「GALLERIA UA9C-R39T」レビュー
GALLERIA UA9C-R39T
重量級タイトル「BF2042」や「Rust」も4K最高設定でサクサク動く! Core i9-12900KとGeForce RTX 3090 Ti搭載の超弩級ゲーミングPC
- ジャンル:
- ゲーミングPC
- 発売元:
- サードウェーブ
- 開発元:
- サードウェーブ
- プラットフォーム:
- Windows PC
- 価格:
- 609,980円(税込)
- 発売日:
- 2022年4月22日
2022年8月26日 00:00
サードウェーブのゲーミングPCブランド「GALLERIA(ガレリア)」シリーズは、デスクトップPCもノートPCも、エントリーモデルからミドルレンジ、ハイエンドまでラインナップが充実していることも魅力だ。今回は、GALLERIAシリーズのデスクトップPCの中でも、最上位となるフラッグシップモデル「GALLERIA UA9C-R39T」を試用する機会を得たので、重量級FPS「Battlefield 2042」とサバイバルゲーム「Rust」を用いて、その実力を探っていきたい。
最新第12世代CPU「Core i9-12900K」と最新GPU「GeForce RTX 3090 Ti」を搭載
GALLERIAシリーズには、上位からUシリーズ、Zシリーズ、Xシリーズ、Rシリーズという4つのシリーズがあり、最上位となるUシリーズは、Ultimate(至高)を意味している。GALLERIA UA9C-R39T(以下UA9C-R39T)は、デスクトップPCのUシリーズの中でも最上位の製品であり、文字通り、GALLERIAシリーズ最高のフラッグシップモデルである。
まずは、基本スペックを見ていこう。
【GALLERIA UA9C-R39T】
CPU:インテル Core i9-12900K(16コア/24スレッド、3.20GHz~5.30GHz)
GPU:NVIDIA GeForce RTX 3090 Ti(24GB)
チップセット:インテルZ690チップセット
メインメモリ:32GB DDR5-4800MHz DIMM(16GB×2)
ストレージ:1TB Gen4 NVMe SSD / 2TB HDD
光学ドライブ:なし
OS:Windows 11 Home
本体サイズ:220×440×480mm(幅×奥行き×高さ)
本体重量:約14㎏
価格:609,980円(税込)
製品ページ:https://www.dospara.co.jp/5shopping/detail_prime.php?tg=13&tc=30&ft=&mc=10991&sn=0
本製品は、CPUとしてインテルの最新世代CPU「Core i9-12900K」を搭載する。とりわけCore i9-12900Kは、第12世代Coreプロセッサーの中でも最上位となり、インテルが世界最高のゲーミングCPUと謳っている製品だ。
この第12世代CoreはインテルのCoreシリーズで初めて、2種類のコアを搭載するハイブリッドCPUとなっており、Core i9-12900Kは、Pコアと呼ばれる高性能コアが8コア、Eコアと呼ばれる高効率コアが8コアの合計16コアを搭載。Pコアは1つのコアで2つのスレッドを同時実行可能なため、合計24スレッドを同時に実行できる。Pコアは従来の第11世代Coreをベースにさらに改良が行われており、デコーダや命令実行ユニットが強化されキャッシュ周りも強化されるなど、さまざまな点が進化している。そのため、第12世代Coreは第11世代Coreに比べて、同じクロック周波数でも平均19%の性能向上を実現している。Core i9-12900Kは、クロック周波数自体も3.20GHzから4.50GHと高く、PC用CPUとして現時点最高クラスのパフォーマンスを誇る。
Core i9-12900Kは、GALLERIAでの搭載は初ではないが、本製品をフラッグシップモデルたらしめている理由は、GPUとして2022年3月に発表されたNVIDIA GeForce RTX 3090 Tiを搭載している点だ。
GeForce RTX 3090 Tiは、NVIDIAの最新GPU「RTX 30シリーズ」の中でも最上位に位置するGPUであり、それまで最上位だったGeForce RTX 3090をさらに上回るパフォーマンスを誇る。GeForce RTX 3090のCUDAコアの数は10,496個であったが、GeForce RTX 3090 TiではCUDAコアの数が10,752個に増加。さらに、CUDAコアの動作周波数も、GeForce RTX 3090ではベースクロック1.40GHz、ブーストクロック1.70GHzだったのに対し、GeForce RTX 3090 Tiではベースクロック1.67GHz、ブーストクロック1.86GHzへと向上している。
GeForce RTX 3090 TiはGeForce RTX 3090と同じく、開発コードネームAmpereと呼ばれる、RTXシリーズとして2世代目にあたる製品で、レイトレーシングコアを搭載し、RTXしか利用できないNVIDIA DLSSといった機能をサポートしていることも魅力である。最新ゲームを4K解像度かつ高いフレームレートでプレイしたいという人の要求をかなえてくれる。グラフィックボードは厚みも大きく、3スロット分を占有している。出力端子は、HDMI×1とDisplayPort×3で、最大4画面のマルチディスプレイにも対応する。
メインメモリは32GBで、従来のCore iシリーズで採用されていたDDR4よりも高性能なDDR5が採用されている。32GBもあればゲーム用途ならほぼあらゆる環境で快適と言えるが、メモリスロットは4基用意されており、2基空いているので、将来メモリを増設する場合も標準搭載のメモリが無駄になることはない。
ストレージは、PCIe 4.0対応のNVMe 1TB SSDと2TB HDDを搭載する、デュアルストレージ仕様となっており、合計3TBの大容量を誇る。ファイルサイズの大きなAAAゲームを多数インストールしても余裕がある。また、ゲームプレイの様子を録画して、テロップなどを付けて編集しYouTubeなどにアップロードするといった使い方をするにも十分だ。
Uシリーズだけのプレミアム仕様のケースを採用
GALLERIAシリーズのデスクトップPCは、オリジナルのタワーケースを採用している。2020年夏に設計が一新された新ケースに変更されたが、新ケースはデザイン、使い勝手ともに非常に良い。ケースのサイズは220×440×480mm(幅×奥行き×高さ)で、カラーはブラックとシルバーを基調としており、精悍な印象だ。なお、Uシリーズ以外のデスクトップPCではサイドパネルがガンメタリックで塗装されているのだが、最上位となるUシリーズでは、プレミアム仕様としてヘアライン加工が施されたアルミ外装を採用しており、さらなる高級感を醸し出している。
フロントパネル中央にはシルバーのGALLERIAエンブレムがあり、GALLERIAブランドのPCだということをしっかりと主張している。また、フロントパネル周囲には、新世界への「ゲート」をイメージしたRGB LEDが配置されており、電源を入れると美しく光る。デフォルトの発光色は青色だが、専用のLEDコントロールユーティリティを使うことで、発光色や発光パターンを自由に変更できる。
フロントパネルの上部が斜め45度にカットされており、その部分にフロントI/Oポートや電源スイッチが用意されていることも特徴だ。この斜めの部分にも、ヘアライン加工されたアルミ素材が採用されており、サイドパネルとの統一感を実現している。フロントI/OポートとしてUSB 3.2 Gen1 Type-A×4と音声入出力端子を備えている。フロントのUSBポートは、主に頻繁に抜き差しするデバイス(USBメモリなど)に使われるが、4つあれば、まず足りなくなることはないだろう。背面のI/Oポートも充実しており、USB 2.0 Type-A×2 、USB 3.2 Gen1 Type-A×2 、USB 3.2 Gen2 Type-A×1 、USB 3.2 Gen2x2 Type-C×1の合計6つのUSBポート(うち1つがType-C)を備えるほか、サウンド入出力端子やPS/2キーボード・マウス端子、2.5Gb LANポートも備えている。
正面から見て左側のサイドパネルは、一部が透明になっており、内部が見えるようになっている。ゲーミングデスクトップPCでは、LEDが搭載されている光物パーツを多数搭載し、内部が鮮やかにライトアップされるものも多いが、UA9C-R39Tでは、装着されているRTX 3090 Ti搭載グラフィックボードや水冷ヘッドにRGB LEDが搭載されており、サイドパネルの窓から光る様子を視認できる。
左右のサイドパネルは、手回しが可能なローレットビスで固定されており、ドライバーがなくてもサイドパネルを外せるため、メンテナンスもしやすい。トップパネルはハニカム形状の穴が空いた樹脂パネルとメッシュパネルから構成されており、トップパネルの上にUSBメモリなどの小物を置くことも想定されている。
電源ユニットは80PLUS PLATINUM認証の1000W静音電源を採用。PLATINUMは80PLUSの6つある規格の中で、上から2番目となる規格であり、高い変換効率を実現。GeForce RTX 3090 Tiは、グラフィックボード全体の消費電力の目安となるTGP(Total Graphics Power)が450Wと高いが、それでも十分余裕がある。
本体の底面には、電源ユニットのファンへのホコリの吸い込みを防ぐフィルタが装着されている。フィルタは引き出せるようになっているので、掃除も楽にできる。光学ドライブは標準では非搭載だが、5インチオープンベイが用意されているため、後付けでBDドライブなどを搭載することもできる。
3基の大型静音ファンと水冷CPUクーラーで冷却性能と静音性を両立
本製品は、CPUクーラーとして、一般的な空冷タイプのCPUクーラーではなく、冷却性能と静音性に優れた水冷CPUクーラーを採用している。Core i9-12900Kの基本電力は125Wだが、ターボ動作時の最大電力は241Wにも達するが、冷却能力が不足する心配はない。水冷CPUクーラーのラジエーター部はトップパネルの下に配置されており、2基の120mm静音ファンによって冷却されている。
ケースファンとしては、リアに140mm静音ファンが1基、フロントに120mm静音ファンが2基搭載されており、十分なエアフローを実現している。
マザーボードには、拡張スロットとして、PCIe 5.0 x16スロットが1基、PCIe 4.0 x16スロットが1基、PCIe 3.0 x16スロットが2基、PCIe 3.0 x1スロットが1基の合計5スロットが用意されているが、GeForce RTX 3090 Ti搭載グラフィックボードが3スロット分のスペースを占有しているため、利用できるスロットの空きは2スロットのみだ。
そのほか、6Gbps対応のSATAポートが4基と、M.2スロットが3基用意されている。M.2スロットは2基がPCIe 4.0 x4対応で、1基がPCIe 4.0 x4/SATA両対応の合計3基が用意されており、そのうちの1基にPCIe 4.0対応NVMe 1TB SSDが装着されている。
独自の「リジッドカードサポート」で大型グラボも強固に固定
本製品は、NVIDIAのハイエンドグラフィックボード「GeForce RTX 3090 Ti」を搭載していることが魅力だが、GeForce RTX 3090 Tiに限らず、最近のハイエンドグラフィックボードは、大型化と重量化が進んでおり、PCIeスロットに装着した状態で通常のタワーマシンのようにマザーボードを立てて使うと、PCIeスロットに大きな負荷がかかる。また、本体を輸送中に振動などでグラフィックボードが外れて破損してしまうという事故もときどき耳にする。そこで、RTX 3070以上のグラフィックボードを搭載したGALLERIAシリーズのデスクトップPCでは、グラフィックボードの緩みを防止する「リジッドカードサポート」と呼ばれる新機構が採用されている。
リジッドカードサポートは、フロント側に大型ステーを設け、そのステーを利用してグラフィックボードを上下から専用パーツで挟み込んで強固に固定する仕組みである。この機構により、PCIeスロットへの負荷が大きく軽減され、輸送時にも振動などでグラフィックボードが緩んだり外れたりする事故を防げる。
重量級FPS「Battlefield 2042」の4K最高画質で平均181fpsを達成
UA9C-R39Tは、GALLERIAシリーズのフラッグシップモデルとして、現時点最速クラスのパフォーマンスを誇るゲーミングデスクトップPCである。気になるのはそのパフォーマンスだが、実際のゲームで検証してみたい。
まず、エレクトロニック・アーツの重量級FPS「Battlefield 2042(バトルフィールド 2042)」を用いて、パフォーマンスを計測してみた。「Battlefield 2042」は、人気のBattlefieldシリーズの最新タイトルであり、2013年に発売された「Battlefield 4」の直接的な続編となる。タイトル通り、21年後の2042年に戦争が起きたとする架空の物語である。本作では、シングルプレイのキャンペンモードがなくなっており、マルチプレイに特化したタイトルとなっている。また、これまでのBattlefieldシリーズでは、最大64人での戦いであったが、「Battlefield 2042」のPC版では、従来の2倍の最大128人対戦に対応していることがウリの一つだ。
PC版の「Battlefield 2042」はDirectX 12対応で、空気感を感じられる美しいグラフィックスが魅力の一つだが、その分、要求する動作環境が高い。必要動作環境は、CPUがCore i5-6600KまたはRyzen 5 1600、メモリ8GB、ビデオメモリ4GB、GPUがGeForce GTX 1050 TiまたはRadeon RX 560、HDD空き容量100GBであり、推奨動作環境は、CPUがCore i7-4790またはRyzen 7 2700X、メモリ16GB、ビデオメモリ8GB、GPUがGeForce RTX 3060またはRadeon RX 6600 XT、SSD空き容量100GBとなっている。推奨動作環境を見ると、CPUは数世代前でも問題はないが、GPUは最新世代の製品を要求しており、特にGPUへの負荷が高いゲームであることがわかる。
「Battlefield 2042」には、コンクエスト、ブレークスルー、ハザードゾーンの3つのゲームモードがあるが(過去のステージで遊べるBattlefield Portalもある)、ここでは攻撃側と防衛側に分かれて戦うソロ・ブレークスルーで、CapFrameXを用いて実際のゲームプレイ中の1分間の平均フレームレート、最高フレームレート(厳密には95パーセンタイル)、最低フレームレート(1パーセンタイル)を5回計測し、その平均を採用した。マップはカレイドスコープで、解像度は4K(3,840×2,160)である。
画質は、「グラフィッククオリティー」を「最高」に設定し、DLSSを「オート」、レイトレースアンビエントオクルージョンを「オフ」にして計測した(DLSSとレイトレースアンビエントオクルージョンについては後述)。その結果は、平均フレームレートが181fps、最高フレームレートが221fps、最低フレームレートが125fpsとなった。「Battlefield 2042」は現時点でトップクラスの重量級fpsだが、4K最高画質でも平均フレームレート181fpsという結果は非常に素晴らしい。実際にプレイしてみても、反応が素早く、フレームレートも高いため、とても快適であった。これまでに様々なゲーミングPCをレビューしてきたが、やはりGeForce RTX 3090 Tiのパフォーマンスは圧倒的だ。
「Battlefield 2042」は、近未来の世界で武装ヘリや軍用車両も多数登場する硬派なFPSだが、本製品なら、その美麗なグラフィックスを4K解像度でも存分に楽しむことができるのだ。
オープンワールドサバイバルゲーム「Rust」でも4K最高画質で平均113fpsを達成
続いて、Facepunch Studiosのサバイバルゲーム「Rust」でも、フレームレートを計測してみた。「Rust」は、Facepunch Studiosが開発・販売しているオープンワールドのサバイバルゲームである。文明が崩壊した島を舞台に、最大300人が生存のための戦いを繰り広げる一人称視点のサバイバルゲームで、非常にグラフィックスが美しく、負荷の高いゲームでもある。また、2021年5月のアップデートにより、遅延を減らすNVIDIA Reflexをサポート、2021年7月のアップデートにより、NVIDIA RTXシリーズのみが利用できるDLSSにも対応している。「Rust」は、プレイステーション4やXbox Oneなどのコンシューマー機でもプレイできるが、4K解像度で「Rust」を楽しみたいなら、ハイスペックなゲーミングPCがオススメと言える。
そこで、「Battlefield 2042」と同じく、4K解像度でCapFrameXを用いて実際のゲームプレイ中の1分間の平均フレームレート、最高フレームレート(厳密には95パーセンタイル)、最低フレームレート(1パーセンタイル)を5回計測し、その平均を算出した。グラフィック周りの設定は基本的に最高に設定し、DLSSは「Max Performance」に設定、NVIDIA REFLEXモードは「ON」に設定した。サーバーとして日本に設置されているコミュニティサーバー(PvE)を利用し計測を行ったところ、平均フレームレートが113fps、最高フレームレートが127fps、最低フレームレートが91fpsとなった。「Battlefield 2042」よりもフレームレートは全体に低くなっているが、平均フレームレートが100fpsを超えていれば、十分快適にプレイできる。
「ファイナルファンタジーXIV」も4K/最高設定で超快適!
さらに、国産MMORPG「ファイナルファンタジーXIV」のベンチマークテスト「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」を実行してみた。4K最高品質でのスコアは17,906で「非常に快適」という評価に、4K高品質(デスクトップPC)でのスコアは19,535で同じく「非常に快適」という評価になった。「暁月のフィナーレ」では、スコアが15,000を超えると、一番上の評価である「非常に快適」と判定されるのだが、本製品のスコアは4Kでもその値を軽く超えている。「FFXIV」の最新拡張セット「暁月のフィナーレ」、その次の7.0で予定されているグラフィックスアップデート環境でも4K解像度で十分快適にプレイできるだろう。
また、「CrystalDiskMark 8.0.4」を使ってストレージ性能を計測したところ、SSDのシーケンシャルリード(Q8T1)は5,013.0MB/s、シーケンシャルライト(Q8T1)が4,267.77MB/sという非常に高速な結果になった。ロットによって搭載SSDが異なるため、あくまで参考値だが、シーケンシャルリード5,000MB/sというのは、SATA 6Gbps対応SSDの8倍以上の速度であり、OSやゲームの起動も非常に高速で、ストレスを感じることがない。参考のためにHDDについても性能を計測してみたが、SSDとの性能差は非常に大きいことが分かるだろう。
「Battlefield 2042」と「Rust」で検証する「DLSS」、「Reflex」、「レイトレ」の効果
今回検証に利用した「Battlefield 2042」と「Rust」は、どちらも非常に重いタイトルというだけでなく、NVIDIAの独自機能である「DLSS」「NVIDIA Reflex」「レイトレーシング」(「Rust」は非対応)に対応していることが特徴である。DLSSとレイトレーシングは、NVIDIAのRTXシリーズ搭載PCでのみ利用できる機能であり、NVIDIA Reflexは、GeForce GTX 900以降のNVIDIA製GPUを搭載したPCで利用できる。もちろん、今回試用しているUA9C-R39Tでは、これら3つの機能をすべて利用できる。
DLSSは、Deep Learning Super Samplingの略で、ディープラーニング(深層学習)を利用してスーパーサンプリングを高速に行う技術である。スーパーサンプリングは超解像とも訳され、低解像度の画像を高解像度の画像に変換する技術だ。DLSSは、それをディープラーニングによって行うことが特徴で、RTXシリーズに搭載されているTensorコアを使うことで、高速な変換が可能だ。DLSSを有効にすることで、映像のギザギザを滑らかにするアンチエイリアス処理が高速化されるため、フレームレートが向上し、細部がシャープになるという利点がある。「Battlefield 2042」、「Rust」ともにDLSSに関する設定が用意されており、さきほど挙げた結果はDLSSを有効にしてフレームレートを計測したものだ。
基本的にDLSSに関する設定が用意されているタイトルなら、DLSSを有効にすることをおすすめするが、あえてDLSSをオフにして先ほどと同じようにベンチマークテストを行ったところ、「Battlefield 2042」の平均フレームレートが147fps、最高フレームレートが176fps、最低フレームレートが105fpsという結果になった。先ほどの結果と比べれば分かるように平均フレームレートは34fps、最高フレームレートは45fps、最低フレームレートは20fpsも低下している。同様に「Rust」では、平均フレームレートが78fps、最高フレームレートが94fps、最低フレームレートが52fpsという結果になり、DLSS有効時と比べて、平均フレームレートは35fps、最高フレームレートは33fps、最低フレームレートは39fps低下している。以前、RTX 3090搭載機でフルHD解像度で検証した時には、DLSSの有効無効を切り替えても、「Battlefield 2042」のフレームレートは2~3fps程度しか変わらなかったが、4K解像度での差は驚くほど大きい。DLSSを有効にすることで、「Battlefield 2042」では約22%、「Rust」では約45%もフレームレートが向上しているのだ。
原理上、DLSSを有効にすると、画質が多少落ちる可能性はあるが、実際に比較したところほとんど差は感じられなかった。RTX搭載PCでDLSS対応タイトルをプレイするなら、DLSSはぜひ有効にすべきだ。特に4K環境ではその差はかなり大きくなる。
NVIDIA Reflexは、ゲームプレイ中のレイテンシ(遅延)を減らすための技術である。レイテンシとは、ボタンが押されてから、それが実際に画面のキャラクターなどに反映されるまでにかかる時間のことだ。描画の際には、CPUとGPUが一緒にパイプラインで分担して作業を行うが、その流れを最適化し、CPUやGPUの無駄な待ち時間を減らそうというのがNVIDIA Reflexである。「Battlefield 2042」の場合、NVIDIA Reflexの有効無効を切り替えても、特にフレームレートには違いが出なかった(仕組み上、有効にするとレイテンシは減るが、フレームレートも低下する可能性がある)。「Rust」の場合、DLSS有効時にNVIDIA Reflexをオフにすると、平均フレームレートが112fps、最高フレームレートが130fps、最低フレームレートが97fpsとなり、最高フレームレートと最低フレームレートは多少上がったがその差はわずかなので、こちらも基本的に有効にしておけばよいだろう。NVIDIA Reflexは、表示される映像に差が出る機能ではない。
レイトレーシングも、RTXシリーズならではの機能である。レイトレーシングとは、光線追跡法と訳されるが、観測者から見える範囲にある光の経路を1本1本追跡することで、反射や屈折などの影響を含む正確な像を得るレンダリング方法だ。レイトレーシングはリアルな像を得ることができるが、計算量が非常に多いため、リアルタイムでゲームに使うのは不可能とされていた。しかし、RTXシリーズにはリアルタイムレイトレーシング処理を行うためのRTコアが搭載されており、リアルタイムレイトレーシングを活用するゲームも登場している。Battlefieldシリーズでは、2018年に発売された「Battlefield V」がRTコアを利用したリアルタイムレイトレーシングに対応しており、「Battlefield 2042」でもその対応が期待されていた。しかし、現時点での「Battlefield 2042」のリアルタイムレイトレーシングへの対応は、アンビエントオクルージョンのみと限定的なものになっている。アンビエントオクルージョンとは、形状の凹凸をもとにテクスチャに対してグレースケールの濃淡をマッピングし、陰影を強調する技術である。光学的に正しい影ではないが、環境光が届かない場所にそれらしい影を付けることができるため、よく使われている。
「Battlefield 2042」の設定画面にあるレイトレース アンビエントオクルージョンとは、このアンビエントオクルージョンにレイトレーシングを使うことで、より正確な影を得る技術だ。レイトレーシングは、前述したように非常に負荷が高いため、専用コアを搭載したRTXシリーズとはいえ、すべての処理をレイトレーシングで行うのは現実的ではない。「Battlefield V」では、「Battlefield 2042」よりもレイトレーシングで行う処理が多かったが(ガラスや水面の反射なども)、その分、パフォーマンスへのインパクトが大きく、有効にすると最大4割程度もフレームレートが低下してしまうことがあった。そこで、「Battlefield 2042」では、レイトレースの適用を限定的に留めたのであろう。
「Battlefield 2042」で、DLSSをオートにした状態で、レイトレース アンビエントオクルージョンをオンにしてフレームレートを計測すると、平均フレームレートが154fps、最高フレームレートが186fps、最低フレームレートが107fpsとなり、レイトレースオフと比べると、平均フレームレートが27fps、最高フレームレートが34fps、最低フレームレートが18fps低下している。平均フレームレートは18%ほど低下していることになり、無視できないインパクトだ。
レイトレース アンビエントオクルージョンは、よりリアルな影を表示するための技術であり、見比べると確かに影の濃度に違いが出ているが、敵を倒しやすくなるというわけではない。フレームレートを重視するならオフにする選択肢もあるだろう。ただし、本製品なら、レイトレースをオンにしても4K最高画質で平均154fps出ているわけで、多くのプレイヤーにとって十分満足できるフレームレートであろう。
今回、評価したゲームの中でもっとも動作が重かった「Rust」だが、検証でゲームプレイ中のCPU占有率を表示させてみたところ、30~20%程度を推移しており、占有率にはまだかなり余裕がある。16コア/24スレッドのCPUパワーのなせる技だ。これまでゲーミングPCで、ゲームをプレイする場合、他のアプリケーションはなるべく立ち上げないというのが鉄則だったが、本製品ならCPUパワーもメモリも潤沢なので、モニターを2台繋いで、1台でゲームをプレイしながら、もう1台のモニターで動画配信ソフトを使ったり、ブラウザを開いてゲームの攻略サイトや攻略動画を見るといった使い方をしても、ゲームプレイに支障が出るようなことはない。単にゲームをプレイするだけでなく、ゲーム+他のアプリという、まるで2台のPCを使っているような使い方が可能だ。
高性能なゲーミングPCが欲しいゲーマーにおすすめ
今回、レビューしたGALLERIA UA9C-R39Tは、GALLERIAシリーズの頂点に位置するフラッグシップゲーミングデスクトップPCであり、数年にわたって長く使える高性能なゲーミングPCが欲しいという人におすすめの製品だ。60万円を超える価格は、気軽に買えるものではないが、その高いパフォーマンスと、寿命の長さを考えると、決して高すぎるというわけではないだろう。現行のゲームだけをプレイしたいというのなら、少々オーバースペックではあるが、今後登場するであろう、より負荷の高い重量級タイトルを4K解像度最高画質で快適にプレイできるという、未来へのパスポートのために投資するという考え方もある。なお、フルHD解像度のモニターでは、本製品の性能を十分に引き出すことはできない。本製品の性能を十分に活かすためには、最低でも4K/144Hz対応のゲーミングモニターが必要になるので、本製品を購入するなら、あわせて4K対応ゲーミングモニターも購入することをおすすめする。
また、驚いたのはその静粛性の高さだ。水冷CPUクーラーと大型静音ファンを搭載しているためだろうが、CPUやGPUに高い負荷がかかる「Battlefield 2042」や「Rust」のプレイ中であっても、ファンの音はそれほど大きくならず、気にすることなくプレイできた。さすがに背面からは温かい風が出てきたが、それも心配になるような熱さではない。長時間連続動作させる場合でも安心できる。最新ゲームをプレイしながらリアルタイムのゲーム実況配信を行いたいという人や、4K動画などの編集を頻繁に行う人にもおすすめだ。マルチモニタ環境で多くのアプリを同時に使っても余裕があり、1台で並のPC数台分の性能を持つことを考えれば、むしろリーズナブルな買い物といえるだろう。
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※価格・構成については、2022年8月24日時点の情報です。最新情報についてはドスパラにてご確認ください。
※本製品はBTO製品の為注文時期によって内部で使用されているパーツが異なる場合があります。その為計測した結果と実際の数値が異なる場合があります。