インタビュー

「The Outer Worlds」開発者インタビュー 宇宙企業の支配を暴くか、手を貸すか。自由度抜群スペースオペラのストーリーはどう組み立てられるのか?

10月25日 発売予定

 7月にサンタモニカで開催された「The Outer Worlds」メディア向け体験会。弊誌も日本のメディアとして参加し、プレイすることができた。続いて、本作のLead Designerを務めるObsidian EntertainmentのCharles Staples氏に話を聞くことができた。

 「The Outer Worlds」は非常に魅力的なSFRPGだが、まだあかされていない部分も多く、本作の“広がり”が気になるところだ。まず主人公の立ち位置はどのようなものなのか? 様々なアピールポイントの中で、特にユーザーに見てもらいたいところはどこか? 本作の舞台はいくつもの惑星を股に掛けるものなのか? などなど様々な質問をぶつけてみた。Staples氏の話で、ゲームのディテールがより明確になってきたと思う。今後の情報も楽しみにして欲しい。

本作のLead Designerを務めるObsidian EntertainmentのCharles Staples氏

本作で語りたいのはプレーヤーの選択、キャラクター育成で変わっていくストーリー

 今回、まず最初に確認したのは「プレーヤーの立ち位置」だ。今回の体験会では序盤のチュートリアルをプレイできたが、この展開はネタバレを防ぐため秘密と言うことになっている。では、明かせる部分で、プレーヤーはどのような立場で惑星に降り立つのだろうか?

 Staples氏は主人公の設定について答えた。「プレーヤーは“コールドスリープ”から目覚めた男です。人類は様々な場所に植民惑星を持つようになったが、距離の問題がある。地球から複数の惑星が集まっているコロニー圏HALCYON(ハルシオン)まではハイパースペースを使っても10年かかる。このためコールドスリープで移動していたのだが、主人公の乗った宇宙船は事故で行方不明になり、70年ぶりに発見されたのです。そして企業に支配されているコロニー圏に変化をもたらすべく、HALCYONの中の1つの惑星に降り立つのです」。

 HALCYONは複数の企業連合による危ういバランスの上に成立している。主人公は元々はHALCYONを開拓するために送られた宇宙船のメンバーだった。宇宙船は2つあり、事故により1つだけが先につき開拓を始めた。主人公の乗った2つめの宇宙船はなぜ事故に遭ったのか、そこに企業連合の思惑があったのか、そういう謎も本作の大きなテーマだとStaples氏は語った。ゲームの大きな選択肢の1つとして「企業連合の陰謀を暴く」、「企業連合に協力する」という2つの大きな要素があるという。

様々な企業が支配するコロニー圏HALCYON。体験会で冒険したのは惑星Monarch
企業ロゴはかなり目立つようにデザインされ、独特の味を加えている

 現在、「The Outer Worlds」で体験できた要素ではテーブルトークRPGのような凝ったキャラクターシステム、魅力的なSF世界、多くの選択肢……などなど多彩な要素が体験できたが、開発者達が最もアピールしたいものは何だろうか? この質問にStaples氏は「ストーリーです」と即答した。「ObsidianはシングルプレイヤーRPGの開発にを得意としており、キャラクターの特徴を活かしたストーリーの濃いゲームを作ろうとしています」と重ねてストーリーの面白さを強調した。

 そしてStaples氏の言う“ストーリー”とは、展開やキャラクターのセリフだけではなく、「プレーヤーの選択で変化していく要素」であることも語った。会話の選択肢だけでなく、企業連合に対する大きな選択や、その場での変化、プレーヤーが育てるキャラクターや、一緒に冒険するコンパニオンとの行動でも、他のプレーヤーとは全く異なるストーリーを体験できるようになる。「プレーヤーのアクションがそれぞれのストーリーを生む」そういったゲームならではのストーリーテリングを楽しんで欲しいとStaples氏は語った。

誰が敵になり、味方になるか、プレーヤーの選択で展開は変わっていく

 そして「植民惑星コロニー」というSF世界を舞台にした理由としては、共同ゲームディレクターを務めるTim Cain氏とLeonard Boyarsky氏が共に「SF世界がやりたい」と思っていたことと、「もし企業が支配する世界があるとしたらどのようになるのか。地球外の人類が存在しないコロニー化された文明はプレーヤーにとって面白いプレイグラウンドになるのでは」という考えにたどり着いたからだという。

 この世界では、企業によって植民地そのものが運営され、さらにソーラーエネルギーといった生活にかかせないものまでもが企業によって握られている。こういった現代の世界にはない要素はクリエイターを刺激しているとStaples氏は語った。

 企業が支配する世界は街の雰囲気そのものも変える。看板や放送などあらゆるものが消費を促す企業メッセージに溢れている。企業達が開拓した植民惑星はどのような社会になるか、そういった設定も「The Outer Worlds」の面白さだという。ちなみに本作はHALCYONコロニーで展開する。体験会のステージはコロニーの1つであるMonarch(モナーキ)という惑星であり、他にもいくつかの惑星が登場し、プレーヤーは巡っていくという。

たっぷりのボリュームのシナリオ、多彩なコンパニオンがあなたを待っている!

 本作は非常に自由度が高く、展開が多彩なゲームだ。RPGとは言っても実は1つのゲームスパンは短く、何度も最初からやり直してその展開の多彩さを楽しむゲームなのではないか? という質問をぶつけてみた。

 Staples氏は「メインストーリーはたっぷりとボリュームがある」と語った。短いスパンで最初から何度もやり直すタイプのゲームではなく、大きなメインストーリーを追いながら様々なクエストをこなしていく。それらサブクエストはプレーヤーの選択によって大きく展開が変わり、そしてメインストーリーに影響を与えていくという。

 選択の結果はすぐ現われることもあれば、選択の結果が後々の展開に繋がることもある。「サブストーリーの多さは、そのボリュームにプレーヤーの皆さんが混乱するくらいの膨大なものです。サブストーリーで様々な選択をして、メインストーリーを進めていく。あたかも自分自身がストーリーを紡いでいるような気持ちになると思います。実際、その選択はプレーヤーごとに異なるものになるでしょう」とStaples氏は語った。

 そしてエンディングはマルチエンディングとなるという。プレーヤーの選択、立ち寄った場所、起こした行動……Staples氏は本作のエンディングに関しては同じくObsidianが手がけた「Fallout: New Vegas」をイメージして欲しいと語った。「Fallout: New Vegas」同様、プレーヤーの行動の結果でいくつかのエンディングが用意されているとのことだ。

どこに立ち寄り、どう選択するかでゲームのストーリーは大きく変わっていく

 次に質問したのは、Staples氏自身のお気に入りの要素。特に今回体験会でプレイできた部分でのお気に入りを聞いてみた。「コンパニオンです」とStaples氏は応えた。今回連れ歩いているNyaokaという女性コンパニオンはから受けるクエストが好きとのこと。他にも“パヴァルビ”というコンパニオンを気に入っていて、こちらは製品版で出会うことを楽しみにして欲しいという。

 コンパニオンはただついてくるだけのNPCではなく、彼ら自身にもバックストーリーが用意され、プレーヤーにクエストを依頼してくる。彼らは戦闘に参加することができるが、戦闘に参加させないという選択肢も選べるという。もちろん彼らコンパニオンは今回の2人だけでなく、様々なキャラクターが登場する。誰を仲間にするかはプレーヤーの選択にゆだねられている。

 クエストに応じて彼らを入れ替えることも可能だ。コンパニオン達はそれぞれ得意分野を持っている。状況によってはコンパニオンの利点が、大いに冒険を助けてくれることもあるとのことだ。

会話は多彩な選択肢が用意されており、こちらのスキルが高ければ思った方向に誘導できそうだ

 最後にユーザーへのメッセージとしてStaples氏は、「このゲームをお届けできることをとてもエキサイティングに思っています。『The Outer Worlds』は日本でも世界と同じ10月25日発売です。ぜひ日本の皆さんにも遊んで頂き、どう思ったかを教えて欲しいです」と語った。

 Staples氏のインタビューでより詳細なゲームイメージを掴むことができたと思う。壮大な冒険が10月25日には楽しむことができる。続報に期待しつつ発売日を心待ちにしていきたい。

イベントが行なわれたサンタモニカは、ロサンゼルス西部にある都市で、人気の観光地だ。映画やゲームの舞台となることも多く、「GTA V」のプレーヤーならば見覚えがあるのではないだろうか