ゲーミングマウス「ロジクールG PRO X SUPERLIGHT」レビュー
ロジクールG PRO X SUPERLIGHT ブラック
2020年12月21日 00:00
ロジクールG「SUPERLIGHT」時代の幕開けか
現行の「PRO」は、デザインにまったく主張のない左右対称のタマゴ型ボディ、このクセの無さが多くのゲーマーに愛されてきたが、「PRO X SUPERLIGHT」は、その強みを存分に活かしつつ、さらに約20gも軽くしてしまったというとんでもないゲーミングマウスだ。
筆者もゲーミングマウス担当として、日頃から様々なマウスに触れるが、常に持ち歩いてまで常用しているのはPROだ。理由は軽いし、クセがなく使いやすいからだ。やはり軽さは何にも勝る利点だ。そういう筆者からすると「PRO X SUPERLIGHT」は使用することを躊躇う理由が何もない。あとはもうオーソドックスかつスタンダードな黒か、セクシーかつ意外性の白かだけの問題だ。
「PRO」ユーザーの視点から、あえて「PRO X SUPERLIGHT」の留意点を挙げると、“プロゲーマー向けのゲーミングマウス”であるというところだ。“PRO”のネーミングの由来はプロゲーマーだ。Gシリーズは、プロゲーマーから筆者のようなおっさんゲーマーまで幅広い層の意見をフィードバックしたプロダクトであるのに対して、PROは勝利を目指すプロゲーマーの意見を徹底的に反映させたプロダクトだ。
これが何を意味するかというと、基本機能までそぎ落とされているところだ。わかりやすいところだとマウスホイールのボタン割り当てが、通常は3つ(中央、左、右)あるところが1つ(中央)しかない。左右ボタンはチルト機能とも呼ばれるが、主に左右スクロールに使ったりするため、常用している人は「あれっ?」ということになる。
それからDPI変更ボタンがない。G903なら中央ホイール手前、G502なら親指位置、そしてPROなら背面に存在するDPI変更ボタンが排除されている。ゲームや普段使いでDPIを変更しながら使っている人はやはり「あれっ?」となるだろう。
そのほかにも、右側面ボタンが排除され、PROには存在していた左右側面のボタンの着脱ギミックがなくなり、左側面のみに固定配置されていたり、バッテリー充電残量を示すLEDランプが3つから1つになっていたり、LED機能がそもそもなかったりする。
いずれもプロゲーマーが勝利には不要と判断した結果であり、ゲーミングマウス≒機能満載のハイグレードマウスというやや古い認識で「PRO X SUPERLIGHT」を購入すると、「あれもこれもないんだけど?」ということになりかねない。マウスをどう使いたいのか自問自答してから決めたいところだ。
最後に「PRO X SUPERLIGHT」というネーミングから今後の展開について予想しておきたい。
ロジクールはここ数年で、「G900 Chaos Spectrum」、「G502 Proteus Core」といったイメージ重視のネーミングを辞め、LIGHTSPEED、HERO、そしてSUPERLIGHTといった機能をそのまま商品名に使うようになっている。LIGHTSPEEDは、文字通り無線技術、HEROは自社開発のトラッキングセンサー、そしてSUPERLIGHTについてはそれにピッタリ当てはまる独自テクノロジーはないが、圧倒的な軽さを示すブランドネームだ。
LIGHTSPEEDやHEROの発表以降、多くのGシリーズがLIGHTSPEED/HERO化していったのと同様に今後多くのGシリーズがSUPERLIGHT化していくのは間違いないと思う。ロジクールには、G903を筆頭に、G703、G604、G502、G403、G304、G203と実に多彩なラインナップが存在する。それらがすべてSUPERLIGHT化されるのかはわからないが、軽さは正義だ。今後SUPERLIGHTの選択肢が増えることを楽しみにしている。