インタビュー

「CODE VEIN」開発者インタビュー

“リスタート”することで生まれたプレーヤー自身のスタイル構築

2019年発売予定

価格:
PS4版/Xbox One版 8,200円(税別)
STEAM版 オープン価格
CEROレーティング:D(17才以上対象)

 バンダイナムコエンターテインメントが2019年に発売を予定しているドラマティック探索アクションRPG「CODE VEIN」。昨年9月の発売予定を延期し、“リスタート”という形で現在も鋭意制作中の本作は、この5月中にはネットワークテストが予定され、その同等のビルトを使用したメディア向け体験会のレポートもお届けしている。

 このメディア向け体験会では、本作のプレゼンテーションを行ったディレクターの吉村広氏、アクションディレクター/サブディレクターの依田優一氏へのインタビューも実施された。ここではその模様をお届けしていこう。

アクションディレクター/サブディレクター依田優一氏(写真左)とディレクター吉村広氏

アクション性、キャラクター性を活かし、バディと共に戦う楽しさ

――このインタビューが公開されるタイミングで、本作の“リスタート”が発表されましたが、まずはその前に、本作がどのような経緯で企画されたのかをお聞かせください。

吉村氏:ワールドワイドのゲーム市場が大きくなる中で、我々の持っている武器を生かして何か新しい挑戦ができないかというのが企画の最初の経緯でした。

 では一体何ができるのかということで挙がったのが、近年ジャンルとして定着し始めていた“高難度の探索アクション”でした。我々が「ゴッドイーター」などで培ってきた、キャラクターのパラメータをビルドして爽快に戦い、なおかつストーリードリブンな内容が、探索アクションとも親和性が高いのではないかと考え、新たなコンテンツとして立ち上げたのが最初の発端ですね。

――ジャンル的には初めて挑戦するところかと思うのですが、そこに挑むことに対しての苦労などはありましたか?

吉村氏:我々は、テンポの良さや爽快感、外連味あふれるアクションを得意とするチームではあるんですが、それに対して本作のような高い難易度の探索アクションとは相反するところがあり、そのバランス取りに苦労しました。敵の動きを見ての緻密な攻防を展開させつつも、自分のターンでは爽快感を味わえるようなバランスとするために、ゲームスピードの選定などはかなり時間をかけましたね。

 それともう1つ、同系のゲームとの差別化した要素として「バディ」というNPCとの共闘があるんですが、そのバディを加えつつも戦闘に緊張感が出るような難易度の調整は苦労したところです。

――御社の得意分野としてもう一つ、登場するキャラクターのデザインや設定などもかなり作り込まれている印象を受けましたが、どのようなコンセプトで作られたのでしょうか。

吉村氏:キャラクターの魅力や個性を引き立たせつつ、実際に存在してもおかしくないような存在感のある、アニメとフォトリアルの中間の魅力を持たせるというのがコンセプトでした。NPCなどもたくさん登場しますが、1人1人デフォルメの具合なども微妙に変えていて、なおかつゲーム全体では統一感を持たせるようなデザインを心がけ、全体で半年以上の時間をかけて作り上げました。我々がワールドワイド市場に対しどれだけ差別化できる作品を出せるのかという結果が、このキャラクターデザインにも出ていますね。

――そんなゲーム開発を踏まえて、今回のリスタートとなったわけですが、そこに至るまでの顛末についてもお聞かせください。

吉村氏:ゲームのコンセプトや方針などは、昨年9月の発売が決まっていた時期からまったく変わっていません。その段階では我々としても満足いただける完成度のものになっていたと思います。ですが、我々が提示した本作のコンセプトの可能性はさらに高いところにあるのではないかと考え、我々開発スタッフを中心に社内で協議を行い、発売延期を決断しました。

 全体的な品質向上はもちろんのこと、キャラクター見た目やバトルにおける戦い方のボリュームなど、プレイヤーが自分のスタイルを構築していくという本作の軸となる魅力の部分をさらに作り込むことで、これまで以上の完成度になるのが見えてきたことが一番大きなポイントだったと思っています。

――昨年9月の発売の段階から最も大きく変わったところを挙げるとすればどこになりますか?

吉村氏:強いて言うならば、練血の中にアクションを伴うものがあり、そのレスポンスを向上させることで、戦闘でそれを即座に繰り出して別の攻撃に繋げられるような、アクション部分の改良や追加などの部分は、特にわかりやすく変わったところかもしれません。また細かな改良点では、レーダーマップの追加やマップの踏破率の表示など、探索における機能を充実させたという部分もあります。

――アクションの改良や追加において、ゲーム全体のレベルデザインに調整が必要になるかと思うのですが、そこはどのようにされたのでしょうか。

吉村氏:この「CODE VEIN」というゲームは、難易度の高いチャレンジが必要なゲームとして設計しているので、新しいアクションが追加されれば、当然ながらバランスは変わってきます。それを踏まえて、敵の配置などを中心に全ダンジョンに調整をかけています。

依田氏:新たに追加した練血も含め、使用時に消費する冥血の量や再びリキャストまでの時間などは、それぞれの性能に見合ったコストに調整し、ゲーム全体のバランスが崩れないようにしました。

――ネットワークを介したのマルチプレイはどのような仕組みになっているのでしょうか

吉村氏:ダンジョンの中で「救難信号」を出すことで、他のプレイヤーとマッチングして、一緒にプレイができます。原則的に、全てのダンジョンでマルチプレイが可能です。

――ランダムマッチングとフレンドとのマッチングの両対応と理解していいですか?

吉村氏:はい、ランダムの場合は条件が合った相手がマッチングされて、フレンドとプレイする場合は特定のキーワードを決めてマッチングする仕様です。

――オンラインでマルチプレイをする場合、それに合わせた難易度調整などはされますか?

吉村氏:マルチプレイ時における難易度については、ボスのパラメータに補正が入るようになっています。

――マルチで遊ぶことで、アイテムのドロップ率が変わるといった恩恵のようなものはありますか?

吉村氏:ドロップ率など、具体的な恩恵に関与するような仕組みはありませんが、トータルバランスとしては、ソロでプレイするよりもゲームクリアをしやすいようにはなっています。

――体験会で披露された「深層」について、改めてどんなものなのか教えてください。

吉村氏:深層は特定の条件を満たすことで行けるダンジョンで、それ自体を出現させるための遊びがあります。この場所の大きな特徴としては、ボス戦にフォーカスしていて、通常のダンジョンでは倒すといなくなってしまうボスに何度も挑めます。それによって経験値を稼いだり、素材を集めたりすることができるようになっています。

依田氏:探索することよりも、ボスと戦うまでのプロセスをサクッと遊んでいただくような設計にしています。もちろんマルチプレイも可能で、本編のように時間をかけて遊ぶのではなく、ボスを倒すまでの行程を楽しむような内容ですね。

吉村氏:今回用意させていただいた「贄の街」には「血の試練」という、敵が大量に侵入してくる深層ならではのイベントともあるので、コンパクトに戦える場所でありながら、起伏のあるゲームプレイを楽しんでいただけると思います。

――ゲームクリア後のコンテンツというわけではないんですね。

吉村氏:はい、ゲーム中に地図を入手することで行けるようになります。この地図はダンジョンで見つけられるほか、サブクエストなどで手に入れられます。

――世界観やストーリーを優先して楽しみたいけど、アクションはちょっと苦手という人には、どのような遊び方を推奨されますか?

吉村氏:本作はレベルを上げることで、強いキャラクターを作ることができるというのが特徴で、アクションのみならず、強さの面でも自分に最適化したものを選んでいけます。ブラッドコードなど、カスタマイズにおける選択肢はたくさん用意しているので、いろいろと試していたいて、自分に合ったスタイルを見つけていただくのが攻略の第一歩だと思います。

 もし気に入らなかった場合でも、取り返しがつく設計なので、もし自分に向いていないと思ったら、別のブラッドモードを試していただくことで、戦い方や強さもガラッと変わりますので、アクションが多少苦手な方でも楽しんでいただけるかと思っています。

依田氏:まずは最初のブラッドコードの「ファイター」でいろんな武器を使ってみて、気に入った武器で戦えるようになってきたら、別のブラッドコードを試して、自分に合ったものを探していくというのが基本的な流れですね。

吉村氏:難しくて何度もトライするゲームではあるのですが、装備やブラッドコードなどにたくさんの選択肢を設けて、リトライする際にいろいろと試行錯誤しながら進めるような構造になっています。この手のアクションゲームは往々にして心が折れやすいものですが、本作は難易度は高いゲームでありながら、心が折れづらいようになっています。

――初心者がプレイする場合、最初はマルチプレイで誰かに手伝ってもらったほうがよかったりしますか?

吉村氏:順番としては、まず最初はソロで遊んで、自分に向いている戦い方を模索していただいて、それを見つけてから共闘するほうが、お互いの個性を生かした戦い方ができると思います。特に深層などはマルチプレイにも向いているので、状況によって両者が戦い方を変えながら遊んでいたくことで楽しんでいただけると思います。

――ゲームのボリュームはどのぐらいに設定しているのでしょうか。

吉村氏:初見の方がストーリークリアまでかかる時間は35時間から45 時間ぐらいになるかと思うのですが、深層やサブクエス、あるいは全てのエンディングを見るといったチャレンジすることで、さらに遊べますよ。

――この5月中に予定されているネットワークテストでは、ユーザーから出た要望が反映されることはありますか?

吉村氏:延期させていただいた期間も含めて、長い時間をかけてゲームのクオリティアップをしてきていて、その中でも以前体験いただいたお客様からの声は反映させていただきました。

 今回ネットワークテストで触っていただく内容は、現時点で十分にお客様に満足いただけるような自信を持っています。そのうえでお客様がプレイされたときに、何かしらの阻害要因が出てしまったところがあれば、こちらで把握次第対応させていただく予定です。

――ネットワークテストの期間はどのぐらいになりますか?

吉村氏:期間に関しては調整中ですが、発表後のお客様の反応などを踏まえつつ、ある程度流動的なるということは意識しています。

――例えば、盛り上がりによっては、テスト期間が延びたりすることもありそうですか?

吉村氏:そうですね、盛り上がっていただけるようならそこも考えたいです。

――ネットワークテスト以降、何か決まっている予定などがありましたら教えてください。

吉村氏:まだ具体的にお話しはできませんが、情報に関しては、ネットワークテストを皮切りにどんどん出していくことを考えていますので、ご期待ください。

――最後に発売に向けて、一言いただければと思います。

依田氏:大変長らくお待ちいただき、本当にありがとうございます。説明させていただきましたように、発売延期前のボリュームにさらに強化要素などを加えていよいよリリースの目途が立ってきました。これから発売までの期間を使ってさらにいいものに仕上げますので、引き続きご期待いただければと思います。

吉村氏:リスタート前に体験いただいたアクション部分に関しては、この「CODE VEIN」の魅力の一部分でした。やはり本当に楽しめるのは、自分自身が主人公となってバディとともに探索をしながら、自分自身をビルドしていくというところが大きなポイントとなりますので、今回のネットワークテストでもその部分はしっかり体験できるようになっています。またそうして作り上げた自分自身のキャラクターを持ち寄って、難易度の高いところに挑戦するという体験もご用意していますので、ぜひ楽しんでいただきたいですね。

――ありがとうございました。

Amazonで購入