インタビュー
ついにコンソール版解禁! 「World of Warships Legends」インプレッション
4K/HDR対応、独自の9対9バトル、コマンダーシステムで、新規層の取り込みを狙う
2018年8月27日 02:19
Wargaming.netは、今年、E3と東京ゲームショウへの出展を見送り、Gamescomにフォーカスしていた。Gamescomでは、フラッグシップタイトルである「World of Tanks」を筆頭に、様々なタイトルを出展していたが、Gamescomに合わせて発表した新規タイトルが「World of Warships Legends」だ。
現在はまだ社内テスト中で、9月よりPS4およびXbox Oneでβテストが行なわれる予定となっている。今回はWargaming.net CEOのビクター・キスリー氏と、「World of Warships Legends」クリエイティブディレクターのダニー・ヴォルコフ氏に話を伺うことができたので、最新情報をお届けしたい。
「World of Warships Legends」は、2015年にWargaming.netがサービスを開始したオンライン海戦ゲーム「World of Warships」のコンソール移植版だ。「World of Tanks」における「World of Tanks Console」的な位置づけと捉えればいいが、それらと大きく違うのは、グラフィックスやUIの最適化に留まらず、ゲーム性にも大きな変化が加えられているところだ。
もっとも大きな違いは、対戦人数だ。最大12対12が最大9対9となり、それに合わせて戦場もコンパクトになる。当然バトル展開も早くなり、会敵までの時間や1戦あたりの時間が短くなる。24人から18人というと、あまり違わないように感じるかもしれないが、もはや別のゲームだと感じた。
ヴォルコフ氏は、αテスト中のサーバーに接続して実際にプレイしながら質問に答えてくれたが、ゲームとしてもかなりカジュアルになっていることがわかった。現行のPC版は、ハイスペックのPCが要求され、マウスとキーボードによる繊細な操作が必要となるが、「World of Warships Legends」はPS4かXbox Oneがあればコントローラーひとつで手軽に楽しむことができる。
「オッ」と思ったのは、オートエイム機能が搭載されているところだ。コントローラー操作では、動く敵に狙いを付け続けるという操作が構造上難しい。それをサポートするために、ターゲットを決めた後は、オートエイムが有効になり、敵の艦の動きに追従するようになっている。これにより、シビアなアナログ操作をしなくても、敵艦に砲撃を当てやすくなっている。
グラフィックスについては、PS4 ProやXbox One Xなら4K/HDRでも楽しめるようになる見込みで、今回のバージョンはまだ通常のフルHDバージョンだったが、グラフィックスがすでにTVに最適化されていることもあって、PC版に勝るとも劣らない美しさだった。「WoT Console」と同様、UIがTVに最適化され、大きく表示されていて、大きな画面で離れて見ても認識しやすくなっている。
そのほか、艦のアップグレードは、系統別に任意でアップグレードしていくPC版の方式を止め、「WoT Console」と同じ、あらかじめ一本道が敷かれ、すべてアップグレードが完了すると次のTierの開発が可能となるパッケージ方式に変更されている。
また、βバージョンでは、9対9のゲームバランスを取るため、登場国家は日本とアメリカの2カ国に限定し、空母は実装せず、TierもVIIを上限とする。空母については、バランス云々というよりは、彼らが「RTSモード」と呼ぶ、バードビューの視点がまだ実装できていないためで、どの段階になるかはわからないが、空母も実装するという。
TierをVIIに制限する理由は、空母抜きではTierXの大和を有効に撃退する手段がないことから、戦場が大和祭りになることを避けたいためだ。まずはTier VIIまでの駆逐艦、巡洋艦、戦艦でゲームバランスを調整し、ある程度バランスが見えてきたところで新たな国家、高Tier、空母を順次解放していく方針だ。
そしてもう1つ、PC版からの大きな違いが「コマンダーシステム」だ。ここでいうコマンダーとは、自らが乗る艦の艦長を指しており、ヴォルコフ氏は日本人の筆者に対して、「山本五十六もいるよ」と笑顔で教えてくれた。ヴォルコフ氏によれば、1つの国に対して10人前後の艦長を用意し、それぞれ得意とする艦種、固有のスキルを持ち、艦長自体を育てていくことにより、任意の艦艇の強みをより大きく引き出すことができるようになるという。
という、と書いたのは、現時点でコマンダーシステムは企画段階の仕様で、まだ影も形もなかったからだ。コマンダーシステムは、艦の育成とは別軸の成長要素で、うまくハマれば「WoWS Legends」の大きな魅力のひとつとなりそうだが、願わくば登場する艦長達は、後世に伝えられる“提督時代”のビジュアルではなく、山本五十六なら、その15年前の五十鈴、赤城艦長時代の若々しい風貌にして欲しいところだ。
なお、9月から実施されるβテストには、日本からも参加できるという。表示が日本語になるかどうかは、今回ウォーゲーミングジャパンからスタッフが1人も参加していなかったためわからないが、「WoWS Legends」の初期ローンチ地域は、日本、アメリカ、英国というコンソールゲームの強いエリアを予定しており、早い段階で日本語版で遊べる見込みだ。
気になるサービス開始時期は、2019年中を予定。これは9月からスタートするβテストの結果次第で、どの程度再開発に時間を掛けるべきか変わってくるためで、コマンダーシステムが完全に未実装な点を踏まえても、2019年半ばから後半になりそうだ。ビジネスモデルは、PC版同様、基本プレイ無料のサービス課金制となる。
最後に、ヴォルコフ氏とキスリー氏の日本のゲームファン向けのコメントを掲載して記事の締めくくりとしたい。
ヴォルコフ氏:我々は日本のゲームコミュニティを愛しています。グローバルにおいて日本のコミュニティは非常に重要な存在で、我々「WoWS Legends」開発チームとしても、アジアでもっとも「WoWS」を楽しんでくれている国で、コンソールゲームの強い国として大きな期待を寄せています。プレイステーションのホームカントリーに提供できることを嬉しく思います。「WoWS Legends」を喜んでくれることを願っています。
キスリー氏:「WoWS」がプレイステーションにやってくる! ミスター中村には、以前にも伝えたと思うが、私はもともとマウス(「World of Tanks」のTier X重戦車)が好きだったが、昨年、日本のType 5 Heavy(日本のTierX重戦車)が好きになった。そして今は「WoWS」のモバイルバージョンをメインでプレイしていて、ようやく島風(日本のTierX駆逐艦)を手に入れることができた。島風は、まだ10バトルしかやってないが、勝率8割! とても強い! というわけでぜひ日本の皆さんも「WoWS」を楽しんでみて欲しい! 以上!