レビュー

「ハーヴェステラ」レビュー

どんな場面でも夜には家に帰って寝る! 規則正しい生活が送れる新感覚のRPG

【ハーヴェステラ】

発売元:スクウェア・エニックス

開発元:スクウェア・エニックス

ジャンル:生活シミュレーションRPG

プラットフォーム:Nintendo Switch/PC

発売日:11月4日(※Steam版:11月5日)

価格:7,680円(税込)

CEROレーティング:B(12歳以上対象)

 スクウェア・エニックスは、Nintendo Switch/PC(Steam)用生活シミュレーションRPG「ハーヴェステラ」を11月4日に発売する(Steam版は11月5日発売)。

 本作は、ファンタジー世界を舞台にスローライフとアクションRPGが楽しめるファンタジー×生活シミュレーションRPGとなっており、自宅前で栽培した作物を売り、得たお金でさまざまアイテムを購入して生活し、時にダンジョン攻略を行なう。

 今回はそんな本作を発売前にプレイすることができた。スローライフ×アクションRPGという新しい体験ができる本作の魅力をお伝えしたい。

【【2022年11月4日発売】『ハーヴェステラ』2ndトレーラー】

いろいろな謎が同時に襲う不思議な世界

 本作はシーズライトと呼ばれる、四季を司る大きな結晶が4つ存在する世界が舞台となっている。この世界では季節の変わり目に世界がグレーに染まり、小さな光の粒が飛び交う「死季」と呼ばれる不思議な現象が発生する。人が家の外でこの光の粒を吸ってしまうと体に悪影響を及ぼすことから、この時期は誰も家から出ないという、名前通り恐ろしい現象となっている。

この世界に4つあるシーズライト
死季の季節は世界の色も変わる

 そんな中を彷徨い行き倒れてしまった人物が本作の主人公となる。「死季」の中を彷徨ったせいか主人公は記憶を失っており、この世界のことは何もわからない状態、つまり完全にプレーヤーと同じ視点となってスタートする。物語序盤に謎の少女が主人公を導くが、要点を得ないので本当にこの世界がどうなっているのかがわかりづらい。その不安感が出会う人たちの漠然とした不安と相まってこの世界に起こり始めている現象を紐解いていこうという気持ちに自然となってくる。

行き倒れていた主人公を謎の少女が導く

 本作では序盤主人公を助けてくれる医者の「クレア」が身の回りやこの世界の暮らし方についていろいろと説明をしてくれる。そしてもう1人未来から来たという少女「アリア」も本作では重要な人物となっている。主人公とともに暮らしこの世界の謎を追いかけていく。

主人公を助けてくれた「クレア」
もう1人の重要人物「アリア」

 本作はスタートからずっと謎ばかりがたくさん蓄積していく。シーズライトとは何なのか、「死季」はどうして起こるのか、そもそも主人公はどうして記憶がないのか、そしてこの世界に起こっている異変とは何なのか。たくさんの謎が謎のまましばらく進んでいく。ストーリーがどこへ向かうのかわからないハラハラドキドキ感が非常に癖になる。

スローライフで自給自足をして生活をまかなう

 本作は家の敷地内で行なう農作業やクラフトをする自給自足のスローライフパートと、ダンジョンに入って魔物と戦う冒険パートの両方をプレイしながらゲームを進めて行く。

 スローライフパートは物語序盤からプレイ可能となっている。本作では1日ごとに行動が区切られており朝起きて昼間活動して夜寝るというサイクルを繰り返す。夕方の18時ごろには家に帰るようメッセージが出るので規則正しい生活を送ることが求められる。1日は現実時間ではおよそ10分程度となっており、朝はお店がオープンしていないし、夕方からどんどん暗くなっていくので非常にリアルな時間を体験できる。

 スローライフパートのメインとなる場所は、村から少し離れたところに借りた自宅だ。その自宅前を耕し畑を作ることができ、畑で育てた作物を出荷してお金を稼ぎ、そのお金でまた種を買って育てるという自給自足生活を送る。育てる作物は季節によって種まきの時期が決まっており、季節によって畑の風景も異なる。

 作物を育てるには畑を耕し、種を植え、水をやる。その後は水やりを毎日していれば育っていく。育つのが早い人参に似た作物「キャロップ」に至っては一晩経てば育っている。作物は全体的に育つスピードが早いものが多く、ストレスを感じない。

 育てる作物も小麦やレタスなど現代の作物によく似た作物ばかりだ。出荷は家の目の前にある出荷箱に入れておくだけで、日付が変わると出荷されてお金に自動的に変わる。出荷箱には畑で育てた作物以外にも、ダンジョンで手に入れたアイテムなども売ることができる。本作では魔物を倒してもお金は手に入らず、基本的にこの出荷箱に入れたものを売って得たお金でやりくりしていく。序盤は特にお金がないので少しシビアに感じるかもしれないが、作物が育ってどんどん種を買って育てられるようになると身の回りの設備も充実してくるので序盤だけ乗り切れば波に乗れると感じた。

自給自足では畑を耕し
種を植えて
育った作物を出荷する

 手に入れたお金は新しい種を買うほかに、アイテムや家のリフォーム、増築、武器を強化することに使う。買い物は村の商店ですることができ、家のリフォームや増築をすることで、できることも増えていくようになっている。最初は畑とクラフトのみだが、リフォーム屋で調理台を設置してもらうと料理が、家畜小屋を作ってもらうと動物も飼育できるようになるので、さらにプレーヤーができる幅が広がるようになっている。

レーテの村の雑貨屋
武器屋
リフォーム屋

 家の中ではアイテムをクラフトすることもできる。レシピと材料アイテムがあれば製作可能で、製作時にはアイテムごとに一定時間を消費する。材料アイテムは家の敷地内やダンジョンの至る所に落ちており、それを拾ってくることでクラフトの材料にできる。

 クラフトできるアイテムは様々あり、畑の岩を砕く「ハンマー」やダンジョンで橋やはしごを修理する「修理キッド」、使うだけで家に帰ることができる「リターン・ベル」などを作ることができる。基本的にスローライフで必要な道具やダンジョン攻略で必要な道具は作ることができるので、農作業やダンジョン攻略も自分の力でプレイしている感じがしてとても充実した気分になる。

アイテムをクラフトすることもできる
アイテムは様々なところに落ちている

 本作は時間の流れがゆったりとしており、さらに1日ずつ進んでいくため非常にのんびりとした雰囲気を楽しめた。ちなみに、1日の終わりは必ず家のベッドで休む必要があるので、夜更かしは禁物だ。

眠たいと行動が制限される

 スローライフパートでは主人公がスムーズに生活するためにいろいろな作業をする。農作業で作物を育てて販売し、家の中で農作業やダンジョン攻略に必要な道具を作る。キッチンを修理するとダンジョン攻略で必要な回復アイテムの料理を作れるなど必要な物のほとんどを作っていくので、自給自足をしている感覚が強い。ゲームの中とは言え自分の力で暮らしているという感覚をしっかり味わえるので、シミュレーションとしてもしっかり楽しめるようになっていると感じた。

ダンジョン攻略も新感覚。進んで直して1回戻る

 ストーリーを進めると、ダンジョンを攻略することになる。ダンジョン攻略は、ダンジョンに入った段階で「最深部へ向かう」、「天の卵の奥に行く」など目標が決められており、その目標を達成することがクリア条件となっている。ダンジョンには様々な魔物がおり、倒しながらダンジョンの奥へと進む。

 魔物の中には、不思議なオーラをまとった「FEAR」という存在もいる。戦闘をするにはあまりにも強すぎる魔物なので、「FEAR」を見つけた際には見つからないように一目散にその場を立ち去ることが推奨されている。

ダンジョンにはとても強い敵も存在する

 魔物との戦闘は通常攻撃とスキル攻撃に分かれており、通常攻撃はボタン1つで攻撃可能だ。通常攻撃はジョブによって異なり、近接攻撃が得意なファイターは斬撃、魔法攻撃が得意なメイジは遠距離の氷攻撃などさまざまな攻撃スタイルを楽しめる。

 スキル攻撃はトリガーボタンで入力を切り替えて発動する。スキル攻撃はスキルを解放することで使うことができ、ファイターでは炎の斬撃、メイジでは雷を落とすなど強い攻撃を仕掛けることができる。スキルは1度使うと少しの間クールタイムが必要となるので、通常攻撃と織り交ぜて戦うことをおすすめしたい。

 また、本作ではガードという行動ができないため、基本的にプレーヤーが魔物の動きや攻撃を見ながら距離を空けたり詰めたりする必要がある。近すぎても攻撃を受けっぱなしになり、遠すぎると攻撃射程に入らなかったりするのでバトルにおいては距離感が非常に大切だと感じた。近接攻撃で戦っている際気が付いたら袋叩きになっていることもあるので注意して戦うことをおすすめしたい。

ファイターの通常攻撃
メイジのスキル攻撃

 ダンジョン内には、はしごや橋など修理すれは使えるようになるものが多数存在している。修理するには、アイテムや時間を消費する、修理にかなり時間を要するものもあるので、現在の時間やこれからの道筋などを考えながらこのタイミングで修理するのかは判断した方がよさそうだ。

道中にある壊れたものを修理していく

 ダンジョン内で力尽きてしまうと、自動的に家のベッドに転送される。家に転送されると家の前に倒れていたということで、クレアに診察されて治療費を請求されてしまう。体力や時間はよく確認しながら行動したい。

力尽きるとクレアにめちゃくちゃ怒られる

 本作では主人公の家や村、ダンジョンに移動する際には転移モノライトという装置を使って移動することができる。転移モノライトで家まで一飛びで帰ることも可能だ。

 本作では夜遅くまで主人公が行動しているとどんどん眠気に襲われてしまう。ダンジョン攻略中であっても眠気はやってくるので、1度家に帰る必要がある。眠気に襲われたまま続行してしまうと力尽きた時と同じように強制的に家に帰されてしまう。その上クレアから治療費まで取られるので、夜更かしせずに素直に家に帰るのが1番だ。

 1度家に帰ると、ダンジョン入口の転移モノライトまでは自力で行く必要があるが、帰って来たついでに身の回りを整えることもできるので、家でクラフトすることをおすすめしたい。

転移モノライトはなくてはならない大事な装置だ

ジョブとスキルでバトルをもっと戦いやすく

 主人公はストーリーを進めると様々なジョブを習得することができる。最初は近接攻撃を得意とするファイターのみだが、魔法攻撃が得意なメイジ、科学の力を使った体術を得意としたアサルト・サヴァンなどがある。1度に3つのジョブをセットでき、斬撃が効かない魔物、近接で戦う・遠距離で戦う方がいい魔物など状況に合わせて切り替えることができる。1度切り替えると前のジョブに切り替える際には少しの間クールタイムが必要となるので注意が必要だ。

ジョブはパーティ画面で設定可能だ

 ジョブごとにスキルを解放することができるようになっており、スキル解放にはJP(ジョブポイント)が必要となっている。JPはジョブごとに溜まるようになっており、魔物を倒した時のジョブにJPが加算される。

JPを消費して新しいスキルを覚えられる

 通常攻撃とスキルには様々な属性がついており、魔物によっては弱点となる属性もあるのでうまく使い分けていくことがコツだと感じた。

 また、ボス戦では弱点となる属性攻撃を続けることでブレイク状態にすることができる。ブレイク状態になると与えられるダメージが増えるので積極的に使っていくことをお勧めしたい。

ボス戦でのブレイク状態はバトルにおいてかなり重要だ

まとめ

 本作をプレイしていて感じたのはその独特な時間の流れ方だ。RPGでありながら1日の中で主人公の行動時間に限りがあるのは非常に新鮮だ。またどこにいても夜には家に帰って寝るというのも新しい感覚だ。

 ストーリーもかなり謎だらけで全く先が読めないのも非常にワクワクする。新しく向かう先でどんなことが起こるのか非常に楽しみになる。

 家で作物を育ててスローライフをしながら、ガッツリ謎めいた世界を旅するという感覚は新しいRPGだと感じた。全体的にかなり新感覚のRPGという印象を受けたので、新しいRPGを楽しみたい、体験してみたいプレーヤーはぜひプレイしてみてほしい。

□Steam版「ハーヴェステラ」のページ