インタビュー

Nintendo Switch版「Dead by Daylight」発売直前! ディレクター マシュー・コート氏インタビュー

9月26日 発売予定

価格:4,600円(税別)

 2016年6月のPC版リリース以来、Xbox One、プレイステーション 4へと対応機種を広げ、現在全世界で1,200万人にプレイされているオンラインサバイバルアクション「Dead by Daylight(以下、DbD)」。

 「DbD」は、1人の殺人鬼(キラー)と4人の生存者(サバイバー)で行なう非対称型対戦ホラーサバイバルゲーム。世界的に有名なホラー映画の猟奇的な殺人鬼たちが、キラーのモチーフとして使われていることでも話題となっている。キラーはサバイバーを全滅させ、サバイバーたちはその魔の手をかいくぐりゲームエリアから脱出することを目的とした「密室型鬼ごっこ」だ。

 今回は9月26日に発売されるNintendo Switch版「DbD」について、本作のゲームディレクター マシュー・コート氏に話を聞くことができた。また、9月に実装される新チャプター「ストレンジャー・シングス」のコラボについても聞いてみたので、その内容をお伝えする。

「Dead by Daylight」ゲームディレクターマシュー・コート氏

Nintendo Switch版「Dead by Daylight」について

――Nintendo Switch版「DbD」はどういう場所で楽しんでもらいたいですか。

マシュー・コート氏:どこでもですね。人々にゲームを楽しんでもらえる新しい方法でありますが、どこでも使えるというのがなにしろ1番大きな利点だと思うんです。勿論テレビでもちゃんと遊んでもらえる。

――携帯機になることで、例えばスターバックスで「DbD」をプレイして悲鳴を上げる人がいるのではないかと。

マシュー・コート氏:そういうことも起こってほしいですよね。

――今まではPC版やPS4版でボイスチャットでコミュニケーションを取っていたのですが、Nintendo Switch版はハードを持ち寄って、皆でプレイする今までになかったスタイルになると思います。どういうことが起こると思いますか。

マシュー・コート氏:友達や、サバイバー同士が協力したり、ゲームをみんなで一緒に楽しんでほしいという意図で作っています。Nintendo Switchだと持ち寄って遊べるので、カフェや家で、どういう交流があるのか見るのがとても楽しみです。例えば、すぐ隣に友達がいたら「助けて」と言えるけど、その友達は「助けられるけど、自分は逃げたいんだ」という気持ちがあるかもしれない。特に面と向かってプレイする場合は、そういうところもおもしろいですね。

――昨年のインタビューで周囲ととあまりコミュニケーションが取れない中で「孤独感」も楽しむゲームと拝見したのですが、Nintendo Switch版ではみんなで持ち寄ることでパーティーゲーム要素が加わり「孤独感」が薄れていく「DbD」の変化ををどう思いますか。

マシュー・コート氏:ゲームをプレイしている瞬間がとてもおもしろいので、それを友達と共有し、コミュニティができたりというのはすごく素敵なことだと思います。しかし、隣に人がいるからといって、自分自身が実際にゲームでプレイしている感覚が変わるのではなく、ゲームの中ではいつでもキラー対自分、または自分対サバイバーたちという個人的な体験ができる。でも、それを友達と一緒にコミュニケーションが取れるようになることはすごく楽しめると思います。チームスポーツでないのは確かですが、協力は有効だと思っています。プレーヤー自身、恐怖やストレスを感じたり、パニックを起こしている時に、どれぐらい協力する意思があるのかが重要だと思います。それがおもしろいところじゃないでしょうか。逆に、協力する意思がないと組織が崩壊してしまう。

――実際にこの間Nintendo Switch版をプレイさせていただいたときに、スキルチェックのアベレージ画面がこの画面だと小さいなと思ったんです。Nintendo Switch版ならではのカスタマイズなど、変更を加える予定はありますか。

マシュー・コート氏:一応今までインプレをしてきて、とりあえずこれはうまくいくと思って出しています。ただ必ずコミュニティやファンの意見をこの3年間を通して耳を傾けてきたので、なるべくプレーヤーには最高の体験をしてほしいと考えています。もし、他のプラットフォームと比較して、「ここが劣っている」というのがあれば、それは改善したいと思います。

 ただ、PCやプレイステーション 4ですでにプレイしていた人が、Nintendo Switchでプレイした場合と、今まで「DbD」に触ったことがなかった人が初めてNintendo Switchでプレイした場合、感じ方もかなり違う可能性があると思います。そこも含め両方を検討していきたいです。

――Nintendo Switch版のバージョンアップのスピードはPS4と同じになりますか。

マシュー・コート氏:はい。一応計画しています。新たなプラットフォームが出るたびにそれが大きな課題にはなるのですが、チャレンジしていきたいと思っています。新しいチャプターであろうと、コンテンツであろうと様々なコンソールを使うプレーヤー全員に同時に渡したいと思っています。

――想定としてはNintendo Switch版が発売されて世界でどれくらいプレーヤーが増えると思っていますか。

マシュー・コート氏:Nintendo Switchによってプレーヤーは増えると思っています。全く読めませんが、最高の結果を望んではいるので、とにかく沢山の人にプレイしてほしいです。Nintendo Switchユーザーはとても多いので、すでにPCやプレイステーション 4でプレイしている人もNintendo Switch版を買ってくれることに、とても期待しています。Nintendo Switchは、PCやプレイステーション 4などでゲームをする人々の、今までと違うニーズを満たしてくれるものだと思います。

――今回のNintendo Switch版から入ってくる人の中にはホラーが好きではない人が非対称型対戦ゲームが好きではじめる人も多いと思います。

マシュー・コート氏:まさに我々も期待していることです。今までは任天堂さんの出していたゲームだけ遊んでいたNintendo Switchファンの人が、トライしてくれる機会になればいいなと思います。任天堂さんもコンソールを子供だけの健全な物というだけでなく、全ての人のためのコンソールにしたいと何年も努力をされています。我々が「健全ではない」ということではないですが、「DbD」には大人っぽいバイオレンスな要素もあるので、人々の中には違う体験がほしいという欲があると思うんです。

9月アップデート新チャプター「ストレンジャー・シングス」 コラボ

――新チャプター「ストレンジャー・シングス」についてお聞きします。まずそもそも「ストレンジャー・シングス」は厳密にはホラーではないと思うのですが、今回コラボの枠を広げた意味はありますか。

マシュー・コート氏:「ストレンジャー・シングス」と「DbD」は「70年代80年代のノスタルジーを楽しむ」と「ホラー映画からインスピレーションを受けていること」2つの共通点があると思っています。完全にホラーではなくても、インスピレーション的には「DbD」と全く同じポジショニングで、十分楽しんでいただけると思います。

――このコラボがはじまったということは「エイリアン」などのホラーでないものとのコラボもあるのではないかと思ってしまいます。

マシュー・コート氏:いくつかあるとは思うんですけれど、リストはどんどん小さくなっています。というのもすでに「DbD」でレジェンドホラーを取り上げていて、残っているのはそんなには多くないんです。ただ、コラボレーションを増やすプランはあります。

――毎回コラボレーションで思うのは本当に再現度が高いですよね。これはチームに好きな人がいるのか、方針として完璧に再現するということがあるのでしょうか。

マシュー・コート氏:両方ですね。何かコラボレーションをするたびに、チームの中に誰か必ずすごいファンの人がいますし、ホラーファンもすごくいます。その中でもハードのディレクターが1番ホラーのディープなファンですね。ただ、なにかプロジェクトをやるたびにその世界になるべく深く入り込むという努力はしています。あと、コラボレーションをするときには必ず尊敬を示せるような形でゲームに取り入れています。


新殺人者(キラー)デモゴルゴン
新生存者(サバイバー)ナンシー・ウィーラー
新生存者(サバイバー)スティーブ・ハリントン

新しいコンテンツも登場 ?「Dead by Daylight 」今後の展望について

――すでにPC版がでてから3年が経過していますが、数カ月に1回のアップデートというのはいつくらいまで続けられる予定ですか。

マシュー・コート氏:我々もまだまだたくさん伝えたいストーリーが残っています。また、人が怖がるものは世界中の文化の中にまだまだ残っていると思います。なにより、我々の作ったストーリー自体もこのゲームの世界観の中でクールな成長の機会があると思っていて、ゲームももっともっと良くなっていきますし、止まることはないと思います。内部的な話ですが、シリーズとして「DbD2」をやろうという話が出たことはあります。しかし、ゲーム業界的に見て全部の努力を1つのゲームに費やしたほうが良いと言う結論に至り、その話はすぐになくなりました。ずっと継続的に改善とか向上をして、もっとコンテンツを人々に与えられるように増やして行きたいと思います。

――新しいハードや技術が出てきた場合、将来的には切り替えなければならない時も来ると思います。そうなった場合に「DbD2」は考えられるんでしょうか。

マシュー・コート氏:それは「もしかしたら」と思っています。常に新しいコンソールが出るとか、新しい機能、コンピュータが出るという機会は我々も必ず観察をしています。もちろん、ゲームでそういったものを取り入れて成功しているものもありますし、常に改善をしていきたいと思っています。また、コミュニティからもし新しいシステムが欲しいという意見があれば勿論考えます。他のゲームのアイデアも実はあるので、それも「もしかしたら、いずれ」というところです。

――「DbD」ファンとして、これから先どうやって「DbD」の世界が広がっていくのか気になるのですが、ただ、バージョンアップ繰り返すだけではなくて映画が出たりしないのかなと思ってしまいます。

マシュー・コート氏:ストーリーを伝える方法がどのような方法がいいか、我々は常に検討しています。映画や、テレビ、コミックなど伝えるいい方法は本当にたくさんあります。ゲームの中でも、ストーリーを伝えるために何かもっといい方法でサポートできれないかと考えています。今現在、進行しているのが「アーカイブ」というコンテンツで、プレーヤーに「なぜこのキャラクターなのか」、「このキャラクターは以前は誰なのか」という裏のストーリーを伝えるエキサイティングなものになっています。

――それは今ゲーム内で読めるストーリーのものですよね。

マシュー・コート氏:そうですね。ただ、「アーカイブ」というコンテンツは新たなシステムでして、完全にいままでとは違う目標やクエストがあったりします。報酬としてコレクションやカスタマイズ、知らなかったストーリーの部分がわかるようになります。伝え方はテキストとイメージとアニメーションを予定しています。

――「アーカイブ」はいつから追加予定ですか。

マシュー・コート氏:まだ日付は決まっていませんが、今年中には。

――モバイル版は日本でのリリースはありますか。

マシュー・コート氏:今年内でのワールドワイドリリースが決まっているのですが、まだ日付は決まっていません。今「DbD」でやっていることはワールドワイドなんですけれども、その中でも日本には注力しています。現在、日本はコミュニティのすごく大きい部分を形成してるのです。また、日本が好きなので、日本に来るきっかけにもなります。

――なるほど。日本がお好きということですが、9月15日にファンミーティングがあります。日本のファンとの交流は楽しみですか。

マシュー・コート氏:今回の出張で、1番エキサイティングしています。日本は文化として、何かに関心を持つことや、ファンになることを誇りを持っている人たちですし、それを見せることにも誇りを持っている。なので、「DbD」のファンの人がそれを示してくれるのが自分にとってはとても素晴らしくて、彼らとコンタクトが取れることは本当に嬉しく光栄だと思っています。そしてコスプレを楽しみにしています。東京ゲームショウではバイオレンスなものはだめということなので、キラーのコスプレはなかなか難しいそうですが、去年はとてもかっこいいサバイバーを見ましたし、ちょっと変わった外見のキャラクターをコスプレしてくれている方もいました。

――最後に、日本のユーザーと新しいユーザーにメッセージをお願いいたします。

マシュー・コート氏:本当に大きな感謝をお伝えしたいです。我々がこうやって日本に来られたり、この最高なゲームと毎日携れて素晴らしい仕事ができるのも、ファンの皆さんが居るからです。私達を支えインスピレーションを与えてくれて、ゲームを何年もプレイしてくれるおかげだと思っています。新しいプレーヤーには「ウェルカム」と言いたいし、あと「勇敢であれ」と言いたい。最初は何度も死ぬと思うのですが、その分勝ったときの喜びも甘さも感じられると思います。既存のプレーヤーの方には新しいプレーヤーに優しくしてください。そしていろいろ教えてあげてくださいね。

――ありがとうございました。