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ロジクール「PRO X SUPERLIGHT2 DEX」レビュー
“高さ”が良い! 新次元のグリップ感を実現した左右非対称マウス
- 提供:
- ロジクール
2024年10月28日 12:00
- 【PRO X SUPERLIGHT2 DEX】
- 10月29日 発売予定
- 価格:26,950円
9月のLOGI PLAY 2024の発表で、もっともゲーミングデバイス業界をざわつかせたのが、PRO X SUPERLIGHT2 DEX(以下、DEX)だろう。
ロジクールのPROシリーズのマウスは、これまでずっと左右対称モデルばかりで、今後もそのポリシーを貫き通すと思われたところに、突如、左右非対称モデルを出してきたからだ。筆者はもう半ば諦めかけていただけに、嬉しいサプライズだった。これまで超軽量シンプルデザインの左右非対称モデルでマーケットを独占してきたライバルメーカーは戦々恐々だろう。
ロジクールがこれまで左右対称モデルを重視してきたのは、プロゲーマーをはじめとしたゲーマーのニーズに答え続けてきた結果だ。先述したようにPROシリーズは全て左右対称モデルばかりだし、今回発表は見送られていたハイエンドモデルG90xシリーズも、今回「原神」コラボにも採用されたベストセラー「G309」も左右対称モデルだ。
左右対称デザインは、左利きユーザーもカバーできるだけでなく、エルゴノミクスデザインのようなクセがないため、かぶせ、つかみ、つまみのすべての持ち方にも柔軟に対応出来る。タマゴ型のシンプルなデザインも、手のサイズに関わらず、一定水準の使い勝手を提供してくれるなど、汎用性が高いのが特徴だ。
一方で左右非対称モデルは、持ち方がかぶせ推奨になるものの、ガッチリホールドでき、手や腕への負担を減らしながら自然なフォームで長時間グリップできるのが特徴だ。ロジクールによれば、左利きでも右手にマウスを持つゲーマーが増えてきており、左右非対称モデルのニーズが高まっているという。DEXは、そういうゲーミングシーンの変化に対応したSUPERLIGHTシリーズ待望の左右非対称モデルとなる。
今回は、発表から日本での発売まであまり時間がなかったこともあるが、ゲームプレイだけでなく、通常業務や取材先、出張先にも持ち歩き、ゲーム、仕事、普段使いとあらゆるシーンでDEXを使い倒してみた。筆者は日頃、ロジクールを代表する左右非対称モデルのG502 Xと、ZOWIEの左右非対称モデルEC-CWを使っている。この辺りとの比較も踏まえながらDEXの魅力をお伝えできればと思う。
左右非対称派に向けた待望のPRO X SUPERLIGHTバリエーション
ここまで読んだ方は全員お分かりの通り、筆者は左右非対称モデル愛好家だ。超軽量が持ち味のSUPERLIGHTシリーズの唯一にして決定的な不満が左右対称デザインであることだった。
もちろん、歴代のSUPERLIGHTシリーズや左右対称モデルを否定するわけではない。ノートPCに繋がっているのは、左右対象の乾電池駆動マウス「G309」だし、現行のSUPERLIGHT 2もデスクワークに常用している。ちょっとしたマウス操作は、ささっとつまめる左右対称モデルのほうが都合がいい。
ただ、いざゲームをやろうという時、それは言い換えれば、しっかりグリップしたい時になるが、そういう時はやはり左右非対称モデルがいい。これは単純に好みの問題で、DEXは既存のSUPERLIGHT 2より優れているわけではない点に注意が必要だ。あくまで左右非対称という新しい選択肢を提供しているに過ぎない。
DEXは性能的、機能的には現行のPRO X SUPERLIGHT2とまったく同一だ。いずれもHERO 2センサー/LIGHTSPEED 4KHzワイヤレスで共通。G HUBのソフトウェアアップデートでポーリングレートも同じ8KHzになるし、価格も同じ26,950円だ。
さらに左利き向けには、右サイドにもボタンを配置したPRO2 LIGHTSPEEDの発売を継続する。こちらもソフトウェアアップデートと、別売の専用レシーバー(2024年11月発売予定)を購入することでPRO X SUPERLIGHT2と同等の性能まで引き上げられる。
10月29日以降、PROシリーズは、左右対称のPRO X SUPERLIGHT2、左右非対称のPRO X SUPERLIGHT2 DEX、そして左利き用のPRO 2 SUPERLIGHTという3種類から選択可能となる(正確には、前モデルPRO X SUPERLIGHTも販売を継続するため4モデル展開)。
使って直ぐに分かるDEXの良さ
さて、DEXを使い始めてすぐ感じたのは、やはり左右非対称モデルは使いやすいということだ。SUPERLIGHT2のように、パッと手に持った際に前後左右を間違えることがないし、まるでキーボードのホームポジションの突起のように、親指部分のへこみが、指にしっくりなじみ、自然とベストな持ち方に誘ってくれる。左右クリックの傾斜は右クリック側のほうがわずかに深く、これもグリップ感を高めてくれる。すっとフィットしてピタリとハマる感覚が使っていて心地よい。使い出して初日からすっかり気に入ってしまった。
ロジクールG最大のライバルとなるG502 Xと比べると、やはり軽さが際立つ。G502もXにモデルチェンジしてから軽くなった方だが、DEXはそこからさらに40gも軽い。機能性はG502Xの方が上であるため、完全に取って変わる存在とまでは言えないが、性能面ではDEXが完全に上回っている。さらに、SUPERLIGHT最大の強みである軽さが上乗せされる。どちらが良いか悩ましいところだが、いずれにしてもDEXは非常に強力なゲーミングマウスといえる。
筆者が愛用しているゲーミングマウス「EC-CW」は、ZOWIEで数少ない無線かつ左右非対称モデルであることと、専用の大型レシーバーによる充電機能と遅延の無さが気に入って使用しているが、純粋にマウスだけの性能で見ると、DEXはかなり強力なライバルになるだろう。EC-CWには大型レシーバーのアドバンテージは残っているが、EC-CWの78gから20g以上軽いのは強い。
DEXの重量は実測で58.5g。ロジクールのゲーミングマウス史上最軽量だ。ゲーミングマウスの最軽量競争は、50g台に突入してきているが、強度に影響する露骨な肉抜きなしで、50g台を達成しているのは見事と言える。それでいてDEXはガッチリグリップしてもたわみやゆがみは感じない。これまでのSUPERLIGHTシリーズ同様にしっかりとした耐久性が確保されている。
そして見逃してはならないデザイン面での特徴は、“マウスが高い”ということだ。値段の話ではなく、接地面から頂点までが高い。SUPERLIGHTシリーズは、超軽量モデルとして、どちらかというと扁平なデザインだが、DEXはこれが意図的に高く設定されている。現行のPRO X SUPERLIGHT 2が40mmなのに対してDEXは43.9mmもあり4mm近く高い。やや大振りのG502Xと比較しても3mm近く高くなる。
これが何をもたらすかというと、グリップ感の向上にダイレクトに寄与してくれる。かぶせで持つと、指尖球(しせんきゅう)と呼ばれる指の付け根あたりにフィットするが、DEXはここの高さゆえに、かぶせるというより包み込むような、“つつみ持ち”状態になり、これが非常に心地よい。これに慣れてしまうと、左右対称モデルに戻れないのではないかという恐怖感を感じるほどだ。
このDEXの高さは、ロジクールの専売特許ではなく、ゲーミングマウス界の潮流でもある。ZOWIEは、マウス自体のサイズに加えて、高さも選択可能で、高プロファイルの「ZA13」シリーズの人気が高い。近々ワイヤレスモデルのリリースも予定されており、SUPERLIGHTシリーズの新たなライバルとなるはずだ。また、Razerの直接の対抗馬となる「Razer DeathAdder V3 Pro」も44mmの高さを確保している。高いマウスが支持を集めつつある中で、DEXはそのトレンドを積極的に取り入れたということになる。
ロジクールGもいよいよレポートレート8000Hzへ。HERO 2センサーの驚異的な進化を見よ!
DEXについて性能的な部分をもう少し見ていこう。HERO 2センサー/LIGHTSPEED 4KHzワイヤレスの組み合わせは、現行のPRO X SUPERLIGHT 2と同じと書いたが、この組み合わせはPRO X SUPERLIGHT 2のみであり、G903やG502 Xを突き放す性能を実現している。
HERO 2センサー/LIGHTSPEED 4KHzワイヤレスの組み合わせが魅力的なのは、ゲーミングマウス界で幅をきかせている割には実質的に意味のない項目の筆頭であるDPIではなく、それ以外の項目もすべて底上げされているところだ。
中でも注目なのは、長らく1000Hz止まりだったポーリングレートが8000Hzまで進化したことだ。ポーリングレートは、マウスと本体とのデータ送信頻度を示す項目で、高ければ高いほど、マウス操作が正確かつ滑らかになる。8000Hzは業界最高水準で、ようやくロジクールのゲーミングマウスも、高ポーリングレートでマウス操作が可能となった。実際に使って見ると、その違いは一目瞭然。ハッキリとその違いがわかり、マウスを操作することに改めて楽しさを感じるはずだ。
高ポーリングレートの弱点は、バッテリーの消耗が激しいことだ。加えて、PC環境によっては、マシン負荷にも影響を与えるため、それなりのスペックのPCが求められる。実際に検証してみると、ポーリングレートを倍にすると、バッテリー駆動時間は半分になる印象で、今回のDEXでは、初期設定の1000Hzだとバッテリー駆動時間は92時間だったが、8000Hzに設定すると、わずか19時間まで減ってしまった。予想以上に激しい消耗だ。
ただ、逆に言えば、ありあまるゲーミングPCスペックと、伸び続けてきたワイヤレスマウスのバッテリー駆動時間をフル活用するチャンスでもあり、PCゲーマーならぜひ8000Hzの世界を味わうべきだ。一部のメーカーは16000Hzのポーリングレートを実現したモデルも登場しつつあるが、ここまで来ると丸1日持たなくなるため、大会使用、日常使いに支障が出るレベルとなってしまう。ともあれ、ぜひDEXで高ポーリングレートの世界をぜひ味わってほしい。
なお、念のためだが、現行のPRO X SUPERLIGHT2も、G HUBのソフトウェアアップデートで、ポーリングレートを4000Hzから8000Hzにアップグレードできる。忘れずにアップデートしておきたい。
超軽量とエルゴノミクスを高度なレベルで実現したDEX
以上、DEXの魅力を紹介してきた。DEXは、PRO Xシリーズに登場した左右非対称のバリエーションモデルであり、SUPERLIGHTの名にふさわしい超軽量と、ロジクール史上最高のトラッキングセンサーを備えた、ロジクールGの自信作だ。
7月にレビューしたG309は、G30xシリーズが長年培ってきたデザインの連続性がなくなっていたのが不満だと書いたが、DEXはそういう不満がまったくなかった。むしろPRO X SUPERLIGHTをエルゴノミクスにしたらこうなるだろうという理想形が実現されていて満足の1台に仕上がっていた。センサーのスペックは最高水準で末永く使えそうだし、なんといってもこの“高さ”はすこぶる気に入った。ロジクールファンも、そうでないゲームファンも、ぜひ一度トライしてみて欲しい魅力的なゲーミングマウスだ。
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