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辺境宇宙での冒険! 「The Outer Worlds」体験会レポート

キャラクターシステム、戦闘、会話、その自由度の高さを実感

10月25日 発売予定

 Private DivisionとObsidian Entertainmentは、7月16日に北米サンタモニカにてメディアを招き、SFRPG「The Outer Worlds」の体験会を開催した。本体験会ではゲームの序盤を体験できただけでなく、さらにE3で行なわれたプレイデモの部分も実際にプレイでき、具体的なゲームの姿をより知ることができた。

 「The Outer Worlds」は、遙か宇宙の彼方まで人類が進出した世界を描くSFRPGだ。舞台となるのは辺境の惑星「HALCYON」。ここはいくつもの企業が支配権を争いながら微妙なバランスを保っていた。しかし、ここに1人の男(あるいは女)が降り立ったとき、世界は大きく変化するのだ。プレーヤーキャラクターはHALCYON(ハルシオン)に何をもたらすのだろうか?

 今回はあえてネタバレ、ゲームにはじめて触れる気持ちを大事にしたいと言うことで、体験した序盤部分は触れず、レベル11から体験できるフィールドでの体験を中心にレポートしたい。本作ならではの世界観、相棒となる「コンパニオン」の存在、独特の会話システムなど様々な要素を体験できた。ゲームの感触を紹介していきたい。

北米サンタモニカにて、北米メディアを中心に、日本や中国のメディアも招いて実施された

多彩なステータスとスキル、TRPG風の詳細なキャラクター描写は大きな魅力

 今回体験できたのは「レベル11」のキャラクターである。本作はレベル制を採用しており、レベルが上がることでスキルを増強させ、より強力なキャラクターに成長させていく。このキャラクターのパラメーターが実は非常に細かいのだ。

 キャラクターのステータスはまず「能力値」がある。「Strength(筋力)」、「Dexterity(器用さ)」、「Intelligence(知性)」、「Perception(知覚)」、「Charm(魅力)」、「Temperament(気質)」がある。キャラクターメイキングでは、この6つの能力値にポイントを付け足すことで長所を作っていく。初期値がAverageでポイントを割り振るとGood、Highと高まっていく、逆に低くBelow Averageにすると、割り振れるポイントが増える。わざと短所を作ることで、他の長所を伸ばす、という選択も可能なのだ。

キャラクターシステム。能力値やスキルなどはかなり細かい

 各能力値は、スキルやゲームの展開に繋がっていく。Strengthを上げれば近接攻撃ダメージにボーナスがつくし持ち運べる量が増える。、Intelligenceを上げると会話の選択肢が増えるなど、様々な特典がある。スキルは格闘武器、射撃武器、防御、対話、隠密など大きなカテゴリーの中に、Sneak、Hack、Lockpickなどサブカテゴリーが存在し、ここにポイントを割り振ることでキャラクターの初期スキルが決定される。スキルはゲーム内で使用することで経験値を得て、レベルアップ時に強化することが可能だ。

 さらに「Aptitude(適性)」という要素がある。ここには「建設業者」、「化学者」、「農家」など職業的な項目が並んでおり、これらの内1つを選ぶことで、スキルにボーナスが与えられる仕組みだ。

 本作のキャラクターシステムは「The Outer Worlds」の姿勢を強く感じることができた。細かいステータス、様々なスキルは、非常に「テーブルトークRPG」っぽい。プレーヤーは自分をどのようなキャラクターにするか悩み、そしてスキルを取っていくだろう。強力な両手武器が手に入っても、スキルは片手武器に特化しているから使わない、といった展開もあり得る。

 しかし、プレーヤーキャラクターが苦手な武器でも、コンパニオン用にするということも可能だ。コンパニオンとのバランスを考えたキャラクター育成も可能となりそうな感じだ。まだ体験できていないが、他のスキルもコンパニオンとの協力を考えて育てていけるのを期待したい。スキルはどうしても限られたものを上げていく形になりそうで、キャラクターによってプレイ風景は大きく異なるものとなりそうだ。

遙か未来を描く「The Outer Worlds」だが、古めかしいアメリカの雰囲気もある。HALCYONは植民惑星だが、荒々しい自然がそのままで、怪物が歩き回っているのは、1950年代の古いアメリカのペーパーバックSFの様だ

ステルス? 強襲? コンパニオンと連携して行なう戦闘

 今回はE3で紹介したデモと同じプレイデータでの体験となった。街の外には広大なMonarch(モナーキ)HALCYONの大地が広がっている。HALCYONは複数の惑星が集まっているコロニー圏であり、Monarchはその1つ。人類の植民惑星であるMonarchだが、その開発はまだまだで、外は荒々しい自然、強力な原住生物がいる。最初はデモをまねて、道沿いに進み離れた施設を目指してみた。

 施設までの道にはいくつかの関門があり、敵が待ち受けている。ここでは敵との戦いは避けられそうにない。しゃがむことでステルス性は上がるので、最初の敵は奇襲することができる。ステルスのスキルが上がれば隠れたまま進んでいくのも可能そうだ。こちらの武器は拳銃、スナイパーライフル、大型のマシンガンなど武器も揃っており、敵と対等以上に渡り合うことができた。

 敵と戦うとコンパニオンが加勢してくれる。コンパニオンは今回は2人いて、1人が接近戦、もう1人が遠距離攻撃をしてくれる。隠れているときに「静かに、静かーに!」といったような、こちらを揶揄するような台詞を言ったり、普段でも話しかけてきたりとコンパニオンはキャラクター性豊かで一緒に行動していると強く愛着がわくというのもわかった。

多彩な武器が用意されている
コンパニオンが戦いには加勢してくれる

 戦闘はリアルタイムでFPSの感触に近い。敵は遮蔽物に隠れたりするし、ヘッドショットの概念もある。設置されているタンクを破壊すると周囲にダメージを与えたりとアクション性の高いメカニクスも確認できた。ダメージを受けた場合はボタン1つで回復できるシステムもあり、敵に近づいた場合は武器を切り替えて近接攻撃に移ることもできた。複数の戦闘スキルを上げて戦うのも楽しそうだ。

 より有利に戦えるのが「TTD(Tactical Time Dilation)」。このシステムを発動させることで時間の速度がゆっくりとなり、正確に敵の部位を狙える。ヘッドショットがやりやすくなるし、近接ではより速く攻撃を当てられる。TTDはゲージを必要とするため連続使用はできないが、戦いを有利にしてくれるシステムだ。

【「The Outer Worlds」、コンパニオンと共に戦う】

嘘で器用に乗り切れる? 多彩な選択ができる会話システム

 敵の関門を突破しつつ前に進むと強力そうな門が現われる。この中が目的の施設なのだが、E3のデモプレイではこれを迂回し、湖の中の隠し通路を進んでいた。記憶を頼りに進んでいくと……あった! うまく中に潜入することができた。

 施設の中には養豚場や工場、さらには従業員達の生活ブロックもある。作業ブロックでは潜入を感知されると戦闘になるが隠れてやり過ごすことも可能だ。警備ロボットのデザインは牛乳の缶に手足の生えたような古典的SFデザインで楽しい。

 生活ブロックでは潜入さえすることができれば警戒されつつも周囲を探索できる。しかし先に行くドアに近づいたり、警戒心の強い警備兵に呼び止められるとすぐさま詰問を受けることとなる。

 「The Outer Worlds」の大きな特徴がこの会話システムだ。プレーヤーはいくつかの選択肢で相手の反応を変えることができる。面白いのは選択肢にかなりの確率で“嘘”が混じっているところ。嘘は本作のかなり重要なスキルと言える。警戒の強い地域ではこの嘘をつくことでその場をごまかし危機を回避できそうである。

会話は多彩な選択肢が用意されており、こちらのスキルが高ければ思った方向に誘導できそうだ

 実は本作の面白さは“ユーモア”である。会話のノリはかなり軽く、相手をからかうようなもの、似た言葉なのに選択肢となると大きく意味が変わってくるものや、とぼけた受け答えが多いのだが、筆者のように英語が苦手なプレーヤーにとっては、原文はかなり英語力が要求されるため、本作の魅力を十二分に楽しむというところができなかった。

 「The Outer Worlds」はダウンロード販売という形で世界中に同タイミングで販売される予定だ。英語だけでなく、ヨーロッパ言語、日本語、中国語、韓国語など様々な言葉でのローカライズも行なわれる。会話も含め本作は「テキストによるストーリーテリング」に重きを置いている。戦闘と同じように、会話のテクニックも重要なので、口八丁、手八丁で難局をすり抜けるということもできる。ぜひ日本語でこの魅力を感じたいと思った。

敵の拠点でも会話さえうまくいけば乗り切れるが、失敗すれば囲まれることに

 この施設内では結局戦闘になってしまい、施設内を制圧したのだが、セキュリティドアを抜けることができなかった。力押しだけでは進めず、探索や、重要人物との交渉が必要なようだった。E3のデモでは暗殺目的でこの施設に潜入するが、相手の事情を聞き、逆に依頼主と戦う選択を選ぶシーンがあった。ユーザーの選択による展開の面白さは、かなりのものがありそうである。

【「The Outer Worlds」、会話で乗り切る】

コンパニオンからもクエストが発生! 今後さらに掘り下げられる魅力

 今回はプレイ時間が1時間ほどあったため、施設に向かう以外のプレイをしてみようと思ったのだが……敵が強くてかなり凹んだ。道を外れたところにいる敵は巨大なカマキリのような原住生物で、炎を吐きかけてくる。1体ならば何とかなるが数体がリンクする場合も多い。しかもかなり数が多く囲まれるとまずコンパニオンが倒されてしまう。

 逃げ回っても倒されてしまうことが多く、正直それほど広くを探索できなかった。実際にゲームをプレイしてこのマップにたどり着けていればここがどういった場所か、どこが危険かなどの感覚がわかるが、ロードしたデータのため土地勘が効かず迷ってしまった。実際のプレイでは気合いを入れて挑みたいところだ。

 一方、コンパニオンに関しては面白いことがあった。話しかけるとクエストが発生したのだ。彼らは何らかの背景を持っており、出会いなどもとても気になる。彼らとはクエストなどでも繋がっていくことでよりキャラクター性が掘り下げられると感じた。コンパニオンは「The Outer Worlds」の大きな魅力であり、プレイを楽しみにさせてくれる大きな要素である。

フィールドには強力な原住生物が待ち構えている

 今回、用意されたキャラクターでフィールドを歩いてみた。道をたどって街にも行ったりしたのだが、いかんせん途中の場所なのでここがどこか、ストーリーの大筋がわかりにくくちょっとのめり込めないところがあった。一方でゲームシステムのディテールが明確になり、このシステムでどのような冒険ができるか、期待は大きく高まった。

 本作は宇宙開拓時代を舞台としたゲームであるが、他の惑星にも行くのか、コンパニオンは何人も登場するのだろうか? ゲーム全体としてかなりの時間を使ってストーリーを追うゲームか、結末までは短いがその幅が非常に広いゲームなのだろうか? 気になる部分を開発者インタビューで質問しているので、併せて読んで欲しい。

 「The Outer Worlds」は植民惑星を歩み、企業に支配されている世界のパワーバランスを崩していくという、いわば自身が「台風の目」となる楽しさがあるRPGだ。星間飛行を成し遂げる未来でありながら、さながら西部劇のような世界の描写、地球と大きく異なる惑星の風景、個性的なキャラクターと、ユニークな会話。

 今回はこういった大きな要素よりも、詳細なキャラクターシステムや惑星や街の雰囲気、独特のシステムなどディテール部分を触ることができた。今回の体験会で、本編や今後の情報が非常に楽しみになってきた。続報に期待して欲しい。