インタビュー

トロが愛される理由は“友達”。南治氏が語るシリーズ20周年目の「どこでもいっしょ」

プレイステーション時代の秘話「くたたん」とは!?

10月1日 配信開始

価格:無料(アイテム課金制)

 いよいよ明日10月1日の午後にフォワードワークスからサービスが開始される、Android/iOS用パズル「トロとパズル ~どこでもいっしょ~」。本作は第1作目の「どこでもいっしょ」が発売されてから20周年を迎えるシリーズ最新作となる。

 「どこでもいっしょ」シリーズは、ネコだけど人間になることを夢見ている「トロ」を始めとしたポケットピーブル(以下、ポケピ)たちに、コトバを教えてコミュニケーションを楽しめるゲーム性が人気の作品だ。愛らしくもどこかシュールな会話を繰り広げるポケピたちは今でも多くのファンに愛されている。

 トロは初代プレイステーションからのブランドキャラクターでもあり、プレイステーションといえばトロ、トロといえばプレイステーションとしてのイメージが強い。そんなトロたちが誕生から20周年を迎え、スマートフォンへ展開を広げる。本稿では「どこでもいっしょ」の生みの親でもあり、本作の開発・運営を手掛ける、ビサイド代表取締役社長の南治一徳氏に、20周年を迎えるポケピたちの変化や、本作の開発経緯などについてお話を伺ってきたので、その模様をお届けしていきたい。

【「トロとパズル~どこでもいっしょ~」プロモーションムービー】
ビサイド代表取締役社長の南治一徳氏。「どこでもいっしょ」シリーズ開発者
今年で20周年! トロのアニバーサリーイヤーを記念したプロジェクト展開

シリーズ20周年でもある「どこでもいっしょ」は、ファンに喜んでもらえる作品

――はじめに、開発経緯となぜパズルを選ばれたのかを教えてください。

南治氏:まずパズルゲームに決まるまでは、試行錯誤を重ねてプロジェクト自体が頓挫しかかったこともあったりと、かなり苦労しました。今までプレイステーションがプラットフォームだったタイトルを、スマートフォンで展開していくことになり、トロを好きだと言ってくれるプレイステーションユーザーのファンの方が、どんなゲームにしたら喜んでもらえるかを常に考えて色々検討を重ねました。過去作とは全く違うスマートフォンへ展開をひろげるにあたり、お話ゲームであることは変えないつもりでしたが、継続してプレイしつづけていただくことが重要となるスマートフォンアプリでは、お話だけでゲームを作るのは難しいと考えました。

 そこでフォワードワークスさんと調査やディスカッションを重ねた結果、トロが好きなファンの方は女性が多いこと、意外にもパズルゲームは女性にとても人気があることがわかりました。「トロ」を好きでいてくれるファンの方と、パズルプレーヤーのユーザー層がすごく近いことがわかったんです。その中で、自分でも人気の高いパズルゲームを遊んでみた所、とても面白くて。そのため、パズルゲームとトロのお話を組み合わせれば、これはいいものになりそうだと手応えを感じて、パズルゲームを選びました。

――今のお話にあったように、シリーズのファンは女性の方が多いのでしょうか?

南治氏:もちろん男性の方もいらっしゃるのですが、今でも女性ファンの割合は多いと思います。

――本作のコンセプトをお聞かせください。

南治氏:コンセプトはやはり“癒し”ですね。シリーズ1作目の「どこでもいっしょ」からそこは変わっていません。プレーヤーの皆さんもが毎日を過ごしている中、また忙しい時でも少しずつ遊べるゲームでひと息ついて欲しい、そしてトロとお話することで、癒されて毎日ちょっとずつ幸せになってもらえたらと思っています。

――そもそも、「どこでもいっしょ」はどのようにして生まれたタイトルなのでしょうか。トロたちはどうやってデザインされていったかエピソードを教えてください。

南治氏:「どこでもいっしょ」を考える前に、当時のソニー・コンピュータエンタテインメントさん(SCE)、今のソニー・インタラクティブテインメントさん(SIE)と一緒にゲームをやろうというプロジェクトがあったんです。そこでオーディションに合格すれば好きなゲームを作らせてもらえる話があって、チームで応募したら合格して、そこまでは良かったのですが……。やはり売れるようなゲームでないと制作できないので、“好きでかつ売れるゲーム”を目指しました。

 そこからは、企画を出してはボツになるといった繰り返しで、それが1年間くらい続いて全く企画が通らなかったんです。それでもプロジェクトとしてお金は出ていたので、当時は本当にありがとうという気持ちでした。そんな中、その頃にポケットステーションが発売されることをゲーム誌を見て知りまして。そこで、ポケットステーションを利用したゲームを作れないかと考え始めたら、パラパラいいアイデアが出てきて、まさにポケットステーションありきで企画がスタートしました。

 当時、キャラクターのお世話をして育成するゲームとして「たまごっち」が流行っていたこともあり、それをもっとインテリジェントにして、お世話するのではなく“自分の友達”という立ち位置で、キャラクターが居てくれたら楽しいよね。というコンセプトから誕生したのが「どこでもいっしょ」になります。

――プラットフォームにスマートフォンを選ばれた理由は何かあるのでしょうか?

南治氏:時代の流れというのもあります。ですがやはり、ポケットステーションなど「どこでもいっしょ」は据え置き機というよりも、携帯機で持ち運べてちょっとした隙間でプレイしてもらえるのが合っているなと考えていました。

 「どこでもいっしょ」シリーズの新作をだしたいという気持ちはずっとあったところ、SIEさんがフォワードワークスさんを設立される前にお話しをいただき、これはトロが新しくゲームをリリースする場所として最高なのではといった流れから企画がスタートしました。

――シリーズ20周年を迎えますが、ポケピたちが昔と今で大きく変わった点はありますか?

南治氏:大きく変わった点で言えば、やはりグラフィックスは綺麗になりました! 昔は頑張ってドット絵で描いても少しカクカク動いていたのですが、今までと変わったチャレンジとして、普通の3DCGではなくアニメ調で表現しています。

 実はこれ、2006年に発売した「どこでもいっしょ レッツ学校!」の頃に使用していた表現なんですが、それ以降の作品では3DCGに戻していたりしていました。本作でも2Dや3DCGなど色々試したんですけど、背景含め検討した結果、テイストが合うアニメ調を採用しました。変わったのはそういった所ですかね、「クロ」の登場以来、久しぶりに新キャラが登場するほか、キャラクター性として従来のポケピたち自体は変わってないので。


トロたちが質問してくるのは、プレーヤーのことが大好きだから

――言葉を教えたときや会話をしているときのポケピの反応がいつも可愛いのですが、制作中に気をつけていることはありますか?

南治氏:会話はとてもこだわって作っています。トロやポケピが会話する時の仕草だったり、プレーヤーが教えたコトバをしばらく経ってからトロたちが使ってくれたりと、プレーヤーが教えたことに対してのレスポンスであったり。そういったコトバでキャラクターと繋がっているので、コトバをどう使うかといったことは特に気をつけています。

――可愛い一方で、ポケピの質問として「好きな人」などパーソナルな部分に悪気なく触れてくるのがとてもすごいデザインだと思います。だからこその名作だと思うのですが、あえてここまで踏み込んでいるのはなぜですか?

南治氏:トロはプレーヤーである皆さんのことが大好きなんです。だから色々知りたくて聞きたがる。そういうトロに応える踏み込んだコミュニケーションがあるからこそトロに愛着が湧いてくる部分があるので、そこはやっぱり変えにくくて。だから本作でも昔と同じように⾊々聞いてくるので、そこは「しょうがないなぁトロになら教えてあげようかな」、といった感じで楽しんでいただきたいですね。

――色々な質問をしてくるのは、トロが人間になりたいという気持ちがあるからですか?

南治氏:もちろんそれもあります。トロは人間になりたいために⼈間のことを知りたい。そのために、一番親しい人間であり大好きなプレーヤーの話を聞きたがっているんです。トロからすると、「自分もそうなりたいなぁ、それってどんな感じなの?」という気持ちからの質問ですね。

――「どこでもいっしょ」でポケピと会話しない日が続くと、トロたちが寂しい気持ちを絵日記で伝えてきて、それを読むと切なくなったりしたのですが、本作でもそのような要素はありますか?

南治氏:そこは本作ではちょっと進歩しています。今回は絵日記ではないのですが、スマートフォンならではの方法で、トロたちがお知らせを送ってくれるんです。「2日間会えていないけど、どうしたのかニャ……?」といったような内容のお知らせが届くと思いますよ。それは開発の時から入っていて、開発の場合あえてほったらかしにしたり、アプリを触ったり触らなかったりすることもあり、開発陣はそのお知らせを見るたびに、作ってはいるもののこれはつらい……と切なくなってました(笑)。なのでちょっと起動してかまってあげようかな、という感情になったメンバーもいました。

――そんなトロたちのちょっとした台詞が本当に可愛いのですが、シリーズ通して担当されている方がいるのでしょうか?

南治氏:この人が台詞を書いたらトロになる。といったメンバーがいてずっと一緒に仕事をしています。今回も過去作と変わらずストーリーやお話をしっかり作ってもらってるので、ちょっとジーンとする話などもあり、いい感じに仕上がっています。

――トロにはどれくらいの量の言葉を覚えてもらえますか?

南治氏:そうですね、具体的な量はなかなか言えないですが、ポケットステーションの頃よりは賢くなってます。

――覚えたコトバはどう発展していきますか?

南治氏:トロとのお話の中で⾊々なコトバが使われますが、トロとお話することを増やすことでも発展していきます。また、パズルが終わった時にもポロっと使ってくれることもありますので、ぜひそういったシーンで楽しんでいただけたら。

――ストーリーはどれくらいの量を用意しているんですか? そして完結するのでしょうか。

南治氏:ストーリーは今も作り続けているので、結構なボリュームになりますね。今回はパズルもあるし、ストーリーの方はもう少しライトでもいいのかな? と最初は思っていたんですが、やはりライトに作ったら気になってしまって。なので、スマートフォンでもストーリーはしっかりと作り込んでいます。いいお話を沢山用意しているので、期待していただければ。もちろん、ストーリーとしてちゃんと完結するつもりですが、ちょっと時間は掛かると思います。

――シーズンごとのストーリーも用意されてますか?

南治氏:メインのストーリー自体はあまり季節性はありません。ですが、ゲーム内でイベントなども開催する予定なので、そちらで季節に合ったお話や、衣装を着たトロたちが登場したりするので楽しみにしていて下さい。

――オンライン機能はどんなものがありますか。たとえば、トロに覚えさせる言葉がオンラインで共有されたりするのでしょうか?

南治氏:主なオンライン要素としてはフレンド機能ですかね。パズルを遊ぶために使用するハートをフレンド同士で送ることで、お互い助け合うことができます。また、ポケピを通じでフレンドとも間接的にコミュニケーションを取ることができます。フレンドがトロに教えたコトバを、プレーヤーのトロがポロっと話したりするのですが、あの人がこんな⾔葉を教えている! というようにリアルの友達とフレンドになって遊ぶと楽しいと思います。ただし、マズそうな会話は漏れないので、そこは安心して下さい(笑)。

ポケピに新しい仲間が登場! 観光案内をするネコ「ソラ」の誕生

――ポケピの新しい仲間である「ソラ」はどのようにして誕生したのでしょうか?

 スマートフォンで新しい「どこでもいっしょ」を出そうとなった時に、やっぱり新しいキャラクターが欲しいよね、ということから始まりました。何がいいかなと考えた時に、やはりネコがいいんじゃないかという話になりソラが誕生しました。

――ソラを作る上で、苦労したことなどありますか?

南治氏:一番苦労した点は、デザインですね。今と全然違って最初はもっと大人しい雰囲気のデザインで、そこでボツになったことでガラっと変わって、今のわんぱくそうなソラに落ち着きました。結果オーライでしたね。

――ソラが使う“じャ~”という語尾がまた印象的ですよね。

南治氏:ネコで“ミャー”や“ニャ”といった⾔葉はよく使われているので、新しい感じを出したかったんですよね。ソラは、これからプレーヤーが行く街で観光案内をしてくれるネコなので、やっぱり物知り顔でなくてはならない。それであれば、偉そうなのがいんじゃない? ということになり“じャ~”に決まりました。

――今後追加予定のポケピはいますか?

南治氏:今のところは考えていないですね。ですが、その内あるかもしれません。

――今後アップデートを予定しているのはどういったものになるでしょう?

南治氏:スマートフォンのゲームなので定期的にアップデートを行なう予定です。まず最初は、年末に向けてのイベントを色々準備しています。

「どこでもいっしょ」ならではの楽しみ方!

――トロたちと会話する中で、ご自身で特に印象に残っているポケピの台詞やエピソードはありますか?

南治氏:そうですね、色々ありますね。トロは特に怖がりなので、怖かった〜と伝えてくるエピソードがありまして。コトバを教えるシーンで「くたたん」(プレイステーションの⽣みの親である元SCE代表の久夛良木氏)と教えてみたことで、ある時トロが「押し入れの端っこから“くたたん”がのぞいてたのニャ~」と話してきて、うわぁそれは怖かったね~と適当に教えてみたり(笑)。変な使いかたをして遊んでました。

――そのエピソードを話したら怒られるんじゃないですか? (笑)

南治氏:そうかもしれないですね、でも当時はゲームの企画・開発に関連して、色々と怒られていたこともあるので、今であれば許していただけるかなと(笑)。トロは人間になりたいので、会話の中で「それってトロにもついてる︖」と聞いてくるんです。そういった質問に答えていくと、少し変なことになってしまったりするのがまた面白いんですよね。

――お気に入りのポケピキャラを教えてください。

南治氏:トロは好きですね。でもクロも好きですし、う~んだけどお気に入りというと……やっぱりトロですかね。

――本作がアプリになったことで、ここは注目してほしいというポイントはありますか?

南治氏:いくつかあるんですけど、テイストをアニメ調にしたので今までの背景とはガラっと変えてます。そこは何度もリトライを重ねた部分でもあります。温泉というテーマは決まっていたので、どんな背景がいいのか悩みました。温泉宿だけではなく、やはり風景も大事だよねということでスタッフがかなりがんばって作り込んでくれて、今の街並みが出来上がりました。そして、段々温泉街ができていくといったビジュアルの変化と完成した街並みも見て楽しいと思います。

 あとは今回、メインテーマなどの音楽を友人でもある、サウンドクリエイターの坂本英城さん(ノイジークローク代表取締役CEO)に頼むことができました。坂本さんにちゃんと曲を頼んだのは初めてだったのですが、またこれがいい曲を書いてくれて。スマートフォンで遊ぶ時、音をオフにされる方が多いかと思うのですが、出来ればサウンドを聴きながらプレイしてもらい、ぜひ音楽も⼀緒に楽しんでいただきたいですね。


――本作で街のテイストがとても細かく作り込まれているのですが、どのタイミングで全体像が決まったのでしょう?

南治氏:本当はストーリーが先に決まらないと街を作れないんですが、今回は制作スケジュールの都合もあり、デザインする上でストーリーが先行している箇所があったり、背景が先行することでストーリーを変更したりすることもありました。出来上がった背景で、この部分にボケピを通したいから、ちょっと道幅を広くしてもらっていい? など調整してもらったこともあります。

 街中では、ポケピたちが動きながら話が進んでいくので、街の一部が塞き止められてて困る話なのに、下で道繋がってるんだけどということもあったりしました。そのため、道を消してくれとお願いしたり、ストーリーと背景両方がぶつかってしまうなど、色々変更した部分はありましたね。

――モチーフが凄くノスタルジーな雰囲気ですが、時代背景は温泉街が決まった後に設定したんですか?

南治氏:「どこでもいっしょ」の場合、最初から時代背景として少し昭和感があるテイストを採用しています。今回もそういったテイストにまとめています。何かよくわからないけど、ゲームセンターとかもあったりします(笑)。

――街並みでここを発見して欲しいというポイントはありますか?

南治氏:ちょっとずつ街が広がっていく中で、この場所はストーリ-とどう絡んでくるんだろうといったように、想像を膨らませて楽しんで欲しいですね。河原でリッキーが泳いでいたなど、どの場所にどのポケピが登場するのかにも注目してもらえたらと思います。

――ストーリーを通して注目して欲しいポイントを教えてください。

南治氏:今回はやっぱりソラの存在がひとつのカギになります。ソラは“おねえちゃん”のことが大好きなネコなので、そのおねえちゃんとの関わりにポケピたちがどう絡んでくるのか。そうした関わりを通じてストーリーが紡がれる過程でのポケピたちの会話や仕草には、思わず笑ってしまう様な“癒し”はもちろん、じーんと心に沁みる様なことも織り込まれていますので、ぜひ注目していただきたいですね。

――先に進むとパズルが段々難しくなってくるのですが、何か遊ぶ時のコツはありますか?

南治氏:面によって本当に難易度が違うのですが、おたすけピースという便利なアイテムを色々作りました。ログインボーナスであったり、アイテムがもらえる機会も用意してます。自分も貧乏性なのでなかなかアイテムが使えないのですが、容赦なく使った方が気が楽かつサクサクパズルもクリアしやすくなるので、ぜひ使っていただけたらと思います。

――20周年プロジェクトとして「トロとパズルどこでもいっしょ」がリリースされますが、「どこでもいっしょ」は今後どのように展開していくのでしょうか?

南治氏:SIEさんの方でサンリオさんプロデュースのグッズを始めとしたさまざまなグッズ展開が予定されてますね。そこでもまた、トロやソラなどのグッズが出てくれると嬉しいです。今はもうプレミアがついてしまってるんですが、好きなポージングができるリボルテックシリーズが人気だったので、そこにソラを加えてほしいですね。新規に作るのはかなり大変そうですが(笑)。

――トロたちを知らないという人もいるかと思いますが、ポケピと初めてコミュニケーションを取る人たちにどういった遊び方をしてほしいですか?

南治氏:シリーズを遊んでくれてた方は、コトバを教えるということに馴染みがあると思うんですが、馴染みがない方や本作が初めてだという方もいらしゃると思います。コトバは教えた分だけトロたちとの会話が楽しくなってくるので、気軽にトロにコトバを教えて、コミュニケーションを楽しんで欲しいです。そうすることで、トロのこともよりわかってもらえると思うので。

サンリオプロデュースによる「どこでもいっしょ」
サンリオデザインのロゴ

可愛いだけじゃない! トロたちの魅力とは?

――トロは可愛いのに、少し毒を吐いたりする所も魅力ですが“可愛いだけじゃない”のには理由はあるんでしょうか。

南治氏:トロってやっぱりプレーヤーにとっての友達なんですよ。ポケットステーションの時も、その中に居るのがもしアイドルだとしたら、嬉しいかもしれないけど、キャラクターとの距離を遠く感じてしまうと思うんです。例えば、可愛いだけだと少し手の届かない存在というか、どうしても友達ではない感じがしてしまうと思います。なのでもう少し隙があるというか、プレーヤーとの距離を縮めてくれるキャラで居て欲しくて。

 なので、可愛いだけじゃなくてだらしなかったり、たまに変なことを⾔ったり聞いてきたりもする。それも含めてなんか可愛いなと身近に感じてもらえるようにしています。あとトロの仕草で、ひと息つくモーションがあるんですが、あのあたりの動きや仕草は可愛いですね。

――トロたちとまた、コミュニケーションを取れるのを楽しみにしているシリーズのファンの方々が楽しめるポイントはありますか。

南治氏:まずゲームを始めると“この白いネコと一緒に暮らしたことがありますか?”という質問をされるかと思うんですが、そのあたりもフックになっています。あとはこれまでのシリーズに出てきたポケピや、ちょっとしたキャラクターも登場しますので、クロ変わってないなといったように、昔を思い出しつつ楽しんでもらえたらと思います。

――クロはやたら動画視聴を勧めてきますよね(笑)。

南治氏:そうですよね、クロさんはあれが収入源なので。見て見てと言ってきます(笑)。

――最後に、ファンの方々にメッセージをお願いします。

南治氏:「どこでもいっしょ」シリーズ前作が終了して、だいぶお待たせしてしまいました。なんとか20周年には間に合ったので、ぜひ遊んでいただければ。今回はタイトルを出して終わりというわけではないので、長く続けていきたいと思っておりますので、末永くお付き合いいただければ嬉しいです。

――本日はありがとうございました。

南治氏が使用しているPCにはトロのステッカーが!「どこでもいっしょ」とトロへの強い愛情を感じる