素晴らしきかな魂アイテム
【魂コラム】会場だからこそ楽しめる巨大ジオラマに商品大集合! こだわりを持って展示されるアメコミ/スター・ウォーズのヒーロー達
2018年12月4日 12:00
【ライター:勝田哲也】
洋ゲーと超合金を愛するライター。ゲームの新作ラッシュと年末進行で身動きがとれないのが最近の悩み。年末年始は「DX超合金 VF-1J バルキリー(一条輝機)」を始め、ホビーの新作がたくさん出るので、今からものすごく楽しみ(絵:橘 梓乃)
毎年アメリカのサンディエゴで開催されている「コミコン」は、憧れを感じるイベントだ。様々な映画、コミック、ゲーム、ホビーの祭典であり、特に海外SFファンには昔から知られていたイベントだった。
そのコミコンを日本に、という想いから「東京コミコン」が生まれたのが2016年、今年で3回目となる。筆者は今回初めて取材した。アメリカからの流れを汲むイベントだけあり、会場ではアメリカのコミック、映画中心だったが、「ワンピース」や「ドラゴンボール」といった海外でも人気のキャラクターが登場したり、円谷プロダクションがウルトラマンを出展していたりと、日本らしさを随所に感じさせるイベントだった。
その中で、BANDAI SPIRITSコレクターズブースは中々気合いの入った出展を行なっていた。特にアイアンマン、キャプテンアメリカなど「アベンジャーズ」登場キャラクターを中心としたマーベルコミックのヒーローと、「スター・ウォーズ」関連のグッズを集中的に展示、来場者の注目を集めていた。
東京コミコンのレポートはすでにお伝えしているが、会場では海外キャラクターの商品を担当する内海翼氏に話を聞くことができた。今回、「魂コラム」というよりも、レポートという体ではあるが、ブースの雰囲気と、開発者達のこだわりをお伝えしたい。
ヒーロー達が一堂に会す楽しさ、様々なヒーローを立体化する「S.H.Figuarts」
会場で注目が最も大きかったのが「S.H.Figuarts」シリーズ。特にマーベルコミックス関連は巨大ジオラマにふんだんにキャラクターを配し、とても見応えのある展示を行なっていた。アイアンマンは、これまで発売したアーマーを限定カラーまで並べ、さらに商品化をしていない試作品も並べることで圧巻の風景を作り出していた。
「インフィニティ・ウォー」をモチーフとしたジオラマはこれまでのイベントでも登場していたが、ガモーラの妹ネビュラが加わっていたり、アップデートされているのが楽しい。個人的にうれしかったのはヒーロー達を支える「シールド」のエージェント、フィル・コールソンがカッコ良く立体化されていたところだ。
「S.H.Figuarts」の「スター・ウォーズ」関連のラインナップもまだまだ充実していく。特に今回は「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲」関連商品を増やしたとのこと。カーボン冷凍化されてしまったハン・ソロや、霊体化したオビ・ワンなどの変わり種もあって楽しい。また、グリーバス将軍もかなり迫力のある造形だ。
こちらも以前のイベントでも出展していたものだが、映画モチーフのジオラマが楽しい。特に皇帝を前に剣を交えるルークとダース・ベイダーの構図は何度見てもゾクゾクさせられる。個人的にグッときたのは通路に隠れるシーンを描いたジオラマ。絵と縮尺を変えて配置したセットで広大な通路の雰囲気を表現していて、実際の映画セットを見ているような気持ちになる。
内海氏は「S.H.Figuarts」に関して、特に「アベンジャーズ」関連は、発売時期を考えたリリースは大変だが、映画を見たときにすぐに入手したいというファンの気持ちを第一にしているという。商品の開発は短くても9カ月はかかる。その時期の映画の資料に基づいて作るのだが、まだまだあかされてていない部分などもある。それでもやはり、映画の興奮をそのまま形として手にできるように努力しているとのことだ。
また、出展時のキャラクターの配置にもこだわっているとのことだ。ロキとソーは実は日本では女性ファンが多いとのことで、彼ら2人は目立つように配置している。ジオラマのアップデートなども映画を意識しつつ新規キャラクターを混ぜたり、初めての人にはその風景を、他のイベントで来た人にも変化を探す楽しさを考えているとのことだ。
筆者は関節構造や、分割などシリーズを経ていくことに進化していく技術にも感心させられている。「S.H.Figuarts アイアンマン マーク7」レビューで語ったが、上半身を曲げるための腰の関節設計や、飛行ポーズを意識した肩の付け根の可動などシリーズを経ることで進化している。キャラクターの顔もよりリアルになっており、とても見応えがあり、継続してチェックしていきたいシリーズになっていると思う。「ハリー・ポッター」などの新たな挑戦も見逃せないところだ。
「日本の鎧武者」を追求、伝統技能を要素を盛り込む「名将 REALIZATION」
そして日本のみならず、アメリカで大きな人気を得ているのが「名将MOVIE REALIZATION」と、「名将MANGA REALIZATION」。「S.I.C.」シリーズを始め、様々な商品を手がける竹谷隆之氏が「スター・ウォーズ」及び、マーベルコミックスのキャラクターを鎧武者風にアレンジ、独特の楽しさが光るシリーズだ。
内海氏達開発者のこだわりは「日本人が作った鎧武者にしよう」ということ。どうしても欧米で“日本風”というと、中国風と同一視されてしまう。だから日本ならではの鎧武者とすべく、鎧や火縄銃、刀などディテールにこだわり、日本で作られたものにしている。伝統技法などにも知識が深い竹谷氏ならではの商品となっているとのことだ。
もちろんリアルだけでなく、ダース・ベイダーの刀は“妖刀”としてライト・セイバーを思わせる赤いものにしたり、アイアンマンやウォーマシンを全身武器にしたり各キャラクターを活かした表現もとても面白い。あえて設定として表に出していないので、ユーザーが解釈するのも遊び方の1つだという。
その中でシリーズの枠を広げる可能性を秘めているのが2019年1月に発売される「名将MOVIE REALIZATION 翻訳からくりC-3PO」だ。おなじみの翻訳ドロイドC-3POを武者姿にした商品だが、シリーズで初めて「武器を持っていない」のだ。C-3PO自体戦うキャラクターではなかった。シリーズとしてあえて戦わないキャラクターを入れることで今後のラインナップの方向性も広がる。ユーザーの反応が楽しみとのことだ。
コレクション性、スタイリングの楽しさ、「超合金HEROES」
もう1つ会場で大きく展示していたのが、「超合金HEROES」だ。“超合金”の元祖である「超合金マジンガーZ」のスタイルを元にした、上半身の大きい直立型の体型でマーベルキャラクターを表現しようという商品で、11月23日に第1弾が発売された。こちらに関してはTAMASHII NATIONSのコラムで紹介している。
会場では「『超合金HEROES』のある生活」という感じで情景を演出しており、独特の面白さがある空間になっていた。タッチ&トライコーナーもあり、「超合金HEROES」の“重さ”も楽しめた。
「超合金HEROES」はロケットパンチギミックこそないものの、独特の体型で様々なヒーローを表現する楽しさがある。昨今の高価格化が進むフィギュアに比べれば2,700円(税込)という価格も抑えたもので、コレクション性も大きなウリだという。
ちなみに会場では物販も行なわれていたが、「超合金HEROES」は“お土産用”として人気だったという。「名将MOVIE REALIZATION」は東京コミコンを訪れた海外の来場者に人気が高く、売れ行きも好評だったとのことだ。
もちろん会場ではBANDAI SPIRITSだけでなく、タカラトミーやコトブキヤ、ホットトイズ、メディコムトイなど様々なメーカーが出展し、商品を展示/販売していた。各社様々なアプローチを行なっており、改めて「キャラクター表現」について考えさせられた。
筆者はやはりアメコミヒーローを再現するアイテムとして「S.H.Figuarts」シリーズが好きだ。やはりアクションフィギュアとして動かして遊びたいし、それでいてディテール表現も楽しみたい。映画ヒーローのフィギュア表現としてホットトイズの1/6フィギュアは映画の衣装そのままのクオリティを見せつけ大きな衝撃を与えたが、数万という価格はやはり大きい。ヒーローを並べ立たせるのはかなり金銭的な体力がいる。
ただ、このホットトイズの存在がアメコミ/映画ヒーロー表現に大きな進化をもたらしたというのは確かだと思う。様々なメーカーのアクションフィギュアの表現が底上げされていく中、「S.H.Figuarts」は動かしやすさと“耐久性”で遊びの楽しさを実現している。ヒーローを手の中で動かし、ポーズにこだわり、様々な角度から眺める楽しさはやはり大きい。机のそばに置き、仕事の合間にポーズを変え、ふとしたときに眺めて楽しむ、この遊び方が好きだ。……たくさん置きたくなって困ってしまうところもあるが。
独特の表現が楽しい「名将MOVIE REALIZATION」はもちろんだが、マーベルヒーローを“美少女フィギュア化”するコトブキヤの「MARVEL美少女」や、独特のラインナップで存在感を増すメディコムトイの「MAFEX」シリーズ、キャラクター表現、フィギュア表現に独特の勢いを加えた海洋堂の「アメイジング・ヤマグチ」など、各社のアプローチも非常に興味深い。様々なメーカーの解釈を楽しみつつ、自分なりのヒーロー像を追求できる現在は、ホビーファンにとって本当に幸せな時代だと言えるだろう。