山村智美の「ぼくらとゲームの」

連載第69回

“3度目の最初からのプレイ”でも夢中で遊べてる「ゼルダの伝説 BotW」マスターモードの話

この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。

「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド(BotW)」の、3度目になる最初っからのプレイを始めたんです。3度目はダウンロードコンテンツ第1弾「試練の覇者」でプレイ可能になった「マスターモード」でのプレイです。

それでこのマスターモード、セーブデータがマスターモード専用になるということで最初からのプレイになるんです。

そこで最初は「いくらマスターモードでも、最初からプレイしなおすのはもう3度目だし。さすがに楽しめないかなー?」なんて思ってたんです。

1度目も2度目も、コログ集めは全部はしていないものの祠コンプはするぐらいには、がっつりやりましたから。

(1度目は普通にやりこみ、2度目はマスターソードを取ってから神獣巡りをするというパターンを見るために最初からプレイ)。

そんなわけで、さすがに3度目はちょっと様子を見るだけで、がっつりやりこむ気力は出ないんじゃないかなーなんて思ってたんです。

でもね、

いけるんですよ、これが。

先週末からがっつり遊んでるんです。

なんだったら、1度目や2度目のプレイ時よりも楽しく進めている感じすらあるぐらい。

マスターモードは、「敵の強さが1段階アップし、ダメージを与えても体力が徐々に回復。さらに通常モードには登場しなかった最上位の敵も出現する」という高難易度モード。

ですが、これが想像していた以上に強烈だったんですよね。

スタート直後の「始まりの台地」のインパクトが特に強烈で、徘徊している青ボコブリンに一撃で倒されて驚愕したり、いきなりライネルが歩き回っているのを目撃して戦慄したり。

「マスターモードやばいなこれ!」

っとテンションアップ!

通常モードではあまりやらなかった“敵に見つからないようにかいくぐっていく”のを意識したり、戦わないといけない場面ではできる限り崖や海へと落として倒すのを意識したりと、通常モードをやりこんだからこその知識で乗り越えていくことが求められるし、それが新鮮。

マスターモードでプレイ開始! 左下のトライフォースマークがマスターモードの証になります
開始早々、青ボコブリンに戦いを挑んで撃沈……!
開始早々、始まりの台地にライネルがいることに戦慄を覚える……!
序盤は隠れて、見つかっても逃げることに。マスターモードは特に序盤の洗礼がきついですね
ちなみにローディング画面はこの真っ赤なものになります

とは言え、序盤の厳しいところを抜けて装備品などが整ってくると、そんなに厳しく感じなくなってもくるんですよね。マスターモードの敵の強さや空の足場などにも慣れ、通常モードにはなかったアクセントの加わっている新しい世界みたいな感じで、改めて楽しめるようになっていきます。

敵によっては手持ちの武器が足りなくなるほど硬いのも「これぞ強敵……!」っていう歯ごたえがありますし、空オクタで浮かんでいる空中の足場からの矢に当たって大ダメージをもらったり、シーカータワー周辺に敵が密集している場面がきつかったりと、頭を悩ませる場面もまた楽しいです。

闇雲に難易度が高まっているのではなく、一筋縄ではいかなくなったというか。正面からの真っ向勝負だけでは厳しい場面もある……、そういう感触です。

数回のプレイで世界のルートが把握できていたり、アイテムや食事のうまい活用も身についていますから、それらを総動員してマスターモード特有の厳しい場面をなんとかしてみる感じが、いかにも「ゲームしているなー!」っていう実感が強くていいんですよ。ゲームと自分との戦いみたいな感じがありますね。

その最たるものが、DLCの目玉と言える「剣の試練」という、課題の設けられた部屋を突破していくスタイルのチャレンジ。

こちらも僕はマスターモードで早速挑んでいるのですが……これは厳しいですよ。

さきほどの「知識総動員でゲームと戦っている」みたいな感覚そのものなコンテンツですが、まだまだオールクリア達成は遠そうな予感。でも、ネット上には既にクリア報告をした人が現われたそうで……。僕も随分とがっつりプレイしていたんですけど、その早さ、やりこみ度合いにはびっくりです。

序盤の厳しいところを抜けてくると、マスターモードも独特の楽しい世界に。DLCで追加された「コログの面」をつけてコログ集めをしつつ回っていけるのがいい感じ。まさに最後の徹底やりこみパートっていう感じです
空中の足場も橋やシーカータワー周辺など面白いところに設置してあります。少しの時間だけですけど移動させることもできます(しばらくするとオクタが逃げちゃいます)
空中足場の宝箱には強力な装備が入っている事があり、マスターモードの猛烈に硬い敵に対抗する手段になっていきます。
おそらく最難関になるマスターモードでの「剣の試練」
僕はまだマスターモードでここにいけるようになったばかり程度の段階なので、ぶっちゃけ歯が立たないです

まぁそんなわけで、「ゼルダの伝説 BotW」の3度目になる最初からのプレイをやりこんでいるわけですが、

改めて思うのは“「ゼルダの伝説 BotW」は驚くほどリプレイ性が高い”っていうことなんです。

普通、こういう1セーブデータあたりのプレイが長時間になるゲーム、RPGなどには“リプレイ性が高い”って言い方はあまりしないので、変な感じがするかもしれませんが。

ざっくりした言い方をすると“最初から何度も遊び直しても飽きない”っていうことですね。

まぁ個人差はあると思うで、あくまで僕の意見として頂きたいですが。

そう感じられる理由にはいろいろと要素があるわけですが、僕の感覚では“操作の手触りの良さ”が大きな要因です。

速すぎず、遅すぎず、重すぎず、軽すぎず。

操作しているだけでその手応えに気持ち良さを感じられるような。アクション操作である以上、これがダメならリプレイ性は上がりません。「ゼルダの伝説 BotW」の手触りの良さはこの手のジャンルの中でもトップだと思います。

それに加えて、がんばりゲージという制約はあるもののクライミングで行きたい道を突き進んでいける、自分主体のプレイができるという良さもありますね。

自分の進みたい道を、気持ちいい手触りで突き進んでいけるゲーム。「ゼルダの伝説 BotW」の凄みはそこにあると思えます。

根本的な手触りが良いので、繰り返し遊んでも苦にならないし、気がつくと夢中でプレイし続けちゃうというわけですね。

それに加えて、これまでも多方面で語られてきた「マップ内の仕掛けの密度」、「配置」、「そのバランスの良さ」があります。道すがら定期的に何かを発見していけること、その繰り返しが隅々にまで広がっていること。

ファーストプレイでは初めての発見づくしであり、寄り道三昧で“いつになったら本題にたどり着くやらプレイ”なわけですが、2度目となるとある程度効率のいい周り方というか、自分のやりやすい巡り方で進むという“自分流パターン構築プレイ”に入っていくんですよね。なにしろ知識と経験がありますから。

それも済んでの3度目となると、さすがに飽きるかなーきついかなーと思ってはいたんですけど、全くそんなことはなかったですね。マスターモードっていうアクセントが入ったことでより新鮮に3度目のプレイを楽しめていますが、もしかしたら通常モードで普通に3度目のプレイをしても変わらず楽しくプレイできていたかもしれません。

周回を重ねるごとに、例えば祠の解き方なんてもう全部頭に入ってますから、さくさくっと解いていきますし。ハイペースに進めていけるのが気持ちよかったり、ファーストプレイとの違いを実感できたりもして面白いんですよ。

まぁ、なにやらいろいろと書いてしまいましたが、「ゼルダの伝説 BotW」は何度も遊び直せるぐらいに手触りも遊びごたえもいい、すんげーゲームだと改めて感じた次第です。

すでに通常モードはやりこみ済みで、マスターモードで最初から始めるのはどうしようか悩んでいるという人は、ぜひチャレンジしてもらいたいです。

ではでは、今回はこのへんで。また来週。