インタビュー

「次もKDG N1で優勝したい」。有終の美を飾った王者N高「KDG N1」

第3回全国高校eスポーツ選手権「LoL」部門優勝チームインタビュー

3月14日 開催

 第3回全国高校eスポーツ選手権「リーグ・オブ・レジェンド」部門決勝戦にて、N高等学校「KDG N1」がアートカレッジ神戸「アートカレッジ神戸A」を破り、優勝を飾った。

 「KDG N1」は前回大会の優勝校であり、プロ練習生をも擁する名実ともに優勝候補であった。2連覇への周囲の期待や自らの渇望を形に変え、優勝という栄光をその手に掴んだが、チームメンバー6名のうち5名が今年卒業を迎える。3年生であり「LoL」プロチームDetoNation Focus Meサブメンバー、そしてチームリーダーのまりも選手は「2連覇というのがひとつ、卒業前の最後の大会というのがひとつ、プロチームに所属してから初めて自分の力を見せる機会だったというのがひとつ」と大きなプレッシャーを感じており、「勝ててまずはよかったという安心の気持ちが強い」と語る。メンバーたちも優勝を喜び、チーム唯一の1年生rre選手は「3年生を優勝で送り出すことができて嬉しい」とコメントした。

左からぷりも選手(JG)、rre選手(MID)、まりも選手(ADC)、Violet選手(TOP)、shakespeare選手(SUP)、vann選手(TOP)

 決勝戦での試合は初戦で危なげなく1勝。2戦目はアートカレッジ神戸に序盤のリードを渡しながらも、試合最後半から追い上げて逆転勝利、という劇的なものだ。その理由として、元々「KDG N1」はADCのまりも選手を中心にしたチームで、1戦目はBOTレーンをメインに動かせたことが勝利に繋がった。2戦目はTOPをvann選手からViolet選手に変更したことに伴い、あまり練習できていなかったTOP中心の動きに変えたことが苦戦のひとつの原因だという。厳しい展開の最中、「構成的に序盤で勝たないと厳しい」ということがわかっていただけに彼らも平静でいられたわけではなく、「(負けるかもしれないと)口に出したら終わり」だという意地から、それぞれ劣勢の中でできることを探していた。そこで突破口を開いたのはぷりも選手で、良いプレイが1つ決まったことで風向きが変わって「勝てるんじゃないか」と思うことができ、最終的には勝利を収めることができたのだという。

 振り返ると、「KDG N1」として3年に渡り本大会に出場してきたまりも選手は、第1回大会で準決勝敗退を経験している。高校生活のスタートとなる1年生のときに全国高校eスポーツ選手権がはじまり、2年目で雪辱を晴らして優勝、3年目で連覇を遂げた。「負けではじまった大会を勝ちで終わらせられたのはすごく嬉しい」と語っていたが、チームメンバーも元々同ロールのぷりも選手が加入してきて「どうするんだろ」と思ったり、第2回大会の表彰式では加入したshakespeare選手について冗談交じりで「我が強くて手に余る」ということを話していたり、この3年間では様々なことがあったようだ。

 なお、当時「手に余る」と言われたshakespeare選手は、「それまで1人でプレイするのとは違う、5人で勝利を目指すチームゲームの経験がなく、わからないことだらけだった。チームやコーチから教えてもらうことで、少しずつ1人で突っ込むようなプレイが減ったり、最終的にチームで相手のネクサスを割るためにどうしたらいいかということを考えられるようになった」と自らの成長を振り返った。

 今後まりも選手は練習生として所属するDFM、shakespeare選手はRascal jesterの練習生としてそれぞれプロを目指す。vann選手もプロ志望であり、プリモ選手は高校3年で培ったeスポーツの知識を伸ばすためeスポーツの専門学校へ。Violet選手は大学の資格を取りながら、「LoL」の腕を磨くという。1人学校に残るrre選手は「今まで先輩たちに引っ張ってもらってきて居た部分が大きい。これからの大会は僕が引っ張っていかなければならいので、どうしていくかが今後の課題」とした。もちろん、「KDG N1」として、3連覇を狙う構えだ。そんなrre選手に対してまりも選手は「今ある『KDG N1』はなくなるけれど、卒業したメンバーはいつでも手を貸す。メンバーが変わっても『KDG N1』で優勝を取りたいよね」と声をかけた。

 下馬評通り、圧倒的な強さで優勝を飾った「KDG N1」。メンバーの大半が全国高校eスポーツ選手権を離れて新たな道を進むことになるが、「KDG N1」次はどのようなメンバーで、どのようなチームとして形で強さを見せつけてくれるのか。次回大会が早くも楽しみだ。