レビュー
「バイオハザード RE:4」レビュー
俺たちの「バイオ4」が帰って来た! 恐怖と爽快感、さらに「バイオ4」らしさが超進化した堂々たるリメイク作品
2023年3月17日 16:00
- 【バイオハザード RE:4】
- ジャンル: サバイバルホラー
- 3月24日 発売予定
- 価格:
- 通常版 8,789円(税込)
- デラックス・エディション 9,889円(税込)
- コレクターズエディション 34,969円(税込)
カプコンは3月24日、多くの「バイオ」ファンが期待を寄せる最新作「バイオハザード RE:4」の発売を予定している。
本作は現在でも多くのプレーヤーに遊ばれ続ける作品「バイオハザード4」のリメイク版となり、18年の進化をダイレクトに感じられるほど進化したグラフィックスと「RE:」シリーズらしい爽快感の強いアクションシステム、そして新しい側面を覗かせるストーリー展開と人間ドラマが特徴となっている。さらにはオリジナルの「バイオ4」を愛しているプレーヤー達が望んでいたような”バイオ4らしさ”すらも詰め込まれた作品となっている。
今回はそんな本作を一足早くしっかりプレイする事ができたので、進化ポイントを「グラフィックス」「アクション」「ストーリー&システム」の3つの要素に分けてレポートしていきたいと思う。
オリジナルとなる「バイオ4」は、「バイオ」シリーズの転換期と言われるほど、ゲームシステムとストーリーの完成度が高いと言われている。現在のシリーズではお馴染みの”ホラーアクション路線”を強く固めた作品のため、リメイクのハードルは今まで以上に高かったのではと想像される。だが安心して欲しい。今回プレイして分かったが、本作は紛うことなき「神ゲー」であり、なおかつしっかり「バイオ4」だった。
臨場感抜群の進化したグラフィックス! 昔は大丈夫だったクリーチャー達が驚くほど怖い
まず何と言っても、一番ダイレクトに変化を感じたのはグラフィックスの進化だ。全体的にキャラクターデザインが超美麗に進化しながらも、オリジナルテイストはしっかり残っている。
「レオン」や「アシュリー」など元々美形だと感じていたキャラクター達が、よりリアルかつ違和感のない姿で生まれ変わっているのは、ファンとして非常に嬉しいポイントだ。自分が操作してアクションしている時やムービー中でも、進化したグラフィックスで「レオン」のクールなアクションを見続けられるのも本作の魅力の1つと言って良い。
また各クリーチャーに関しても、その進化したグラフィックスでエグイ姿が描写されるので、純粋にホラーゲームとしてのレベルが格段に上がっているようにも感じた。こうした進化は何よりも世界観構築にガッツリ影響を与えていて、攻略するステージ全般が薄暗く不気味。加えて「死体」や「謎の宗教画」と言ったような本作のロケーションに合った恐怖を煽るオブジェクトが”鮮明な姿”で各所に描写される。そのため、本作が持っているホラーテイストを強烈に強めているように感じた。
個人的にだが、何なら筆者は敵と戦う時よりもフィールドを歩いて探索している時の方が圧倒的に怖かったと感じたほどである。
当然この進化によって恐怖体験にも大きく違いが出ている。学生時代にオリジナルの「バイオ4」をプレイした時も初見は何だかんだ怖くてビビりまくっていた筆者なのだが、ゲームをクリアする頃にはすっかり世界観とゲームシステムにも慣れて、周回後、最初に襲ってくるガナードの村人を見ても難なく倒せるレベルにはなっていた。
その延長戦上で大人になった今、リメイクされたとは言え自分も良い歳だし何だかんだ「バイオ4」には慣れてるからビビらないと高を括っていたのだが、これがもう全然ダメ。全体的にリアリティが高すぎて見事にビビりまくった。
どうビビったかというと、最初の村人達ですら近くに寄ってきたら慌てふためいて弾を外しまくるし、周囲の雰囲気に飲まれて無駄に隠れながらゆっくり進んだりする事も多く、何か恐怖演出がある度にメニュー画面を開いて一旦落ち着くなどしていたほどである。もう自分が子供の頃から成長してないのか、ゲーム側が成長しすぎたのか分からないレベルでホラーゲーム感を満喫できた。
本記事では明かせないオリジナル「バイオ4」で見た事あるような敵達と遭遇した時も、「懐かしいなぁ~こんなの居たな~」というエモさよりも先に、「えっキミこんなエグイ姿だったけ……?」と恐怖心に駆られる事がほとんど。もともとアクション面が優れていたオリジナル「バイオ4」の、ホラーゲームとしての側面が今作のグラフィックスの進化でより強く味わえるようになったと言える。
初見は勿論ながら、オリジナル「バイオ4」を遊んでいて今大人になったプレーヤーであっても、しっかりホラーゲームとして楽しめる作品だと筆者は思っている。
この感覚は紛うことなき「バイオ4」! 懐かしさを味わいながらリメイクならではの新要素もたっぷりな爽快アクション
「バイオ4」と言えば、後のシリーズに多大なる影響を与えたほどのTPSアクションが最大の魅力だと言う人も少なくない。それほど「バイオ4」におけるバトルアクションは非常に重要な部分で、以前の平林良章プロデューサーへのインタビューでもリメイクする際に最も注力した部分の1つだと語られていた。
そして今作のアクションは、オリジナル版のプレーヤーが満足しつつ、新作として筆者の期待を大きく上回るような完成度となっていた。
まず基本的な操作感はオリジナル「バイオ4」に近いTPSアクションとなっていて、敵の弱点となる頭や足を狙い打つ事で隙を作り、メレーアクション(近接攻撃。オリジナル版で言う体術)を繰り出してダメージを与えるムーブも健在だ。
扱える装備品はハンドガン、ショットガン、スナイパーライフル、マグナム、閃光手榴弾など、オリジナル版でもお馴染みの物がほとんどで、使い勝手も基本はオリジナル版がベース。そのため非常に手に馴染む感覚だった。基礎的な部分はしっかり「バイオ4」となっているため、オリジナル版のプレーヤーでも違和感なく安心して遊ぶことができるだろう。
その中で今作は「RE:」シリーズらしいスタイリッシュなアクション性と直感的な操作感がしっかり踏襲されている事も見逃せないポイントだ。代表的な例を挙げれば、アクション中にも行える装備品の変更である。
オリジナル版の「バイオ4」では武器を変更する際にアタッシュケースを毎回開く必要があったが、「RE:」シリーズである本作では十字キーにショートカットを割り振る事で即座に武器の変更を行う事ができる。これによって戦闘中にテンポや勢いを崩すことなくアクションし続ける事が可能だ。
とは言え1回1回アクションを止めた方が気持ちが楽だったり、従来の操作の方が慣れているというプレーヤーはアタッシュケースを開いて装備を変える事もできる。筆者も余裕がある時はスタイリッシュに装備を変えて戦えていたのだが、恐怖心が勝ったりボス戦や敵のラッシュが発生するとついアタッシュケースを開いて1回落ち着いて考えたりもしたので、「RE:」シリーズらしさと「バイオ4」らしさのどちらも体験できる素晴らしい采配だなと感じた。
そして何より忘れちゃいけないのが本作ならではの要素「ナイフ」を使った様々なアクションだ。オリジナル「バイオ4」でも倒れた敵にチクチクとダメージを与えられたり、弾丸切れを起こした際の最後の砦としても大活躍していた「ナイフ」だが、本作では独自の路線でさらなる重要アイテムへと進化している。
特に重要になるのが敵の攻撃を弾く「パリィ」の存在だ。今作では敵が特定の攻撃を行ってきた際に「ナイフ」を構える事でカウンターアクションである「パリィ」で隙を生み出す事が可能となっている。これによって集団に囲まれていても致命傷を避けることができたり、隙を作る事でそのままメレーアクションでダメージを与える事も可能となっている。
さらにダウンしている敵に「トドメ」を刺す特殊なメレーアクションが「ナイフ」では可能。これは一気に相手を仕留められる事に加えて、倒した相手から一定の確率で出現する「プラーガ」を確実に出現させないで倒せる手段としても重宝する。他にも、敵に捕まれた際に即座に振りほどける緊急回避的なメレーアクションも可能となっており、ゲーム中幾度となく「ナイフ」によるアクションで救われる事となる。
ただし、ここまで重要なアクションが増えた代償として今作で「ナイフ」は消耗品のような扱いとなっている。銃火器の弾切れと同じように一定の回数ナイフを使用すると刃こぼれ状態となって「ナイフ」に関するアクションが全て行えなくなってしまう。突如「パリィ」も「緊急回避」も使えなくなった時の絶望感はかなり凄まじく、「ナイフ」が扱える状態か否かで強気に攻められるかどうか判断するほどの重要アイテムへと進化した。
他にも各種ボスや強敵の攻撃アクションやギミックが変化していたりするのだが、その中でこちらも新アクションを用いたボス攻略を行う事になるため体験としては「バイオ4」の感覚を強く味わえながらも新しい体験が数多く存在するといった筆者的には“神”なバランスになっていた。
全体的にアクション性が強くなっているのに原作テイストを崩さず、「ナイフ」等の独自の路線をも開拓しているため、まさに進化した「バイオ4」アクションを楽しめる作品だと言えるだろう。
今作独自の追加システムも盛りだくさん! ストーリーやキャラクター性も新たな方向へ変化している……!?
システム面においても本作ではオリジナル版から大きく追加された箇所が幾つも用意されている。「ハーブ」以外にも「ガンパウダー」や各種素材を消費して弾丸やアイテムを生み出せるようになった「クラフト」、ストーリーを進める中で特定のミッションを同時に進行して報酬をゲットできる「青の依頼書」などがそうだ。特にこの「クラフト」と「青の依頼書」は入手できるアイテムや武器のやりくりに大きく関わってくる要素のため、ゲーム中幾度となく確認する事になるだろう。
ストーリー面においてもただオリジナルの「バイオ4」をただなぞるのではなく、「RE:2」からの流れをベースとした少しアレンジの効いた内容となっている。キャラクター自体はオリジナルがベースになっているのだが、見せ方の変化やキャラクターが深堀りされる事でより魅力的に感じる事が多かった。特に筆者が変化を強く感じたのは「アシュリー」。詳細はネタバレになるので書けないが、オリジナル版だと巻き込まれた生意気な小娘と言った感じのイメージだったが、本作ではそれとは少し違った印象を感じた場面が個人的に多かった。
他にも本作ならではの新たな印象を持つキャラクターが多く、そのため展開される人間ドラマの印象も変化している。ここも、ゲームを進める上で非常に面白いポイントとなってくれるだろう。
他にも今回のリメイクならではの追加要素が数多く存在するのだが、現時点では明かせない事が多いのが非常に心苦しい……! オタクなのではっきり言って喋り足りない。
とりあえず言えるのは、その全てがプレーヤーの選択肢を広げるものであり、ゲーム性やドラマ性を底上げしてくれる要素となっていたことだ。結果として、「バイオ4」のリメイク作品を背負える堂々たる完成度になったのでは、と筆者は感じている。気になっている方はぜひ発売日に”部屋を真っ暗にして事前情報を何も見ずに”プレイしてみてはいかがだろうか。初めてならそのまま魅力的だし、プレイ済みでも恐ろしさと爽快感が入り乱れる「バイオ4」の新たな魅力に気づけるはずだ。