レビュー
「ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク」レビュー
人気シリーズの最新作にふさわしい! 美麗なグラフィックスとクレイトスによる豪快アクション
2022年11月4日 01:00
- 【ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク】
- メーカー:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
- ジャンル:アクション
- 発売日:11月9日
- 価格:
- PS5通常版 8,690円(税込)
- PS4通常版 7,590円(税込)
- PS5デジタルデラックスエディション 9,790円(税込)
- PS5/PS4コレクターズエディション 24,200円(税込)
- PS5/PS4ヨトゥンエディション 31,350円(税込)
- CEROレーティング:Z(18歳以上対象)
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、プレイステーション 5/プレイステーション 4用アクションゲーム「ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク」を11月9日に発売する。
本作は2018年にリリースされた「ゴッド・オブ・ウォー 」の続編となるタイトルで、“神殺し”の主人公クレイトスと、その息子であるアトレウスが迫りくるラグナロクに備え、様々な世界を旅することとなる。
前作を上回る美麗なグラフィックスや、北欧神話をテーマにしたストーリー、そして本作の肝となる重厚なバトルアクションなど、様々な魅力が詰まっており、人気シリーズタイトルの最新作に相応しい内容となっている。
今回は、そんな「ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク」PS5版の先行プレイの機会を得ることができた。本稿では本作のレビューをお届けする。
なお、本作のボリュームはかなりのものではあるが、ネタバレを防ぐため、中盤以降の内容の紹介は避けることとする。その点をご了承願いたい。とはいえ、本作の魅力は序中盤だけでも十分に味わうことができる。本作の展開は実際にプレイして確かめてほしい。
北欧神話を舞台にしたストーリーと圧倒的なグラフィックス
「ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク」の物語は、前作「ゴッド・オブ・ウォー」の続きとなっている。前作をプレイしていなくとも、簡単なあらすじをメニューから確認することが可能だ。とはいえ、本作をより楽しむためにはやはり前作のストーリーを押さえておいたほうがいいだろう。
本作の物語はクレイトスとアトレウスの親子が迫りくるラグナロクに備えるべく、「九界」と呼ばれる世界を旅するというもの。かつてギリシャの神々と戦い、“神殺し”の異名を持つクレイトスは、北欧世界の主神であるオーディンや、オーディンに仕えるトール等、名立たる神々と対峙することとなる。
また、物語では神々との戦いとクレイトス親子の関係が密接に描かれることとなる。前作でも親子はテーマとなっていたが、本作では成長したアトレウスがラグナロクを前に抱える問題が親子の関係にも大きく影響する。
前作ではまだ幼かったアトレウスだが、本作ではラグナロクにおける自身の役割を明らかにするため知識を渇望し、クレイトスに隠れて冒険をするなど、主体的な行動が見られるようになった。アトレウスの視点で進むアクションパートも存在するなど、ストーリーの中心人物としての活躍が際立っている。アトレウスの成長は嬉しいと感じる一方で、その若さ故の行動に筆者もハラハラさせられることもあった。
成長したアトレウスに対し、息子の安全を思うクレイトスがどう向き合っていくかも物語の見所となっている。また、敵対する神々や、「軍神」テュールといった初登場となるキャラクターに加え、「知の巨人」ミーミルや、ドワーフの「フルドラ兄弟」であるブロックとシンドリといった仲間たち、親子に恨みを抱くフレイヤといった前作から引き続き登場するキャラクターも魅力的で、そこに声優陣の熱演が吹き込まれることで、キャラクターの個性をより引き立てていると感じた。
前作でもクオリティの高いグラフィックスが魅力的だった本シリーズだが、「ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク」では、それを上回る美しさで北欧神話の世界を描いている。冒険の舞台となる「九界」には様々な環境があり、クレイトス達が家を構える「ミズガルズ」は極寒の地で雪に覆われている一方で、ドワーフたちが住む「スヴァルトアルフヘイム」は湿地帯や鉱山が存在する温暖な世界だ。他にも巨大な草木が生い茂る密林や、砂漠、エルフの神殿など、様々な環境が美しく表現されており、プレイしているとゲーム世界に引き込まれるような感覚を味わえる。
また、ロケーションだけでなく、キャラクターの表情や装備、家の机に置かれたちょっとした小物といった細部まで丁寧に描かれており、PS5でプレイすればそこに3Dオーディオや、PS5用コントローラー「DualSense」のハプティックフィードバックとアダプティブトリガーが加わることで、より映画のような臨場感でゲームに没入することが可能だ。
豪快なフィニッシャー技が気持ちいい! 攻撃アクションで敵を薙ぎ払う
本作ではカットシーンからロード画面を挟まずにプレイパートへとシームレスに移行するため、没入感を維持したままアクションや謎解きを楽しむことが可能となっている。昨今では「プレイする映画」と称されるゲームタイトルは少なくないが、本作では「プレイ」の部分も非常に面白く、どんどんと物語を進めることができた。
さて、本作の肝となる戦闘アクションでは、仲間のサポートを受けながら、クレイトスの様々なアクションを駆使して敵クリーチャーと戦うこととなる。前作同様、クレイトスが使用する武器は氷の力を宿した斧である「リヴァイアサン」と、炎の力を持つ鎖付きの双剣「ブレイズ・オブ・カオス」の2種。前作では中盤以降に使用できたブレイズ・オブ・カオスだが、本作では序盤から使用することができ、2種類の武器を切り替えながらの戦闘を楽しめる。
リヴァイアサンは敵を叩き切る以外にも投擲することが可能で、離れた場所にいるものや、空中にいる敵にも攻撃が可能だ。一方のブレイズ・オブ・カオスは鞭のように振り回すことができ、範囲攻撃に優れている。
また、武器ごとのスキルや、強力なルーンアタックなども健在。戦闘などで得られた経験値を用いた強化も可能だ。スキルはツリー性で、武器の新アクションの解禁や強化を行なうことができる。スキルは既存のアクションを強化するものや、回避行動から強力な技を繰り出すもの、ボタン長押しで強力な攻撃を繰り出すものなどがあり、ある程度自由に解禁していくことが可能だ。
ルーンアタックは強力な特殊攻撃で、範囲攻撃から、ビームのような遠距離攻撃などが存在し、ノーマルルーンアタックとヘビィルーンアタックの2種類をそれぞれ自由にセットすることができる。新たなルーンアタックは探索を通じて入手することが可能だ。
また戦闘中にたまったゲージを使用して発動できる「スパルタ・レイジ」は強力なシステムだ。レイジを解き放ち容赦ない攻撃を繰り出す「逆鱗」や、体力を回復する「武勇」などが存在し、自由にセットすることができる。スパルタレイジを発動すれば、不利な状態からでも逆襲が可能だ。
また、本作からの新アクションとして、△ボタンを長押しし武器に属性を付与し、次の攻撃を強化することが可能となっている。斧「リヴァイアサン」は△ボタン長押しで「フロスト・アウェイクン」を発動し、冷気効果を付与し、双剣「ブレイズ・オブ・カオス」で使用できる「フレイム・ウィップ」では、鎖を回しながら炎の力を付与することができる。
属性を付与した攻撃は、属性効果を敵に与えられる。フロスト・アウェイクンで冷気効果を与えられた敵は凍って動けなくなり、フレイム・ウィップでは敵の氷の防御を溶かすことができる。本作では敵の攻撃が激しく、複数の敵と同時に交戦することも多いため、ボタンを長押しして属性攻撃を使用することは難しいが、適切なタイミングで使えれば戦闘を有利に進められる。
新アクションには他にも、崖から飛び降りた際に放てる落下技も存在。こちらは相手をスタンさせることが可能で、開戦時に使用するといい。
クレイトスの繰り出す攻撃はその体格に違わずどれもパワフルで、見ていて気持ちのいいものになっている。敵の集団をルーンアタックやスキルでなぎ倒していくのは爽快だ。攻撃アクションの中でも筆者のお気に入りは、敵をスタンさせた時に使用できるフィニッシャー技だ。本作のフィニッシャー技は武器ごとにモーションが設定されており、そのどれもが豪快の一言。ストーリー上では父としての優しさや葛藤が見えるクレイトスだが、敵に対しては容赦ない残虐性を見せてくれる。散々手こずった敵に対してフィニッシャー技を決めると達成感を覚えることができた。
防御アクションが緊張感を生む。アトレウスもバトルでサポート
クレイトスの攻撃は苛烈だが、敵の攻撃も激しいのが本作の特色だ。敵の攻撃を盾で受けたり、回避したりといった防御アクションを使いこなすことは攻略には欠かすことができない要素となっている。
敵はガードを崩すガードブレイクや、ガード不能攻撃を繰り出してくる。これらの攻撃は色付きのリングで予告されるので、敵の攻撃パターンを丸暗記する必要はなく、直観的な操作で回避行動をとれる。また、敵の攻撃はパリィすることが可能となっており、決めれば一転攻勢に移ることが可能だ。パリィや回避を用いた戦闘は、敵の攻撃のダメージが高いこともあって緊張感がある。うまく敵の攻撃を凌げれば、防御で味わった緊迫感をこちらの攻撃で解き放つような感覚を味わえた。
また、戦いに挑むにあたって武具・防具の強化は重要だ。本作では武器や盾、防具をカスタマイズすることでステータスを上げられる他、特定の行動に追加効果を付与できる武器の持ち手や、パリィ後に追加攻撃を行なえる盾など様々な特色を持ったものが存在する。プレーヤーのスタイルや好みに併せて、好きな装備を選択することが可能だ。
また、前作同様戦闘にはアトレウスも参加する。アトレウスは弓を用いてクレイトスを支援してくれる以外にも、本作では追加の近接攻撃も行なうようになり、時にはクレイトスとのコンボアクションを繰り出してくれることもある。カットシーンでもクレイトスとともに敵にトドメを刺すシーンがあるが、バトルアクションで活躍するアトレウスの姿からも彼の成長を感じられる。
アトレウスのアクションはスタンを稼ぎやすく強力なため、強敵相手にはついつい頼ってしまいがちだったが、操作になれてくるとクレイトスの攻撃に併せてアトレウスに指示を出し、フィニッシュアクションに持っていくような動きもできるようになっていった。
また、上述したように本作にはアトレウスの視点で進むパートも存在する。そこでもアトレウスは弓術以外の様々なアクションを繰り出すことが可能だ。アトレウスはクレイトスに比べると非力で、パワフルなアクションを行なうことはできないが、音波の矢を使用したスタイリッシュなアクションが魅力となっている。また、アトレウスにも固有のスキルツリーや装備が存在し、強化することができる。
本作の戦闘は、難易度ノーマルに相当する「Balance」でも中々に手ごたえがあり、こちらが倒されてしまうことも頻繁にある。とはいえ、難易度の調整は(最高難易度以外では)自由にすることができる。また、アクセシビリティの変更を行なえば、中ボス戦で一定のダメージを与えることで、ゲームオーバーになっても与えたダメージを保存してくれたりといった救済策も用意されているので、アクションが不安という人でも気軽にプレイできる。
シリーズ恒例の謎解きも! ロケーションに合わせたギミックが登場
ストーリーや探索の際にこなすこととなるパズルのような「謎解き」も本シリーズの特徴のひとつで、本作でも多く存在している。謎解きでは、リヴァイアサンの氷付与で水を凍らせてギミックを起動させたり、ブレイズ・オブ・カオスの炎で邪魔な植物を燃やしたりといった風に、武器を活用したものが中心だ。湿地帯では間欠泉を凍らせたり、鉱山では油を発火させ爆発を起こしたりといったロケーションに合わせたギミックが登場するのは好印象だった。
また、謎解きでは味方の力を頼ることも少なくない。アトレウスは本作で「音波の矢」の力を手に入れられるのだが、これでしか突破できないギミックも登場する。バトルだけでなく謎解きでも、親子で道を切り開いていくこととなるのだ。
謎解きの中にはやや難しいと感じるものもあるが、冒険を共にしているキャラクターがアドバイスをくれたり、次に起動するギミックに対して視線を向けてくれたりといったサポートを受けることができる。それでも先に進めない場合、筆者は周囲をよく観察するだけでなく、気になったものにはとりあえず斧を投げてみるスタイルで攻略していった。斧をなげることで「そこではない」、「これをしてみたらどうか」といったアドバイスをキャラクターが喋ってくれることもあるので、これが案外上手くいった。
謎解きはストーリーだけでなく、道中で装備を強化したり、新たなルーンアタックを解禁するためにもこなす必要がある。本作のマップは広大なため、各地をくまなく探索し、解くべきギミックを発見していくこととなる。
広大なマップにはサイドクエストや、一定数倒すことで宝箱を開けられる「オーディンの鴉」といった収集要素も存在する。サイドクエストはこなすことで、報酬を得られるだけでなく、本作の世界観や物語の背景をより理解することにも繋がるので寄り道をしてみるといいだろう。一度発生したサイドクエスト等は後からマップで確認できるので、ストーリーを早く進めたいという人は一旦後回しにしても大丈夫だ。
圧倒的なグラフィックスで描かれる世界観を舞台に、壮大なストーリーが描かれる「ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク」は、派手で緊張感のあるバトルも楽しむことができる作品となっている。そのボリュームもかなりのもので、序盤だけでも5時間以上プレイすることはできる程だ。
人気シリーズの最新作というだけで期待値は上がるものだが、本作はその期待を上回るできといっていいだろう。前作の内容を押さえればより楽しめるが、未プレイでもその魅力は十分に味わうことができるので、気になる方には是非ともプレイして欲しいタイトルだ。
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