素晴らしきかな魂アイテム

【魂コラム】「TAMASHII NATION 2018 青の衝撃」の気になる最新アイテムを総チェック。それぞれの担当者に、こだわりについても聞いてみた

題字:浅野雅世
【第16回魂アイテム】
「TAMASHII NATION 2018 青の衝撃」に出展された中で特に注目を集めていた、「S.H.Figuarts」シリーズの平成仮面ライダー。平成ライダー20周年の今年、まだ同シリーズでは発売されていなかった「仮面ライダーキバ キバフォーム」が「S.H.Figuarts ~真骨彫製法~」にてリリースされることが発表となった

【ライター:稲元徹也】

ゲーム及びホビーを主軸に執筆するフリーのライター。今月はスマホの機種変更などの出費により、購入アイテムは少なめにて。先日購入した「ダイアクロン」の新アイテム「パワードシステム マニューバガンマ」も、“多々買い”したくなる量産機的デザインながら、今回は1体で我慢……。(絵:橘 梓乃)

 BANDAI SPIRITSのコレクターズ事業部が展開する新製品を展示するイベント「TAMASHII NATION 2018 青の衝撃」が、10月26日~28日にかけて開催された。今年も会場を2カ所に設け、フィギュアファンに向けた有料の秋葉原UDXと、一般も気軽に見られる無料のベルサール秋葉原で、それぞれ展示を行なった。

 会場のレポートは既に弊誌にてTAMASHII NATION 2018」UDX編、同ベルサール編で行なっているが、ここでは筆者が個人的に気になったアイテムに特化して、それぞれの担当者にこだわりについて訊いてきた。


「S.H.Figuarts ~真骨彫製法~」の仮面ライダーキバ発売で、20人の平成ライダーが揃った!

 今回の展示で、多くの来場者が足を止め写真撮影をしていたのが、ベルサール秋葉原会場での平成仮面ライダー20周年を記念した展示コーナーだ。コレクターズ事業部の担当者、光岡祐希氏は今回の展示を「平成ライダー全員が集まった盛大なお祭り」だと述べている。

 現在放映中の「仮面ライダージオウ」では、平成仮面ライダーの世界やライダーをフィーチャーし、ライダーモチーフの怪人「アナザーライダー」なども登場し、シリーズを楽しんできた幅広い世代を喜ばせていることは、ファンならご存じの通り。今回の会場では、そんな平成仮面ライダー「仮面ライダークウガ」から「仮面ライダージオウ」までの全員が「S.H.Figuarts」シリーズとして並ぶという、これまで実現しなかった壮大な展示が行なわれた。

「S.H.Figuarts」シリーズで揃った、20人の平成仮面ライダー。これはかなり熱い!
「-20 Kamen Rider Kicks Ver.-」として再販されたシリーズは、今が買い時だ
この11月に発売となる「S.H.Figuarts 仮面ライダーウィザード フレイムスタイル」。ライドウォッチ型台座は、別途発売予定

 なぜそれが実現しなかったのか、その理由は「仮面ライダーキバ」の存在にある。2008年に放映された同作は、当時バンダイが仮面ライダーのフィギュアを展開していた「装着変身」と「S.H.Figuarts」の転換期と重なり、シリーズとして円熟期を迎えていた「装着変身」で発売されたキバのキバフォームは完成度が高く、展開されたばかりの「S.H.Figuarts」での発売は見送られていた。

 その後、「エンペラーフォーム」や「ダークキバ」などのバリエーションは「S.H.Figuarts」で発売されるという、異例のラインナップで展開されていた。そんな仮面ライダーキバが、この20周年に「S.H.Figuarts ~真骨彫製法~」として発売されることが決定。発売自体は2019年4月となるが、既に発表済みの仮面ライダージオウも含め、「S.H.Figuarts」での平成仮面ライダーがここに全て揃うこととなった。

 今回のキバは「真骨彫製法」での設計により、劇中のスーツに近い体型を実現。ゴシックホラー的な意匠にも力が入れられ、トレードマークのひとつでもある鎖は別パーツで用意されながら、可動を妨げない設計となっている。もちろんベルトの「キバットバットIII世」も取り外しが可能で、他のフィギュアを使った「ガブッ」の変身ポーズなども楽しめそうだ。この製品の開発秘話が、「S.H.Figuarts スタッフブログ」の10月24日のエントリーにて綴られているので、ぜひそちらもチェックしてみてほしい。

「S.H.Figuarts 仮面ライダーキバ キバフォーム」。ポーズを取らせると、スーツにも見まがうような完成度を誇る
マスクの模様や鎖などのディテールも本格的に作り込んである。製品には「ヘルズゲート」開放時の脚パーツも付属する

 一方の20周年を飾る仮面ライダージオウも、もちろん「S.H.Figuarts」としてラインナップ。会場には発表済みの仮面ライダージオウと仮面ライダーゲイツの他に、「仮面ライダージオウ ビルドアーマー」と「仮面ライダーゲイツ ゲンムアーマー」も展示されていた。特に後者は、イベント会期中の放送にて登場したばかりのライダーであり、早々の登場に来場者を驚かせていた。

 担当の光岡氏いわく、ジオウシリーズの見どころはやはり「ライダー」などの文字が描かれた顔で、このサイズでもちゃんと読めるように造形されているのが素晴らしい。既にライダーアーマーは、ジオウとゲイツで9種も登場していて、その中からこの2種の他にどれが発売されるのかも楽しみにしておきたい。個人的にはアナザーライダーも出していただきたいと思っているのだが、どうだろうか?

「S.H.Figuarts 仮面ライダージオウ」と「S.H.Figuarts 仮面ライダージオウ ビルドアーマー」。前者は20周年記念で3,240円(税込)と安価で発売
「S.H.Figuarts 仮面ライダーゲイツ」と「「S.H.Figuarts 仮面ライダーゲイツ ゲンムアーマー」。前者にはゲイツとジオウのライドウォッチ型台座が付属
ジオウのバイク「ライドストライカー」も参考展示された


「超合金魂 FULL ACTION」シリーズは、1970年代から1980年代ロボットへと突入

 「超合金魂」の新たなブランドとして、この8月より展開されている「超合金魂 FULL ACTION(F.A.)」シリーズ。これまでの「超合金魂」では不可能だった、ダイナミックなポーズを実現するために、180mmの統一サイズで可動ギミックを重視したラインナップとなる。今年2月の「「C3AFA HK」にてお目見えした5体に加えて今回、「伝説巨神 イデオン F.A.」が初お目見えした。

「超合金魂 FULL ACTION」シリーズ。ボルテスV、コン・バトラーV、ダイモス、ダイターン3、ザンボット3に、イデオンが加わった

 8月に発売された「超合金魂 ボルテスV F.A.」を含む発表済みの5体は、全て1970年代に放映された作品に登場したロボットとなるが、今回のイデオンは1980年代に入っての作品からの初のラインナップとなる。コレクターズ事業部の木村禎成氏は、このイデオンについて「『超合金魂 F.A.』の1980年代作品へ向けた狼煙」と、以降の展開を期待させる例えで語った。

外連味たっぷりのポーズが決まる。コン・バトラーVも当日初お目見えした

 会場に展示された5体と比較して、イデオンのポーズがややおとなしめだったことについて木村氏に尋ねると「現状でまだ50%程度のところまでしか詰められていないんです」と回答。本来ならばイデオンの代名詞ともいえる、両手を胸の前で組んでの「ミサイル全弾発射」のポーズを付けたかったが、現在設計を詰めている段階で、今回はこのポーズでの展示になったとのこと。イデオンは専用の武器が他の機体よりも少ないので、「波動ガン」はもちろん、ミサイルエフェクトを付ける案も挙がっているそうだ。

参考展示された「超合金魂 F.A 伝説巨神イデオン」。「超合金魂」版よりもすっきりしたディテールにまとまっている

 イデオンは、2007年に「超合金魂」としても発売され、違和感のない3機合体を実現して高く評価されたが、全高約280mmと当時のラインナップとしては最大で、ポーズを付けたりして遊ぶのにはちょっと気を遣う製品でもあった。それがこの「超合金魂 F.A.」のサイズで、気軽に触って遊べるようになるのは嬉しいこと。また今後のラインナップのカギとなるアイテムにもなりそうな予感がする。

こちらは、新たな付属品が追加されてリニューアルされる「超合金魂 六神合体 ゴッドマーズ」
木村氏が担当している「HI-METAL R」シリーズでは、謎の新製品がすりガラス越しに展示されていた


「宇宙戦艦ヤマト」から新たな展開を見せていく「輝艦大全」シリーズ

 大人の艦隊コレクションをテーマに、これまで「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」の艦船をデスクトップサイズで立体化した「輝艦大全」シリーズが、この「TAMASHII NATION 2018 青の衝撃」にて新たな動きを見せた。「機動戦士ガンダム」などの作品に登場した艦船が登場することが決定した。「輝艦大全 1/1700 ペガサス級強襲揚陸艦2番艦 ホワイトベース」は、同シリーズの“精密な造形”、“重厚感のある塗装”、“光による演出”をコンセプトに、戦艦ホワイトベースを立体化している。

「輝艦大全」シリーズ。密度の高い造形と、LEDによる発光ギミックが大人の特に男性ファンを魅了する

 この造形において「作品の世界観に合わせた設計や造形を心がけている」と語るのは、同事業部の野口勉氏。このホワイトベースにおいては、メガ粒子砲の展開やMSデッキにおさめられるモビルスーツ達など、劇中の細かなところまで再現。

 実はベルサール秋葉原会場に展示された「ROBOT魂 Ver.A.N.I.M.E.」のスケールに合わせたホワイトベースは、この「輝艦大全 ホワイトベース」の設計データを拡大して特別に作ったもので、ディテールは基本的に同じ密度になっていたという。

 拡大しても遜色のない精密設計は「輝艦大全」ならではのもので、今後のラインナップも含めて、大きな楽しみがふえたといえる。筆者は野口氏に「『戦闘メカザブングル』のランドシップをぜひラインナップに!」と懇願してきたのだが、さて!?

「輝艦大全 1/1700 ペガサス級強襲揚陸艦2番艦 ホワイトベース」。付属品の他、「ROBOT魂 Ver.A.N.I.M.E.」のエフェクトパーツを流用して楽しむのも可能だ
「聖戦士ダンバイン」より「1/300 ゼラーナ」。他のラインナップに比べ、曲線的なデザインが特徴的だ。同スケールのオーラバトラーも欲しい!
「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」より、「1/6000 SDF-1 マクロス・要塞型 -劇場版-」。こちらは電飾がどれだけ光るのか楽しみなところ


超合金の新しい形「超合金HEROES」は、リアルとは対局の楽しさを追求

 「TAMASHII NATION 2018 青の衝撃」では、新作なども含め、新たな「超合金」ブランドの製品が登場していたが、その中でひときわ異色の新製品が、この「超合金HEROES」だ。同事業部で、「S.H.Figuarts」の「アベンジャーズ」や「スター・ウォーズ」シリーズを手がける内海翼氏はこの製品で、かつて「マジンガーZ」から始まった超合金の初期シリーズならではの「レトロで“ダサかっこいい”部分をリスペクトした」と語る。

「超合金HEROES」シリーズ。年配のファンには懐かしいフォルムの超合金だ

 超合金の「仮面ライダー」や「秘密戦隊ゴレンジャー」などのシリーズを手にしたことがある筆者ぐらいの世代にはたまらない、ゆるめにデフォルメされたデザインながら、マーベルコミックスのヒーロー達の複雑なディテールを現代の最先端のタンポ印刷にて仕上げている。

 また何か特別なギミックはないものの、「キャプテン・アメリカ」ならシールドが、「ファルコン」なら翼が、「デッドプール」なら2本の剣がそれぞれ付属し、それぞれを装備した姿で飾れるようになっている。

 このデザインを見て筆者は「パンチが飛び出すギミックが欲しい」と内海氏に話してみたところ、「パンチを飛ばすキャラがいませんからね(笑)」と苦笑い。確かにその通りで、実際に当時のフィギュア的な超合金もパンチが飛ぶギミックがあるものは少なく、では筆者の持っていた「超合金 仮面ライダーアマゾン」には、なんでパンチギミックがあったのか……!? などと、今更考えてしまった。

全高約10cmで、胴体と脚をダイキャストで成型。台座には出演作品のロゴがあしらわれる
背中にはジョイントの穴があり、キャラクターによっては装備を装着できる

 超合金シリーズながら、2,700円(税込)という価格もお手頃で、集めるもよし、好きなキャラだけつまむもよしと、コレクションアイテムとしての存在感にも注目だ。11月30日より開催される「東京コミコン2018」でも、この「超合金HEROES」をはじめとしたアメコミ・映画関連のアイテムは今回以上にフィーチャーされるそうなので、会場に行く機会があったらぜひブースに立ち寄ってみたい。