レビュー

「ベヨネッタ3」レビュー

新要素でさらにバトルが楽しく! シリーズ史上最高に絶望を感じるストーリー

【ベヨネッタ3】

発売元:任天堂

開発元:プラチナゲームズ

ジャンル:クライマックス・アクション

発売日:10月28日

価格:
通常版 7,678円(税込)
DL版 7,600円(税込)
CEROレーティング:D(17才以上対象)

 任天堂とプラチナゲームズは、Nintendo Switch用クライマックス・アクションゲーム「ベヨネッタ3」を10月28日に発売する。

 本作は2009年に発売された「ベヨネッタ」、2014年に発売された「ベヨネッタ2」に続くシリーズ3作目となる。本シリーズは、アンブラの魔女と呼ばれる一族の末裔ベヨネッタがこの世のものではない敵と戦いながら、さまざまな目的に向かって進んでいく。作品によって敵対するものは異なるが、今回敵対するのは人が作った「ホムンクルス」と呼ばれる謎の敵。ノンストップクライマックス・アクションと銘打ったステージとバトルへの移行がシームレスになっている本作は、バトルの爽快感が魅力の作品だ。また、1つのチャプターの中で、時折ゲーム性が変わることがあるのが印象的な作品でもある。

 今回、まだまだ謎に包まれた本作をプレイすることができた。本稿ではその魅力をお伝えしたい。

【ベヨネッタ3 3rd トレーラー】

新たな魔女(見習い)ヴィオラが登場。ベヨネッタはツインおさげというかわいさのある衣装に

 本作ではベヨネッタのほかに、プレイできるキャラクターとして「ヴィオラ」が登場する。ヴィオラはロックテイストの洋服と日本刀というかなりファンキーな格好をしており、未熟ながらも魔女の力を持っているキャラクターだ。

 メインチャプターで操作するのは、ストーリー進行にあわせて固定されるが、メインチャプターの中で条件をクリアした際に登場する裏チャプター「事象の残滓」ではどちらでプレイするかを選ぶことができる。

本作から登場する見習い魔女のヴィオラ

 「ベヨネッタ」シリーズは、作品ごとにベヨネッタや、魔女の1人であるジャンヌの髪形・衣装が異なるのも特徴だ。1作目はロングヘアと妖艶な姿だったベヨネッタだが、2作目ではショートヘアとゴージャス感、そして3作目の本作ではツインのおさげというかわいさのある衣装になっている。その姿は、ベヨネッタの幼少の姿セレッサを彷彿とさせる。

今作のベヨネッタ
ベヨネッタの衣装もかなりかわいくなった

シリーズ史上最も手に汗握るストーリー。混沌界の人間が作り出した「ホムンクルス」と戦う

 「ベヨネッタ」シリーズでは、作品ごとに戦う敵が変わる。「ベヨネッタ」シリーズは天使が暮らす「天界」、悪魔が棲む「魔界」、人間が暮らす「混沌界」の三位一体の世界で形成されており、1作目は天界の天使たち、2作目では魔界の悪魔たちが主たる敵となっていた。3作目となる本作では、混沌界の人間が作り出した「ホムンクルス」たちがベヨネッタの前に立ちはだかる。

本作の敵はホムンクルス

 本作では新たに「マルチバース」という言葉が登場する。多次元宇宙論のことで、次元の異なる世界に同じような宇宙や世界が、同じ時間軸で存在しているというものだ。この「マルチバース」が本作では重要な要素となっており、物語は別次元の宇宙からやってきた人類の侵攻によって始まる。「ベヨネッタ」シリーズの物語の中で最も不安になるストーリー展開で、チャプターをプレイするごとに先が読めない展開が手に汗握る。

 本作ではベヨネッタやヴィオラが他次元の宇宙にある地球へと次元を超えて移動していく。移動した世界では見たことのある景色や、時間軸は同じはずなのに全く違う景色を見ることができる。また、本作では戦う相手が天使でも悪魔でもない混沌界のものとなっているため、三位一体の世界の狭間「プルガトリオ」ではなく、基本的には現世界でのバトルが繰り広げられる。プルガトリオでは普通の人間は透けた状態で見えるので、透けていない人間がいるステージ上を駆け回り、バトルするのもかなり新鮮だ。

三国志に出てきそうな場所も

新要素「デーモン・スレイブ」で爽快感UP! さらにバトルが楽しく

 「ベヨネッタ」シリーズはノンストップクライマックス・アクションが最大の特徴だ。チャプターごとに異なるステージと、ステージ上に設けられているバトルシーン「VERSE」がシームレスに展開されるのが本作の魅力となっている。簡単操作で軽快なバトルを楽しめるので、アクションが苦手な人でも十分に楽しめるのも特徴の1つ。また、難易度設定もシナリオを楽しみたいプレーヤー向けの「CASUAL」、歯ごたえのある戦闘が楽しめる難易度の「STANDARD」、腕に自信のあるハードなバトルを楽しみたいプレーヤー向けの「EXPERT」と選べるので、プレーヤー自身の好みの難易度で楽しめるのも嬉しい。

 チャプターごとに「VERSE」の数は異なっており、チャプターの長さも異なる。ただ、「ベヨネッタ」特有の“真っ直ぐ道なりに進むだけ”では全ての「VERSE」をプレイできないことが多い。横道に逸れる、後ろに戻ってみるなどして、さまざまな場所に行くことで多くの発見があるので、ぜひステージ上をじっくり探索してみてほしい。

 「VERSE」の中にはバトルだけでなく、異空間に移動してミッションをクリアするというものもある。1度クリアしたチャプターは繰り返し何度でも遊ぶことが可能なので、1度ストーリーをしっかり楽しんでからもう1周するもよし、次のチャプターに行く前に、見つからなかった「VERSE」を探すためにプレイするもよし、プレーヤーのプレイスタイルに応じて楽しみ方はたくさんある。

チャプターの中にたくさん「VERSE」がある
中には異空間でミッションを行なうことも

 「ベヨネッタ」シリーズのバトルは、ベヨネッタの魔女としての能力を楽しむことができる。敵がよろめいたタイミングで処刑器具を使って追撃を行なう「トーチャーアタック」、敵の攻撃をギリギリで避けることで発動し、高速で移動することができる「ウィッチタイム」があり、これらを組み合わせて戦うことで爽快に敵をなぎ倒していける。

 特に「ウィッチタイム」は高速移動となっているが、演出としては周りがスローモーションに見えるので非常に戦いやすい。ベヨネッタをプレイする上で最初に「ウィッチタイム」の発動のタイミングをしっかり掴んでおくとバトルが進めやすいのでおすすめしたい。

「トーチャーアタック」は拷問器具を使って追撃する
「ウィッチタイム」は高速移動で敵を攻撃できる

 本作からは、ベヨネッタやヴィオラ自身が戦うほかに、魔獣を召喚して戦う「デーモン・スレイブ」がある。

 この「デーモン・スレイブ」はベヨネッタとヴィオラで仕様が若干異なる。ベヨネッタの場合は召喚中の魔獣を操作できるが、代わりにベヨネッタ自身が無防備になる。逆にヴィオラの場合は召喚中の魔獣が自動で攻撃をするため、魔獣を操作できないが、ヴィオラの移動や素手での攻撃が可能となる。今作からは魔獣で攻撃するだけでなく、移動も自在に行なうことができるので、バトルの戦い方が多彩になったうえ、戦いやすさが格段に上がった。ホムンクルスの中には体が大きいものやトリッキーな動きをするものも多いので、うまく魔獣を召喚しながら戦っていこう。ちなみに、「デーモン・スレイブ」で喚び出す魔獣は、魔力ゲージが持つ限り召喚し続けることができる。

ベヨネッタの魔獣「ゴモラ」
ヴィオラの魔獣「チェシャ」

 ベヨネッタのバトルは拳銃と打撃がメインとなっているが、ストーリーが進むにつれて使える武器も増えていく。「ベヨネッタ」、「ベヨネッタ2」では天使の歌声の入ったレコードを「ロダン」に持っていくと新しい武器を調達してもらえたが、本作では序盤に2つの武器をもらう以外はロダンに調達してもらうことはない。また、本作では武器と魔獣が連動しているため、新しい武器を手に入れると、「デーモン・スレイブ」で使える魔獣も増えるようになる。もちろん「ベヨネッタ」シリーズでよく登場した黒い怪獣の「ゴモラ」や地獄で転生した淑女「マダム・バタフライ」も使用可能だ。

ベヨネッタは拳銃と打撃攻撃メイン
ヴィオラは刀での攻撃メイン

 ベヨネッタは「デーモン・スレイブ」のほか、魔獣たちの力を借りてさまざまな姿に変身する「デーモン・マスカレイド」を使用することができる。前作までは移動する際などに豹の姿に変身して高速で移動していたが、今作では装備している武器に宿る魔獣の魂と融合する。

 ベヨネッタが愛用している4丁拳銃「カラーマイワールド」を装備した状態では、マダム・バタフライと融合し蝶の羽の生えた姿に変貌。マダム・バタフライの力を借りると打撃のアシストを受けることや空中を滑空することが可能となる。この滑空はふわふわと移動するものだが、かなり長い時間飛ぶことができるので遠くへ行く移動手段として使える。筆者はいろんな場面で活用するほどお気に入りだった。

マダム・バタフライの力を借りると遠くまで飛んでいくこともできる

 今作のボス戦はかなりスケールが大きい。あまりの規模に思わず呆気に取られてしまうほどだが、このスケールの大きさもまた「ベヨネッタ」シリーズらしさだと感じた。突然起きる想像だにしないステージが目の前に現われるのが「ベヨネッタ」シリーズの楽しさだ。

技の開放はスキルツリーで

 ベヨネッタやヴィオラ、召喚する魔獣たちに新たな技を覚えさせる場合には、オーブを消費して解放するスキルツリー形式になった。スキル解放に使用するオーブはバトル時にコンボを一定数つなげたり、魔獣で敵の装甲を破壊すると手に入れることができる。

技はスキルツリーで開放

 また、スキル解放ではベヨネッタやヴィオラの体力や魔力のゲージを強化することが可能だ。体力を強化できるウィッチハートや魔力を強化できるムーンパールを手に入れた際は忘れずに強化してほしい。

メインストーリー以外にも楽しめるコンテンツがたくさん

 本作では、ベヨネッタの幼馴染「ジャンヌ」が主人公のステージを楽しめるサイドチャプターが用意されている。物語としては、ベヨネッタたちとは別行動で重要な人探しを依頼されたジャンヌの捜索劇が描かれている。このサイドチャプターは2D横スクロールアクションとなっており、さまざまな場所に隠れて敵の視線をそらし、制限時間内に目的の場所に到達することが目標となっている。

別行動のジャンヌのストーリーも楽しめる

 また各チャプターごとに、魔女の血涙というアイテムを携えたカラス、ネコ、カエルがそれぞれ1匹ずつステージ上のどこかにいる。この3匹を捕まえてチャプターをクリアすると裏チャプター「事象の残滓」が解放される。

 この「事象の残滓」では、本編とは異なるゲームルールが敷かれている。例えば、ステージに点在するVERSE内の敵を制限時間内にすべて倒すといったようなものだ。無事最後までクリアするとアイテムを手に入れることができる。

裏チャプター「事象の残滓」ではキャラクターを選べる
制限時間内に決められた「VERSE」を駆け抜ける

まとめ

 今回プレイして感じたのは、バトルの幅が広がり戦いやすくなったことで、よりバトルが楽しくなっていたことだ。特に、「デーモン・スレイブ」による魔獣の召喚や魔獣の力を借りて姿を変える「デーモン・マスカレイド」が追加されたことで戦いやすくなっていた。それでいて、演出に豪快さや派手さが加わり、戦っていてとても楽しい。バトルの爽快感もかなり上がっている。

 バトルの爽快感が上がっている一方、「ベヨネッタ」シリーズ史上最高に絶望を感じるストーリーも衝撃的だ。筆者は導入部分のストーリーがあまりの衝撃すぎて3回ぐらい見返してしまった。

 本作は「ベヨネッタ」シリーズが好きな人はもちろん、豪快で爽快なアクションを楽しみたい人にもオススメできる作品となっている。