【特別企画】
“動くザク”でジェットストリームアタック!
「ZEONIC TECHNICS」のザクが3機集合、歩き、アクションを決める!
2019年12月20日 00:00
2020年3月に発売する「ZEONIC TECHNICS Robotics and Programming Course(以下、「ZEONIC TECHNICS」)は、、本格的なロボットを教材に工学、科学技術、プログラムといったSTEM学習をすることができる。
本商品の革新的なところは教材のロボットが「機動戦士ガンダム」に登場する“ザク”であるというところ。受講者はザクを開発したジオニック社の研修生として、「ガンダム」の世界に浸りザクを組み立て、1つ1つ段階を経ながら、専用の教本とともにロボティクス(ロボット工学)、とプログラミングの概念を学んでいける。
これまでもプログラムなどを学べるロボット教材や玩具はあったが、やはり「ZEONIC TECHNICS」のザクは革新的だ。起動音、モノアイを光らせ立つ姿、そして自分の手やプログラムでザクが動く楽しさ。精密機器である全高約30cmのロボットが動くその姿は、ロボットに憧れていない人でも引き込まれる魅力があるが、やはり“ザク”だから良いのだ。まさにバンダイでしか作れない、リアルとフィクションが融合した“ロマン”溢れる教材なのである。
前回、“これが「ZEONIC TECHNICS」のザクか……! ジオン驚異のメカニズムが明らかに”では、これまで教材の理念を中心に紹介していたところから、具体的な姿に迫り、こだわりのポーズを作り上げザクに実行させる「ポーズ/モーションメイク」。そのモーションやプリセットコマンドを活用し実際にラジコンのようにザクを動かす「マニュアル制御」、プログラムを組んでザクを動かす「プログラム制御」などを紹介してきた。
今回その上で、複数のザクを準備、操縦者達とそれぞれのザクがいることでどのようなワクワクさせられる世界が広がるか、その姿を紹介していきたい。かけ声に合わせて複数のザクが動く姿。それはまさにモビルスーツの稼動実験のような楽しさであった。「ZEONIC TECHNICS」プロジェクトを進めるバンダイ新規事業室・デピュティゼネラルマネージャーの原田真史氏率いる開発チーム、彼らテストパイロット達がどのようにザクを操ったのか、その映像を見て欲しい。
複数のザクを並べることで広がる可能性! “小隊”を組むことで見えてくる楽しさ
今回の企画のために参加したのは、原田氏と、所学氏、柳康仁氏の3人。「ZEONIC TECHNICS」を企画し開発を進めているメンバー達だ。全身17個のサーボで動き、ポーズ/モーションメイクで細かい動作が可能。多彩な動きが楽しめるザクだが、“複数あればどんな楽しさが見せられるだろう?”というのが、今回の大きなテーマだった。
「ZEONIC TECHNICS」は、価格が98,890円(税込)である。ユーザーが簡単に複数揃えられるものではないが、メーカー側ならばきちんと動く商品を何機か揃える事ができる。本商品のポテンシャル、魅力を伝えるという中で、複数のザクが揃うとどんなことができるか、どんな絵になるか、それをぜひ見せてみよう、という事になった。
まず最初に行なったのは、あらかじめ行動パターンを選択し画面上に配置しておくことで、ラジコンのようにザクを動かせる「マニュアル制御」。コントロール画面は自作したモーションやプリセットされたアクションをチップ状のユニットでセットすることができる。「マニュアル制御」では、これらを受講者が押すことで様々な行動をザクにさせることができる。
「何をザクにさせるか?」、「3機いるから行進はどうだろう?」、「まず先頭のザクが前進を開始したら後ろの2機も前に進み、数歩歩いて停止。中央のザクはガッツポーズでいこう」。などなど、話し合い、コントロール画面でのユニット配置も最適な配置にしてからのアクションとなった。まず、動画を見て欲しい。
このシンプルなアクションでもザクによって微妙に挙動が違う。ザクにはそれぞれメカとしての“個性”がある。特にサーボのズレの補正、重心のセッティングは経験を積み、修正を加えていくことで、よりスムーズな行動ができるという。
特に歩行はどうしてもサーボの影響で右や左に傾きがちだ。この時どう修正していくかもテーマとなる。「マニュアル制御」の場合は操縦者が向きが大きく変わったときに修正すれば良いし、「プログラム制御」の場合はセンサーやジャイロで自分の方向や対物をモニタさせ、向きが変わった場合は直すようにプログラムすれば良い。人間が自然に行なっている動作をロボットでいかに実行させるかは、ロボティクスの楽しさだ。
2機のザクをシンクロ! 「プログラム制御」での“演舞”
次に行なったのが「プログラム制御」。こちらも凝ったプログラムではなく、シンプルに右フックとガッツポーズということになった。
プログラムに関してもどんなことをやろうか、どういうことができるかなどを相談しながら決めていった。開発中の為、バージョンが違って片方には入っているプログラムが一方には入っていなかったりもしたが「ここをこうプログラムしよう」、「条件付けはこうしよう」など意見を出し合いながらその場でプログラムをする風景は見ていて楽しかった。
「プログラム制御」では、画面上でシンクロがわかりやすいように2機で実行している。何度かテストを行なったが、シンクロに難航した。様々な要因により、一緒にプログラムを走らせてもずれてしまう。バッテリーを交換するなどで試したところ、同じタイミングでの動きをさせることができた。
この際、BGMがかかっているところにも注目して欲しい。このBGMは「ZEONIC TECHNICS」のテーマ曲であり、楽曲は「ZEONIC TECHNICS」オリジナルのものだだ。
「ZEONIC TECHNICS」は発売してからユーザーがどのように本教材を活用するか、どのようなビジョンを見せてくれるかに期待がかかる。その中で今回のような「複数のザクを動かしてみる」というのはアイディアの幅の広がるアプローチと言えるだろう。「動画コンテスト」として、ユーザー投稿コンテンツなども考えているとのこと。
本格的なロボット教材、しかもザクが複数動く、というのはやはり非常に楽しかった。現在はSNS等を通じてユーザー同士が気軽に交流することも可能だ。“「ZEONIC TECHNICS」友の会”のような、ユーザーが自主的に繋がり、もっと大きな規模でのパフォーマンスを見せてくれる、というのもありかも知れない。発売はまだ先であるが、予約した方は、まずは今回の動画を見てイマジネーションをふくらませておいて欲しい。
自分で組み立てると思い入れが全然違う。所氏からの未来の受講者へのアドバイス
今回のためではないが、所氏は数日前に“自分用”のザクを組み立てたという。その思い入れは強く、今回の取材でも自分の愛機への強い思い入れを感じた。他の機体ではなく、自分の機体を持つ姿、調整し動かす様子、やはり「愛機」を扱っている雰囲気を強く感じたのだ。
所氏は「自分用のザクは、やっぱり違う」と語った。これまでもプロジェクトを展開する中ザクを扱っていたが、メカニック関連の担当である柳氏が組み立てたものを扱っていたが、今回組み立てられる試作品が来たので、1から組み立て、自分用として動かしていく中で新しい体験があったという。今回、受講者へのアドバイスとして話を聞いた。
今回のザクの組み立てには6時間ほど。もう1人のスタッフと手分けをして「こっちは右腕を作るから、左腕をよろしく」といった感じで組み立てたという。もし1人で組み立てたとして、10時間以上かかるのではないか、という感触だったという。
所氏が語るのは「2人で作る楽しさ」だ。例えば説明書でわからないところや、部品の位置など「こうだよね?」と相手に聞けるし、自分がうまくいった場合は相手に教え情報を共有できる。2人で組み立てるところで難しい部分を乗り越えたり、するのは楽しかったという。「親子で組み立てると、絶対楽しいと思います」と所氏は語った。
組み立ては、やはりある程度難しい。組み立て式のラジコンを思い出させる難易度であり、ネジ止めで部品やサーボを取り付けていく感触はやり応えがあり楽しかったという。
こういった組み立て式ロボットは所氏は初挑戦だが、サーボの調整や、アプリを通じてのセッティングはやりやすかったとのこと。ソフトはまだこれからアップデートされるが、現時点でも使いやすく、直感的に操作できる。そしてすぐ動かすことができる。
プリセットのモーションで歩く、パンチ、旋回、横歩きなど様々なものが用意されており、自分の操作で17個のサーボが動き、複雑なアクションをザクがする、この感触はやはり強い感動があったと所氏は語った。まず基本的な動きをさせるだけですごく楽しかったという。しかも組み立てて、プリセットされたモーションにより複雑な動きができる。ソフトの操作しやすさも相まって、技術的にすごいことがこれだけ簡単にできる、というところに驚きを感じたとのことだ。
とはいえ、サーボのズレ補正である「トリム調整」はやはり苦労したとのこと。調整が甘いと歩いているときにバランスが崩れたり、動作に影響が出る。このトリム調整は微妙なもので、何度も試していかなくてはいけないが、きちんと調整し「起き上がり」のような複雑なアクションが実行できた時の達成感と満足感が大きいという。
受講者へのアドバイスとして所氏は「怖がらずに挑戦して欲しいです。やってみることで、出来た! ということが多かった。この達成感はぜひ味わって欲しいです」と語った。
前回でストレートに「ZEONIC TECHNICS」の実際的な機能、内容を紹介したが。今回は広がる可能性を提示してみた。開発スタッフと、「こうすればどうでしょうか?」と話し合い、実際にやってみて、そして収録するのは、自主製作映像を作っているようで非常に楽しかった。
マーキングシールの意味を説明する原田氏や、自分の愛機を組み立てた楽しさを語る所氏の話は「自分のザク」を手にしたうれしさが伝わってきて、とてもワクワクさせtられた。「ZEONIC TECHNICS」は新しいSTEM教材という側面だけでなく、「ガンダム」グッズとしても新しい可能性を提示するアイテムだと改めて実感した。
(C)創通・サンライズ