インタビュー

タップダンスにミュージカル演出も! 舞台「ウマ娘」主要キャストインタビュー

ウマ娘並みのトレーニングが絶賛進行中の影の努力が明らかに

【「ウマ娘 プリティーダービー」~Sprinters' Story~】

2023年1月15日~1月29日上演予定

場所:品川プリンスホテル ステラボール

価格:9,800円(全席指定、税込)

 2022年12月、都内にて舞台「『ウマ娘 プリティーダービー』~Sprinters' Story~」のメディア向け合同インタビューが行なわれた。参加キャストはダイタクヘリオス役の山根綺さん、ヤマニンゼファー役の今泉りおなさん、ダイイチルビー役の礒部花凜さん、ケイエスミラクル役の佐藤日向さん。

 舞台「『ウマ娘 プリティーダービー』~Sprinters' Story~」は、クロスメディアコンテンツ「ウマ娘 プリティーダービー」(以下、ウマ娘)初のリアル舞台となる。2023年1月15日より品川プリンスホテル ステラボールにて上演を開始。価格は全席指定で9,800円。

 内容についての詳細は公開されていないが、出走するウマ娘の中にケイエスミラクル役の佐藤日向さんが含まれることから、史実ではデビューして僅か8か月しかレースに出ることのなかったケイエスミラクルの最後のレースとなる1991年12月15日のスプリンターズステークス辺りを中心としたストーリーが展開すると思われる。なお、このレースには今回のキャストに選ばれたダイイチルビー、ダイタクヘリオス、ヤマニンゼファーも出走している。

 今回はインタビューの内容をざっくりと紹介するとともに、4人の参加キャストたちの舞台にかける思いや意気込みについて紹介したい。

【舞台「ウマ娘 プリティーダービー」~Sprinters' Story~ スポットCM】
舞台「ウマ娘 プリティーダービー」~Sprinters' Story~のキービジュアル

舞台上でのレース再現はどうする?出演の気持ちを語るキャストたち

 先ずは舞台「ウマ娘 プリティーダービー」~Sprinters' Story~への出演が決まった時の気持ちについて、キャストたちに質問が飛ぶ。

 ケイエスミラクル役の佐藤日向さんは「そうですね、ウマ娘初の舞台化ということで、すごく嬉しい気持ちがいっぱいだったのと、私自身、普段舞台の上に立たせていただく機会が多いので、自分がこれまで培ってきた経験値みたいなものが活かされるのではないだろうか、というワクワクした気持ちが強かったです。演出が児玉さんと聞いた時に、これはすごく“動くのかな”と、ちょっと震えたんですが、稽古が始まり、震え続けているという感じです(笑)」とした。

合同インタビューの参加キャストは左からヤマニンゼファー役の今泉りおなさん、ダイタクヘリオス役の山根綺さん、ダイイチルビー役の礒部花凜さん、ケイエスミラクル役の佐藤日向さん

 補足しておくと、ケイエスミラクル役の佐藤日向さんはアミューズ所属の声優/俳優で、アニメやゲームの声優業と並んで多いのが俳優業となっており、年に6本前後の舞台に出演している。

 また、ここで名前の挙がった演出の児玉さんとは、宝塚歌劇団での脚本・演出や海外での留学経験を経て現在は小説や漫画原作の舞台演出を多く手掛けている児玉明子氏のこと。これまでに舞台「デルフィニア戦記」シリーズ、ミュージカル「黒執事」、舞台「マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝」などの舞台演出を手掛けている。

 続いてダイイチルビー役の礒部花凜さんは「私はオーディションの時から、 このオーディションに合格したらウマ娘になれるということで、気合を入れて臨みました。舞台への出演が決まったときは私も日向ちゃん(佐藤日向さん)と同じく、普段声優と舞台をやっていて、やっぱりどっちも好きっていう気持ちがとても大きいので、両方できるなんてすごく素敵な機会だなと思いました」とした。

 自身でも仰る通り、ダイイチルビー役の礒部花凜さんも佐藤日向さんと同じくアミューズ所属の声優/俳優で、アニメやゲームの声優以外はミュージカルや舞台に多数出演している。

ケイエスミラクル役の佐藤日向さん
ダイイチルビー役の礒部花凜さん

 続いて、ダイタクヘリオス役の山根 綺さんは「お話を頂いたのが大体1年前ぐらいで、『山根さん、2.5次元の舞台とかってどうですか?』というようなお話を事務所でされまして。それで『やりたいです!』と返事をして。そうしたら、ヘリオスを中心とした物語が作られると聞いてすごくびっくりしたんです。私はデビューしてから台本を持たず、舞台に立って演じ切るというのが初めてのことなので、「大丈夫かな? これもしかしたらすごくいっぱい喋るんじゃないかな?」とか、やっぱり、「ウマ娘」と言えばレースなので、そこをどうやって舞台上で表現するんだろうっていうのが全く想像できなくて。良い感じになったらいいなという想いでしたね」と、「ウマ娘」の舞台化で誰もが思う疑問を投げかけ、メディアたちの笑いを誘う。

 続けて「1年間、楽しみだなという気持ちと、どんな人たちと一緒にやれるんだろうなとずっとワクワクしていました」とした。

 なお、ダイタクヘリオス役の山根 綺さんは青二プロダクション所属の声優。ヤマニンゼファー役の今泉りおなさんは「私、舞台への出演が決まった時に、山根さんが出演されるということは知っていたんですけれども、他の方が誰になるのかっていうのを全然知らなくて、キャストを見た時に……実はお2人の舞台での演技を観たことがあって……」と実は佐藤日向さんと礒部花凜さんの舞台を見た事があると発言、それを聞いた佐藤日向さんと礒部花凜さんは思わず驚愕の声を上げ、「今知ったんだけど……」と驚きを隠せない。

 続けて「その方々と一緒にやるなんてっていうのがすごくびっくりして……」と今泉りおなさんが語る後ろから、「後で(どの作品を観たのか)教えて」とインタビューの場である事を思い出してこっそり声を掛ける佐藤日向さんが印象的だった。これに対しての回答として今泉りおなさんは「言っちゃダメだなって思って、今まで秘密にしてました」と笑顔を見せる。

 最後に「みんなについていって頑張ろうという気持ちでいっぱいです」とした。なお、ヤマニンゼファー役の今泉りおなさんはアーツビジョン所属の声優だが、今回が正真正銘の初舞台のようだ。

ダイタクヘリオス役の山根綺さん
ヤマニンゼファー役の今泉りおなさん

 続けて、実際に今稽古をしてみて、どのような感想を持ったかという質問に対しては、ダイタクヘリオス役の山根 綺さんが先陣を切って回答。開口一番「はい、ヤバいです!」といきなり大ピンチなコメントだ。

 さらに「ただ一言にするとヤバいなんですけど、もう何がヤバいって、とにかく自分が想像してた以上に、脚をとにかく酷使するという。なんとなく脚をいっぱい使うんじゃないかなというのは、児玉さんからもメッセージで頂いていたんですが、本当に自分の想像していた20倍ぐらい動いているんです。特にヘリオスはこの4人の中で唯一と言ってもいい、元気なキャラなので、ずっとわちゃわちゃと舞台で元気にウェイウェイ叫んで走って……走りたい! 走りたい! 楽しみ! っていうのをずっと最初から最後まで貫き通していくので。私の心と体と脚は持つんだろうかっていう、そういう気持ちです」と熱弁。

 ケイエスミラクル役の佐藤日向さんは「現時点で言うと、部分部分で振り入れをやっているんですが、体力的な面でこの舞台は通せるのだろうかっていう不安な気持ちになっておりまして。本当に全員が今、本番に向けて、ウマ娘たちと同様にトレーニングメニューをそれぞれ課せられて、絶賛トレーニング中なんです」とかなりハードなトレーニングを行なっている裏事情を説明。

 ここで他のキャストから「シール貼ってるもんね」、と声が掛かると、それに合わせて「そうなんです、今日の分のメニューをちゃんとクリアしましたというシールを制作の方からいただいているんです」とのこと。

 ここで佐藤日向さんから他のキャストに「今日やりました? 皆さん」と不意に問いかけると、「途中で終わっちゃった」、「途中から入ったので……」、「ちょっとご飯食べたかったから……」などの嘆きが聞こえてくる中、佐藤日向さんは続けて「今日は私しか貼ってないと思います!」と自信たっぷりに声を上げる。

 続けて「今絶賛稽古をしております。2.5次元と言ったら男性の舞台のイメージが強いと思うんですが、そんな男性の舞台と同じくらいは動いているなという印象があります。『殺陣がなくてもこんなに動くんだ』……という衝撃を受けておりますが、なんとか1月までには……いや、年を越す前までには体力をつけたいなという気持ちでいっぱいです」とした。

 佐藤日向さんから、「お嬢は?」と振られたダイイチルビー役の礒部花凜さんは「えー、そうですね。うーん、大変だなって感じです」とのんびり口調で話し出して、周囲の笑いを誘う。

 続けて「私はマイペースなところがあって。結構スロースターターなので、みんなすごく大変そうだなって。でも、ルビーが1番動きますよ! と言われて……」とマイペースに笑顔を見せると、佐藤日向さんからは「そう、ルビーが1番動くんですよ」とフォローがはいる。

 これに続けて「実はルビーがとてもいろんなことをね、脚を駆使してやってるんですけど、大変だぁって思いながら……」とコメントするところで、佐藤日向さんが「まだ自分のこととは捉えきれてないよね?」や、「そろそろさ、こっち側に来て」などとフォローやツッコミを入れる。

 こうした横からの指摘にもマイペースを崩さない礒部花凜さんはのんびりした口調で「頑張る気持ちはもちろんあるんですが、大変だと思うと大変になっちゃうからゆっくりいこうという気持ちです」としてコメントを締めくくった。

 ヤマニンゼファー役の今泉りおなさんは「私はですね、この3人が一生懸命やられてる中、結構見守っている役ではあるので……」と言葉を濁すと、横から「トレーニングメニューないですもんね?」とツッコミが入る。

 続けて「(トレーニングは)ないんです。そう、だから、元気いっぱいなんですけど、みんなが大変そうだなという時に、お水を持っていったりしたいなという気持ちで動いています」とかわいく締めるも、横から「マッサージして!」などのリアルなリクエストが飛ぶ。すると素直に、「マッサージ頑張って覚えます」と返していた。

 最後は山根 綺さんが「私、もう20数年間で今月が1番走ってます。小学校よりも中学校よりも、いつの時代よりも、みんな多分走ってると思う。成人してから、こんなに走ると思ってなかった」とコメントすると、佐藤日向さんたちも同意。とにかく山根さんたちの走る姿が舞台では見られるようだ。

勝負服姿のヤマニンゼファー(今泉りおなさん)
勝負服姿のダイタクヘリオス(山根綺さん)
勝負服姿のダイイチルビー(礒部花凜さん)
勝負服姿のケイエスミラクル(佐藤日向さん)

ウマ娘たちの疾走音をタップダンスで再現!驚異の演出が明らかに

 続いて今作の見どころや意気込みを聞かれると、ヤマニンゼファー役の今泉りおなさんは「見どころはなんといっても、ウイニングライブだと思います。私が観客席で見たいなと思うほどクオリティが高いので、ぜひトレーナーさんの皆さんに楽しんでいただきたいと思います。あと、本当に(他の)3人がすごく頑張っているので、見守り続けていきたいなと思います」とした。

 ダイタクヘリオス役の山根 綺さんは「ウイニングライブに関して言うと、トレーナーさんが本当にずっと見たかったものになると思います。そこは想像して頂くしかない、とまでしか今は言えないんですが、見て頂いたら『うわー!』となると思います。だから、たくさんたくさん曲を聴いて、いっぱいゲームを遊んで、ゲームの中のウマ娘たちのウイニングライブを見て頂いて、その上で私たちの舞台を見に来て頂いたら、心に何か感じていただけるんじゃないかなってすごく思っているので、そこが見所ですかね」とこちらもウイニングライブを見所の1つとして語った。

ウィニングライブの魅力を語るヤマニンゼファー役の今泉りおなさん

 ダイイチルビー役の礒部花凜さんは「私はお芝居のパートです。『ウマ娘』というコンテンツに対して、すごくリスペクトを持ちつつ、『ウマ娘』的にちょっと切り込んだ内容になっていて。脚本を書いてくださった方も、説明の時にちょっと核心を突いたような話になっています、という風におっしゃっていたのですが、本当にその通りで。『ウマ娘』としてのみんなの一生懸命さだったり、葛藤だったり。特に私が演じさせていただいているルビーは、華麗なる一族として色んなものを背負いながらレースに出走しているので、そういった各キャラクターたちの深いところだったり、気持ちをトレーナーさんにより深く感じていただける機会かなと思っています。ウイニングライブもそうなんですが、その子たちのことを深く知ってもらうと、よりトレーナーさんに刺さると思うんです。だから、お話も含めて、私はこの舞台、とてもいいものになるんではないかなって思っています」と深みのあるストーリーについて言及した。

 ケイエスミラクル役の佐藤日向さんは「まず見どころとしては、脚本がかなり史実に基づいたものになっているので、『ウマ娘』から入って好きって思ってくださった方はもちろん、この年代のお馬さんが好きで、見に来てくださる方もかなり楽しんで頂ける内容になっています。その脚本に基づいて、さらに演出の部分で世界観に入り込めるよう、舞台のセット自体も競馬場を模しています。競馬場に来たような気持ちで、ウイニングライブもレースも見られるので、この年代のお馬さんたちのレースを実際に見たことがある人、あるいは映像で見たことがある方が、あ、この順番で走ってるんだ、と楽しめる内容です。『ウマ娘』のゲームの世界観にも入りつつ、競馬を見に来たような気分を体感できる舞台になっていますね。声は出せないですけど、ウイニングライブでは思わずペンライトを振りたくなるようなお芝居の流れにもなっていますし、熱くなれる舞台というか、青春を感じられる内容になっているので、品川にある競馬場に見に来るような気持ちで、トレーナーさんには見に来ていただけたらな、という気持ちでいっぱいです」とまとめた。

 ここでダイイチルビー役の礒部花凜さんが「レースもすごいよね、かなり史実に基づいて、ただ走るだけじゃなくて……」とフォローすると、佐藤日向さんが続けて「この4人というか、いまいるウマ娘プラス、アンサンブルさんもいらっしゃるので圧巻です」とする。

 実際のレースを見ているような演出という点はキャスト全員共通の感想のようで、ここでダイタクヘリオス役の山根 綺さんも「ずらっと並んで、ゴールするまでの途中の抜いたり、抜かれたりというレース展開など、そういう細かいところも本当に忠実に全部作っているので、本当に当時の実際のレースを見られていた方は、多分誰がどの馬をやっているのか、全部わかると思います……そのくらいすごく細かく作っているので、そこも見てほしいですね」とレースシーンについても言及。

 再度、礒部花凜さんが「現場に当時のレースの資料も置いてあって、(レースシーンは)そうしたものから構成してくださっていたりします。すごく私たちも作りやすい環境になっていると思います」とレースシーンの再現性の高さについても触れていた。

要所要所できっちりキャストたちのフォローを入れるケイエスミラクル役の佐藤日向さんも史実に基づく脚本の魅力を語る

 ここで稽古ではすごく脚を使っているという話を踏まえ、実はダンスの練習も行なっているという情報が出てくると、ここもダイタクヘリオス役の山根 綺さんが先ず「とんでもないです!」と一言。続けて「ただのダンスじゃないんですよ、アンサンブルの方々とみんなで大人数で踊るシーンとかもあって、そういうところは本当にただ踊るだけじゃなくて、これを予想してる人は誰もいないんじゃないかというぐらい、もうなんじゃこりゃという迫力になる……」と濁したあと、真相が語られる展開となった。

 つまりは「実際の競馬のように、ウマ娘は靴に蹄鉄をつけて走るんですが、それを表現するために、今、全員タップダンスの練習をしているんです。ウマ娘は競走馬並みのスピードで走るということで、我々の脚でその速度を再現するとなると、テンポがとても速くて、bpmが130から160と言われているので。できたら160まで行けたらいいですねって児玉さんはおっしゃってますが、ちょっと待ってくださいっていう感じに、今はなっています……」とし、より豊かな表現をするために、タップダンスを使っての演出を用意している事が明かされた。

 続けて「レースの途中で我々が抜きつ抜かれつするところで、私たちはタップを踏むんですが、そこが見たらもう鳥肌止まらないくらいすごいです。ウイニングライブの演出も、本当に……本当にみんな頑張っています。アンサンブルのみんなも、毎日汗を流しながら、必死になりながら死ぬ気で頑張ってます。もう、この舞台が終わるのが先か、我々の命が尽きるのが先か、みたいな話をずっとしてます(笑)」とタップダンスの苦労を語った。

 佐藤日向さんは「アンサンブルさんも含め、タップ未経験の子が多かったので、事前稽古ではタップの練習から始めていました。やっぱりこの中だと、礒部さんが1番タップを経験していたり、そのスキルが高いという点では、やっぱ華麗なる一族な部分がね、ちゃんとあって」とし、ここで礒部花凜さんにフォーカスを当てる。

 照れながら礒部花凜さんは「そんなことないんですけど……」と言った横から山根 綺さんが「なんか、教わったらパパっとすぐできちゃうんですよ!」とし、即座に「そんなことない、やめて!ちょっと恥ずかしいから」と否定する様子もかわいい。続けて山根 綺さんが「もう何回教わってもできないから……」とすると、すかさず礒部花凜さんは「もうできてるよ、みんな」とフォローする。しかしすかさず、具体的に「手が難しいのよ、右を出した時に、こうしなきゃいけないんだけど、気が付いたらこうなってんのよ、だから……なんじゃこりゃみたいな。もうリズムゲームみたいな感覚で覚えないと」と自身の苦労を語る山根 綺さん。

 ここでぼそっと佐藤日向さんが「なんかリズムゲームやってる気持ち」と呟くと、キャスト全員が激しく同意し、山根綺さんからも「ものすごく速いリズムゲームみたいな感じです」とした。

 再度、佐藤日向さんは「そうですね、過酷ですねえ(笑)。でもお客さんとして見た時に、耳に届く走る音が、17人とか13人とかの脚で合わさって聞こえてくると、本当のレース場にいる気持ちになれるなと稽古動画を見ているだけで思えます。本番を迎える1か月後には、かなり良いものができるんじゃないかと思う」と稽古動画を客観的に見た感想を語る。

 これに山根 綺さんは「パドックのシーンもあるんですけど、パドックの時も歩いてくる時にタタッタ、タタッタって音を出してみんな歩いてくるので……」とコメント。これに佐藤日向さんが「それぞれの調子が本当に出そうですよね。パドックは」と返すと、続けて「しかも、各レースで誰がどのウマ娘として走るのかっていうのも、本当に1人ずつみんな調べて、モチーフになったお馬さんの気性とか、どれぐらい荒いのかっていうのも性格をちゃんと調べて、それを表現しているので、多分本当に競馬お好きな方はわかると思います」とした。

ミュージカルパートでは新曲披露も?

 他にもウイニングライブの話として、4人のキャラクターが実装されて間もなかったり、まだ育成ができなかったりという点に触れ、ライブでかかる楽曲についてのヒントを出してほしいという質問が出た。

 これにダイイチルビー役の礒部花凜さんからは「やっぱり短距離スプリンターズなので、やっぱ短距離のレースの勝った時の曲を聴いていただければ……」と回答。これにダイタクヘリオス役の山根 綺さんも「あ、わかる!自ずとわかっていただけると思います。めちゃめちゃヒントですね、それは」と同意を見せる。ほぼ答えが出てしまっているのでは、とメディアが訊ねると「事前に曲を聞いていただいた方が、あ、知ってる曲だぁ、この曲知ってる!となって楽しんでいただけると思います」とした。

 ここでミュージカルパートがあるという情報についても山根 綺さんから言及があった。「ウイニングライブ以外にも、ミュージカルパートもあって、これが全部オリジナルの楽曲になります。今、頑張って素晴らしいクリエイターの皆様が作っている最中で、その辺もぜひ注目して頂きたいです。個人的にケイエスミラクルの歌がもう『ダバー』(涙を流すジェスチャー)という感じなので、ハンカチを忘れずお持ちください。本当に最高です」とミュージカルパートでの新曲公開についての情報を公開してくれた。

 続いて、声優業と俳優業の両方をやっている彼女たちが、声優業と俳優業とでそれぞれに意識しているこだわりや違いなどについての質問を投げかけた。すると真っ先にダイタクヘリオス役の山根 綺さんが「声優の時には“尺”が決まってるんです。ゲームを録る時は1人で録るので、間とかを気にしなくても自分のタイミングでできますし、アニメを録るときには大体、ここからここまで、何秒からスタートして何秒までに収めるっていうのが全部決まってるんです」と声優のアフレコについて分かりやすく解説。

 続けて「大体そこに合わせてやると気持ちよく聞こえるっていうのが既に決まっているので、そこに合わせればいいんですけど、舞台は絵がないので、いつ喋り出していいかわからないのと、喋り出すセリフとセリフの間がみんな違うじゃないですか。聞こえて気持ちいい間みたいなものがセリフごとにすべて違うので、どうすればいいんだろうと。だから、すごく余計なこといっぱい考えてる……」と、悩みを語る。

 まわりから「まだ1か月あるから」とフォローが入ると続けて「(佐藤日向さんと礒部花凜さん)の2人はナチュラルで、掛け合いする時とかもすごく見やすいし、聞きやすい。すごく気持ちのいいテンポでお話しされるんです。自分がいざ出ると、前の人の最後のセリフを覚えてないといけないし、それでいつ喋り出そうみたいなことをすごく考えちゃうのが……」として、演出の児玉氏には「どうやって喋り出すのが正解なんでしょうか、なんだか間が違う気がするんですが」と相談したそう。

 ここで児玉氏は「それはやりながらでいいのよ。違和感があったら言うし、それがお稽古だから」と返してくれたのだという。それを聞いた山根 綺さんは声のトーンを上げて「はい! みたいな……もう児玉さんについていきますみたいな、そんな気持ちでした、そこがすごく難しいです。……伝わってますか?」とこちらに確認を投げてくれたので、めちゃくちゃ伝わったと返した。

ダイイチルビー役の礒部花凜さんは、ケイエスミラクル役の佐藤日向さんと2人ともアミューズ所属という間柄もあり、インタビュー中の掛け合いも確かに息がピッタリだった

 また、お芝居経験の豊富な先輩たちに聞くと、ダイイチルビー役の礒部花凜さんは「私はいつも話していることではあるのですが、あまり変わらないというか、表現をするということでは一貫していて。台本を読んで、その役を生きるっていう面では、根本的にあまり変わることではないかなと思っています。もちろんマイクの前でお芝居するのと、体を使って表現するのでは違うとは思うんですけど、声優として必要なテクニックもあるし、舞台に立つにはお客さんに届けなければいけないので、自分の体を使うっていうことだけでも、声優とは全然違うとは思いますが……生きることを考えています」と語った。この後、佐藤日向さんが「アニメだから、舞台だからっていう区別はして考えてないってことだよね」とフォローが入り、これに続けて「でも、実際に立つともちろん違うとは思います」とし、最終的に感覚的な物であるという点を語ってくれた。

 ケイエスミラクル役の佐藤日向さんは「個人的になんですけど、『ウマ娘』のケイエスミラクルは儚いというか、普段アフレコの時もすごくテンションを落として落として録っています。自分の声量の半分で、歌も声も録っている中で、舞台だと、いくらヘッドセットマイクがついているとしても、それだとセリフが後ろの席の方まで届かないので、観に来てくれた方に伝わるように声を出しはするんですけど。佐藤日向自身がめちゃくちゃ元気なので、踊った後で気分が上がったままで、うわって声量が出ないように落ち着け落ち着けって1回気持ちを落としてからセリフを出さないと、元気すぎる、儚さゼロのケイエスミラクルになってしまうと思っています。セリフも歌も気をつけないと楽しそうな子になっちゃうので、この舞台に関しては『落として落として』っていうのを意識しています。自分の命を削って、でもレースに出たいっていう気持ちを歌に乗せられるように、上げすぎないところの塩梅を今、お稽古でさぐっているところです」とケイエスミラクルを演じる上での難しさを語ってくれた。

 一方で、舞台は初となるヤマニンゼファー役の今泉りおなさんは「アニメとかゲームとかだと、ここに人がいたら、その人に声をかけるんですよね。でも舞台だと(独特の演出で)人に話しかけるのに、実際にいる場所と違う別の方向を振り向いたりするのが、え?向こうに?みたいな感じで最初は戸惑いがあって。これは慣れだなと思って……」と、初めての舞台での戸惑いについて語ってくれた。

4人の中での最速はまさかのヤマニンゼファー?

 次はシンプルに4人の中で1番足が速そうなのは誰でしょう?というユニークな質問が飛び出した。

 先ずは礒部花凜さんの走りについてのトークとなり、これに佐藤日向さんは「本気で走ってるとこ1回も見たことないからなぁ、なんか皇居ランしてる人みたいなジョグしか見た事ないから。優雅にだってさ、最初こう手振りながら走ってたじゃん」と言われ、思わず「でもちゃんと走れてるってトレーナーさん言ってくれたもん」と拗ねた声を出す礒部花凜さん。

 一応佐藤日向さんも「でも、ガンダッシュまだしてないもんね。まだちょっと未知数です」とフォローをしつつ、続けて「山根さんですかね」と返す。

 これに山根 綺さんは自信たっぷりと「今のところ1番走ってますね、出ハケもずっと走ってるんですよ。歩いてハケるところがなくて、基本なんか叫びながらハケとか、走りながらハケが多いので、ずっと出る時もハケる時も走ってるんで、走ってるのは私ですかね」と舞台上での動きについての言及があった。

 これには他のキャストからも「走り方がカッコいい」と褒めの言葉が出ると敏感に反応し、「マジ?」と返す辺りはまさにダイタクヘリオスのキャラクターがそのまま出ている印象だ。これに「体育とか部活っぽい、ちゃんと走ってる人のフォームだった」と言われると、続けて「いっぱい中学の時に走り込みさせられていたのでよかったです。いっぱい走ってたんで……」と返す。一方で「でも、バドミントン部だったんですけど、なんでバドミントンがいっぱい走ってんだろうみたいな……。体育会系な部活だったから、なんか1年生はまだラケット持たせないみたいな。なんかそういうのありません? その試合はまだみたいな、基礎練やろうみたいな感じで、いっぱい走ったなっていう記憶があります」と嬉しそうに語る。

 ところが、ここで今泉りおなさんから「高校だと陸上部だった経験があるので……」と呟くと、全員が驚愕の声を上げる。佐藤日向さんが「本当に走って、1番速いのは多分今泉さんです」と予想外の展開にメンバーたちも大爆笑。

 ここでリアルなタイムの話となり、平均何秒で50メートルを走れたかを聞かれると、不安そうな声で今泉りおなさんが「確か7.2とか3とか……」と返すとすかさず山根 綺さんが「速くない? ここにいました、1番です!」と返すと、乗っかる形で今泉りおなさんも「1番でした」と大盛り上がりを見せた。

高校時代は陸上部だったというヤマニンゼファー役の今泉りおなさん
走る姿勢を褒められて嬉しいダイタクヘリオス役の山根綺さんは中学時代はバドミントン部とのこと

 続いては、自分が演じているキャラクターの資料などを見て深掘りされているということから、キャラクターと素の自分との共通点があればという質問。

 これにケイエスミラクル役の佐藤日向さんは「ないかもしれません」ときっぱり断言。続けて「あまり努力してるところを見られたいタイプではないですけど、ミラクルに関しては見られる、見られないではなく、恩返しをしたいことが1番にあるんです。みんなが助けてくれた、みんなのおかげで今生きていられるからお返しをしたいという気持ちなので、もうなりふり構わず、練習はストイックにするし、自分の身を賭してもこのレースを1番に走り抜けたいという気持ちが念頭に常にある子です。そういうところだと、私は頭の中で色々物事を整理してからじゃないと、全力でできないタイプなので、振り付けに関しても、最初から全力でやらずに、先生の動きを見たりして、頭の中で論理的に理解してからじゃないと踊れないタイプなので、結構真逆かもしれない」とした。

 ダイイチルビー役の礒部花凜さんは「貴族なとこですかね(笑)。あ、これ絶対(笑)ってつけといてくださいね」と笑顔を見せる。なぜかとの問いには続けて「なぜ?貴族な理由……あの私、アミューズの貴族という通り名を持っておりまして(笑)」と再び笑みを見せる。

 ここで佐藤日向さんから「私がつけたんですけど」と名付け親が隣から声を掛ける。続けて「アミューズに入ってから、なぜかアミューズの貴族って呼ばれるようになって(笑)」と、ここで佐藤日向さんから「マイペースですいません」とお詫びが入る。

 続けて「日向ちゃんが名付けてくれたおかげで、ダイイチルビー役に決まった時もピッタリだねっていろんな人に言っていただけたので、誇りを持ってやっていきたい……絶対に(笑)はつけておいてください。怒られてしまいます」と念を押した。

 ダイタクヘリオス役の山根 綺さんは「そうですね、ヘリオスは闇を抱えてる陰な部分がないんですよ。根っからの陽キャなので、どちらかというと、山根も“陰”か“陽”かで言ったら、根は“陽”なんですけど、本当でもヘリオスに引っ張ってもらっているところはあるかもしれない。あと、なんか最初に全力出し切ってバテてダメになるところとかです。私、逆なんですよ、日向ちゃん(佐藤日向さん)と。なんか最初にとりあえず楽しいって乗ってる時はイエーイ! やろうぜーってやるんですけど、なんかこれ、楽しくないな、ていうのがあったら、もう萎えちゃうんですよ」とトレーニングの苦労を再度力説。

 続けて「こんな様子を見た児玉さんたちが、スタンプカード制にしようって言って、それで1日頑張ったらスタンプがもらえるよっていう。夏休みのラジオ体操方式を作ってくれたんですよ。それやって(ここでパン!と手を鳴らす)いいじゃ~ん、ってなって、それ好き!ってなってやる気が出たんです」とした。

 ここで礒部花凜さんが「毎日全クリしたいって言ってたけど……」と報告。これに山根綺さんが「もう、今日ダメ、今日できなかったんでダメでしたね……みたいな、そういう浮き沈みがあるところがヘリオスと似てるかなと思います。」とした。

 ヤマニンゼファー役の今泉りおなさんは「ゼファーさんは、自然に囲まれているのが好きなキャラクターで。私はあんまり人と一緒にいるのが得意では……」としたところで、周囲からは「今つらい?」と心配の声が掛かるも、続けて「稽古内ではすごい仲いいし、みんな優しいから大好きなんですけど、稽古はやっぱり早く帰るかな」とした。これに佐藤日向さんが「いつも早く帰りますね。3分後とか」と指摘が入る。

 今泉りおなさんは続けて「1人の時間が本当に大好きで、ぼーっとしたり、ゲームしたり、ぼーっとしたり、寝たりが好きで、1人の時間が絶対ないとダメだってなっちゃいます」と意外なぼっちキャラをアピール。

 これに「えー、無理だよね?」と振られた陽キャの山根 綺さんが「無理無理無理! 1人で何していいかわかんないし、どこ見たらいいかわかんない。ご飯食べてる時にどこ見ながら食べていいかわかんないぐらい」と告げると、ケイエスミラクル役の佐藤日向さんが納得と言った表情で「だからだ。おにぎり食べてる時、こっち向いてて怖い。めっちゃこっち見ながらおにぎり食べてる(笑)」と返す。

 「だから、なるべく目を合わさないように見てるんだけど無理。なんか壁に向かってとか無理なんですよ。何を見ながら食べていいかわからないから」と、まさかの陽キャエピソードの披露となった。

 1人が苦手のエピソードはまだ止まらず、山根 綺さんは「私、今、稽古場の椅子が1番角なんですよ。だから……交換する? 角めっちゃ苦手で、だからあんまりいないんですよ。一番後ろのみんなが見えるところに行ったりとか、冷蔵庫の前とか行ったり、なんかふらふらして、ぐるぐるしたりとか、ずっとみんなの見えるところにいたい。角苦手なんだよね」とすると、これに礒部花凜さんが乗っかる形で「角大好き、すみっこ大好き」と対局である点を語った。

 山根 綺さんは「そうですね、なるべくしてなった感あります。あなた(佐藤日向さん)もストイックだから、私からしたらすごいピッタリだよ」と先ほどキャラクターとの相違点を全否定した佐藤日向さんにいきなり振り、これに佐藤日向さんが「……だそうです」として締めくくった。

 最後に参加キャストを代表してダイタクヘリオス役の山根 綺さんからお客様へのメッセージとして「『ウマ娘』の舞台化が決定しましたっていう発表が出たのが夏ぐらいで、そこからいろんな声がありました。それを私は見てきたし、初めて舞台見に行きますっていうトレーナーさんもいれば、大丈夫? え~? 舞台?っていう反応のトレーナーさんもいたんですね。で、それはすごく気持ちもわかるし、そうだよねと思ったんですけど……」と発表直後の様々なネットの反応について語った。

 続けて「でも、稽古が始まって、どんどんどんどんみんなと一緒にいる時間が増えて、演出がついて、いろんなことが決まっていくうちに、本当にこれは誰が見に来ても、もう来てよかった。見に来る価値があったって思ってもらえるものになるなっていう確信があるくらい、めちゃめちゃすごい作品になると思っています。私は初めての舞台だし、初めてなのにと思うかもしれないですが、それでもこれはすごいぞというのが直感でわかるくらい素晴らしい作品になると思っています!」と制作の過程を見てきた側からの感想を素直に語った。

 さらに「そうなるように、その場にいる全ての人が自分の力を全部出して、頑張って毎日取り組んでいるので、え~? 舞台? という方にこそ見に来てほしいです。22公演あるうちの1回でいいので、どうか見に来てほしいなと思います。楽しみにしてくださってるトレーナーさんも、どうかな、行こうかな?と悩んでるトレーナーさんも1回でいいので、まずは見に来てください。そしたら、もう1回絶対見に行きたくなるはず……というのをここで宣言したいと思います! よろしくお願いいたします」として合同インタビューの時間は幕を降ろした。

舞台の上で奇跡は起こるのか?驚愕の演出に期待

 史実においてデビュー後、僅か8か月の間で、記録だけでなく競馬ファンの記憶に残る名レースを多く残したケイエスミラクルの最後のレースの顛末、そして同時期にトップを競い合ったダイタクヘリオスやダイイチルビー、そして同時期デビューながら数年後に華開く事となったヤマニンゼファー。こうした史実を元に、競馬界へのリスペクトを忘れずに再現してストーリーを構築するところこそが、「ウマ娘」の真骨頂であり、アニメシリーズがアニメファンのみならず、競馬ファンからも広く支持された所以である。

 そう考えると、初の試みながら、今回の舞台「『ウマ娘 プリティーダービー』~Sprinters' Story~」はウマ娘のこれまでのアニメやコミカライズのストーリーを気に入っている人ならハマる事は間違いないだろう。

 舞台という限られた空間の中、一体どのような演出でこちらの想像を超えるレース演出をして見せるのか? 通常のライブイベントとは異なる舞台の上でのウイニングライブはどのような盛り上がりを見せるのか?

 こうしたクエスチョンに対する明確な回答は、本日のインタビューだけでは完全に得られる事はなかったが、多くのヒントを主要キャストのみなさんに語ってもらえたのは幸運であった。

 タップダンスの成果はどこで見られるのか、ミュージカルパートがどのように展開するのかなど、ヒントも多く語られた。1つだけ言えることは、作り手たちの真剣な取り組みは、これまで公演してきたライブイベントとはまた違う角度で「ウマ娘」を2.5次元で楽しめるエンターテインメントに昇華しそう、ということだ。気になる人は是非、品川プリンスホテル ステラボールに足を運んでみてはいかがだろうか?