インタビュー

「都市伝説解体センター」の“解体ポーズ”は「仮面ライダー」と「忍者の印」からできたもの【TIGS2025】

「集英社ゲームズと一緒につくった作品」。開発者インタビュー

【TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2025】
3月8日~3月9日 開催
メイン会場:武蔵野公会堂、吉祥寺東急REIホテル
チケット料金:
3月8日(ビジネスデイ):6,000円
3月9日(一般公開日):1,000円
左から、墓場文庫ピクセルアーティストのハフハフ・おでーん氏、集英社ゲームズ本作プロデューサーの林真理氏

 2月13日に発売され、10万本を超えるヒット作となっているアドベンチャー「都市伝説解体センター」。今回、3月8日・9日開催のインディーゲームイベント「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2025」の会場にて、開発元の墓場文庫でピクセルアーティストを務めるハフハフ・おでーん氏と、集英社ゲームズ本作プロデューサーの林真理氏に話を聞くことができた。

都市伝説解体センター

 おでーん氏に本作のポイントを伺うと、「クリアのハードルを極力下げた」ことだという。墓場文庫の前作「和階堂真の事件簿」は短めの作品であり、決して壮大ではなかったものの、クリアした喜びを報告する反響が多かった。そこで「クリア自体の爽快感を求めている人は多い」と気づき、その後の制作の方針が決まったという。

 「都市伝説解体センター」は、「千里眼」の能力を持つというセンター長の廻屋渉(めぐりやあゆむ)、廻屋に半ば強制的に新人調査員に仕立てられた福来あざみ(ふくらいあざみ)など、魅力的なキャラクターが多く登場する。こうしたキャラクターやシナリオはどのように練ったのかを聞いたところ、そのようなものは特にないという。単に、「いくつか用意したうちのひとつだった」とおでーん氏はあっさり答えた。

 その一方で、興味深いことに「偶然、企画とキャラクターがぴったり合っていた」そうで、正式に開発がはじまったあとも、「都市伝説解体センター」の基本的な内容は変わることなく、廻屋渉の設定やビジュアル、さらには仮で制作したロゴに至るまで、製品版にほぼそのまま使用されている。

廻屋渉(左)と福来あざみ(右)

 また墓場文庫にとっては、集英社ゲームズから貴重なアドバイスを多くもらったという。その一例が、廻屋渉と福来あざみの出会いを描いたゲーム最序盤のチュートリアル。これが、集英社ゲームズのアドバイスによって、開発の後半に急遽追加されたものだという。

 マンガでは、物語の導入として、登場人物の背景や関係性などを説明するシーンが演出されることがある。集英社ゲームズのマンガ編集出身のスタッフによる意見だったそうだが、これを取り入れたことで作品は「より良くなった」。このほかにも多くのディスカッションを重ねており、そのためおでーん氏は「都市伝説解体センター」を「集英社ゲームズと一緒につくった作品」だと捉えているとした。

開発期間は3年。林氏は「墓場文庫さんも私も3年でだいぶ成長したよね」と振り返った

 ちなみに、作品中にあまりに印象的な廻屋の“解体ポーズ”は、作品内に独自の決めポイントをつくるため、“特定”と合わせて導入したものだそう。イメージは「仮面ライダーの変身シーン」で、そこに「忍者の印」の要素も入っているとした。

 集英社ゲームズブースでは、「都市伝説解体センター」のほかに「シュレディンガーズ・コール」と「ANTHEM#9」が出展中。どちらも2025年発売予定で、会場では試遊もできる。「都市伝説解体センター」に続く作品として、こちらもチェックしていきたい。

プレイに独自の「決めポイント」を入れるために入れたという「特定」と「解体」。どちらも印象に残る