【特別企画】

これが「ZEONIC TECHNICS」のザクか……! ジオン驚異のメカニズムが明らかに

「モーションメイク」や、「マスタースレイブ制御」などロボット工学の未来がここに!

2020年3月発売予定

価格:98,890円(税込)

 バンダイが2020年3月に発売するSTEM学習教材「ZEONIC TECHNICS Robotics and Programming Course(以下、「ZEONIC TECHNICS」)」。「機動戦士ガンダム」の世界観を活かし、ザク(ザクII)を開発した会社“ジオニック社”の“開発技師”となってMS・ザクを開発しようというコンセプトで、ロボティクス、プログラミングが学べるというユニークなアプローチの教材である。

 STEM(科学・技術・工学・数学)学習とは、2020年から小学校で必修化するプログラミング教育を代表とする、科学技術開発の大切さ、面白さを子供達に教え、そして将来的な科学者/技術者を作っていこうという学習だ。「ロボットを動かす」というのは子供から大人まで興味深い題材であり、「ZEONIC TECHNICS」は全身に17個ものサーボを持つ、本格的なロボットを教材として学習を進めていけるのだ。

 これまで弊誌では「ZEONIC TECHNICS」を取り上げ記事にしてきたが、そのユニークなコンセプトや、理念が中心だった。今回の特別企画「これが「ZEONIC TECHNICS」のザクか……! ジオン驚異のメカニズムが明らかに」は、そのタイトルの通り、「本商品を手に入れると何ができるか、『ZEONIC TECHNICS』はどんなポテンシャルを持った商品なのか?」を取り上げていく。

 今回の記事を読むことで、「ジオニックの開発者として、モビルスーツ・ザクの開発に携わる」という体験ができると共に、「最新鋭のロボット教材と、練られた学習プログラムによって、ロボティクスの可能性は、どこまで広がっていくか?」という現実のロボット工学の未来が垣間見えてくるだろう。記事では実際にスマートフォンやタブレットでどのようにザクを動かしていくか、「ポーズメイク」、「マニュアル制御」、「プログラム制御」「マスタースレイブ制御」という項目まで、「ZEONIC TECHNICS」の具体的な姿に迫っていきたい。

 なお、弊誌では現在「2019年最高のホビーアイテムを手に入れろ」として様々なアイテムを紹介しており、この「ZEONIC TECHNICS」もその中の1つとしている。フィギュアやプラモデル、RCなど様々な魅力溢れるアイテムをどしどし追加しているので、本稿と合わせコーナーそのものもチェックして欲しい。

「ZEONIC TECHNICS」プロジェクトを進めるバンダイ新規事業室・デピュティゼネラルマネージャーの原田真史氏

「ガンダム」の世界観に浸りながら実践的なプログラム、ロボティクスを学べる

 「ZEONIC TECHNICS」は受講生(購入者)は、ロボティクス(ロボット工学)とプログラムの概念を基礎から学べる。ザクを組み立てるところから始め、頭部の組み立て、モノアイをアプリで動かす基本操作の学習。胴体部分をつけて、センサーと連動した操作を学ぶ……といった風に、ロボットの制作、制御を段階的に学んでいく。

 今回は組み立て検証項目は割愛し、実際にザクの全身が完成し、基本的な制御・操作ができるようになったところから紹介していきたい。ザクを制御するアプリはスマートフォンやで制御する。タッチパネルでパラメーターなども指で入力できるので、非常に手軽で、操作しやすいようにしている。今回の取材でiPadにも対応していることが判明した(機種は未定)。

「ZEONIC TECHNICS」は全身17個のサーボで動くザクを、スマホやタブレットで制御することで、ロボティクス(ロボット工学)とプログラムを学べるSTEM学習教材だ
アプリの基本画面。必要要素を大きく表示、操作のしやすさ、わかりやすさに加えて、「ガンダム」の世界観も考えたデザインとなっている

 またアプリを起動しているときはBGMが雰囲気を盛り上げる。プログラムはチップ単位で組むことができ、それを並べることでプログラムを組み上げていくことができる。バンダイのゲーム開発などでのノウハウを活用し、課題達成率を表示するなどの「ゲーミフィケーション」が感じられる。

 ゲーミフィケーションは教育プログラムそのものにも活用されている。受講者は予め用意された初期プリセットモーションように簡単なものから実行していき、ステップアップすることになる。高度な動きや複雑なモーションを実行させるためにはザクの全身のサーボのチューニングや、調整をしっかり行なう必要があるのだ。「まずはとにかく動かしてみたい」、「整備された機体だからこそ楽しめる動作」へのステップアップ。操作の仕方、組み立てだけでなく、しっかりした整調などを行ないながら、ロボティクスに関してもどんどん詳しくなっていくのである。

受講者のやる気を刺激する「課題」。クリアすることで特典がある

 これらはアプリ内で「技術者レベル」として表示される。「モノアイが動くモーションを作成してみよう」、「プログラムを10個作成しよう」など様々な項目があり、これらを達成することでレベルアップ、より高度な課題がアンロックされる。プレイステーションのトロフィーや、RPG等のミッションを思わせる仕組みだ。こういったシステムは受講者のモチベーションも考えて取り入れているとのことだ。「ZEONIC TECHNICS」は教本のフォーマットに従った冊子も用意される。こちらも世界観を重視したものになっているが、この教本とアプリによって受講者は様々な要素を学んでいけるというわけだ。

 「ZEONIC TECHNICS」のアプリは日/英対応をしており、起動時にはザクから「全機能、起動準備開始。全サーボシステムチェック」といったように、女性オペレーターの声が聞こえるのだが、これを英語音声にできる。「systems all green able to move」という感じで起動する。雰囲気が変わって楽しい。もちろんアプリの表示も英語にできる。

アクションフィギュア感覚でのポーズメイクが可能! ロボを自分で動かす楽しさ

 そして様々な機能が使えるようになるわけだが、今回は大きな要素として「ポーズ/モーションメイク」、「マニュアル制御」、「プログラム制御」を紹介していきたい。最初は「ポーズメイク」だ。

 「ポーズメイク」という言葉はピンとこないかも知れない。ポーズ、つまりプラモデルやフィギュアで関節を動かし、時には改造まで行なって取らせるカッコイイ“ポーズ”をザクに取らせるための方法である。「ポーズメイク」でポーズを設定することで、受講者の願いの通り、ザクが手足を自分で動かして、そのポーズを取ってくれるのである。

 ザクには腕、足、モノアイなど17個のサーボが内蔵されている。「ポーズメイク」はこの各サーボのパラメーターを視覚的に表示している。肘のサーボは中心点からどのくらいの位置にあり、膝のサーボはこう、というように各サーボの状態を見ることができ、これを動かすことでザクに様々なポーズを取らせることができる。

各サーボの数値を自由にいじれる「ポーズメイク」。サーボの数は17個だが、パラメーターは24個分用意されている。3つの設定は何を動かすのか、それは受講者のお楽しみだ

 さらに「ZEONIC TECHNICS」では、「スキャンモード」が用意されている。スキャンモードを選択するとザクのモノアイが点滅、待機状態になる。受講者は待機状態のザクを手動でゆっくりと動かし、自分のお気に入りのポーズを取らせる。足首や腰回りなどこだわりのポーズをさせた後、“スキャン”を実行する。するとアプリ上のパラメーターが動き現在のポーズをに合わせたサーボ設定を表示してくれるのだ。

 こうしてポーズが決まったら名前をつけて保存する。これらのポーズはパラメーターの数値を他の人に教えることで“共有”が可能だ。カッコイイポーズができたらそのポーズを取るための必要な各パラメーターを教えることで他の人のザクも同じポーズが取れるようになる。こういったコミュニティも考えているとのことだ。

「ポーズメイク」では、ザクを直接動かしてそれをスキャンすることでパラメーターを抽出することも可能だ

 そしてこのポーズを利用するのが「モーションメイク」だ。通常ロボットプログラムでは1つのモーションを作る場合、基本ポーズを設定し、そこから設定されたゴールのポーズをセットで設定することが必要となるが、「ZEONIC TECHNICS」では前のポーズがどんなものであろうと、そこからスムーズに取りたいポーズに移行できるようになっている。これにより、ポーズからポーズへ流れるように動作を変えることができるわけだ。

 このため「モーションメイク」で設定するのは終点となったポーズへの“移行時間”だ。「ポーズメイク」で設定したポーズへ、どのくらいの速度で移行するかこの設定を変えることでポーズへのアクションの印象が大きく異なる。移行タイミングは7段階で、速いと瞬時に、遅いとゆっくり動作する。こちらはぜひ動画で確認して欲しい。さらに「モーションメイク」では駆動音も設定できる。ロボットらしい雰囲気たっぷりの効果音と共に、ロボットがポーズを変えるのだ。

モーションの時間や、効果音を設定できる

 「ポーズ/モーションメイク」を使うことで、「ロボットに自分の好きなポーズをさせたい」という非常にシンプルな想いを実現させることができる。「決めポーズを取らせたい」、「アニメの1カットを再現したい」そういう想像をふくらませてポーズを設定し、モーションを作っていけば良いだろう。このモーションはポーズと同じように名前をつけて保存すると、“プログラムチップ”の形で、様々な利用ができるようになる。「マニュアル制御」、「プログラム制御」ではこれらを組み合わせて、より奥深く高度なことができるようになるのである。

【「ZEONIC TECHNICS」、設定で動作のスピードが変化! 「モーションメイク」】

スマホがザクのコクピットに! 思うままにザクを動かす「マニュアル制御」

 「マニュアル制御」は、ラジコンのようにザクを操作できるモード。受講者はコントロール画面にプログラムチップを配置、そのチップに触れることで様々な動作をさせることができる。先ほど設定したポーズも配置しておけばすぐに実行可能となる。

 前進、後退、旋回など実際のラジコンのコントローラのようにチップを配置することも、ずらりと並べることもできる。言うならば、「コックピットデザイン」は、ユーザーの手にゆだねられているのだ。

ボタンに様々な項目を割り振る、ラジコンのようにコントロールする「マニュアル制御」

 「マニュアル制御」でユニークなのは、モノアイ用の操作インターフェースが用意されていること。各種操作とは別にスライダーでモノアイをリアルタイムに動かせる。もちろんプログラムチップでモノアイの動作を組み込むこともできるが、様々な動きをさせながら、モノアイで目線を操作することで、より“操縦している感じ”を実感できるとのことだ。

 また、「マニュアル制御」モードではザクの胸に搭載されている対物センサーによる障害物感知が確認できる。こちらもリアルタイムで情報を提示しており、目の前に障害物が合った場合、相対距離を常に表示してくれる。「マニュアル制御」は自分がザクのコクピットに座って操縦をしているような気持ちになれる演出が随所に仕掛けられているのだ。

画面のチップを押すと、そのアクションを実行する
様々なチップを自由に配置することができる
センサーがモノを捉えると、瞬時にコントロール画面に反映される

わかりやすくグラフィックス表示、誰でも学び易く、より高度なものへ挑戦できる「プログラム制御」

 そして「プログラム制御」である。プログラムのスタートは「TRIGGER」がスタートとなり、内部パラメーターやセンサーの感知で行動がスタート。左から右へプログラムを進めていく。そして条件を満たすことで次のパネルに移行。Aパネルからスタートし、B、C、Dとサブルーチンに飛ぶことができ、かなり長いプログラムも作成することが可能だ。

 基本的にはトリガーが6つ、1つの画面で5つのプログラムチップを置くことができ、ここから6画面分のサブルーチンを設定できる。プログラムは2つのパラメーターによる分岐処理などができないシンプルなものだが、ポーズを凝ったり、プログラムに多彩な要素を組み込むことで、多彩な動きが可能だ。

「プログラム制御」。トリガーを条件に左から右へプログラムが進行していく
プリセットプログラムのチップも多数用意されており、まずはこれらを組み合わせてプログラムを学んでいく
BからCへ、ページを越えて複雑なプログラムができる

 1つのプログラムを例に取ろう。トリガーは「Xが0の時」。内部パラメーターのXの初期値は0なので「YES」1行目プログラムを実行、5秒歩いた後停止し、Xのパラメーターに+1をする。Xが1になり、A画面のプログラム2行目が実行される。右フックを繰り出し5秒待ってXをさらに1増やす。そうすると3行目のプログラムが……。このように、プログラムをどう組み,動かすか、非常にわかりやすくグラフィカルに表現されている。

 実際にプログラムを実行するとザクの動きに合わせ、アイコンが光る。ザクがプログラムのどこの行やコマンドで動いているのか、どうプログラムが実行されているのか、リアルタイムに確認できる。このためもし不具合が出た場合どこでプログラムが止まったのか、何の命令がおかしかったかもすぐわかる。デバッグのしやすさも特徴の1つだという。また、ページ(サブルーチン)単位のプログラム実行も可能となっている。

作動中どのプログラムを実行しているか確認できる

 原田氏はプログラムに関して、“ジャイロを使った補正の重要さ”を強調した。「自力で歩行する場合、サーボの負荷やコンディションでどうしてもまっすぐ進まなくなることがあります。そういうときに有効なのが“ジャイロによる補正”です。プログラムの中にジャイロをトリガーとした補正プログラムを入れておけばまっすぐ歩いてなかった場合きちんと補正して進む。実際に歩行プログラムを組む場合は、こういうテクニックが必要になってきます」と原田氏は語った。

 「マニュアル制御」と「プログラム制御」はいつでも瞬時に切り替え可能だ。「マニュアル制御」で動かしていながら、瞬時にプログラムに移行する。この時操作画面も瞬時に切り替わるので、まるで「機動戦士ガンダムUC」で強制的に操作が変わる「NTD」が発動したシーンを思い起こさせる。操作画面や効果音にも「ガンダムらしさ」が込められており、細かい所も感心させられる。

【「ZEONIC TECHNICS」、コマンド通りにザクが動く! 「プログラム制御」】

 そして「モビルトレースシステム」だ。これはザクを直感的に操作する方法で、「ZEONIC TECHNICS」では、スマホやタブレットのジャイロセンサーとザクが連動するものとなっている。スマホを動かしとその通りにザクが動くのだ。

 自分の体の動きをロボットがまねる。パワードスーツなどにも使われる「マスタースレーブ」という操縦方法だが、「ZEONIC TECHNICS」は、「モビルトレースシステム」で、自分の手を使ってザクを動かすような楽しい体験ができる。これをどう「マニュアル制御」、「プログラム制御」に組み込むかも工夫の1つだ。

タブレットを動かすとザクが追従する「モビルトレースシステム」

 最終的に教材として完成しつつある「ZEONIC TECHNICS」はこういった要素を段階的に、かつ「機動戦士ガンダム」の世界観に浸りながら学ぶことができる。従来のロボット教材とは一線を画すものになると原田氏は語った。

 「ZEONIC TECHNICS」は、2020年3月発売に向けて下記リンクから予約注文が可能だ。プログラム学習が義務教育でも行なわれるようになる昨今、親子でザクを使ってプログラムを学ぶのも良いだろう。「ZEONIC TECHNICS」は新しいロボット研究の道を提示する教材なのだ。

 第一期生予約特典として、ザク本体にメカニックフィギュアが3体付属するので、申し込むのであればこの機会を逃したくないところだ。(※間もなく第一期生の受講予約が終了となる見込み)

【第一期生予約特典】
メカニックフィギュアが3体付属

【プレミアムバンダイで購入】

【撮影で使ったジオラマ】
今回撮影に使ったジオラマは、イベントなどで使用したもの。「ジオン驚異のメカニズム」という昔のガンプラのVMが思い出される、秘密工場風の飾り付けだ