「ま~るい地球が四角くなった!? デジボク地球防衛軍 EARTH DEFENSE FORCE: WORLD BROTHERS」レビュー

ま~るい地球が四角くなった!? デジボク地球防衛軍 EARTH DEFENSE FORCE: WORLD BROTHERS

ボクセルの世界でシリーズ作品が大集合!仲間を集めて敵と戦おう

ジャンル:
  • 3Dアクションシューティングゲーム
発売元:
  • ディースリー・パブリッシャー
開発元:
  • ユークス
プラットフォーム:
  • PS4
  • Nintendo Switch
価格:
8,228円(税込、パッケージ版)/7,480円(税込、ダウンロード版)
発売日:
2020年12月24日

 ディースリー・パブリッシャーが2003年から発売している「地球防衛軍」(以下、EDF)シリーズ。巨大化したアリやクモ、それ以上に巨大な宇宙怪獣、ロボット、それらを送り込んできた侵略者と戦うリアルタッチで激しい表現が持ち味のアクションシューティングだ。

 しかし、リアルで巨大な虫とグロテスクな表現が苦手な人もいるかもしれない。本作「ま〜るい地球が四角くなった!? デジボク地球防衛軍 EARTH DEFENSE FORCE: WORLD BROTHERS」(以下、デジボクEDF)はその名前の通り、地球だけでなく敵も味方も四角のボクセルで描かれており、コミカルなタッチで見ているだけでも楽しい作品だが、プレイすればさらに楽しめる作品となっている。

【『ま~るい地球が四角くなった!? デジボク地球防衛軍 EARTH DEFENSE FORCE: WORLD BROTHERS』1stトレーラー】

世界線を超えて集う敵と味方

 本作最大の特徴は、敵も味方もこれまでの「EDF」シリーズ作品から登場していることだ。過去に登場したインベーダー(EDF1、2)、フォーリナー(EDF3、4)、プライマー(EDF5)、ラヴェジャー(EDF:IA)、アグレッサー(EDF:IR)、それらすべてが、どういうわけか新たな敵となる「ダークレジオン」の元に結束し、襲いかかってくる。

 これまでのシリーズでは様々な呼称があったアリやクモの見た目をした巨大生物は名前が統一されており、アリなら「ギサンダー」、クモなら「デカランチュラ」、ハチであれば「ツキサスピアン」といった名前が与えられている。ただしシリーズ固有の敵であった「ヘクトル」や「ベイザル」、「ダロガ」のような敵はそのままだ。

アリの姿をした「ギサンダー」
謎の巨大生物「シディロス」
巨大ロボット「ヘクトル」

 これは味方である「ブラザー」も同じだ。初代「THE 地球防衛軍」にはじまり、最新作の「EDF5」、2011年に発売された“アメリカ生まれの地球防衛軍”「EDF:INSECT ARMAGEDDON」、そして「EDF:IRON RAIN」まで、あらゆる作品の全兵種が登場する。シリーズファンにとっては、あのころに遊んだ兵種がいて懐かしく、初心者には多彩なキャラクターがひしめく作品となっている。

 さらに、この世界に出てくるキャラクターはそれだけではない。世界各国、たとえば日本にギリシャ、フランス、オランダなどなど、様々な国の特徴をモチーフにした「ご当地EDF隊員」も登場する。その中身も忍者やメイド、スパルタ兵などとバラエティに富んでおり、これらを戦場で仲間にすることで、ともに戦ってくれるようになる。

シリーズ登場キャラクターは「レジェンド隊員」と呼ばれる
ニュージーランドのご当地隊員「ハカブラザー」

 しかも、仲間にできる100人以上の隊員は、それぞれ耐久力や扱える武器、アビリティが違う。たとえば「レンジャー(EDF5)」は「地球防衛軍5」に登場する隊員で、左右へ回避行動をとれる。「スペースブラザー」はジャンプ力がとても高く、重力が低くなったようにふわふわとした動きをする。「ロイヤルブラザー」は防御壁を設置できる……といったように、能力も様々なキャラクターが登場する。全キャラクターにバリエーション違いも存在しており、その場合はアビリティが同じままで、ステータスが変化するのだ。

100人以上のキャラクターが参戦!

 さらに、ブラザーはアビリティのほかに、敵を倒してゲージを溜めて使える「スペシャル」を持っている。

 スペシャルはブラザーごとに異なり、初期から使える「レンジャー(EDF5)」なら着弾点の一定範囲に回復効果を及ぼす「リバースシューターXX」を持ち、「ウイングダイバー(EDF4)」は周囲の敵をロックオンして爆破するエネルギー弾を発射する「ガイストXI」を持っている。このスペシャルの攻撃は爽快で、ゲージがたまったら一気にぶっ放すと楽しい。

レジェンド隊員の強力なスペシャルは必見

初心者も遊びやすいライトな戦闘システム

 操作などの基本システムは従来作品を踏襲しながらも、「ブラザー」システムを用いた最大4人のチームで戦えるのがこれまでのシリーズと大きく異なっている。レンジャー、ウイングダイバー、フェンサー、エアレイダーなどの「ブラザー」たちをリアルタイムで切り替えながら戦い、それぞれの持ち味を活かしながらバトルをすることになる。

4人のブラザーでチームを組む!

 また、それぞれの武器には発射できる弾の上限がある。撃ちきってしまうとリロードしつつ戦うことになるが、このリロードは武器によってはかなり時間がかかるものもあるので、その間に敵と交戦してしまうとまずい状況になる。しかし、プレーヤーは4人のブラザーで戦っているため、リロードが発生したとしてもブラザーを切り替えて対応すればよい。つまり、レンジャーの武器をリロードしている最中にウイングダイバーに切り替えて移動、リロードが終わったら再びレンジャーに切り替えて攻撃といったように、操作次第では絶え間なく戦い続けることができる。この、“ブラザーを変えつつ戦う”というのがポイントで、1人のブラザーを使い続けるのではなく、バランスのよい構成でパーティーを組んで、状況に応じて敵に対応する必要があるのだ。

「陸戦兵(EDF3)バックパック装備α」で攻撃し、
リロード中に「レンジャー(EDF4)α」に切り替える
飛行できるブラザーに切り替えれば空中への移動もラクラク

 なお、敵の攻撃で吹き飛ばされていても、ジャンプ中でもブラザーを切り替えられる。近距離で戦うブラザー、移動力が高いブラザーなど、ある程度役割を決めておくと戦いやすそうだ。

 筆者は近距離で戦う「レンジャー(EDF5)」をメインに、移動力が高い「スペースブラザー」、遠距離から攻撃できる「ロイヤルブラザー」、爆発で敵を散らせる「チューリップシスター」や「レンジャー(EDF4)」をチームにして戦っていた。ただステージで仲間にできるブラザーがある程度ランダムのため、このようなチームをすぐに組めるとはいえない。ブラザーは千差万別なので特徴を見つつ考えていく必要があるだろう。

ブラザーを切り替えながら戦う。高い難易度でプレイする際は、この切り替えを上手く行なう必要があり、立ち回りが重要になる

大量の敵に囲まれるスリルは今まで通り

 視界を覆い尽くすほど大量の敵に囲まれ、攻撃をかわしながら戦う、といったプレイが「EDF」シリーズの基本的な戦い方だが、それは今作も同じだ。

 開けた平原のようなフィールドなら逃げ場も多く戦いやすいが、ビル街のように建物が多い場所だと、上下左右から攻撃され、敵を倒すだけで精いっぱいになる。クモ型の敵「デカランチュラ」が飛ばす糸に気付かず攻撃され続けて倒れてしまうこともある。

建物の有無で戦闘方法がガラッと変わる

 また敵たちはいくつかの“群れ”に分かれていて、攻撃された群れだけが反応して襲いかかってくるため、群れごとの各個撃破が重要になってくる。

 このほか、これまでの「EDF」では敵から後退しつつ戦う「引き撃ち」をしなければならない状況も多かったが、本作ではフィールドが狭いため少し難しい。高い攻撃力や、広範囲を吹き飛ばして敵を散らす能力のある武器を使うことが大事だろう。

序盤で現われる大量の敵

シリーズを通してプレイしている人も満足

 本作は「EDF」シリーズのキャラクターたちが世界線を超えて登場するという設定のためか、キャラクターがそれぞれの世界観や設定に応じた発言するのが、シリーズを通してプレイしている人なら楽しく感じるだろう。

 たとえば、ミッション中で初登場のボス「ベイザル」に対して、オペレーターが「お披露目ミッション」だと言ったりする。これはシリーズで恒例となった、巨大ボスが初登場となるミッションでボスを倒すことができず、ボスが逃げ出すか、仲間によってこれに対して強制的に倒されるまで耐え続けなければいけないミッションのことを、シリーズのファンが言い出したことが元ネタだ。同様に「撤退フラグが立つまで戦う」と言うメタ発言もあったりする。

 同じシーンでEDFの総司令官は「EDF3」で壊滅状態に陥った部隊に対して言ったセリフの「撤退は許可できない」という発言したりと、シリーズを遊んできたプレーヤーだからこそ笑えるネタが多くちりばめられている。

初登場のベイザルに対してオペレーターが言う「お披露目ミッション」

 そんな楽しい設定は、セリフだけでなくキャラクター設定にも表われており、「EDF4」に登場したウイングダイバーは飛行するのに高所恐怖症だったり、本作で登場する「チューリップシスター」のアビリティ「投げる」で発動するバイオ・チューリップは、一見して効果がわからないものの、実際に使ってみると設置して近づいた敵を攻撃するアビリティだったりする。

オランダ生まれ「チューリップシスター」のキャラクター設定

かわいらしいボクセルの魅力

 本作の魅力は何と言ってもボクセルをそのまま立体化したようなグラフィックスにあるだろう。「Minecraft」や「3Dドットゲームヒーローズ」も同じ系統の作品と言える。このグラフィックスで作られた敵やストラクチャーは、これまでのシリーズで感じられたグロテクスさをコミカルさに変えており、敵を撃破したあとの、ブロックが吹き飛ぶような演出も含めて、かわいさを感じる。

 こうした造形のかわいらしさはブラザーにも言える。武器のエフェクトはボクセルではないが、ブラザーとその武器の造形はすべてボクセルだ。頭身の低い姿であちこちを走り回って敵と戦うその姿は、何ともコミカルでかわいらしいのだ。

どこかかわいさを感じる敵たちだが攻撃は痛い
かわいらしく、それでいて格好良くデザインされた「ニンジャブラザー」

遊び心のある多彩な武器

 ブラザーが使える武器だが、「アサルトライフル」や「火砲」など、様々な距離で戦う武器が10種のカテゴリに分かれて用意されている。これまでの「EDF」シリーズに登場した武器や「デジボクEDF」ならではの武器などが数多く用意されており、やはりボクセルで造形されている。

 プレイを進めていくと、最終的にはどのブラザーも様々な武器カテゴリを扱えるようになるのだが、序盤で使えるのは1種のカテゴリだけで、同じ武器カテゴリのなかでやりくりすることとなる。戦場で同じブラザーを見つけてスキルを上げることで、扱える武器カテゴリが増える仕組みだ。

 ちなみに、登場する武器は同じカテゴリでも性能がかなり変わる。同じアサルトライフルでも射程の長短や威力、リロード速度の違いがあり、特殊な能力を備えているものも登場する。ブラザーを見つけると同時に武器を獲得できるため、戦場に散らばったブラザーは可能な限り集めたい。

武器カテゴリその1「アサルトライフル」。標準的な火力と扱いやすさを持つ
運良く同じブラザーを獲得するとスキルが上がり、使える武器カテゴリが増える

ビークルはマップ設置型に

 これまでシリーズに登場したビークルも「デジボクEDF」に登場する。「4」以降で主流となった要請によって登場する方式ではなく、「3」までのシステムだったマップに設置されたビークルを使用する方式となっている。本作の序盤では「1」と「2」で登場する「E551ギガンテス」が使えたが、それにはブラザーの1人が乗り込み、残る3人は砲塔にしがみつく形で乗り込んでいた。

マップに設置されたビークルに搭乗するブラザーたち

ゆるく遊べるパーティーテイストな「EDF」

 本作をプレイした感想は、これまで以上にふんわりとした世界観と、ポップで楽しみやすいビジュアルが楽しく、これまでのシリーズから大集合した作品たちが作り上げる「パーティーゲームっぽさ」だった。そこかしこにちりばめられた、これまでのシリーズを感じさせる雰囲気がとてもよい。

 こうした点からも、これまで「EDF」シリーズを楽しんできたファンならマストプレイな作品だ。いろいろなところにこれまでの作品のネタが仕込まれていて、ここはこのミッションの話で……といったように、「デジボクEDF」ならではのストーリーを楽しみつつ、「EDF」シリーズの楽しさを再発見できることだろう。またこれからプレイする人であれば、敵を倒したときの、ブロックがはじけるその爽快感を感じてもらいたいと思う。

 「デジボクEDF」はオフラインでもPS4版なら2人まで、Nintendo Switch版だとローカル通信協力プレイなら4人まで遊べるほか、オンラインであればどのプラットフォームでも最大4人までが集まって楽しめる(クロスプラットフォームには非対応)。年末年始の休みで本作をわいわいとプレイしてみてはいかがだろうか。