「Xbox Series S」プレビュー
Xbox Series S
2020年11月5日 23:00
もう1つの確かな次世代機Xbox Series S
正直に告白すると、実機が届くまではXbox Series Sに対して「すでにXbox One Xで4Kゲーミングを実現しているのに、今更Xbox Series X|Sタイトルが動くとは言え1440pゲーミングに戻るのはちょっとな……」という思いがあった。Xbox One Xを手にした後に、Xbox One S All Digital Editionの発表に対して何のときめきも感じなかったのと同じだ。しかし、実機を試してみてまったく感想が変わった。やはりこの手のハードはカタログスペックだけ見ていても何も分からない。
初回プレイ時は、Xbox One Xでの4Kゲーミングに慣れきっていただけに、アップスケール特有のジャギーやノイズ、のっぺり感が気になったが、それよりも具体的かつデカいメリットがガンガン迫ってきて、Xbox Series Sも大ありだと思えるようになった。最後にXbox Series Sの具体的なオススメポイントを紹介して本稿の締めくくりとしたい。
第一に、ベンチマーク結果からも明らかなように、圧倒的に起動時間やデータロードが短い。これは繰り返すがXbox Velocity Architectureがもたらしてくれた恩恵だ。見た目は、Xbox One SからXbox Series Xまでの繋ぎのような、頼りなげなワンポイントリリーフに見えるが、実際には限りなくXbox Series Xに近いパワフルな次世代機だ。
第二にビジュアルエフェクトの美しさ。まだXbox Series X|Sに最適化されたタイトルは限られているものの、わずか29,980円(税別)のハードでありながら、リアルタイムレイトレーシングが適用されながら十分なパフォーマンスでAAAタイトルが動作するというのは、それ自体がもはや事件だ。PCゲーマーの視点からいえば、エントリーレベルのビデオカード1枚にも満たない価格で実現していること時点で、十分にズルい。
第三にクイックレジューム対応マシンであること。クイックレジュームは、Xbox Series Xプレビューでも紹介したように、これがあるだけでゲーム機としての価値を一段底上げするような機能だ。現在筆者は、各種検証のためにXbox One SからXbox Series Xまで4台のマシンを代わる代わる使っているが、Xbox One X|Sにクイックレジュームがないのがもどかしくてたまらなく感じられるようになった。もはやなくてはならない機能だ。
クイックレジュームもまたローンチに向けて進化を続けており、ファーストパーティータイトル間での切り替えはわずか5秒ほどまで縮まっている。まさに一瞬、コーヒーを一口飲む時間も与えてくれないスピードでゲームの切り替えが完了する。あたかもPCでAlt+Tabでアプリを切り替えるような手軽さだ。この素晴らしさは、ぜひすべてのゲームファンに味わって貰いたい。
第四に持ち運びが容易。携帯性は地味だが重要な要素だ。この世代のゲームコンソールの最大のウィークポイントはデカすぎることだと思っている。おそらくゲームファンはXbox Series Xは横幅、PS5は高さに苦しめられるはずで、いずれも発想がデスクトップPCに近づいていて、持ち運ぶことが想定されていない。ところがXbox Series Sは、Xbox Series Xどころか、Xbox One X|Sよりもはるかに軽くコンパクトだ。これは鞄に入れて持ち運ぶ以外にも、リビングから自室へ移すような際にも重宝する。小ささ、軽さは正義だ。
第五に廉価でありながら十分な将来性が確保されているところだ。Xbox Series Sには、Xbox Series Xと同様にHDMI 2.1ポートが搭載されており、ウルトラハイスピードケーブルと、HDMI 2.1規格のモニターを接続することで、ゲームについては4K(アップスケール)/120fps、VODについては最大8KのHDR映像を楽しむことができる。注意点としては、Xbox Series Sに同梱されているHDMIケーブルは、Xbox Series Xとは異なり、4K/60fpsまでしか対応していないハイスピードケーブルであること。将来機能拡張を図る際はケーブルの買い換えが必要になる。
HDMI 2.1規格がもたらす新機能の中でも120fps対応は、この世代のゲームコンソールの大きな特徴の1つとなる。PCゲームは、天井知らずですでに360fpsまで出せるようになってきているが、ゲームコンソールは長らく60fpsが上限だった。これがついに60fpsの限界を超えて、120fpsまで出せるようになる。今回は対応モニターがまだほとんど市場にないこともあって無理に検証しなかったが、来年どころか数年先までに渡って拡張の余地を残しているのは心強いところ。本プレビューが皆さんの次世代機選びの参考になれば幸いだ。
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