インタビュー
「X68000 Z」プロジェクトインタビュー
同梱ソフトは「グラディウス」&「超連射68k」!フロッピーディスクドライブはどうなる?
2022年12月23日 20:30
- 【「X68000 Z」クラウドファンディングプロジェクト】
- 募集期間:12月3日~2023年1月28日23時59分
現在、クラウドファンディングサイト「kibidango」にて公開されている「X68000 Z」プロジェクト。端的に説明すると、シャープが1987年に発売したパーソナルワークステーション「X68000」をミニ化した商品であり、このクラウドファンディングの発起人は瑞起だ。
事の発端は、2022年6月8日に瑞起のTwitter公式アカウントから発信されたツイート。「なにやらX68000ミニが出るのではないか?」と、一部界隈では大騒ぎになったのだが、その後2022年9月15日から18日まで幕張メッセにて開催された東京ゲームショウ2022にて、モックが初お披露目された「X68000 Z」は、オリジナルの「X68000」のフォルムはそのままに、サイズを1/2以下、重量は1/10以下にしたものだと判明する。
🫅弊社はやります❗️詳細は後日📢
— 瑞起(ZUIKI Inc.) (@ZUIKIInc)June 8, 2022
#68の日pic.twitter.com/jU5gE2sG8R
そもそも、その大騒ぎされる「X68000」とは何かというと、1987年にシャープから彗星の如く登場した、パーソナルワークステーション。当時、同世代のパソコンとは比べものにならないほど破格のスペックを持ち、数多くの人を虜にした「夢を、超えた。」名ハードだった。そんなマシンだったのだから、それが30年という時を越えて蘇るという話が出れば、当時を知る人たちなどから大きな注目を集めるのは当然の成り行きと言える。
この「X68000 Z」を手がける瑞起は、本プロダクト以前に「メガドライブミニ」を始め「PCエンジン mini」や「イーグレットツー ミニ」などを開発していたこともあり、読者にとってもある意味なじみ深い会社といえるだろう。
そんな「X68000 Z」は当初、同年10月8日に詳細を発表するとのアナウンスがあったものの、さまざまな事情から日程がずれ込む。最終的には2022年12月3日の19時からクラウドファンディングが開始され、僅か3時間で目標金額の3,300万円を達成。その後も支援者は増え続け、12月22日に確認したところ支援金額は2億3,600万円を超え、サポーター数も4,500人を突破していた。
今回は、このクラウドファンディングを行うに至った理由と、現状でも不明な部分が多いハードや同梱ソフトについて、改めて瑞起 執行役員 商品企画部 部長の米内雄樹氏に話を伺った。なお、「X68000 Z」 の元となったパーソナルワークステーション「X68000」についての解説記事は、僚誌AKIBA PC Hotlineのコラム記事、本プロジェクトが始動した経緯などは東京ゲームショウでのインタビュー記事を参考にして欲しい。
プロジェクトとしては、長く携わっていきたい「X68000 Z」
――まず最初に、クラウドファンディングを利用しようとした理由を教えてください。個人ではなく会社の場合、“こういったプロダクトができたので、量産のためにクラウドファンディングします”というのはよく聞きますが、今回に関しては量産化のためではありませんでした。そういうところを含めての、なぜクラウドファンディングなのでしょうか。
米内氏:当初は、我々が考える「X68000 Z」をお作りしてお売りする、というのを考えていました。その前提で東京ゲームショウ2022に展示して皆さんの反応を伺ったところ、「X68000」に対する想いというか熱量の高さというのを改めて知ることができました。そこで、我々が思っていた完成品と、皆さんが思っている「X68000」、当時はミニと言われてました「X68000 Z」のイメージに、多少のギャップがあるなと思いました。
やはり皆さんの声をきちんと聞いて、それを活かして製品化していくという道筋をしっかり作りつけたいなという思いがまずあり、それであればクラウドファンディングで応援してもらいながら製品化を目指すというところの親和性が非常に高いと考えました。
また、欲しい人たちの手にしっかり届いてほしいという思いもありました。Amazonや、あるいは我々の自社ECサイト等を立ち上げてお売りした時に、転売のようなことがおきたら“本当に欲しい人に適正な価格で渡らない”というリスクなどを我々としては心配しました。大きくは、この二点ですね。そうした時に、やっぱりクラウドファンディングの仕組みを活用させていただくのが適切なのかな、と考えた次第です。
――完成形ではなく発展途中の段階からあえて出したというのは、予算に困ったなど、そのような理由があるわけではないですよね。
米内氏:皆さんの意見を伺いながら作る完成形を目指していきたいという、そういう思いからですね。
――東京ゲームショウ2022ではモックの展示をしたものの、その後に詳細発表の延期があったりしましたが、当初から待っている人たちなどへのリスペクトというのはどの程度あったのでしょうか。
米内氏:ビジネス判断として“我々の思うもので進もうか”という判断を当初はしていました。しかし、あそこまで反応をいただくと、“やっぱりユーザーさんの意見を聞くべきだ”というふうに社内としてもなりましたし、私自身もそうすべきかなと改めて思ったというところですね。結果的に一度方向修正と言いますか、延期をさせていただいて、しっかり考え直しながら、皆さんと一緒に作るという方向性に舵を切ったのは、判断として間違ってはなかったなと思います。
――ターゲットとしていたユーザー層を教えてください。
米内氏:「X68000」を知っている人で過去触っていた人、この人たちには改めて触れていただきたいと思ってます。、また「X68000」を当時所有していなかった人 たちというのも圧倒的にいらっしゃったと思うんですよね、50万を超えるような高 いハードですから。なので、憧れの存在としての「X68000」という思い出を持っている人たちに、手が届くぐらいの価格帯でお届けしたいなと思っています。当時は憧れの存在で買えなかったものの、35年が過ぎた今ならば、という方もいらっしゃると思ったので、そういった方々にもしっかり届けられる製品に、価格のバランスを取りながら提供していきたいなと思っています。
――まず最初に、「X68000 Z HACKER'S EDITION」の募集をかけました。こちら、手ごたえとしてはどのような感じだったのでしょうか。
米内氏:応募要項を見ていただいたと思うのですが、“Linux環境での開発経験”などハードルは高いと思ったんです。なので、我々としてはもっと少ないかなと思っていたのですが、スタートしたらかなりの反響で、多くの方にエントリいただきました。そこで改めて「X68000」への愛情を知る機会になりましたし、この人たちに触っていただいた結果を、どんな形でフィードバックできるかという、ある種期待値に変わりましたね。
――当初は抽選の予定だったものが、途中で選考に変わりました。
米内氏:応募の時に過去の経験であるとか、あるいはこれで何を実現したいか、そういったメッセージを書き込むフォームを用意したのですが、皆さん文字数いっぱいに熱い想いを伝えてくださいました。それもあり、これは単純抽選ではなく選考とさせていただかないとエントリしていただいた皆さんに失礼だと思いまして、方向性を修正させていただきました。
――規約を見ると、選考に受かった人たちは、瑞起さんからの依頼があった時に、それを作らなければならないということが書いてあったと思います。選考に受かったユーザーさんに作ってもらい、それをプロモーションで使うなど、そういう形を考えているのでしょうか。
米内氏:まだ決まっていないというのが正直なところです。ここは、協力いただく方と個別に相談しながらとは思っています。プロモーションに使わせていただくのか、あるいは無償公開いただきほかのユーザーさんにもお使いいただける状況にするとか、いろいろケースが考えられるかなと思います。
――その経験を踏まえて、クラウドファンディングで「EARLY ACCESS KIT」をリリースするわけですが、まだ開発途中なので今後バージョンアップして行くのが前提だと思います。その方法というのはファームウェアのバージョンアップという手段なのでしょうか、それともハードウェアを直接更新するのでしょうか。
米内氏:ハードの直接交換とかは考えていません。何かしらの方法で、ソフトの方だけを交換できるような状況にしていきたいなと思っています。
――ソフトウェアのバージョンアップというのは、際限がないと思います。そういう意味でのサポート期間というのは、現状ではどのぐらいを考えているのでしょうか。
米内氏:まだ検討段階です。いつまでと明確にお答えできる状況ではないですが、我々としてはこの「X68000 Z」には、プロジェクトとして長く携わりたいと思ってます。仮に、製品版を数ヵ月後に出したとしても、それで終わりという風にはしたくないと思っています。ただ、これを5年、10年続ける約束ができるかというと、正直わからないので、まだ検討しているところです。
現在、クラウドファンディングを始めたことで多くの皆さんに注目していただいてますし、以降のモデルの展開を期待する声もいただいてるので、そこはしっかり私たちとしては実現を模索しながら、また皆さんに支えていただきながら運用できるような体制にしていきたいなと思っています。
――ロードマップについて、当初Phase0、Phase1、Phase2と表現していました。今回、もの凄い勢いでクラウドファンディングでの支援があったことを踏まえ、ロードマップの先が変わってくる可能性はあるわけですよね。
米内氏:ゼロではないと思います。可能性としていろいろ示していたところが、実現の確度が上がったと思っていますし、今後形を変える可能性もあると思います。
――そういう意味では、気になってる人たちが多いのがブラックエディションです。クラウドファンディング前は、まだ想像しづらいものでしたが、今回の成功を受けて明確になったという感じはするでしょうか。
米内氏:まだ約束できる状況には正直ないというのが、今の答えになります。「出せます」とも「出します」ともまだ言えません、。モノを作るのは簡単なんですけれど、ただブラックエディションを単純に出すだけではなく、それ以外を期待する人たちもいると思うんですよ。ブラックエディションが出るからには何かがある、というプラスの要求もきっとあると思うので、そこを見極めないといけないなと思っています。まだ今の段階ではちょっと、出すとも言えないなと正直思ってます。
――ブラックエディションは、東京ゲームショウ2022で伺った時は初代のブラックモデルと言ってましたが、そこは変わらないでしょうか。
米内氏:一応、その考えでいます。
――形を変えるとかがあるとすれば、またその先ということですね。
米内氏:はい。
――現在提示されているロードマップはアバウトな感じで、日程が見えません。先のことなので難しいのはわかりますが、あまりにも見えないと非常に不安です。もう少し具体的な日程を教えていただけないでしょうか。例えば今回のクラウドファンディングで提供される「EARLY ACCESS KIT」に対しては来春と発表していますが、そのような感じでお願いできればと思います。
米内氏:今の初代グレーモデルについては、1月末でクラウドファンディングは締め切りになり、3月末からお届けを開始します。ここの日程はほぼ固まっています。それ以降については、先ほどの質問の繰り返しですね。ブラックエディションであるとか、あるいはそれ以外のソフトの展開とか、そこについてはまだちょっとごめんなさい。日程も全然まだ確定してないので、お伝えできるのは別の機会になりそうです。
――ロードマップにある「追加コンテンツの提供開始」というのは、瑞起さんの方で新規にソフトハウスに参入していただくのを目標にしているということでしょうか。
米内氏:はい。そこは、メーカーさんに新規参入してもらいたいと本当に思っています。ただ、現在どのメーカーさんがいるかというと、今の段階では言えないんですよね。私たちからも積極的に働きかけをさせていただきたいと思ってますし、今回良い意味でも注目度が高いということもあるので、逆に興味を持っていただいて、お問い合わせまでいただけると非常に嬉しいなと思っております。
キーボードのLEDもSDカードスロットのランプも光るよう、演出として上手く表現しています
――ハードウェア周りの質問ですが、今回搭載するSoCであるZ7213のウリを教えてください。
米内氏:他社さんの製品にも多く採用いただいているという実績がありますので、そういった点ではこのSoCについては、我々としては優位性が非常にあるといいますか、採用する材料としては充分かなというふうに思ってます。
――「瑞起レトロゲーム向けプラットフォーム」としてカスタマイズ製造ということですが、どのあたりをカスタマイズしているのでしょうか。
米内氏:そこは企業秘密ですね。
――エミュレータを搭載して「X68000」を動かすわけですが、今回のターゲットとなっている初代機は当時、メモリが標準で1MBしか乗っていませんでした。「X68000 Z」では、いくつになるのでしょうか?
米内氏:今後、クラウドファンディングのFAQで回答していきますが(このインタビューは、12月中旬に行われた)、メインメモリは12MBを搭載します。
――FPUは実装されるでしょうか。
※FPU……浮動小数点演算を専門に行う処理装置。搭載することで、一部の処理速度がアップした
米内氏:まだ検討中です。
――「X68000」といえばMIDI、というぐらい当時MIDIが使われていましたが、例えばSC-55などを繋ぎたいという要望があると思います。
※MIDI……正確にはMIDI対応機器。MIDIとは、演奏データを電子楽器間でやりとりするための規格。これを採用した音源モジュール(SC-55など)をX68000に接続して作曲活動などを行う、DTM(デスクトップミュージック)が盛んに行われた
米内氏:検討中です。要望は認識しています。こういった要望がわかるのがクラウドファンディングの良い点だなと思うのですが、それを見ながら我々は“なるほど”と頷きつつも今、「じゃあ搭載します」とは言えないです。まだそこは、検討段階です。
――検討には前向き・後ろ向きがあると思うのですが、どちらでしょうか。
米内氏:ユーザーの声が一番ですから、我々としては前向きには考えています。ただ、できるかどうかの約束がまだ出来ませんので、そういう意味で、検討していますという回答に、どうしてもなってしまうんです。
――Windrv的なものも、結構要望があると思うんですが。
※Windrv……WindowsOSとX68000エミュレータ内で、ファイルのやりとりが簡易にできるようになるデバイスドライバ。
米内氏:これも同じなんですよね。検討中なんです。
――最近、メガドライブミニ2に合わせてCyberStickのUSB接続版が出ましたが、それに限らずATARI仕様のジョイスティックを使いたいという人の意見も多いと思います。これに関してはどうでしょうか。
米内氏:実現したいと思っていますが、今の段階では約束できないですね。気持ちとしては何とかしたいけれど、ちょっとまだ検討段階です。
――後ろにあるUART端子を利用して、実機と接続してファイルのやり取りなどをしたいという要望もあると思うんですが、これに関してはどうですか。
米内氏:それも検討しています。もっとも、そこまでのことを考える人はきっと“できなくてもする”でしょうね(笑)。
――リアルサイズのキーボードとマウスが付いてきますが、キーボードのLEDに関しての制御ライブラリが公開されたりとかはするのでしょうか。
米内氏:これも検討していますけれど、一応制御できるようにと思っています。ライブラリを公開するかどうかというところが、まだ検討中で確定していないです。
――以前、ツイッター上で話題になったマウスのサイドボタンに関しては、その後どうなったでしょうか。
米内氏:今回はあのままでいきますが、やっぱり皆さんの声を認識していますので、何かしら別の形でお答えをしたいと思っています。ただ、当時のマウスはよく考えられているなと思う一方で、本当に使いやすかったかというと少し疑問です。
今回は使いやすさを優先して、ある程度のデフォルメと言いますかアレンジが必要だというふうに判断をして、あのような形を今回ご提案させていただきました。キーボードもマウスもやはりそのままではなく、ある程度使いやすさというところで現代風にアレンジしています。今回はそういう前提でもの作りさせていただいています。
――SDカードスロットは、オートイジェクトには対応しているでしょうか。
米内氏:オートイジェクト機能はございません。ただ、イジェクトボタンが押せる状況になっている時は光ります。そういう演出としては上手く表現しています。
――クラウドファンディングのページにも書かれている専用SDカードというのは、どのようなものなのでしょうか。
米内氏:そこはちょっと、まだ詳細をお伝えできませんが、通常のSDカードとは異なる「X68000 Z」用ということですね。
同梱される名作ソフトは「グラディウス」と「超連射68K」に
――今回の「X68000」エミュレータはパソコンエミュレータなので、これまで開発してきたアーケードエミュレータとはまた違う苦労があったかと思います。
米内氏:アーケードエミュレータと大きく違うのは、「X68000」はパソコンであるということですよね。なので使い方が人によって結構異なるし、想定されるケースが変な話、無限に近いぐらいあるわけですよね。そういう時に、どこまでエミュレータで再現できるかっていうところなので、そこがやっぱり苦労するところで、実装していく上でも大変だった点です。その手前の話で言うと、やはり権利関係が複雑といいますか、許諾の判断をできる人が少ないというのがあります。そこも苦労しているところですね。
――エミュレータも、使いやすいものを開発しているのでしょうか。
米内氏:そうですね。使いやすいものにするというのももちろん大事だと思いますし、今回の「X68000」ですと、あまりアレンジしすぎるのも難しい。当時を知る人たちから“これがちょっと違うよね”といったことを言われる可能性があるので、そのあたりのバランスをどう取っていくかというのも、やはり難しい点だなと本当に思います。
――まだ開発中だと思いますが、エミュレータは誰が作っているのでしょうか。
米内氏:自社のエンジニアが自社で作っています。他社さんからの受託案件で相当数のエミュレータ開発をやらせていただいた経験値がありますし、そういう意味ではエンジニアの技術レベルにおいては結構な高さにあると思っています。
――「X68000」エミュレータとしては、非常に完成度の高い「XM6 typeG」がありますが、それを上回る完成度を目指していると考えてもよいでしょうか。
米内氏:XM6はWindows上で動いているものであり、こちらは別のSoC。単純な比較は、ちょっとしにくいなと思っています。ただ、そこはユーザーの皆さんが多分評価される部分かなと思いますね。
――クラウドファンディングのページに、Human68kの許諾がもらえる目処が立ったとありますが、どのあたりまでの目処なんでしょうか。
米内氏:現段階では無事、許諾いただけました。
――名作ゲームがバンドルされるとありますが、何が付属するのでしょうか。
米内氏:「X68000」当時と同じく、「グラディウス」が付属します。
――つまり、それに関してはコナミさんから許諾がいただけたということですね。
米内氏:はい。
――これ以外の名作ゲームも出ます、ということに関しては、出せるタイトルはあるでしょうか。
米内氏:もう1タイトルあります。それが「超連射68k」です。皆さんの反応を想像すると、“やっぱり「グラディウス」は付いて当たり前。よかった”という安心感を持っていただけると思いますが、「超連射68k」に関しては驚きと意外性があるかなと思ってます。同人ソフトとしてはかなり有名であるということと、要求するマシンスペックが非常に高い。技術としても相当なものですから、これがちゃんと動いてるというのは、ある意味いろんな証明になると思っています。なので、そういう観点でも見ていただけるのではという期待をしてます。
――そうなると、ますますジョイスティックなどを繋いで遊びたいという要求が多くなりますよね。
米内氏:そうですよね。
――再びですがジョイスティックエミュレーション、どうでしょう。
米内氏:そうですね。できれば実現したいとは思っていますけど、今の段階ではちょっと約束はできないんですよね。はい。
――支援したユーザーの期待度が非常に高いのが、自分たちの持っている資産を使えるかどうかだと思います。1つは、当時のパッケージソフトを「X68000 Z」で遊べるかということ。もう1つは、自分が作ったプログラムを「X68000 Z」へ持っていけるか。さらに、手元のイメージファイルを「X68000 Z」で使えるのか。
米内氏:ここがまだちょっとお答えしかねるところです。今は色々な想定をしながら検討しています。
――例えば、X-BASICで作ったプログラムを「X68000 Z」に持ち込み動かしたいのですが、これは可能でしょうか。
米内氏:そうですね、まだ答えられないですが。X-BASICは使えます。
Hello X68000 Z!!#X68000Z#X68000https://t.co/8lz90GvLTppic.twitter.com/c0IH0zcEoR
— 株式会社 瑞起(ZUIKI Inc.) (@ZUIKIInc)December 15, 2022
――自分で打ち込んだプログラムなどを持っていく手段はあるのでしょうか。
米内氏:想定として、SDカードを介して持っていくというやり方を一応考えてはいます。
――その資産を、5インチフロッピーディスクで持ってる人は、どうしたらいいでしょうか。
米内氏:ここがどうしようもないんですよね。言っていいと思うんですけれど、5インチのフロッピーディスクドライブを作りたいなと本当に思って考えましたけど、無理でした。ここはもう解決方法が今の段階ではないので、唯一できる方法としては我々が改めてゲームエミュレータを提供していくという流れを作ることかなと思っています。
――5インチフロッピーディスクドライブを作るのは難しい……。
米内氏:難しいですね。検討はしましたが……。
――イメージファイルをWindows上などで所持している場合、それをSDカードにコピーして「X68000 Z」で動かすことは可能でしょうか。
米内氏:今の段階では、ちょっとなんとも言えないですね。
――当時の製品版ソフトを持ってる人たちが、それを「X68000 Z」で遊ぶためにそちらへ持っていくというのは、現状だとちょっと不可能ということでしょうか。
米内氏:そうですね、はい。ただ、できなくはないと思うんですよ。
――ただ、製品版になると、必ずプロテクトの問題が付きまとってきますよね。
米内氏:我々としてはメーカーさんと交渉しながら、例えば「X68000 Z」で動かせるようなソフトを提供する流れを作るしかないかなと正直思っています。
――つまり、あくまでも例えばですが、半年に一回ぐらいのペースで「来年の前半はSDカード“××パック”ですよ」という感じで、ソフトハウス××のソフト十本入りを何千何百円で売ります、そういう形でのソフト提供をやっていきたいっていうことですよね。
米内氏:そうですね。
――現状では、そのSDカードに入れるソフトというのが、まだ確定していない。
米内氏:はっきりとは、まだ表には出せません。まだまだ交渉段階であって、確定しているものが正直ないということになると思います。確定しているのが、先ほどお伝えした2タイトルです。ただ、今後のブラックモデルの話や登場するゲームも関係してくると思うと、まだまだ冷静にそういうのを見極めようとされている方もいらっしゃると思いますので、我々としてはそういう人たちにも商品を届けられるように、この後も完成度を高めていきたいなと思います。
――エミュレータ自体は、最初は初代「X68000」の再現がメインだと思いますが、その後には「X68000 XVI」や「X68030」が登場したり、拡張ボードなども数多くリリースされました。現在のβ2からバージョン上がれば、「X68000 XVI」や「X68030」相当、「060turbo」、「Polyphon」、「まーきゅりーゆにっと」などに対応する予定はあるのでしょうか。
米内氏:やっぱり皆さん同じことを想われていますし、要望としてもいただいています。ただ今の段階で「どこまでをカバーします」とか「何を対応します」とは、正直言えないですね。まだ決まってないというのが正直なところです。一つずつちゃんと確実にやっていきたいという思いがやっぱりありますし、まだまだクラウドファンディングの途中です。初代のグレーについても、まだ皆さんのお手元に届いてない段階ですから、ここでその先のことをこうします、ああしますというのは、なかなか言いにくいなと思っています。
――「X68000 Z」というプロダクトとして、一番重要視しているのは見た目やギミックの再現性なのでしょうか、それとも当時のソフトウェアを万遍なく動かすことができるようにするというソフトウェア面なんでしょうか。
米内氏:一応、我々としては両方です。瑞起としての技術アピールという側面もあると思っています。ハードウェアやメカ、そしてソフトウェア、この3つは過去の実績から、それなりの自信があるので、それらを「X68000 Z」に注ぎ込んだ結果を皆さんに見ていただきたいなと思っています。
――ありがとうございました。
Zuiki Inc. © All rights reserved