【特別企画】

2021年はTGSに初出展! 505 Games CEOのRaffaele Galante氏に聞くこれまでとこれから

創立15周年記念インタビュー

【505 Games 創立15周年】

9月2日(現地時間)

 現地時間で9月2日、イタリア・ミラノに位置するパブリッシャー、505 Gamesが創業15周年を迎えた。

 505 GamesはPC版「DEATH STRANDING」を始め「Ghostrunner」、「 Assetto Corsa Competizione」、「Control」や「Bloodstained Ritual of the Night」、そして「Terraria」など、ゲームファンにはピンとくるタイトルを多数扱うパブリッシャーだ。海外タイトルの日本語ローカライズなども精力的に手掛けており、昨年2020年には日本オフィスとして505 Games Japanが設立された。今年はいよいよ東京ゲームショウ 2021公式配信への初参加を決め、いよいよ日本のゲーム市場に乗り込んでこようという姿勢だ。

 ではそもそも505 Gamesとはどんな会社なのか? これまでどのように歩みを進めてきたのか? タイトルはどのように見つけているのか? そして日本進出に力を入れる理由とは? 今回は505 Games CEOのRaffaele Galante(ラファエル・ガランテ)氏にメールインタビューを行なったので、その内容をご紹介したい。

 なお、9月3日2時からはSteamにて505 Gamesのパブリッシャーセールが行なわれ、セールでは同社の大小様々な作品が一挙セール対象となる。こちらも是非チェックしていただきたい。

505 Games CEO Raffaele Galante氏
【15周年トレーラー】
【15周年パートナー・セレブレーション・トレーラー】
【パブリッシングタイトル(一部。海外版のみの取り扱いも含む)】
「DEATH STRANDING」
「Ghostrunner」
「Assetto Corsa Competizione」
「Control」
「Bloodstained Ritual of the Night」
「Terraria」

TGSの注目タイトルは「百英雄伝」! Raffaele Galante氏インタビュー

――創業15周年おめでとうございます!改めて、505 Gamesについてご紹介をお願いします。

Galante氏:ありがとうございます! 505 Gamesは今年で15周年を迎えました。実は505 Games の親会社であるDigital Bros(デジタル・ブロス)は1989年に設立されて以来、30年以上になりますね。兄弟のラミと私は、ゲーム業界がまだ始まったばかりの頃に共同でDigital Brosを設立しました。この業界で30年以上の経験を積んできたことは、それ自体が達成感のあることだと正直なところ思います。このような変化の激しい業界ですから。具体的には、技術的な進化の速さ、ゲームの遊び方の好みの変化、デジタルトランスフォーメーション、インターネットやソーシャルメディアの影響、そしてゲームの消費が、家で遊ぶことから携帯ゲーム機やスマートフォンを使って外出先で楽しむことへと変化してきました。

 Digital Brosは、イタリアでの流通から世界的なゲームパブリッシングへと変貌を遂げてきました。実際、Digital Brosは当初、ゲームの流通を行なっており、当初は日本で発売された国際的な大手パブリッシャーの成功作をイタリア市場に持ち込み、イタリアにおけるビデオゲーム市場の創造と発展に貢献してきました。2000年にはイタリア証券取引所に上場し、国際的な事業拡大のための資金を調達するとともに、パブリッシング事業にも初めて進出しました。今から15年前の2007年に、プラットフォームを超えたゲームのパブリッシングを専門とする505 Gamesが設立されました。

 この5年間で、Digital Brosは、スタジオの獲得やインディーデベロッパーとの長期契約の両方を通じて、製品ラインナップを拡大するために、IP(知的財産)の買収戦略を始めました。Digital Bros は、2015年に中国に投資して新しいオフィスを開設し、その後ヨーロッパ、英国、米国にオフィスを設立した後、2020年に日本に505 Games Japanを設立しました。現在、Digital Brosグループは、所有している、またはコンテンツプロバイダーとの長期的な契約から派生した、非常に多様な知的財産のラインナップを持っています。

――Galanteさまは505 Gamesの創業当初からCEOを務めていらっしゃるかと思います。今のお気持ちをお聞かせください。

Galante氏:505 Gamesとして新たにスタートしてから15年が経ちましたが、まだ始まったばかりのように感じます。私とラミは、技術、イノベーション、エンターテインメントへの情熱を力に起業活動を続けてきましたが、ゲームの存在は自分たちを若く感じさせてくれ、毎日何かを学ぶことができると感じています!

――15年を振り返って、印象的だった出来事を教えて下さい。

Galante氏:いくつか重要な時期がこの15年間ではありましたが、全体を通して振り返ると、主要なゲーム市場における国際化が会社の発展にとって非常に重要だったと考えています。世界的なグループの一員として活動することは、社内全員にとって大きな学びとなりました。思い出深い例としては、505 Gamesのタイトルが世界ランキングでトップになったことを見たときです。あれは505 Gamesチーム全員の努力の賜物だったので、よく覚えています。他には、ゲーム産業の発祥地である日本で、505 Gamesのゲームが実店舗で販売されているのを見たのも、大変思い出深いです。最近で言うと、社内に専門的なリーダーシップと適材適所の人材が揃っており、より高い目標を掲げてAAAゲームを出すことができるはずだとも気づいたこともありますね。15年間の思い出となるとたくさんあって言い切れないのですが、今や505ファミリーの重要な一員となったスタジオを初めて買収したときのことも強く印象に残っています。

――そもそもゲームタイトルはどのように見つけて、どのようにパブリッシングするかを決定しているのでしょうか?

Galante氏:グローバル事業開発チームがあり、毎日新しいプロジェクトを検討するために、世界中を精力的に見ていますね。多くの社員が自分たちでアンテナを張り、面白そうだと思った作品やプロジェクトをスカウトチームに教えるということもあります。現場の人間はもちろんですが、長年の活動の中で、私たちのチームにたくさんのエキサイティングなプロジェクトを提供してくれた、ゲームやエンターテインメントの専門家、エージェント、ひいては友人などの協力的な皆さん一人一人にも感謝しているところです。もちろん、社内には正式な評価と決定プロセスがあり、これに基づいてパブリッシングに関する判断をしています。科学的で分析的なアプローチと、直感的な私達の感覚とのバランスを取っていますね。いつも正しい判断をしているとは限りませんが!(笑)

――505 Gamesが最も大事にしていることはなんですか。

Galante氏:私の考えですが、ビジネスを任せるために最適な人材を選ぶことですね。

――2020年にはPC版「DEATH STRANDING」を505 Gamesが手掛けたということで話題を呼びました。小島監督とはなにかやりとりがあったのでしょうか?

Galante氏:日本のゲームをイタリアで販売していたこともあり、日本との関係は長いものがあります。長年にわたり日本を訪れ、日本でビジネスを行ってきた結果、日本のゲーム業界で最も権威のある方々との親密なネットワークを持つことができました。弊社を信頼し、グループとのビジネスに価値を見出していただいています。

――505 Gamesは日本語対応にも積極的な印象があります。その理由や、日本語化を実施する際のフローについて教えていただけますか。

Galante氏:仰るとおりです。日本のゲーマーにとってローカライズがいかに重要であるかを理解していますし、これが日本支社を設立した主な理由のひとつです。ゲームのローカライズを改善し、最終的に品質を向上させることが目的です。しかし、それ以上のことを考えてもいます。ローカライズやカルチャライズをもっと広い意味で捉え、新しいゲームを評価する際、それが日本のゲーマーの嗜好に合うかどうか、CEROレーティングを取得できるかどうかを評価することから、マーケティングからカスタマーサービスまでのオペレーションをローカライズすることまでを視野に入れています。グローバルに展開する際には「一長一短」の戦略はなく、日本は非常にユニークな市場です。

――日本のマーケットについてはどのように見ていますか?

Galante氏:日本は、世界三大ゲーム市場のひとつです。ゲーム、アニメーション産業、そして世界的に有名なIPの発祥の地であるということも重要だと思っています。日本市場が格段に優れていると私が感じる点のひとつは、その品質です。これは、まさしく歴史から受け継がれたもので、イタリア市場で発展した高級品などの分野と似たものを感じます。日本の消費者は非常に成熟しており、期待も良い意味で非常に高いので、弊社のようなゲーム会社は最高水準を目指すべきだと考えています。日本のファンを失望させたくはないですから。

――2021年のTGSでは公式配信に参加されると伺いました。今後は日本での展開について更に力を入れていく方針でしょうか?また、その理由はなんでしょうか。

Galante氏:はい、今年は東京ゲームショウに初めて正式に出展します。これまでは、現地のパートナーを介して間接的に参加していました。日本のオフィスは比較的新しいのですが、日本のパブリッシャーのゲームをイタリアで販売するためにスカウトしていたDigital Brosの初期の頃から、日本とは長い関係があります。パブリッシャーとしては、需要と供給の両方の観点から日本が世界で最も重要な市場のひとつであることを考えると、日本での戦略と存在感がなければ自分たちがグローバルであるとは言えないと思っています。日本チームは、ゲームのスカウトと商品化の両方について市場を深く理解しています。目標は、現地のセルフパブリッシング事業を強化し、現地のパブリッシングパートナーをよりよくサポートし、現地の日本の開発者を総合的にサポートするという双方向のものです。

――TGSでの見どころについて教えて下さい。

Galante氏:そうですね、今の時点でお伝えできることだと、TGSでは「百英雄伝」をはじめとする、日本のゲーマーの皆さんが関心を持っているタイトルに重点を置くつもりです。TGSは世界的なイベントですが、日本の市場は最も注目されるべきだと思います。これ以上のことはまだお伝えできないのですが……ぜひ10月1日は配信を見てくださいね!

「幻想水滸伝」シリーズを手掛けたスタッフによる新作RPG「百英雄伝」。2023年の発売を予定しており、2022年には前日譚にあたる2.5Dアクション「百英雄伝 Rising」の発売も予定されている

――最後に、日本のファンにメッセージをお願いします

Galante氏:GAME Watch読者の皆さん、最後までお読みいただきありがとうございました。皆さんのご支援にいつも感謝しています。日本の皆さんから私達が学ぶべきことはたくさんあると感じており、これからも楽しいゲームをお届けできるよう頑張ります。今日はこのような機会をいただきありがとうございました。今後もよろしくお願いいたします。

――ありがとうございました。