レビュー
「ソニックカラーズ アルティメット」レビュー
このソニックアクションがやりたかった! 10年越しのリマスター、名作は全く色褪せない
2021年9月8日 00:00
- 【ソニックカラーズ アルティメット】
- ジャンル:3Dハイスピードアクション
- 発売元:セガ
- 開発元:Blind Squirrel Entertainment
- プラットフォーム:PS4/Nintendo Switch/PC(Epic Games Store)
- 発売日:9月9日
- 価格:
- 通常版 4,389円(税込)
- カラフルパック 4,939円(税込)
- 30thアニバーサリーパッケージ 9,889円(税込)
セガは、「ソニック」シリーズの最新作となる、プレイステーション 4/Nintendo Switch/PC(Epic Games Store)用3Dハイスピードアクション「ソニックカラーズ アルティメット」を9月9日に発売する。
本作は2010年にWii/ニンテンドーDSで発売された「ソニックカラーズ」のリマスター作品で、なんと10年の時を経てリマスターされた作品である。2021年の今リマスター版が発売される理由、それは「ソニック」シリーズが生まれて30周年という節目であることはもちろんだが、「この名作アクションゲームを最新のハードで蘇らせ、そして多くのゲームファンに遊んで欲しい」という開発者からのメッセージだと筆者は感じた。
正直に打ち明けると筆者はリマスター元の「ソニックカラーズ」をプレイしていない。完全新作の気持ちで「ソニックカラーズ アルティメット」をプレイしたのだが……。“なるほど、これは10年以上経っても色褪せない名作だ”と強く感じた。セガを、いやゲーム業界を代表するキャラクターである世界最速のハリネズミである「ソニック」。彼の持ち味であるハイスピードなアクションは健在だ。ステージ中に設置された様々な仕掛けを使いながらハイスピードに動くソニック、そして緩急をつけるようにテクニカルな操作を求められるサイドビューを中心としたジャンプアクション。この組み合わせがなんとも気持ちいい。
そして後述するが、様々なカラーを持った宇宙人「ウィスプ」の存在がさらにアクセントになっている。ウィスプを使うと一時的にソニックは特殊な能力を使えるようになり、普段では届かない高さへの移動や、逆に地中を潜ることも、さらには敵やブロックを破壊して強引に進路を作っていくことなど、アクションの幅をもたらせている。
それでは早速、本作のPC版をプレイしたレビューをお伝えしていきたい。
これぞソニックの王道アクションゲーム、これがやりたかった!
まず本作の基本のゲームシステムを紹介していこう。
本作は基本的にはステージクリア型のサイドビューを中心としたジャンプアクションゲームだ。もっとも、演出によっては手前から奥へ移動するシーンや、円柱形のステージを進んでいくところもある。もちろん、超ハイスピードでソニックがステージを進んでいくシーンなどもある。
まずこの緩急のリズムが素晴らしい。ソニックがハイスピードでダッシュするシーンから始まり、ジャンプ台などで飛ばされたあとはプレーヤーの操作スキルも求められるジャンプアクションに移行する。そこからまたハイスピードパートになったり、時には上空から下降していくようなシーンもある。1つのステージの中でも息をつかせない展開の速さ、ビジュアルも操作も切り替わっていくこのテンポがなんとも小気味よく、「これをソニックのアクションゲームに求めていたんだよ!」と強く感じた。
「ホーミングアタック」という伝統のアクションも健在で、これがまた楽しい。ジャンプ中に敵を一定距離に捉えて、さらにジャンプボタンを押すと敵に吸い付くようにソニックが移動して攻撃するというアクションだ。ポンポンポンとボタンを押すことで敵を倒していけくだけでなく、足場がないところで敵を足場代わりに進むこともある。そういったアクション要素も面白い。
またステージは、「トロピカル リゾート」と「スウィート マウンテン」、「スターライト カーニバル」、「プラネット ウィスプ」、「アクアリウム パーク」、「アステロイド コースター」という6つのエリアがあり、それぞれのエリアに複数のステージが存在しているというデザインだ。
それぞれのエリアごとにステージの特徴が異なるのは当然ながら、ビジュアルやBGMのテイストなども変化するため、飽きにくい作りになっている。
カラーウィスプで広がるゲームプレイの幅
そして本作のゲーム要素を奥深くする要素に「カラーウィスプ」という存在がある。ストーリー上は囚われている宇宙人を解放することで、一時的にソニックが特殊能力を使えるようになるというものだ。
全部で9種類のカラーウィスプが登場し、それぞれ異なる特殊能力を持っている。空中を浮遊するものや、レーザーのようにソニックが移動するもの、トゲトゲになり壁や天井に張り付いたり、特定のブロックを破壊できるようになるものなどがある。これらの特殊能力を使用しないとそもそもクリアできないというギミックもある。
しかし注目したいのは、特殊能力を使用しなくても先に進める道はあるが、使用することで新しいルートが見つかることがあるという点だ。通常のルートよりももっと簡単にゴールに進めるルートを見つけられたり、ハイスコアを目指すのに必須となる「リング」を多く集められるルート、いわゆる隠しアイテムが入手できるルートなどを見つけられる。この隠しルートにより、1つのステージをクリアしたらそれで終わり、ではなく複数回ステージをプレイしたくなってくる。
アクションゲーム初心者から上級者までカバーする難易度の幅もいい!
やりこみがいといえばハイスコアを目指すのも熱い。ステージクリアのスピード、集めたリングの数、そのほかアイテムの数などでスコアが変わり、スコアに応じてランクが変わっていく。すべてのステージで最高ランクを獲得しようとすればかなりのやりこみが必要になるだろう。
これだけ聞くと難易度が高いように感じてしまうかもしれないが、必ずしもそういうわけではない。まず本作には残機というシステムがなく、倒されても何度でも復活ポイントから再開できる。その間もクリアタイムが加算されていくのでスコアは下がってしまうが、残機がなくなってステージの最初からやり直しということがないので、簡単にトライし直せる快適なゲームプレイシステムになっている。
特にゲーム後半はかなり歯ごたえのあるステージもあり、気軽にリトライを繰り返せるのはかなりありがたかった。もちろんアクションが好きなゲーマーはノーミスクリアなどでハイスコアを目指し、逆に苦手なプレーヤーはヒントなどを活用してリトライを繰り返してステージクリアを目指すといいだろう。
なお、本作はアクションがメインだが、ソニックが軽いノリで冗談を言うシーンなど、実にソニックというキャラクターらしさを感じられるシーンも登場する。シリーズおなじみの「テイルス」や「エッグマン」という名脇役たちも健在で、ソニックとの掛け合いにはフフっと笑ってしまうこともある。改めて彼らの魅力を感じた次第だ。
作品全体をプレイして感じたのは「そう、こういうソニックのアクションゲームがやりたかったんだ!」という感想に尽きる。ハイスピードなアクションと細かなアクションが求められる緩急がたまらないゲームシステム、美しくエリアごとにことなるビジュアル、そして疾走感があったり逆にまったりとした楽曲もあるが全体として「ソニック」という世界観を引き立てるBGM、そしてソニックを始めとする魅力的なキャラクター達。本当に名作は10年経っても色褪せないということを強く噛み締める作品だった。
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