インタビュー
【ネタバレ注意!】「FFXIV: 紅蓮のリベレーター」ストーリー完結記念インタビュー
パッチ4.3の裏話から、次の4.4、期待される5.0まで、気になる話をまとめて聞いてきた
2018年6月18日 00:00
- 6月14日収録
- 会場:Los Angeles Convention Center
E3恒例となっている「ファイナルファンタジーXIV」プロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏とのインタビューだが、今年は、エキスパンションがリリースされる年ではなく、タイミング的にもパッチ4.3と4.4の間で、さりとてE3初日に電撃発表された「モンスターハンターワールド」とのコラボレーションも、先日の吉田直樹P&辻本良三Pインタビューで一通り聞いてしまったため、筆者の独断でネタバレインタビューを実施することにした。吉田氏に事前に確認したところ「別にいいですよ」とのことだったので、パッチ4.3から来たるべき5.0に至るまで、気になる話をまとめて聞いてきた。
繰り返すが豪快にネタバレをしてしまっているため、ネタバレを嫌う光の戦士の皆さんは、「FFXIV」×「モンハンワールド」コラボ決定記念インタビューに転進していただくか、読むのを止めることをオススメしておきたい。
絶アルテマ戦について「彼らの攻略時間は88時間」。絶コンテンツは1拡張に2回程度に
――まずは時事ネタから質問させてください。絶アルテマが突破されましたが、その感想から聞かせてください。
吉田氏:今回新しいギミックというか、バトル全体として、解き方自体にトラップじゃないですが、仕掛けがありました。それは、そもそも蛮神を覚醒させた状態で倒さなければならず、その覚醒のバフを自分たちにつけておいて、特定のフェーズで覚醒のバフによって限界突破してリミットブレイクを連発して切り抜けるというギミックを作りました。
当然ながら皆さんはそんなギミックがあることはわからないので、最初は単純に三蛮神を倒していくと、アルティマフェーズでどうしてもワイプする。いったいこれはどういうことなんだ、そもそも攻略方法が違うのでは?と遡って、もう1回戦略を組み直すというレイド全体に対して仕掛けがあるんですね。
これは1回だけではなくて、後半にもいろいろあるんですが、これが果たしてストレスと感じてしまうのか、それとも「スゲーこと考えるな」と思ってもらえるのか。それに関しては蓋を開けてみるまでちょっとわからないかなと思っていたんですが、ワールドファーストレースしているような人達も含め、昨日それを配信してる人とインタビューだったんですが、「どうだった?」って聞いたら、「エキサイトだった、あれを考えついたデザイナーは天才だ」と言ってくれて、そこはワールドファーストを争っているチームしかわからないところで、攻略動画が出てしまえば、後は最初からそれをトレースするだけになってしまうので、彼らはワールドワイドで、レイドチームを編成して「World of Warcraft」などのタイトルでいろいろなレイドをやってきている人たちなので、そこを高く評価してもらえたのは、良かった点かなと思っています。
――攻略までのスピードについては如何ですか?
吉田氏:今回は絶バハムートに比べると、バトルが短くなりました。前回はバトル自体が長すぎたというフィードバックがあって。前回は20分弱戦い続けてノーミスじゃないとクリアできないという難易度だったので、それが精神的に辛すぎると。であれば今回はバトル時間を15分ぐらいにおさめた上で、ギミック、要はテンポの速いバトルに切り替えて、とにかく正しい解法をどう見つけるのかというところにフォーカスしていたので、特に速さについては意識していませんでした。
僕らが言っていたのは、2週間以内にクリアしてくれないと、多分彼らのモチベーションが続かないので。どんなに長くなっても2週間でクリアしてほしいという願いでいたんですが、きれいに5日ちょっとでクリアしてくれました。きれいに5日と言っても、彼らは寝てないんで(笑)。だから、本当に終わってくれてよかったと思います。
――5日という期間は想定の範囲内ですか?
吉田氏:正直、想定はできませんでした。あのレベルの難易度になると、日数というか時間になってきます。彼らの攻略時間は88時間。人間の生活で割り算してくださいっていう感じですね。ほんとクリアしてくれてよかったです。
――「絶アルテマ」の必ず全滅するフェーズは、解き方を探る要素になっていますが、この制作当初の意図はどういうものなのですか?
吉田氏:「FFXIV」のレイドコンテンツに関しては、事前に各レイドを担当するデザイナーを誰が担当するかを決めるのですが、その担当デザイナーが、そのレイドのコンセプトを決める段階で、彼の方から、今回はその場その場のギミックを対処していくコンセプトを出してくれました、
前回の「絶バハムート」がそうで、解法を見つけたら1フェーズ進む、ワイプしたら解放を探す。今回に関しては、その要素プラス、そもそも全体を通して謎解きがある、というコンセプトにしたいと。「新生FFXIV」の最初のレイドである、「大迷宮バハムート邂逅編」の1層、2層、4層、5層をひとりで作った人間が今回担当してるんですが、あの時、ツインタニアも結局、最後の拘束具を、最後の最後までいって、拘束具をどこに落としておくかが、実はとても重要になる。ワイプして、もう一度どのポイントで拘束具を破壊して、どこに落としておくかということが結局最後のギミックに影響してくる。彼はそういうタイプなので。あれをキチンと全体を通してもう一度、今だからこそそういう作りにしたいという話だったので。それは確かに面白いねということで、それでデザインが始まりました。
――担当者は誰ですか?
吉田氏:いずれどこかのイベントで出す機会があるので、それまでは伏せて起きます。さすがに、本人の了承なく名前を出すのは、かわいそうといえばかわいそうなので。
――そういうまだ名前を出していないようなレイドデザイナーがいたんですね。
吉田氏:そうですね。名前はまだ出してない。ただ、バトルのほぼ設計をやってる天才君なので。「大迷宮バハムート邂逅編」1層、2層、4層、5層、ひとりでです。新生のタイミングで。「FFXIV」のレイドのデザインを一番最初に彼が作るべきだといって。だから、須藤より格は上というか。
新生以降もそうですがすべてのEXP、アイテムレベルデザイン、アイテムレベルに対してのサブパラメーターの設計とかをひとりで全部やっている人です。なので、コア中のコアです。ただ、バトルは色々いわれやすいので、出してないというだけです。あとは、これを言うと若干荒れるかもしれないんですが、ラムウとモーグリの担当でもあります(笑)。なので、妖怪玉拾いを生んでみたりとか、「極モグ」で、全員きれいにちゃんと削れないとダメとか、要は凄く解法に、解き方にこだわるタイプの制作者です。
――今回は副産物として、タイタンのジェイル対象者が、ツールで事前にわかってしまうということがありました。そこについて、PLLで今後ないようにしたいとおっしゃっていましたが、もう少し細かく聞かせていただけますか。
吉田氏:要はツール上で、サーバーから送られているパケットをいち早く、わかりやすいように表示されてしまったんですね。本当だったらそこは誰に来たのかというのを判断して、動くべきなんですが、ジョブアイコンが出るようになってしまっていたので、僕らが想定しているよりは、判別が楽になってしまっていました。正規パケットを単純に表示しているだけにせよ、パケットの送り方とか、送るタイミング、それからエフェクトでの感知について、ツール側が混乱するような、もう一段プログラムをかけなければいけないなと思っています。
――今後は同じことはできなくなる?
吉田氏:その点についてはちゃんとツールを見ていただかないと答えをきちんと多分判断できないと思いますよ。これはエンジニアリングの話なので。
――つまり、表に出ている話以外に、我々の知らないようなツールクリエイターとのせめぎ合いがあるわけですね。
吉田氏:それはそうですよね。世界中のハッカーやRMT業者のBOTをつぶす対策なんて、僕ら死ぬほど毎回パッチでやってますが、わざわざ公開しないですからね、ヒントを与えることになってしまうので。
タイタンの件はフェーズ序盤でのことだったので、そこまで攻略全体に影響が大きいかといわれると、そこまでではないとは思っています。ただ、やっぱり、それを使っている人と、使っていない人で、確かにタイタンに関しての難易度差は出ているので、そこをもう一段ケアする方法を考えたいなとは思っています。
――ちなみに今奇数パッチごとに絶コンテンツが出ていると思いますが、今後も同様の間隔で実装されていくのですか?
吉田氏:もともとは奇数パッチで絶をと思っていたんですが、コミュニティの反応としては2パッチに1回はキツすぎるというのが感想だったので、今後は1拡張に2回くらいでいいのかなと考えています。なので次回は一旦お休みかなと。これからもずっと挑戦し続ける方、今も「絶バハ」クリアを目指している方たちはグローバルでもたくさんいらっしゃるので、制限解除しないでおきます。やっぱりあれだけの派手な武器と「ザ・レジェンド」という称号のためだけにずっと何カ月もコツコツ頑張ってらっしゃる方がいるのに、あんまり数を増やし過ぎても、いつになったら次に行けるんだろうなとなるので、今くらいがちょうどいいのかなと。
――今年のE3の蛮神戦バトルチャレンジはツクヨミでしたが、担当者に勝率聞いたら4割ぐらいだと。やっぱりツクヨミは格別に難しいなと思いました。
吉田氏:実際、公開サーバーでもそうなんですが、ノーマルと極のギミックがあまりにも違っていて、ノーマルの方って初動にいきなり即死攻撃が入っているのですが、多分あれのせいで、初めての方がいらっしゃると、多分そこで一気にダメなんだろうなと思っています。
僕も実際公開サーバーで、極は全然余裕だったなと思ってて、その後ノーマルにいったら、ノーマルなのに何度も死んだんですよ(笑)。シナリオ上かなり重要なボスだったので、ノーマルの難易度も多少上げてもいいよと言ってたんですが、初動ワイプがイベントで使うにはちょっと厳しかったのかなと思ってます。ツクヨミについてはILではカバーできないので。今日はスタッフがみんなに一生懸命ギミックのコツを教えてながら、もっと勝率を上げようという話をしています。せっかく並んでくれているので。
――「モンハンワールド」とのコラボにいくつか質問させて下さい。実装時期が夏ということですが、パッチの4.32を絡める形なのか、単独実装になるのか。
吉田氏:もう準備は綺麗に進んでいるので、時期が来たら僕らはスイッチポンなだけなんですよ。
――「モンハン」側のベヒーモスとは同時のタイミングでスタートですか?
吉田氏:できればタイミングは極力近くにして、両方一気にどちらのゲームでもコミュニティが盛り上がっているという状態にはしたいねと言うことで、今スケジュールの最終調整をしています。その辺りも詳細は来月には両社から全容をお出しできるので。ちょっとそこまでお待ちいただければです。
――ちなみにバトルはPLLの時に8人とおっしゃってましたし、動画を見ても8人だったので、これは討伐戦方式で入るんですか?
吉田氏:明言はしないですが、そう期待はしていただいていいと思います。トレーラーに映っているジョブたちが、おそらく2タンク、2ヒーラー、4DPSになっていると思うので、トレーラーをじっくりご覧下さい。来月になったら、またフル版のトレーラーを出そうと思います。それまでぜひお待ちください。
――フル版はどこまで見せてもらえるんですか?
吉田氏:基本的にどういったバトルになりそうかとか、どんなリワードがもらえるのかというのは全部盛り込んだ期待感がもっと高まるようなトレーラーです。
――7月の時点で全貌は明らかになるんですね。
吉田氏:そのつもりではあります。参加条件とかもっと明確にしていかないと、いつ来るんだろうとか、いつまでに準備すればいいんだろうとなってきちゃうと思うので。
――また、出張PLLではでコンパニオンアプリを公開されていましたが、その仕様についてもう少し詳しくおしえてください。
吉田氏:前々回のPLLで特集しましたが、基本的には無料で全プレーヤーに使っていただきたいと思って制作したものです。アプリを入れることで、ゲーム内のフレンドとリンクシェル、FCのメンバーとチャットができたり、あとはスケジュールの共有です。スマートフォンのカレンダー機能と連動させてあるので、例えば固定の日にちを決めたりするときにも全員同じカレンダーで共有できるようになります。
外部ツールで「調整さん」とかあると思うんですが、ああいうのを使わなくてもこのアプリとスマホだけで済むようになります。たとえば、今日何時にログインするのとか、最近忙しそうで入ってないけどいつ戻ってくるのとか、そういうやりとりも含めて、エオルゼアの世界にログインしていない時も、エオルゼアの仲間と繋がれるというのが大きなコンセプトの1つです。
もう1つの軸になってくるのが「FFXIV」はMMORPGであり、ものすごく莫大なゲームリソースがあるゲームなので、下手をするとものすごい時間を消費してしまうゲームなんです。アイテムの整理1つにしても、恐ろしい数のアイテムを皆さん持っていて、もはや管理しきれなくなっている。それを整理しようとすると丸一日、ひたすらアイテム整理してたみたいなことになってしまうので、エオルゼアにログインするときにはもうコンテンツだけを遊ぶようにして、ログインできていない外にいる時にアプリを使って自分のアイテムを整理したり、リテイナーのアイテムを整理したり、例えばマーケットを見て買いたいアイテムを買っておいたりということができるようにします。これらはすべて基本機能として入れています。
――「FFXIV」のアイテム管理がタップ操作で簡単にできる?
吉田氏:そうです。そこまで基本全部無料機能で入っています。また、ログインボーナスとして「クポの実」が必ず1日に1個もらえるので、それを使ってモーグリにお願いをしてマーケットにアイテムを出品したりとか、マーケットからアイテムを購入したりできます。基本的には1日に少しずつ貯まっていくので、貯めてからまとめて使っていただいてもいいですし、よりたくさんマーケットと取引したいという方は、仮想通貨が用意されているので、そちらを購入していただいてアクセスの頻度を上げていただいてもいいですし。
――なるほど、たくさん取引しようと思ったらそれはお金がかかるわけですね?
吉田氏:そうですね。実は今回相当高度な通信と帯域を使っています。かなりテクノロジー的にも新しくて、今までスクウェア・エニックスでも手を出していない、Googleのクラウドプラットフォームを使っていたりするので、かなりの投資をしています。ただ、基本的には全プレーヤーに使っていただきたいので、無料機能をとにかく充実させていて、それでも足りない、もっと使いたいという方のみ仮想通貨で少額決済してくださいという考え方です。
スマホにインストールしていただくだけでテレポの無料先が1枠増えたり、リテイナーが1枠増えたりとか、ゲーム内でボーナスが付くようになっているので、ぜひ使ってみて欲しいです。僕らはこれで儲けたいのではなくて、エオルゼアをより効率よく使っていただくために用意したツールです。
――いつから使えるようになるんですか?
吉田氏:一応今7月リリース予定です。いま最終デバッグをしていて、後はGoogleさんやアップルさんの審査を綺麗に通るかどうかだけです。まあ審査で手間取ると1週間、2週間延びる可能性はありますけど、今のところ何とかなるんじゃないかと思っています。
パッチ4.3を振り返りつつ、次なる4.4、そして気になる5.0について突っ込んでみた
――パッチ4.3について、今回すごく物語に対しての反応も含めて、プレーヤーさんの中で評価が高かったパッチだと感じているんですが、吉田さん自身は配信後の感想をどのように捉えられているか教えてください。
吉田氏:そうですね。今回できるだけメインシナリオに関しては情報を伏せさせていただいて、プレーヤーの皆さんもそこをくみ取ってくださって、公開直後も蛮神の名前はずっと皆さんも伏せたまま、逆に伏せすぎていつ公開すればいいんだとなったくらい(笑)、すごくご理解もしていただけて、それも嬉しかったです。
4.0のラストでヨツユが死なずに、記憶を失って生きていたという設定についてはわりと批判的な声も多かったんですね、「これどう落とし前をつけるんだよ」とか、「なんか『FFXIV』は登場人物を殺せなくなってきてないか」みたいな声もあったんですよ。でも僕らはもともと今回の流れを決めて作っていたので、「そこが1パッチでどうにかなるとは思えないけどな」という事前のお声も頂戴していただんですが、ふたを開けてみたらこんなに綺麗に、しかもMMOなのにキャラクター心情までも綺麗に描いて終わってくれるとは思わなかったという感想を見た時、僕ら「FF」シリーズとして、ストーリーにそれだけ思い入れや感動をもって読んでいただけるというのは一番うれしかった。そこがほっとしたと同時に、スタッフ良くやったねという話を真っ先にしたところです。
――今回の「紅蓮のリベレーター」については、私みたいに「FFXI」から遊んでいる人間からすると、まずひんがしの国が入るというのが嬉しい話だったんですが、ただ、その締めくくり方が、ツクヨミのような形になるとはまったく想像がつきませんでした。これはどの時点で決めていたんですか?
吉田氏:4.0のラストを決めた時点で誰が生き残って誰が死んでということが当然確定するわけで、その時点でそれぞれの人達の結末というのは当然決めているわけなので、4.0の開発中には4.3までは決まっていますね。
――「蒼天のイシュガルド」に比べると、モノトーン調というかノワール調というか、ちょっともの悲しい物語でしたね。
吉田氏:そうですね、僕がそのタイプだからというのがあるかもしれないですが、世の中は勧善懲悪じゃないので、敵にも正義があって歴史や教育によって正義って変わってしまうものなので。ヨツユは確かにドマの人から見ていけば悪逆非道の、プレーヤーの目の前で親を殺させようとしてみたり、それができない人を撃ち殺してみたりとか、かなりの事をやっている。でも、彼女がそうなってしまった原因もまたドマにあるという。
この報いはいずれ受けなくてはいけない。でも記憶をなくした場合その罪はどこにあるんだろうというのが、今回描きたかったテーマで、だから4.0のラストシーンでゴウセツが果たして拾った子の命に意味はあるんだろうか、まだ死ぬときではないのはというのは、そこから最後のセリフまでつなげてあったので、よく開発全員でそれを表現してくれたと思うし、プレーヤーの皆さんもすごくきちんと感じ取ってもらえたのも嬉しかったですね。
――私自身はどういう扱いでもいいから“ヨツユに生きて欲しかった派”なので、私は4.3のトレーラーを見た時、ゴウセツがゼノスと戦っているのを見てすっかり騙されたんです。ゴウセツが立ち上がるということは、ヨツユが生きるストーリーになるのかって(笑)。でもそうはならなかったわけですが、個人的には残念でした。
吉田氏:あれは、バトルの中にヨツユの心の葛藤が、バトルとして表現されているところが、今回新しいゲーム体験の表現でした。あそこはプレーヤーがゼノスを削れていればゴウゼツが勝つし、削れてなければゴウセツが斬られる。つまりヨツユの中にあった最後のすがる心のよりどころがゴウセツであり、その彼が幻影として出てきて、あれがゼノスに打ち勝つことでヨツユの攻撃に迷いが出るという、本当にバトルデザインチームがよくやってくれたところだったので。あれが負ける側を出せば、ゼノスが復活しているように見えるし、ゴウセツ斬られるし、いったいどうなってるんだと思ったでしょうね(笑)。
――パッチ4.3の終盤でもアルフィノを操作するというところが新しかったですね。
吉田氏:MMORPGだから本来は主人公を操作するべきなのに、シナリオ上NPCをプレイするというシチュエーションが、アルフィノを操作してバトルを進めるという。僕らは「RPGモード」と呼んでいたんですが、あれも一切事前に情報を出さなかったので、あれもすごいサプライズでとても良かったといっていただけました。今回のインタビューでも「あれはものすごくびっくりしたし、素晴らしいアイデアなので今後にも期待している」と言っていただけました。僕らはMMORPGを作っているわけですけど、必ずしもMMORPGのルールにのっとってゲームを作っているわけではないので、「FF」らしくストーリーを楽しめるための仕組みや遊びはこれからも新しいものを開発していきたいなと思っています。
――そのパッチ4.3のラストシーンは、結構踏み込んできたなと思ったんですね。吉田さんのパッチ4.3インタビューの予言通り、次のエキスパンションに繋がるストーリーが始まったわけですが、そこでアルフィノが主人公にした戦いがあり、かつアルフィノを助けてくれるNPCたちも登場して、その出で立ちがかなり想像を巡らせられるようになっていて、5.0の方向性を明確に示している。パッチ4.3の段階でここまで踏み込んだ理由はなんですか?
吉田氏:まず、パッチ4.3で、4.0で始まった「紅蓮の解放者」という物語が、今ある“しがらみ”からは一通りみんな解放された。ヨツユに関しても死という結末ではありますけど、彼女の恨みつらみと言うところから最後にゴウセツという人物に触れることで、いろんなものから解放されたと思っていて、一旦解放者の物語としては4.3で綺麗に終わりました。
終わって、何も分からないけれど次何が始まるんだろうねよりは、何か次も凄そうだな、どうなんだこれは? のほうが絶対にやっぱりワクワクはしてもらえると思ったので、ここまで踏み込んでみました。
だから今回は「月下の華」というメインクエストが終わった後に、更にまだクエストがあるという作りにして、しかもアルフィノが帝国側に行く途中でハプニングがあるという新しい物語も始めました。本来はツクヨミの時点で終わらせてもよかったんでしょうが、これが僕らとして新しい提示の仕方です。
――そう、いつもなら意味深なカットシーンを見せておわるところを、アルフィノによるバトルまで挟んで、次の展開を明確に印象づけたのは斬新でしたよね。本来だったら4.4に入る内容ですよね。
吉田氏:そうですね。あれによってアルフィノたちがどうなるのかというのと、解放し終わった光の戦士と暁たちが今後どうなっていくのか、この2つをどうクロスオーバーするんだろうというところは、いま皆さん想像で色々お話ししていただいているところだと思います。
僕らは当然ですが、その先の話はもうかなり決めてありますが、やはり予想を裏切ってかつ面白いというのが一番だと思うので、また新しい「FFXIV」をお見せできるんじゃないかなとは思っています。
――謎のキーパーソンである影の狩人は、「FFXV」ユーザーなら誰もがハッと気づくレベルで、調べればすぐ誰かが特定できるレベルまでヒントが提示されていました。なぜあそこまで出したんですか? ちょっと出し過ぎじゃないかと思っていて、逆にミスリードを誘っているのかなと。
吉田氏:いやいや、僕はヒントを出すときにはわかりやすくあるべきかなと思っていて、中途半端だと違った予測をしてそれがさも定説かのようになってしまうと、それが違っていた時に変ながっかり勘が出ちゃう。みんなこうだと思ってたのに、「なんだよ違うのかよ」ってなっちゃうと良くないなと。
今回、ちょっと「えー?」と思ったのが、4.3のラストシーンの何カットかあるうちの1つに、アラミゴ解放軍の恰好をしたエレゼンが帝国の兵器廃棄所で何かごそごそやっていて、その行為が監視兵に見つかった後、監視兵を切り捨てたあと飛び去っていくというシーンがありますが、「オルシュファンじゃないか?」と言われたのが、「ええっ!? どうしてそう見えるの?」と(笑)。あれはもうちょっとエレゼンにしても、違ったデザインにすればよかったなと。
――私も影の狩人を調べる過程でそれを知ってなんでやねんと思いました(笑)。そういうデマが流布してしまうのが嫌なんですね。
吉田氏:やはり分かりやすいところは分かりやすく期待感をもってもらったほうがいい。ただ、4.3の影の狩人のラストカットに関しては、最初に僕のところに来た時にはカットがあまり良くなくて、すごいダラダラしたカットシーンになっていて、「衝撃のラスト! 続く!」という風に見えなかったんです。
腰につけている白い仮面が、やたら映っちゃっていて「これはダメだよ」と、「最後の最後に無言のままカメラが白いマスクに寄って終わりじゃないと話にならないよ」と、かなり最後僕が細かく指定してカットを作り直したんです。だからこそ、あの仮面に最後にフォーカスする事でこの人物は何者なのかというところをより強くフォーカスする。まあガンブレードを背負っているのもそうですけども、その修正ですごく分かりやすくなったと思うので、どうなっていくか。どうしてあそこにいるのか。なぜ仮面を付けているのかというのも、これから注目してもらえると思います。
――ちなみにエレゼンは新キャラという理解でいいんですか? それとも、既存のキャラの誰かですか?
吉田氏:いやー、もう完全に新キャラのつもりだったんですけどね(笑)。
――エレゼンについてはちょっと失敗しましたね。オルシュファン説が濃厚ですからね(笑)。
吉田氏:いや、コミュニティの皆さんは、「どこをどう見てオルシュファンなんだよ?」と言ってくれているのでそこは心配していません。丁寧に比較画像なんかもあるんですが、「いやいや、全然似てないじゃん」と(笑)。エレゼン=オルシュファン説は明確に違います。
――それから影の狩人のガンブレードを見て嬉しくなりましたね。ちょっと気の早い質問ですが、5.0ではガンブレードを扱える新ジョブ、あるいは既存ジョブへのガンブレード系武器の開放を期待してもいいんでしょうか?
吉田氏:5.0があるともまだ言ってないので、何をおっしゃっているのか僕にはわかりません(笑)。
――だって私は、以前、吉田さん自身の口から7.0くらいまでの構想はあると聞いたことがありますからね(笑)。当然、5.0もあるでしょう。
吉田氏:それは続けばの話です。(笑)
――ガンブレードで凄い攻撃を繰り出してましたから、使ってみたいと思った光の戦士は多いんじゃないですか。
吉田氏:どうでしょうねえ……。あの攻撃は武器のおかげではなくて、たぶん本人性能が高いからですね。
――ちょっと気が早いですが、次のパッチ4.4はどのようなストーリー展開を期待していいですか?
吉田氏:そうですね、テレビシリーズに例えると、“新シーズン第1話”だと思っていただいていいです。皆さんの様々な予想が、果たして合っているのかどうか、、「FFXIV」チームはやはり一筋縄ではいかないなというのを見てもらいたいですね。
――引き続きアルフィノで進んでいくんですか?
吉田氏:いいえ。あくまで主人公は光の戦士なので、フォーカスは光の戦士に戻ります。ただ、その光の戦士たちが進むべき方向というのが明確にガレマール帝国ということは見えているはずなので、まずはそもそもガレマール帝国ってなんだ?というところからもう一段深堀していくつもりではありますので、そこは期待していただいて大丈夫かなとは思います。
――ガレマール帝国は全体マップの中央に位置していますが、妙な雲みたいなもので囲われてほとんど見えませんが、あれが光の戦士達の活動で少しずつ晴れていくようなイメージでしょうか?
吉田氏:さあ、どうでしょうか。
――パッチ4.4のメインストーリー以外のコンテンツについてはどのようなものを期待していいですか?
吉田氏:まだ4.4の情報出しは始まっていない段階ですが、大方期待して頂いている通りの内容になると思います。まず、「次元の狭間オメガ」の最終章がいよいよ公開されます、物質世界に作りだした疑似トーナメントをやらされている状態なので、果たしてオメガがこの後、光の戦士に何をぶつけてくるのか、いよいよオメガ本体が乗り出してくるのかというあたりに注目してもらいたいです。
あとはアルファ君、あのチョコボのアルファ君は果たして何なのと言うあたりは、全部綺麗に大団円を迎えるつもりです。また大きなサプライズも用意してありますので、是非期待していて下さい。オメガは4.4のメインではないですが、そこはかなり大きな見どころの1つだと思うので、期待して頂きたいなと。
――オメガ最終章は4.4で実装ですか? それとも4.4xでの実装ですか?
吉田氏:4.4と同時実装です。
「FFXIV」全体の話。既存エリアの再活性化より新しい冒険を
――パッチ4.3で、4.0シリーズのストーリーが完結しましたけれど、例えばリセやヨツユ、フォルドラといった4.xシリーズを彩ったキャラクターたちの衣装は今後手に入ったりしないのですか?
吉田氏:そういうリクエストはいただいているのですが、もうちょっと時間を置きたいです。ストーリーが終わったばっかりで、今まさにどんどん新しく始められてる方が、メインシナリオをどんどん進めていってくださっているし、「モンスターハンター」コラボの発表によって、じゃあちょっと今のうちからやっておくかという方のツイッターも拝見しているので、その人たちがNPCのコスチュームを着た人たちが周りをうろうろしていると醒めるとおもうので、少し期間を開けたいですね。
――吉田さんと話をしていて感じるのは、新規ユーザーに対する配慮が凄くあるクリエイターというところですよね。
吉田氏:それはもちろんです。
――吉田さん自身がコアだから、コア向けばかりに目がいきがちなのかというと、意外とそうでもないというところが吉田さんの面白いところですね。
吉田氏:僕はMMOは新しい方の流入が止まったら、もう終わりだと思っているので、成長が止まってしまうので、今でも新しい方が常に毎日数百人、数千人入ってきているという部分がなくなると、ゲームもコミュニティも完成してしまいます。
今、新しく来た人たちは、膨大にあるコンテンツを没入してじっくり楽しんでいけます。パッチで進行を止める必要もないので、どんどん進んでいける。その体験を邪魔したくないという想いがあります。
たぶん、今は、新生からずっと遊んでくださっている現役プレーヤーの方の楽しんできた経験以上にすごい楽しめると思うんですよ。ノンストップで、テレビドラマを一気見している気分で楽しめるので、その邪魔は本当にしたくない。やっぱり「FF」ファンはストーリーあってのゲームなので。
――そういう意味ではパッチ4.3では、ウルダハの周辺をナナモ様と一緒にまわるフェーズがありましたが、その時に感じたのは、やはり初期エリアは人がいなくて寂しいなと言うことです。新生の時を活況ぶりを知っているし、ワーッとみんなで行ったあの記憶があるし、吉田さんら開発チームが新生にあたって新しいフィールドをどれだけこだわって作ったかを知っているので、誰もいないのはちょっと寂しいなと思ったんです。そろそろ膨大な既存エリアを再活用っていうのを考えていかないといけないのかなと、往年のMMOプレーヤーの私なんかは感じてしまうのですが、そのあたりはどのように捉えているのか吉田さんの考えを教えて下さい。
吉田氏:僕は逆にそこはちょっと反対で、今度は既存プレーヤー側への配慮なんですけど、やっぱり新しい冒険がしたいはずなんです。もうそこは通り過ぎて平和にしたじゃん、俺たちが戦うべきステージはここじゃないよね。そこをわざわざリワードで引っ張ってきて、言い方すごい悪いかもしれないですけど、「やりたくもないF.A.T.E.をこのエリアでまたやるのか」って。
僕は今度は、開発の都合、「FFXIV」の都合を現役プレーヤーに押しつけることになるのでそっちはそっちで反対なんですよ。確かに、賑わっては欲しいので。にぎわいを作るために、シーズナルイベントをできるだけ3都市でやったりだとかというところは今後もやっていこうと思いますけど、まあ別に良いのかなって思っているところではありますけどもね。
――ということは、「FFXIV」では、「World of Warcraft Cataclysm」のように地殻変動を起こしてまで初期エリアの再活性化ということはまったく考えていないようですね。
吉田氏:スタートが都市1つからだったらやっても良かったんですけど、旧「FFXIV」からやっぱり引きずってきている“3都市スタート”という部分がどうにもネックなんです。ストーリーもバラバラにしてありますし、暁で組むメンバーも都市によって変わります。あれを1本にまとめ直すのは、それこそ拡張1本分くらいの労力がかかってしまうので、じゃあそれって既存プレーヤーが嬉しいのかと考えると悩ましくて、やっぱり再開発は難しいです。それをやるよりは新生の長いサイドクエストをもっと短くして、新生側をもっとストレートに、もっとメインシナリオだけで進められるような改修はいつかやりたいとは思ってます。それぐらいがベストかなとは思っています。
――秋からファンフェスがスタートしていきます。「FFXIV」の次の動きに向けた発表が期待されますが、その前に、現状の「FFXIV」について、で最も重要な課題といいますか、今後挑戦すべきものとして、吉田さんの仲でどういう目標がありますか?
吉田氏:これについては何度かこれまでのインタビューでも、お話してたんですが、僕がもしかすると「FFXIV」は4.0あたりでリリースでピークアウトするのかなと思っていたんです。
今のMMORPGという市場のサイズや、プレーヤーの皆さんのゲームに対する時間の使い方を考えた時に、これだけフルボリュームの体験を、たくさんの時間を投入しないと面白さが分からないジャンルのゲームなので、そろそろピークアウトしてもおかしくないのかなと思っていたんですが、開発チームもマーケティング/PRチームも世界中で努力をして、4年目にして最高課金者数を大きく更新することができました。
これは逆に僕がちょっと見くびっていたのかなと。その市場というものもそうですし、僕らがやってきたことはもっと可能性があるのかなと思ったので、ここまできたら行けるところまで行こうというので、改めて次の大きな流れを計画し直しているところです。
まずは今年新生5周年をプレーヤーの皆さんに支えていただいて迎えられたので、5周年に合わせた施策をまた色々やっていくので、それをお届けしながら、次のサプライズをきちんとプレーヤーの皆さんに届けて、どこまで進化するんだろうねというところを、皆さんにお見せできればと思っています。
――ファンフェスティバルについて、マウントとミニオンという参加特典が発表されましたが、他にも話せることがあれば教えて下さい。
吉田氏:ラスベガスに関しては世界中のコミュニティチームが動いてやっているので、だいたい中身に関しては固まってきていて、僕はでもどっちかというとそこはマネージャー側に渡して、僕はもっとやらなきゃいけないことがあるんで。そっちで死んでます(笑)。出張PLLでも言いましたけど、ファンフェスまであと5カ月しかないのか……っていう(笑)。ひとやまは越えたんですけど、今その準備で結構しんどいですね。
――そういえばファンフェスの視聴が無料になりましたよね。これは大きな違いですが、理由を伺っても良いですか?
吉田氏:やっぱりファンフェスに来ていただいた方に対して、全部オンラインで無料で見えてしまうと申し訳がないので、別途有料チケットを用意するというのが基本的な考え方です。
同時にそのファンフェスに来てくださった方にインゲームアイテムを差し上げているのですが、毎回チケット争奪戦になるので、争奪戦に敗れて来れなかった人のために、有料視聴してくれれば、ファンフェスの空気を味わいながら、かつインゲームアイテムももらえますよっていうのがもともとのコンセプトなんですけど、2回やってみてやっぱりちょっとクオリティが良くなくてですね。
――何のですか? 前回だとライブの音が変だったとかありましたね。
吉田氏:そうですね。それもそうですし、あと、アーカイブの見づらさとか、有料視聴するための導線の悪さとか、なんとか2回目で改善しようとしたんですけども、ちょっと難しくて。色んなパートナーさんにあたっていたんですけど、最近皆さん個人情報を持ちたがらないんで、どうしても有料視聴というところを、スクエニアカウントと紐付けて、この人が有料視聴したんで、この人にアイテムを渡すという仕組みを作らなきゃいけないんで。それがどうしてもうまく組めなかったんです。
それであればいっそのこと、考え方を根本から変えて、より多くの人に同時にファンフェスの空気を味わってもらって、でも、音楽ステージだけは、チケットを購入して会場まで来てくださった人たちで楽しむものという考え方にしようかと。
今回は、音楽ステージ以外は、基調講演から全部、全世界でみんな一緒に楽しめるようにします。その代わり音楽のステージは配信はしないので会場に来た人で楽しんください、という形にして、アイテムに関してはチケットが購入できなくて買えなかった方のために、普通にモグステーションでファンフェスアイテムとして販売すれば、みんな丸く収まるので、今回はそうしようっていう形にしました。これできれいに回るようであれば、またもし次の機会ファンフェスがもしあるとすれば、似たようなシステムにしていくんじゃないかと思います。
――出張PLLではキャラメイクに関連してグラフィックスエンジンの改良について少し及されていましたけれども、現在は新生のときより一段進化してDirectX 11世代のグラフィックスエンジンが採用されていますが、今後さらに新たな世代に進化する可能性はあるんでしょうか?
吉田氏:先日のPLLでもお話ししたとおり、何か今計画があるわけでも全くないですけど、この先さらにまた10年続けるといった場合には、どこかで多分その時期は来るだろうなとは思っています。そのときに僕が引き続き全権でトップにいるかどうかわからないですけど、ただ、ここからさらに10年進むのであれば今の「FFXIV」のグラフィックスクオリティだと、中途半端になっちゃう気がしていて、グラフィックスが柱のゲームですから、どこかでもう1段上げた方が良いのかなとは思っています。
やっぱり「FFXIV」のウリって、キャラクターが可愛い、カッコイイ、クオリティが高いっていうところだと思うので、そこが失われると、さっきのお話ではないですけれども新規のプレーヤーさんに対して打ち出していく柱が1個減ってしまうので、ここからもしさらに、10年となった場合はどこかでさらに1段引き上げるってことは、コストをかけてでも多分やった方が「FFXIV」のためにはなるだろうなっていうのが思いとしてあります。その時こそ、もしかしたら描画やキャラクターモデリングのパイプラインを変えると思うので、もしかするともっとキャラメイクの幅っていうのはそのとき再設定してひろがる可能性はあるのかなと思っているということです。
――なるほど、ということは、もし仮にそうなるとしても、5.0に合わせて実装とかそういうタイミングではなくもっと先ということですね。
吉田氏:はい、そんなレベルじゃないですね。描画なので、それこそ多分、またすごい人数のプログラマーを入れて。あとリソースも全部それ用に作り直しになるんで、そんな拡張に合わせてとか、単純なレベルじゃないと思います。それこそ2年がかりぐらいで準備しないと無理だと思うので。
――E3終了後に海外初のオーケストラコンサートがありますが、抱負を聞かせて下さい。
吉田氏:オーケストラコンサートを昨年9月に日本で行なったときに、最初で最後からもしれないから思い切ってやろうと祖堅と話をしていて、1年以上の準備をしてきて実演したところ、むしろ僕らがお客様の熱意や感動する様にびっくりさせられたんですね。東京フィルハーモニーの皆さんも「こんなコンサートを演奏したことがない」と、皆さん一様に感激されていたくらい、すごい熱量をむしろ僕らがいただいたので、それをまたアメリカの方にも味わっていただけることが何より楽しみです。
E3直前の「キングダムハーツ」のコンサートも視察に行かせていただいたんですけど、やはりファンの熱気っていうのは素晴らしかったし、凄かったので、また一緒に「FFXIV」の音楽とゲーム体験ってすごくリンクしているゲームだと思っているので、それをドルビーシアターという最高の舞台で、プレーヤーの皆さんと共有できるのが何より楽しみです。今、この裏では祖堅がリハを一生けん命やっていると思いますけど。
――最初はその祖堅さんもインタビューに同席すると伺っていましたが、不参加となって残念でした。
吉田氏:純粋にスケジュールの都合です。昨日までは動けたんですが、祖堅はオーケストラコンサートをより品質を上げるために今回きているので、今日は1日中リハーサルに張り付いています。
――今回セットリストも東京からは変えるんですか?
吉田氏:いいえ。基本的には。僕ら本業がオーケストラではないので。
――なるほど、そこは毎回セットリストを変えてくる植松(伸夫、「FF」シリーズのコンポーザー)さんのコンサートとは違うわけですね。
吉田氏:はい。パッチアップデートによる新たなゲーム体験の提供が僕らにとって最優先なので、祖堅に音楽イベントをやる条件として伝えているのは、スケジュール遅延をするくらいならやらなくていいよ、ということです。でもそれは真だと思うんですよ。それでゲーム体験が落ちてしまうと意味がないので。祖堅自身もそれは自分自身で言っていることなので、どちらかと言うと最高のクオリティにして最高のものを届けようということだけで頑張っていると思います。
――最後にゲームファンに向けてメッセージをお願いします。
吉田氏:今回またE3のようなアメリカ最大のゲームショウに、「FFXIV」が元気に戻って来られているのは、プレーヤーのみなさん、世界中の光の戦士のみなさんに支えられているからだと思います。この3日間、またたくさんのメディアの方にもインタビューしていただいて、5年経っているゲームにもかかわらず、僕がうんざりするくらいの数のインタビューを入れてくれてるPRチームもそうですし(笑)、それで来てくださるメディアの方にも本当に感謝の気持ちで一杯です。
今回E3の場で世界に対して「モンスターハンター・ワールド」と「FFXIV」、いずれも日本初の代表するIPとして、でも世界っていう水準で見た時にはまだまだ努力をしてもしくは広げなくてはいけないと思っている2タイトルが、世界に向けて俺たちやっていくという、アピールができたっていうのが何より嬉しいです。
しかも、正式リリースから5年経った今、それができる位置に来たっていう実感も、今回E3に来てまた新たに思いましたし、これからも相変わらず「FFXIV」はクレージーなことばっかりするなと思ってもらえるように、まるで今年また新作として発売したかのように、いろんな施策を展開して行ければと思います。5周年をみなさんと一緒にお祝いしながらまた次の進化に向けて走っていきたいので、これからも是非よろしくお願いいたします。
――ありがとうございました。