状態で現実では成し得なかった「真竜皇V.F.D.」や枚数が担保された「フュージョン・デステニー&D-HERO デストロイフェニックスガイ」、他にも「マスターデュエル」のオリジナルの環境だからこそ許されているバケモノとの対決や共存を楽しむことができるのだ。バケモノにはバケモノをぶつけんだよ!

 きっと今までに無いエキサイティングなゲーム体験が予想できるため、ぜひプレーヤー諸君も今回の新パックを全力で楽しんでほしい。それではグッッッ爆アド!!!