レビュー

PC版「ゴッド・オブ・ウォー」レビュー

豊富なグラフィックス設定に対応。北欧神話モチーフの壮大な景色と斧アクションはPCと相性抜群

【PC版「ゴッド・オブ・ウォー」】

ジャンル:アクションRPG

発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント

開発元:Santa Monica Studio

プラットフォーム:PC(Steam、Epic Games Store)

発売日:1月15日

価格:4,900円(税込)

 「ゴッド・オブ・ウォー」シリーズ最新作、「ゴッド・オブ・ウォー」のPC版が1月15日より発売となる。SteamおよびEpic Games Storeで販売され、価格は4,900円(税込)。

 「ゴッド・オブ・ウォー」シリーズは2005年よりPS2/PS3で発売されたアクションゲーム。ギリシャ神話をモチーフにしたオリジナルストーリーと超巨大なクリーチャーを相手に戦う迫力のアクションが魅力の人気シリーズだ。初期3部作はPS3で発売された「ゴッド・オブ・ウォーIII」で完結し、ギリシャ神話の神々に翻弄された主人公のクレイトスが最終的にゼウスを滅ぼす壮大なストーリーで幕を閉じた。

 2018年にPS4版が発売となった本作はこの初期3部作の後日談だが、続編というよりは新たに北欧神話をモチーフとした舞台での新エピソード第1弾となっている。そのため、初期3部作をプレイしたことがなくても、本作からいきなり楽しむことが可能だ。もちろん初期3部作を知っていれば、物語の随所に登場する初期3部作に関連したイベントをより味わい深く堪能できる。

【『ゴッド・オブ・ウォー』 PC用ソフトウェア アナウンストレーラー】

 また、本作の続編「ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク」はPS4/5向けで2022年に発売予定のため、新たなエピソードを楽しむ前の予習としても本作は最適な1本となっている。

 筆者は今回が「ゴッド・オブ・ウォー」シリーズ初体験だが、敵との戦闘がメインのアクションゲームとして仕上がっており、フィールドの移動や探索などは比較的のんびり楽しめた。そのため、オープンワールドなどと比べた場合に自由度は少ない反面、ストーリーをじっくりと味わうことができるし、慌てずじっくりと各フィールドの自然や景色を堪能しつつ遊べる1本に仕上がっていると感じた。

 PC版では、フレームレート上限なしによる4K解像度に対応しているほか、細かな画質設定、グラフィックスの質はそのままフレームレートを向上させるNVIDIA DLSSなどにも対応している。本稿では、この辺りにも触れていきたい。

 ということで早速PC版「ゴッド・オブ・ウォー」について見ていこう。

半神半人のクレイトスが北欧神話の世界に降り立つ

 本作の物語は主人公クレイトスの妻、フェイが死んでしまったところから始まる。彼女の遺言にあった「遺灰を9つの世界で最も高い山から撒いてほしい」という願いをかなえるために、息子のアトレウスと旅に出る。

 プレーヤーは主人公のクレイトスを操作し、息子のアトレウスとともに北欧の世界を冒険する。クレイトスはギリシャ神話の戦神アレスから力を与えられた半神半人の戦士だ。その容姿はスキンヘッドに筋骨隆々という大男で、体中には刺青を入れた、正に古代ギリシャ時代の戦士その物といったビジュアルになっている。

 息子のアトレウスは妻のフェイとの間に生まれた子供だ。短髪で目がクリっとしたかわいらしい坊やだが、その目は鋭く戦う男の意思を感じさせる。また、弓の腕も確かだし、ルーン文字を読む知識を備えるなど、クレイトスより優れた要素もあるので、道中は息子の助けが必須ともいえる。

本シリーズの主人公クレイトス。本作では巨大な斧「リヴァイアサン」を使って北欧神話の舞台を旅する
母のフェイの死を悲しむもう1人の主人公、アトレウス。プレーヤーは操作せず、指示を出すのみだ

 本作でユニークなのは主人公のメイン武器がいきなり強力という点だろう。メインで使用するのは「リヴァイアサン」と呼ばれる巨大な斧で、死んだ妻、フェイの形見のアイテムでもある。これを振り下ろして敵を切りつけたり、敵に投げつけたり、自身が届かないような遠方のオブジェクトに当てる用途などにも使用する。投てきした斧はクレイトスの意思で自由に呼び戻せる。また斧には冷気の魔法がかけられており、投げつけた場合、命中した物は凍り付く。

 冒険の中ではこのリヴァイアサンをメイン武器として使用する。道中では別の武器を入手して使用したり、前作のメイン武器を利用するイベントなども発生するため、後半になると武器を交換することも可能になる。

 本作のアクションはとにかく大柄なクレイトスが見せる、斧によるアクションの爽快感が魅力だ。巨大な斧、リヴァイアサンを軽々と振るい敵をバッタバタとなぎ倒すのはストレスが吹っ飛ぶ心地よさだ。また投てきで遠方に飛ばす時の豪快なアクションも気持ちいいし、ワンボタンでシュルルルと手元に狂いなく戻ってくるリヴァイアサンのギミックもプレイしていて気持ちよく、何の用もないのに投げては戻してを繰り返したくなる。

冷気をまとう強力な斧「リヴァイアサン」
投てきで離れた場所に投げつける事もできる

 リヴァイアサンはそれ自身を鍛冶屋で鍛えることでさらに強化することができる。また、空きスロットが2つ用意されており、ここに宝珠を装備することでダッシュ攻撃や敵をひるませる技が使えるようになるなど新たな能力が獲得できるので、こうした宝珠を探して、あれこれ試すのも楽しみの1つと言える。

 道中の敵を倒したり、イベントをクリアしていくことで経験値を入手してクレイトス自身もレベルアップができる。レベルアップするとより派手で強力なアクションスキルが獲得できるほか、道中手に入る「銀の欠片」を集めて、これを利用して買い物などで防具を強化するといった楽しみもある。

 その他にも神の力を持つクレイトスはピンチの時には「スパルタン・レイジ」と呼ばれる強力なパワーを発動することも可能だ。体力ゲージとは別にレイジゲージがあり、これを最大まで貯める事で利用が可能で、発動することでゲージが続く限り移動速度や防御力など全ての能力が大幅に強化される。

 こうした能力を駆使してクレイトスは「9つの世界で最も高い山」の頂上を目指す。

鍛冶屋と出会うことでリヴァイアサンを強化できるようになる
レベルを上げる事で新たなスキルが解放される

のんびり北欧神話の世界を満喫できるフィールドが魅力

 本作のアクションは基本的には戦闘がメインとなり、フィールド移動時は歩いたり走ったりするのみで、ジャンプなどは行なわない。崖を登りたい場合などは登れる崖の前に来れば、ボタンひとつで崖を登ったり降りたりといったアクションが行なえる。戦闘アクションそのものは激しいが、合間の移動や探索はじっくり取り組みるような印象だ。

 また、イベントの目的地などは、ゲーム途中から画面上部にガイドが表示されるようになるため、歩いて行ける範囲をくまなく捜索すれば迷うことなく移動できる。ストーリーをメインで楽しみたい人でも安心して遊べる作りになっている。

 ただし、行く手を遮る扉や仕掛けの施された古代の扉などは各所にあり、これらはパズルになっている。例えば、行く手を遮る扉があったとする。この扉は、そのままでは通り抜けできず、持ち上げたり破壊したりも不可能だ。

 少し離れたところを探ると、何か仕掛けがありそうな鎖が用意されている。この鎖を引っ張ると、この扉が持ち上がる仕掛けなのだが、手を離すと鎖は元に戻るため、まだ何か必要なようだ。

 そこで鎖を引っ張り、扉が持ち上がった状態で、仕掛けの歯車の部分にリヴァイアサンを投げつけてみる。すると、仕掛けが凍って固定され、扉を抜けられるようになる。このように「リヴァイアサンはどこに投げても必ず戻ってくる」という特性を活かした仕掛けはフィールドのあちこちに点在する。

北欧の大自然の景色も満喫できる
行く手をさえぎる扉などの仕掛けも用意されている。鎖を引っ張る事で扉が開くが、保持する手段がないため、そのままだと扉をくぐれない
そこでリヴァイアサンを扉上部にある歯車の仕掛けに投げつけ、動きを止める事で扉を抜けられるようになる。困ったときは息子のアトレウスの発言にも耳を傾けてみるのがいいだろう

 フィールドでは登場する敵を倒したり、各所に置かれた宝箱からアイテムなどを回収して進んでいく探索要素もある。本作の宝箱はどれも巨大なので発見しやすいのだ。しかもいざ開けてみるとその中から小さな小袋をちょこっと引っ張り出すだけという演出も大柄なクレイトスならではのユニークな見せ方だ。

 またこれらの中には頭を使うパズル要素も用意されていて、解けばそれなりの報酬がある。例えばフィールドを移動していると3つのルーン文字が刻まれた宝箱が出現することがあるが、そのまま開けようとしても宝箱は開けられない。これを開けるには、周囲に隠されたルーン文字をそれぞれ、リヴァイアサンで叩くことにより、宝箱が解放される。

 このルーン文字の刻まれた宝箱からはクレイトスの体力やレイジゲージを伸ばすなどステータス強化用のアイテムが入手できるため、見かけたらどんどん解放していきたい。

ルーン文字の描かれた宝箱はそのままでは開くことができない
探索可能な範囲内にあるルーン文字にリヴァイアサンを投げることで封印が解放される
強力な「スパルタン・レイジ」の最大値を上げられるアイテムをゲット! 同じ物を3つ集める事でステータスが強化される

戦闘は切り替えを意識。巨大クリーチャーの登場も魅力のひとつ

 今回、筆者は難易度イージーでプレイしていたが、この難易度であっても何も考えずにただリヴァイアサンを振りまくっているだけだとやられてしまう場合があった。斧を振り回すのが気持ちいい本作だが、攻撃のタイミングと敵の位置の認識、回避、そしてガードはしっかりと意識してプレイする必要がある。

 敵の動作をよく観察していると、攻撃に一定のリズムとパターンがあることがわかる。それを把握してから反撃するくらい慎重に戦うことで、より確実に敵を殲滅できるようになる。

 本作の戦闘では多数の敵が同時に出現してこちらを攻撃してくる。正面はもちろん、囲まれると背後からも攻撃されるので注意しなくてはならない。瞬時に後ろを向けるクイックターン機能もあるので、活用していきたい。

 またポイントである防御は、盾が一瞬で開いて出現する「守護者の盾」を使う。正面の敵など動きが見えている相手の攻撃を防ぐのはガードが有効だ。巨大な敵は盾を弾き飛ばす攻撃もしてくるが、その場合は回避が有効となる。

トロールなど巨大な生物との対決では攻撃を受けるとかなりの大ダメージを食らうため、防御を慎重に行なう必要がある
死角からの攻撃は赤い矢印が表示され警告してくれる
盾で敵の攻撃をガードする事でダメージを無効化できるが、オーガやトロールなどの巨大な生物の攻撃はガードを弾く場合がある

 戦闘ではクレイトスの攻撃以外にも、息子のアトレウスが放つ矢の援助攻撃も重要となる。放っておいても勝手に援護してくれるが、照準をあわせて指示すると、的確に援護してくれる。道中ではアトレウスの攻撃もパワーアップするし、それがパズル解きに役立つこともある。様々な要素を駆使して戦うことが本作では求められる。

 ボスについては、中ボスクラスにもなると大柄なクレイトスが小さく見えるほど巨大なトロールやオーガなどが巨大クリーチャーが登場する。スケールが大きくなる分戦闘はド迫力となり、かなり白熱する。他にも目玉ひとつでクレイトスくらいある圧倒的サイズの巨大なヘビ「ヨルムンガンド」など、大型モンスターたちが動き回り関わり合う壮大さも本作の魅力の1つだ。

近距離攻撃が届かない相手には照準を合わせてリヴァイアサンを投げつけるか、アトレウスに指示を出して弓で攻撃してもらうのが有効だ
巨大すぎるくらいが日常茶飯事の「ゴッド・オブ・ウォー」の世界。神話らしい度を越したスケールを感じられる

PC版ならではの豊富なグラフィックス設定を用意。「NVIDIA DLSS」など最新機能も利用可能

 今回のレビューに際しては、GPUとしてGeForce RTX 3070を搭載し、CPUにCore i7-11370Hを備えるゲーミングノートPC「ASUS TUF Dash F15 FX516PR」にインストールしてプレイした。そこでPS4版との違いを比較してみたが、最も分かりやすいのはグラフィックスの設定の有無だ。PS4版にはそもそもメニューが存在していないが、PC版では使用するグラフィックスカードの性能に応じて画質設定が調整できる。

 PC版「ゴッド・オブ・ウォー」では、解像度設定とは別に画質設定ができる。プリセットには「低」、「オリジナル」、「高」、「ウルトラ」の4種類があり、テクスチャのクオリティや影、反射などの質を個別に変えられる「カスタム」もある。手元の環境に合わせて、最適な設定にすることが可能というわけだ。

左がPS4版で右がPC版の設定画面。映像メニューが増えているのがわかる

 今回はPS4版と比べるため、解像度をフルHD、画質をプリセットの「ウルトラ」に設定してプレイしてみた。PS4版のビジュアルと比べると影の濃淡がPS4版より細かく描写されているのが確認できた。この設定で大体フレームレートは50前後を維持するが、アクションゲームのプレイには若干フレームレートが物足りない。

上がPS4版で下がPC版。PS4に合わせて、フルHDサイズで撮影している。同じ場面で比較してみたところ、PS4版の方が明るく見えるが、PC版では影の濃淡がより鮮明に描かれているのがわかる
さらに寄りで比較。左がPS4版、右がPC版。影の落ち方やオブジェクトの造形に違いが出ていることがわかる

 そこで画像品質を保持したままフレームレートを向上するという「NVIDIA DLSS」を画質優先で有効に設定してみたところ、僅かながらフレームレートが向上した。そこで高パフォーマンスを選択すると更に54までフレームレートが向上した。

 今回は最新とはいえミドルレンジのGPUで無理をさせてみたが、予想以上に快適にプレイできるようになったのには驚きだ。ちなみに画質を「オリジナル」まで下げたところ、55~60fps前後でプレイできた。こうした画質の調整を行なってフレームレートと画質のバランスを調整することで、自身の環境に合わせた最適のグラフィックス設定が楽しめるのはPC版の魅力の1つと言えるだろう。

 なお、画質「ウルトラ」で4K解像度に設定してたところ、フレームレートは大体30fps前後となり、体感的にも分かるレベルで動きがぬめっとしてきた。GeForce RTX 3070であっても、最高品質の4K解像度ではフレームレートが厳しくなるようだ。

 他にもPC版ならではの特徴としてマウスやキーボード操作が可能なほか、DUALSHOCK 4を接続してのプレイにも対応。さらに21:9のウルトラワイドスクリーンにも対応する。また、NVIDIA GeForce RTXシリーズを搭載したPCであれば、前述のNVIDIA DLSSの他に「NVIDIA Reflex」も利用できる。DLSSと排他ながらAMDのフレームレート向上機能「FidelityFX Super Resolution」も利用できる。

NVIDIA DLSSを無効にした状態のフレームレートは45
NVIDIA DLSSを「画質優先」で設定するとフレームレートは48と僅かに向上
NVIDIA DLSSを「高パフォーマンス」に設定するとフレームレートは54まで上がった
4K画質でプレイ。しかし30fpsを下回ってしまった

景色やクリーチャーを堪能するのにPC版はオススメ!

 本作は北欧神話をモチーフとしているため、北欧神話の中で実際に登場するキャラクターも多く登場する。例えば、現段階では名前のみながらもオーディンといった北欧神話でもメジャーな神の登場がほのめかされているほか、序盤で登場してリヴァイアサンの強化に協力してくれるドワーフの鍛冶屋、ブロックとシンドリの兄弟は実際の北欧神話においても登場し、雷神トールが持つハンマー「ミョルニル」を作った鍛冶屋たちだ。そのため、彼らの作ったリヴァイアサンはミョルニルと同じように投げても的を外さず、再び手に戻る能力を有しているのだ。

 このように北欧神話を知っていればさらに楽しめる作りになっているので、北欧神話が好きな人は元より、アクション目当てで本作をプレイした人であっても、プレイ後には北欧神話への興味を持つきっかけの1つになりそうだ。実際、今回初めて「ゴッド・オブ・ウォー」に触れてみたが、北欧神話に元々興味のあった筆者としては本作をプレイしてさらにストーリーを楽しんでから、改めて北欧神話について調べてみようと興味が倍増した。

 そして、クレイトスの物語だ。そもそも本シリーズの初期3部作は神話の神々によって色々酷い目にあわされたクレイトスが、積もりに積もった恨みを爆発させて、ついにはギリシャの神々を滅ぼしてしまったお話だ。そんなクレイトスが神の血を継ぐ息子に何を思うのか、そんなクレイトスの目線で見る北欧神話の世界はどのように映るのか。

 まだまだプレイ自体は中盤に差し掛かるくらいなので物語の核心からは遠いが、今の段階でも既に個性的な北欧神話の人物など、魅力的なキャラクターがたくさん登場し、物語が盛り上がりを見せている。本作が今後どのような展開になっていくのか、そして、次回作「ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク」でどのような結末を迎えるのか。神話が好きな人なら楽しまずにはいられない内容になるのは間違いないだろう。

 また、PC版ではグラフィックスの表現が向上しているため、生い茂った木々や高い山々、圧倒的スケールのクリーチャーなど、壮大で美しく、ファンタジックなビジュアルが多い本作はその景色を堪能するのに最適と言える。また、薄暗いダンジョンを移動する場面も多いため、影の描写などが鮮明なPC版との相性もいいと感じられた。

 遊びやすさと迫力、壮大さのバランスが整ったアクションゲームに仕上がっている本作は、幅広い層のユーザーに受け入れられる魅力的な1本に仕上がっていると感じられる。

冒頭で登場する謎の男は半神半人のクレイトスと素手で互角の勝負を繰り広げる
冒険の手助けをしてくれる森の魔女の目的とは?
北欧の大自然をモチーフにしたフィールドを堪能するのにPC版は最適解の1つといえる