インタビュー

「FFXIV」プロデューサー吉田直樹氏gamescom 2016インタビュー

いよいよ新章の幕開け! コンテンツ盛りだくさんの「パッチ3.4」について

現行の拡張パッケージ「蒼天のイシュガルド」のエンドコンテンツ「機工城アレキサンダー」。パッチ3.4で実装される完結編ではさらに難易度が下げられるという

――次に今後実装が予定されているパッチ3.4についてですが、3.4の基本的なテーマは何でしょう?

吉田氏: 色々あります。「機工城アレキサンダー」のファイナルが実装されるのが、目玉といえば大きいですが、「アクアポリス」の報酬のアップデートもあるし、ハウジングのマンション……「アパルトメント」という名前に決まりましたが、これが三国に実装されるのもあるし、「トリプルトライアド」のワールドをまたいだ戦場ができたり、システム的なアップデートもかなり多いし、ダブルクロスホットバーもあるし、なんかすごくテーマが切りにくいですね(笑)。

――システム関連のアップデートのほうが多い?

吉田氏:いや、コンテンツも多いです。

――気になるストーリーはどういう展開になりますか?

吉田氏:ストーリーは、ついに竜詩戦争がパッチ3.3で完結したので、次の戦い、冒険に向けての新章スタートという感じです。トレーラーの冒頭を見てもらうと、あれっ、あれっ、こいつなの? という印象から始まると思います。

――新キャラ?

吉田氏:新キャラではないですね。

――意外なキャラクター?

吉田氏:そうですね。

――それは例えばイダとか、そういったキャラクターが出てくる? 舞台はどこなんですか?

吉田氏:キャラクターは色々ご想像下さい。舞台は引き続きエオルゼアです(笑)。

――大まかなエリアは?

吉田氏:基本スタートはパッチ3.3直後なんで、まずイシュガルドからになります。まあいろんなところへ行くことになると思います。

――そろそろアラミゴが開放されたりしますか?

吉田氏:どうでしょうか。

――闇の戦士はどうなるんですか?

吉田氏:今回は彼らがメインだと思ってもらっていいです。今まで闇の戦士に関して張ってきた伏線が、かなり統括されていきます。

――サブストーリーの方はどうなるんですか?

吉田氏:ヒルディがそのまま続くのと、聖アンダリウム神学校の続編が入ります。

――ドマ冒険団は?

吉田氏:あっちの方は動きがまだないですね。後は……、言えなかった……(笑)。新しい遊びも入ります。ちょっとシステム的なお遊びと、グランドカンパニー系に1つ。

――パッチ3.4実装直前のインタビューまでそのあたりはお預けですか?

吉田氏: そうですね。8月27日のPLLでコンテンツの実装項目は全部お話しするので、それを聞いていただいた上でインタビューしていただいた方がいろいろお話できると思います。

――大きな目玉として「機工城アレキサンダー」の完結編が実装されるということですが、今回のアレキの基本テーマは何ですか?

吉田氏:アレキサンダーは時間を扱ったストーリーになっているので、その時間をテーマにしたストーリーとコンテンツが一体になっているというか、演出的にもMMORPGらしくないものに挑戦しています。

――謎めきすぎてちょっとよくわからないですね(笑)。

吉田氏:コンテンツ全体で時間というテーマを表現しているので、その辺りもご注目下さい。

――今回、バトルに関して新しいギミックは入りますか?

吉田氏:もちろん入ります。

――難易度に関してはどうなんですか?

吉田氏:難易度は今までよりも下げる方向で調整中です。

――その理由は?

吉田氏:皆さんのプレイログを見ていて、クリアまでに要する期間が長すぎると感じたからです。

――難易度の目安として、起動編、律動編をクリアしている人は、ちゃんとクリアできますか?

吉田氏:もちろんです。かなり余裕かもしれません。

――そんなに難易度を下げるんですか? 特に「バハムート」なんかはそうでしたが、エンドコンテンツとして奥に行けば行くほどどんどん難易度が上がっていくイメージがありましたが。

吉田氏:各ギミックへの対処は皆さん適応されています。「バハムート」までクリアされてきた方だと「機工城アレキサンダー:起動編」も「律動編」もギミックへの対応は回を重ねれば可能です。しかし、ギミックに対応しながら各ジョブのDPSを高い位置で維持することが難しい。結果、DPSが不足してクリアできない。各ジョブのレベル60アクションのローテーションは、コンテンツで実際に維持する場合には、「瞬間判断」と「応用」が必要になる局面が多いです。これができる人と、できない人の差を大きくしてしまっています。

――何度チャレンジしても、クリアできない人はクリアできないという状態になっているわけですか。

吉田氏:進捗がこれまでのレイドに比べて遅くなり、モチベーションの維持が辛くなっているのが現状です。レベル60の最適なスキル回しは、木人を安全に叩いているときにこなせたとしても、コンテンツ内のフェーズによって、それが中断されることが多いです。その中断ロスを少なくするために、別のローテーションにした方が良い場合があります。管理するバフが多く、それが落ちてしまったときのDPSロスが激しいため、この辺りが大きな差になってきています。

 マニュアル通りのローテーションを繰り返すだけでは、フェーズの都合でバフが落ちてしまったり、ガス欠に陥るんです。そこの瞬間判断の差に加え、ギミックに捕まるかどうかがランダムなど、シチュエーションが変わるとパニックになりがちです。現状のパッチでローテーションの難易度全体に調整を入れるのは難しいため、コンテンツ側で総合的に難易度を下げよう、というのが今回の主旨になります。

――なるほど。しかし、驚きですね。「バハムート」にしても「アレキサンダー」にしても、これらは遙かな高みに位置する最高難易度のエンドコンテンツという扱いだったはずですが、今のお話だとチャレンジする人にはすべてクリアしてもらいたいというニュアンスを感じましたが……

吉田氏:そこは難しいところですね……はい。

――「バハムート」や「アレキサンダー」は一部の人たちだけが挑戦し、ごく一部の人たちだけが栄冠を勝ち取る、ある意味突き放したコンテンツだと理解していましたが、いつのまにかコンテンツの位置づけが変わったのですか?

吉田氏:変えているつもりはあまりないのですが、やはり皆さん挑戦しようとしてくださいます。しかし、「難しい!」、「倒せない!」、「固定が崩壊した!」、「心が折れる!」という悲鳴を見ると、どこか突破できた瞬間、綺麗にクリアできるように作りたい、とは思うのです。バハムートの頃は、モンクの疾風迅雷以外、何かの継続を失敗すると一気にDPSが下がるということは、そう多くはありませんでした。トップ層とミドル層のDPS差が今ほど極端ではありませんでした。だから、最初は難しくてもギミックに慣れるとクリアが見えてくる。挑戦するモチベーションも維持できたと思うのですが、その点もバハムートとアレキサンダーでは差があります。この辺りをなんとかしたいという感じです。

――なるほど。エンドコンテンツはエンドコンテンツなんだけれど、クリアできる対象をすこし広げていく?

吉田氏:そうしていこうかなとは思っています。みなさん、特に日本の方は「山があるから登る」という感覚が強めです。それがエベレストであっても、ある以上は挑戦する。これはレイド文化が日本のMMORPGにとって「FFXIV」が初めてだった方が多く、「大迷宮バハムート」に挑戦したときに色々なインパクトがあったと思うのです。また、そこでクリアの喜びも感じていただけた。

 あのクリアしたときに思わず声が出てしまうような感覚を、もう1度味わいたい。という気持ちはとても良くわかります。しかし、今はそれが味わいたいがゆえにチャレンジするんだけれど、上手くいかなくてフラストレーションが貯まる方が大きいというのは、僕の責任です。ですので、今回はどこが落としどころなのか、もう一段深く考えながら最後の調整を決めたいと考えています。

――現時点で「グランドカンパニー小隊」についてお話しできることはありますか?

吉田氏:パッチ3.4から小隊に関するコンテンツが始まります。

――どんなコンテンツですか?

吉田氏:以前お話ししていたように、小隊を編成するというところから始まります。

――映像とかデモプレイの公開は?

吉田氏:8月27日の放送で、スクリーンショットはたぶん出します。

――さきほど言われていた新しい遊びとは違うんですか?

吉田氏:その1つですね。コツコツ1人でやる系のコンテンツになっています。

――NPCとバディを組んでということですか?

吉田氏:今回は小隊を作り、作った小隊でシミュレーションゲームっぽいことをする遊びになっています。

――画面も新しい感じになっているんですか?

吉田氏:はい、今までのUIとは少し毛色が違います。

――コンテンツの1回あたりの単位は何分くらいになるんですか?

吉田氏:どのような部隊を編成して、チームトレーニングをさせて自分の小隊を強化していく。その先に任務がある、というイメージです。さほど大きな時間は取られないと思います。

――バディとして外に連れ出すことはできるんですか?

吉田氏:パッチ3.4ではまだできません。

――最終的には外に持ち出せる?

吉田氏:一緒にバトルができる、というアップデートは行なうつもりですが、時期を精査中です。

――「FFXI」のフェローシップみたいな感じですか?

吉田氏:フィールドに連れ出しても、カンストしている場合は、あまりやることがありません。ですので、ダンジョンを使った遊びができれば、というのがコンセプトです。「FFXIV」にはたくさんのダンジョンがありますので、自分とNPCでどこまでクリアしていけるかみたいなことはやりたいなと思っています。

――2人のプレーヤーと2人のNPC隊員による4人パーティーという形でダンジョン攻略もできますか?

吉田氏:できない予定です。あくまでソロでの遊びにしたいと考えています。ダンジョンのクリア保障を作る上でPCが2名以上いると、ほとんどNPCが必要のない状況になってしまうからです。バランスもロールの組み合わせでバラバラになってしまうと思います。

2014年10月に実施されたファンフェスティバル。「蒼天のイシュガルド」が正式発表された

――ファンフェスの開催が近づいてきますが、イベントの内容については決まったのですか?

吉田氏:はい、イベントの内容は日本のファンフェスまでは、ステージ内容はすでにFIXしています。欧州は微調整中です。各ファンフェスの基調講演では「FFXIV」の未来にかかわるお話を期待されていると思いますので、期待にお応えできるように頑張りたいです。

――「FFXIV」の未来というと仰々しい話ですが、それは拡張パッケージ以外の話もでてくるんですか?

吉田氏:うーん、そう言われるとなんとも……(笑)。まだ拡張パッケージを発表します、とも言ってないですし……。ただ、大きなニュースは、できるだけプレーヤーの皆様と一緒に喜びたいとは思っています。フロアアクティビティもゼロからコミュニティチームが企画していますし、プレーヤーがみんなで集まって遊ぶライブクエストだったり、あとはまたスペシャルコンテンツとしてそこでしか先行体験できないコンテンツも用意してあります。

――それは今後実装されるコンテンツが先行体験できるということですか?

吉田氏:前回はオーディンでしたが、会場に来た人が先行して遊べるもの、という意味です。

――それは3つの会場で別の内容ですか?

吉田氏:いえ、さすがに同じです(笑)。会場で先行して遊べるバトルコンテンツとか、後は開発チームからのトークセッションだったり、サウンド回りのイベントもまた派手にやりますし、まる2日間「FFXIV」づくしのイベントになります。満足して帰ってもらえるようなものを作るつもりです。

――最後に「FFXIV」ユーザーに向けてメッセージをお願いします。

吉田氏:「ファイナルファンタジー」シリーズは、世界一ファンに支えられているフランチャイズだと思っています。その中でも「FFXIV」は特にファンやプレーヤーの皆さんに支えてもらっているタイトルです。2010年9月30日に「旧FFXIV」がリリースされて、もうすぐ足掛け6年。「新生エオルゼア」がリリースされて、8月27日で3年です。厳しい船出からここまで続けられたのは皆さんのおかげですし、新生してからまる3年、拡大路線で走り続けて来られたのも、やはり世界中でプレイしていただけているからこそです。ありがとうございます。

 今年しっかり2回目のファンフェスをやって、さらにその先の発展していく姿をちゃんとお見せしたいです。収益的にもスクウェア・エニックスの柱になったので、単純に僕らが儲けるだけではなくて、その儲けさせてもらった分を、しっかり開発費に充て、アップデートを充実させつつ、ファンフェスやイベントを含めてお返ししていきたいなと思っています。これからも、純粋にゲームを楽しんでもらうために、頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

――ありがとうございました。

【ファンギャザリングイベント】