レビュー
「星のカービィ Wii デラックス」レビュー
シリーズ伝統の面白さを追求したWii版をグレードアップ! マホロアを操作する新モードも収録
2023年2月24日 00:00
- 【星のカービィ Wii デラックス】
- 発売元:任天堂
- 開発元:ハル研究所、任天堂
- ジャンル:アクション
- プラットフォーム:Nintendo Switch
- CERO:A(全年齢対象)
- 発売日:2月24日
- 価格:
- ダウンロード版 6,500円
- パッケージ版 6,578円
任天堂はNintendo Switch用アクションゲーム「星のカービィ Wii デラックス」を2月24日に発売する。
任天堂とハル研究所のタッグによる人気シリーズ「星のカービィ」の最新作にして、2011年にWiiで発売された「星のカービィ Wii」をNintendo Switchで蘇らせた
本作。「すいこみアクション」や「コピー能力」など、シリーズ伝統のゲームシステムを踏襲したアクションは、懐かしさと新しさの両方を感じられる手応えに仕上がっている。
また本作では、最大4人でサブゲームが遊べる「わいわいマホロアランド」やマホロアを操作してステージを攻略する「マホロアエピローグ」といった追加要素も収録されている。
本稿では、そんな「星のカービィ Wii デラックス」のレビューをお届けしていこう。
・「わいわいマホロアランド」
・「マホロアエピローグ」
・「おたすけマホロア」
・新コピー能力2種
「星のカービィ」シリーズ伝統の面白さを追求し、プレーヤーを飽きさせない完成度に仕上がった
昨年「星のカービィ」シリーズが30周年を迎え、過去作品とは一線を画す3Dアクションの「星のカービィ ディスカバリー」が発売となった。シリーズに新たな世界観やゲームシステムを提唱した「星のカービィ ディスカバリー」とは異なり、この「星のカービィ Wii デラックス」は従来シリーズのフォーマットに則った2Dスクロールタイプのアクションとなっている。
カービィ達が暮らすポップスターに、空から突然宇宙船が不時着。それに乗っていた「マホロア」を助けるために、ポップスターじゅうに散らばってしまった船のパーツを集めるというストーリーが展開する。絵本のような質感で描かれたオープニングムービーはアニメーションが見ていて心地がいい。ここではデデデ大王やワドルディ、メタナイトなど、かつてのライバル達も登場し、彼らと共闘することも明らかになる。
新キャラクターのマホロアは、宇宙船のパーツ集めをカービィに依頼するお礼として、冒険を手助けしてくれる。彼の宇宙船「ローア」はゲームの拠点のひとつとなり、各ステージにある「エナジースフィア」という歯車の形をしたアイテムを集めていくことで、サブゲームやチャレンジステージ、コピー能力のお試し部屋など、内部にある様々な施設がアンロックされていく仕組みだ。
また本作からの新要素として、「おたすけマホロア」のシステムが導入された。これはピンチのときにマホロアが現れて助けてくれる救済処置で、カービィの体力が2倍となったり、穴に落ちたときに引き上げてくれたり、体力が減ったときに、たべものアイテムを投げてくれたりと、至れり尽くせりの内容。設定でオンにしておくことでアクションが苦手な人でも気軽にプレイできるだろう。実際このシステムをオンにしてプレイしたところ、中盤まで一度もミスをすることなくプレイすることができている。
ゲームシステムは冒頭でも述べた通り、「星のカービィ」シリーズのアクションを踏襲している。敵や物質を吸い込んで飛ばす攻撃や、空気をほおばってのホバリング、そして特定の敵を飲み込んでその力を得るコピー能力など、シリーズを遊んでいればすぐに馴染めるものだ。もちろん初めてシリーズを遊ぶ人や、アクションゲーム自体のビギナーでも楽しめる内容で、わかりやすい操作とチュートリアル、前述のおたすけマホロアの存在などによって、広いプレーヤー層をカバーしている。
広い層のプレーヤーが楽しめる要素として、おすそわけプレイも見逃せない点だ。ゲームプレイ中に他のプレーヤーが乱入してマルチプレイができる仕組みで、ここで登場するのがデデデ大王、ワドルディ、メタナイトと、各々の個性的な力を発揮して活躍できるのである。
また、乱入時は色違いのカービィも選べるようになっており、このときはすいこみアクションで他のプレーヤーを吸い込んでコピー能力を奪うといったお邪魔プレイの要素もあるなど、友達とのプレイが楽しくなるようによく考えられている。元のWii版からあった要素ではあるのだが、SwitchのJoy-Conの存在によってWiiのときよりも手軽に家族や友達同士が参加できるようになったのは大きい。
ビギナーやファミリーもカバーするタイトルでありながらも、ゲーム全体がチープなつくりになっていないのが「星のカービィ」シリーズのいいところで、本作はWii版で構築された3DグラフィックスをSwitch準拠のものに置き換え、見た目も大きく進化している。
またステージ内に落ちているエナジースフィアや、それらが隠された「異空間」が存在する場所が絶妙で、ゲームが進むと初見で全て回収するのは難しいところもあり、何度も挑戦して隅々まで探索したくなるレベルデザインには毎度感心させられる。
コピー能力は全26種類! 新たに「アーマー」と「サンド」が追加され、さらに多彩に
ゲームの要となるのは、やはりコピー能力。本作では全26種のコピー能力が存在し、それぞれでアクションの手触りや使い勝手も大きく異なるので、新しい能力の入手が毎回楽しくなってくる。状況によって使い分けてもいいし、お気に入りを使い続けてもいいという選択肢もあるわけだが、コピー能力が手に入る付近で何らかの使い方をすることで、新たな道が切り開けるというのもお約束だ。
今回新たに追加されたコピー能力は「アーマー」と「サンド」。前者のアーマーはカービィがパワードスーツのようなアーマーを着込んで、キャノン砲やパンチによって攻撃を行うもので、ボタンを長押しして放つチャージによる攻撃が超強力だ。
一方、サンドは砂を使った多彩な攻撃が魅力。チャージ攻撃では前方に砂の手を伸ばして敵やアイテムを掴めるという幅広いアクションがある。ともにゲームの比較的早い段階で使えるのでぜひ試してみてほしい。
特定の場所にいる虹色の敵を吸い込むと発揮できる「スーパー能力」もある。こちらはコピー能力の超強力バージョンで、敵を蹴散らすだけでなく、周囲の地形の一部を削り取れるほどの力を持っている。瞬間的な能力ではなく、長時間使えるのが気持ちいいのだが、これを使って削った地形の中に異空間への入口が隠れていることもあり、そこに入ってしまうと効果がなくなってしまうのがもどかしくもある。逆に考えれば、この力を得たときは周囲に何かがある可能性が高いということでもあるのだ。
ゲーム本編を忘れて楽しめる「わいわいマホロアランド」と、エンディング後のお楽しみ「マホロアエピローグ」
本作には「わいわいマホロアランド」という、「支配人マホロア」が運営するテーマパークが登場している。ここでは10種類のアトラクションがサブゲームになっていて、最大4人で遊ぶことができる。ゲーム本編とは別に用意されたオマケ的な要素なのだが、最大4人で遊べる10種類のゲームのクオリティはもちろん、パークのグラフィックスや演出までしっかり作り込まれていて、さらにインターネットランキングもあるなど、これだけでもソフト1本成立しそうな内容である。単に遊ぶだけでなく、ゲーム本編に持ち込めるアイテムを入手できるなど、プレイする意義を持たせているのもポイントだ。
さらに本作では、このマホロアが主人公となる追加エピソード「マホロアエピローグ 異空をかける旅人」も収録されている。ここでは、本編のストーリーでも非常に重要な存在となるマホロアがプレーヤーキャラクターとなり、異空のどん底から脱出する物語が描かれる。
マホロアは敵を倒して手に入れる「まりょくポイント」を使うことで能力の強化が可能というシステムがあり、カービィのコピー能力とはまた違った手触りを味わえる。こちらはゲームクリア後にプレイできるので、本編ストーリーの余韻を味わいつつ、楽しんでほしい。
「星のカービィ」シリーズの面白さを改めて実感する1本。体験版を試してみるのもオススメ
Wiiからのリメイクタイトルながら、グラフィックスや演出が大幅にアップデートされた。カービィは新たなコピー能力も身に着け、さらにゲームクリア後のエピソードが追加されるなど、単なる移植ではない盛りだくさんな内容だ。
アクションの手触りもよく、複数のコピー能力やステージの多彩なギミック、エナジースフィアを見つける探索要素などにより、飽きずに長くゲームを楽しめるのではないだろうか。何より、けなげで表情豊かに冒険を繰り広げるカービィの姿を見るのは楽しく、その一方で意外にもハードな趣のストーリー展開にもワクワクさせられた。
また「おたすけマホロア」のような救済処置はビギナーに優しいだけでなく、あまり肩肘張らずに心地よくゲームを進めたい筆者のようなプレーヤーにとってもありがたい要素で、好みや気分でオフにすれば本来の難易度で遊べるのもいいところだ。
「星のカービィ ディスカバリー」で新しい方向性を見いだした「星のカービィ」シリーズだが、本作のように従来のゲームデザインを踏襲することも忘れてはおらず、これからの展開も大いに楽しみとなった。ゲームシステムやマルチプレイを試せる無料体験版も配信されているので、まずはそちらで手触りと完成度を味わってみて、気に入ったらぜひ製品版に挑んでいただきたい。
©HAL Laboratory, Inc. / Nintendo