レビュー
「おすそわける メイド イン ワリオ」レビュー
キャラクター操作で想像以上の深みが! やりこみ要素もしっかりある“対応力と瞬発力”ゲーム
2021年9月10日 00:00
- 【おすそわける メイド イン ワリオ】
- ジャンル:瞬間アクション
- 発売元:任天堂
- 開発元:任天堂、INTELLIGENT SYSTEMS
- プラットフォーム:Nintendo Switch
- 発売日:9月10日
- 価格:
- パッケージ版 5,478円(税込)
- ダウンロード版 5,400円(税込)
「メイド イン ワリオ」シリーズ最新作となるNintendo Switch「おすそわける メイド イン ワリオ」最大の特徴は、シリーズおなじみのキャラクターを操作してプチゲームをプレイする点にある。
本シリーズは5秒ほどで決着する超短いミニゲーム、通称「プチゲーム」をひたすら繰り返して遊んでいく作品だ。秒数が短いゆえに成功しても失敗してもグイグイ先へ進んでいき、成功が続けばテンポはどんどん速くなっていく。とっさの判断力が問われる緊張と緩和の連続に、不思議とクセになる味わいが楽しいシリーズである。
これまでのシリーズの各プチゲームでは、それぞれで決まった操作が求められていた。それでも十分にゲームは成立していたが、「おすそわける メイド イン ワリオ」ではさらに「操作するキャラクターによってプレイスタイルが変わる」という新要素が加わっている。プチゲームのクリア条件は同じでも、操作キャラクターによって攻略方法が変化するのだ。
登場するキャラクターは、シリーズおなじみの顔ぶれが勢揃い。以前は各ステージのテーマを象徴するような意味合いが強かったキャラクターたちが、今作ではいよいよ操作できるようになった。その点でも、興味深いアイデアの投入と言える。では実際のプレイ感はどうなのか、さっそく見ていきたい。
プチゲームとキャラクターへの瞬間的対応が楽しい!
ゲームのメインとなっているのは、200種類以上用意された新たなプチゲームだ。たとえば金貨の袋がぶら下がった「ぜんぶ だせ!」という指令のステージでは、袋に衝撃を与えて揺らし、中の金貨をばらまけばクリア。大きな“鼻”がある「ハナに つめろ!」というステージでは、鼻の穴に何かしらを詰めればクリアとなる。どんなステージなのかは開始の瞬間までわからないし、制限時間はほんの数秒なので、対応力と瞬発力が何より問われる内容だ。
ステージのつくりは混乱を誘うものからギャグ仕立てのものまで様々。高速で一喜一憂を繰り返すプチゲームのプレイ感は、公式の説明いわく「バカバカしいけどクセになる」。いつの間にかステージ数を積み重ねているような感覚で、実際プレイするとその意味がよくわかる。
そして本作のキモ、数多く登場するキャラクターたちは、“対応力と瞬発力”方面に負荷をかけて、ステージそれぞれの深みを出すような効果を生んでいる。
たとえば「ワリオ」は、画面上を自由に飛び回ることができ、さらに左右へ素早くアタックできる。上の金貨のステージなら袋をアタックしてクリアできるし、鼻のステージでは自らを穴にはめればOKだ。
一方で、「エイティーンボルト」は移動ができない代わりに、スティックを倒している方向にディスクを投げられる。ワリオとは打って変わって、遠距離攻撃のようなアクションが可能だ。金貨ステージでは袋にディスクを複数当て、鼻ステージでは穴を狙ってディスクを入れればクリアとなる。
つまり、クリア条件は同じでも、ワリオとエイティーンボルトでは操作方法が異なるし、それはクリアまでの手順が変わることを意味する。アクションはキャラクターごとに違うほか、どのステージにどのキャラクターを使えるかは直前にならないとわからない。本作のプチゲームでは、ステージとキャラクターの両方において“対応力と瞬発力”も問われる、というわけだ。
序盤から混乱必至! 慣れると“深み”を感じる味わいに
操作できるキャラクターは、最初から全員揃っているわけではない。ストーリーモードを進める過程でだんだんと仲間が増えていくことになる。最初はワリオひとりからはじまって、ヤング クリケット、エイティーンボルト、モナ、ドリブル、スピッツ……などと次々に登場する。
ストーリーはテーマごとにエリアがわかれていて、新しいエリアに行くたびに仲間が増えるようなイメージだ。キャラクター初登場時は操作説明のためのチュートリアルが用意されており、キャラクターの特徴を掴んでからプレイできる。
序盤のエリア挑戦時は、新登場キャラクターと既存のキャラクターから2人を選び、合計3人のキャラクターでプレイする。基本は、得意だったり好きなキャラクターを選べばOKで、システムに慣れるところからはじめていくような形だ。
面白いのは、とくに最初は3人のキャラクターがランダムに入れ替わっていくだけでも十分に混乱するところ。これまでの「メイド イン ワリオ」シリーズ以上に、「やることはわかっているのに操作が付いてこない」といったもどかしさや楽しさを感じることができる。
それでも、各キャラクターはスティックとボタンひとつの操作で完結しているシンプル設計。慣れやすいし、そうなると操作方法の切り替えが脳内でカチッカチッとできるようになってくる。さらにゲームが進んでいくと、登場キャラクター全員がランダムに入れ替わる「ぜんいん」モードもある。ここまで来れば、本作らしい深みのあるプチゲームを楽しめることと思う。
全プチゲームが2人プレイ対応! ランダム性がさらに楽しい要素に
また本作の特徴として、プチゲームはすべてが2人プレイに対応している。つまりタイトルの「おそすそわける」の部分だ。2人プレイでは同じ画面内でキャラクター1人ずつを操作していく。
2人プレイでは、1人プレイと比べるとクリア条件のハードルがやや上がっていることが多い。と言っても協力が必須なのかというとそんなこともなくて、どちらかのゴリ押しでクリアできるような場面もかなりある。なぜなら、操作キャラクターの組み合わせ次第で状況がかなり変わるから。
どのキャラクターにも得意不得意があって、縦移動に強かったり横移動に強かったり、弾を発射したり常に動き続けていたりするのだが、プチゲームとの相性が合えば意外にラクにクリアできたりする。逆もまた然りで、ここでもキャラクターのランダム性がかなり効いている。
しかし実際のところ、数秒の間にそこまでコミュケーションするのは難しい。あまりゴチャゴチャ考えず、勢い任せでプレイしてワーッと盛り上がる感じが本作にはよく似合う。おすそわけプレイなら、気楽に構えてパーティー的に楽しむのがベストだろう。
パーティーからやりこみまで、幅広い要素もバッチリ収録
そして、本作はそのほかにもパーティー要素ややりこみ要素が多く揃っている。たとえば「バラエティ」モードでは、最大4人で遊べるミニゲームが集まる。キャラクターを対戦アクションのように操作する「キャラチェン ファイト!」や、エアホッケーの対戦とプチゲームを繰り返しながら戦う「ゲームパック パニック」など、ストーリーモードとは違う一捻り効いたコンテンツが用意されている。
やりこみ要素では、「ひとつのコントローラーで2人のキャラクターを動かす」などの特別なお題に沿ってハイスコアを目指す「ワリオカップ」がある。クリアまでの難易度は高いが「コイン」が大量にもらえるほか、オンラインランキングが発表される。
「コイン」はストーリーモードでのエリアクリアなどゲーム内の様々な場面でもらえるもので、主にはアイテム「さしいれ」の購入に使える。「さしいれ」は「ぬけげ」や「ビニールぶくろ」、「にくまん」などざっと100種類あり、ショップやガチャで集め、それぞれキャラクターにあげることができる。
「さしいれ」をあげると、各キャラクターの「やくしょくポイント」が溜まる。やくしょくレベルがアップすると、カラーのカスタマイズや特別なイラスト、また「ワリオカップ」でのスコアが上がりやすくなるなどのメリットがあるという仕組みだ。
「さしいれ」にはレア度やキャラクターごとの好みが決まっていて、同じアイテムでもポイントの上がり方に違いがある。やくしょくポイントを上げるには大量の「さしいれ」が必要だし、「さしいれ」を集めるには大量のコインが必要。そのためストーリーモードをプレイしたり、「ワリオカップ」に挑戦したりして再度プチゲームをプレイしていく……といった流れが続いていく。
パッと遊べるミニゲーム集と捉えることもできるし、プチゲームを中心にじっくり遊べるタイトルにも仕上がっているとも言えるのが「おすそわける メイド イン ワリオ」の総合的な印象だ。とにかくプレイ感はシンプル&スピーディーなので、子どもから大人まで誰でも楽しめるところがいい。まずはファミリーでワイワイと楽しんでいきたいタイトルだ。
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