「ポケットモンスター ソード・シールド」レビュー

ポケットモンスター ソード・シールド

Switchに降臨したシリーズ最新作に大興奮! 限界マックスに進化を遂げたポケモンの世界を遊び尽くそう!!

ジャンル:
  • RPG
発売元:
  • 任天堂
開発元:
  • ポケモン
プラットフォーム:
  • Nintendo Switch
価格:
各5,980円(税別)
発売日:
2019年11月15日

 秋も残すところ後わずか。突き刺すような寒さに冬の訪れを感じ始めた頃、それはまるで早すぎたクリスマスプレゼントの如く、筆者のNintendo Switchに舞い降りた……。「ポケットモンスター」、縮めて「ポケモン」。全世界のキッズから大きなお友達まで、老若男女のハートを鷲づかみにしてきたシリーズの最新作「ポケットモンスター ソード・シールド」(以下、ポケモン ソード・シールド)が、遂に11月15日に発売を迎えたのだ!

 本作は、1996年に発売された初代「ポケットモンスター 赤・緑」から続くシリーズの完全新作。新たな舞台「ガラル地方」で、まだ見ぬポケモンたちとの出会い、触れ合い、そして冒険が世界中のプレーヤーを待ち受ける。

 ここ最近は仕事の忙しさでプレイから遠ざかっていたが、筆者も一応、初代の「赤・緑」から「ポケットモンスター サン・ムーン」まで、シリーズは一通りプレイしてきた。バトルの腕前はからっきしだが、ポケモンへの愛は今もメラメラと燃え上がっている! というわけで、自称ポケモンマスターの端くれとして、今回のレビューでは特に「ワイルドエリア」や「ダイマックス」などの新要素に焦点を当て、ゲームとしてのポケモンの魅力を改めてお伝えしていきたい。

ガラル地方で繰り広げられる新たな冒険

 完全新作としてはシリーズ8作目となる「ポケモン ソード・シールド」は、人とポケモンが協力して産業を発展させてきたガラル地方が舞台となる。作品ごとに手を変え品を変え、世界中の「ポケモン」ファンを虜にしてきた本シリーズだが、ゲームの基本的な流れはシリーズを通して変わらない。草むらや洞窟などに生息するポケモンを「モンスターボール」で捕まえ、トレーナー同士でバトルの腕を競う「ポケモンリーグ」に挑戦し、その頂点に君臨する「チャンピオン」を目指す。ゲームの骨格はそのままに、最新作である「ポケモン ソード・シールド」では数々の新要素が追加され、さらにパワーアップを果たしている。

ゲーム開始後、まずは主人公の性別や顔立ちを選ぶ。アラサーの筆者とは似ても似つかない少年少女たちの眩しい笑顔に、時の流れを感じるぜ……
オープニングでは、いきなり現チャンピオンの「ダンデ」が登場。一戦を交える日が待ちきれない!
白黒のゲームボーイから始まった本シリーズ。時の流れを感じる演出は、こんなところにも
マップは行き先が分かりやすく、各地の天候も一目瞭然。遊びやすさが増したゲームデザインにも要注目だ

 本編開始後は、いわゆる「御三家」と呼ばれる「ほのお」、「くさ」、「みず」の3種類のポケモンから1匹を選ぶことになる。最初のパートナーに誰を選ぶかは常に悩ましい問題だが、今回はクリクリっとした目の可愛さにハートを射抜かれ、みずタイプの「メッソン」をパートナーに。年のせいか、過去作で選んだ最初のポケモンたちとの思い出も蘇ってきて、筆者はこの時点で既に目がうるんでしまった……。

ライバルポジションの幼馴染「ホップ」から注意を受ける主人公。毎度のことながら、ポケモンがいないと草むらも歩けない世界ってヤバすぎるだろ!
左からヒバニー、メッソン、サルノリ。どの子も甲乙つけがたく、ここで迷ってしまうプレーヤーも多いのでは?
メッソン、君に決めた!僅差だったけど、君が1番かわいいよ(親バカ)
どうせ後出しジャンケン……と思ったら、まさかの水に弱い「ヒバニー」を選択したホップ。あれ?なんて優しい世界?

 パートナーを選び、ライバルとのポケモンバトルを終えれば、いよいよ壮大な冒険の始まりだ。本作ではオープニングからチャンピオンが登場したり、そのチャンピオンが残った”御三家”の1匹を引き取ったりと、斬新な演出の数々が光る。Nintendo Switchになって、ビジュアル面でも、演出面でも進化を遂げたことが序盤から感じられ、この先の展開への期待感はシリーズ随一と言っても過言ではないだろう。ガラル地方に伝わる伝説や謎のポケモンの存在も気になりつつ、立ち塞がるライバルたちをなぎ倒し、ポケモンリーグのチャンピオンへとのし上がる第一歩を、ここから踏み出そう!

ダンデが見守る中、最初のポケモンバトルへ。メッソンは背中もかわいいなあ(親バカ)
チャンピオンが引き取ることになった「サルノリ」。これからリザードンとの地獄の特訓が始まる予感……がんばれ!
序盤のイベントで出会う謎のポケモン。主人公たちの冒険にどう絡んでくるのか楽しみだ
恒例のママからのおこづかいタイム。やっぱり冒険には先立つものがないとね!

「ワイルドエリア」で、自然の美しさと厳しさに酔いしれる!

 牧歌的な田園風景から始まり、近代化が著しい大都市、寒さが険しい雪山や遺跡が眠る街など、ガラル地方はシリーズの過去作と同様、プレーヤーに様々な表情を見せる。中でも目を引くのは、本作で新たに登場したワイルドエリアだ。ガラル地方で最も多くの種類のポケモンが生息するという広大な敷地内では、天候によって出現するポケモンが変わり、後述のダイマックスによって巨大化したポケモンとのレイドバトルも楽しめる。まさに時間泥棒とも言うべき要素がてんこ盛りなのだ。

大自然が広がるワイルドエリアでは、カメラアングルの操作が可能に。隅々まで見渡して探索しよう
本作ではシンボルエンカウントを採用しつつ、「!」マークが飛び出た場所ではランダムエンカウントになるなど、趣向を凝らした作りとなっている
天候が雪の時に出現した「デリバード」。過去作のポケモンも数多く登場するので、乞うご期待!
巨大化した「カメテテ」がホラーでしかない件。ダイマックスやレイドバトルの詳細は後ほど触れたい

 本作は発売当日からワイルドエリアが楽しすぎるとの声が鳴りやまないが、その最大の魅力は何と言っても“ゲーム進行を度外視した強さ”のポケモンとの遭遇だろう。エリアに入ってすぐに、草むら以外の場所でもウロウロしているポケモンがいることに気づくが、甘い気持ちでちょっかいを出してはいけない。過去作と違って、本作のワイルドエリアでは序盤でも平気でレベル30や50台のポケモンに出遭う可能性がある。

 もちろん勝てればその時点では莫大な経験値が手に入るが、レベル差の暴力とも言うべき圧倒的パワーでパーティーを壊滅させられた筆者は、ポケモンがモンスターであることを再認識した……。「イワーク」や「サイドン」がこんなに恐ろしいとは思わなかったよ! あいつらマジモンの怪物だよ!

おっ、洞窟でもないのにイワークがいるやんけ!みずタイプのメッソンなら4倍ダメージで楽勝だな……
などと舐めていた筆者、この後あっさりワンパンされたとさ!

 ワイルドエリア自体は草原や湖など複数のエリアに分かれており、エリアによっては草むらにいるポケモンもかなり手強い。序盤ですべてのエリアを踏破することは難しいので、冒険の合間に少しずつ探索を進めていこう。最初は勝てずに逃げ回っていたとしても、鍛えたパーティーで再挑戦し、仲間にできた時の喜びは何物にも代えがたい。この絶妙なゲームバランスが、過去作にはないワイルドエリアの魅力なのだ。

進化してキリッとした目つきになっても、勝てないものは勝てない
マッチョな「ゴーリキー」がうじゃうじゃいる草むらとか、怖すぎるわ……

バトルは「ダイマックス」で新たな次元へ!

 新要素である「ダイマックス」の導入によって、本作のポケモンバトルは過去作以上に、ド派手に仕上がっている。ダイマックスはポケモンが巨大化する現象のことで、ガラル地方の特定の場所でのみ発生する。巨大化したポケモンは3ターンの間、一部の能力が上がり、わざもダイマックス専用のものに変わるが、やはり何といっても見た目のインパクトが凄まじい!すべてのポケモンがダイマックス可能なため、元から強面のポケモンはますます怪獣っぽくなるし、かわいいポケモンも何だか頼もしく思えてくる。

 先ほど紹介したワイルドエリアでも、ポケモンの巣と呼ばれる場所で巨大化したポケモンと「レイドバトル」が楽しめる。これは他プレーヤーと4人1組になって挑むもので、戦闘に勝利すると倒したポケモンをゲットできるチャンスが得られ、さらに経験値のあめや「きのみ」、「わざレコード」といったアイテムも手に入るのだ。

巣穴から光が伸びていれば、特定のポケモンとレイドバトルができる
巨大化したポケモン同士でのバトルは、まるで特撮映画を観ているよう
迫力満点の「ダイストリーム」。みずタイプのダイマックスわざで、天候を雨にする追加効果を持つ
わざレコードは一度つかうとなくなるため、複数ほしい場合は何度もレイドバトルに挑もう!

 ダイマックスは、ジム戦においても大活躍! 本作ではポケモンリーグだけでなく、ジム戦でもスタジアムでの試合形式を取っており、衆人環視のもとでバトルが進む。各地のジムではダイマックスが可能なため、バトルの終盤ともなれば迫力あるバトルが繰り広げられるのだ。BGMもスポーツの試合を想起させる応援ソングに変わるので、ジム戦は常にテンション爆上げの状態で戦闘が楽しめる。ダイマックスの導入によって、本作は過去作よりもバトルの演出が格段に進化しているため、シリーズから離れていたプレーヤーにこそ、ぜひ最新作を触ってみてほしいところだ。

観客に見守られる中でのジム戦はシリーズ随一の緊張感があり、演出的にもかなり盛り上がる
トドメのやられ演出が、もう特撮にしか見えない!(めちゃくちゃ褒めてる)
早期購入特典でゲットできる「ニャース」など、一部のポケモンは姿かたちも変わる「キョダイマックス」が可能だ

「ポケモンキャンプ」で触れ合いや料理も楽しもう!

 バトルにばかり焦点を当ててきたが、本作はいつでもどこでもポケモンキャンプを設営でき、手持ちのポケモンと触れ合ったり、カレーを作ることもできる。このカレー作りがなかなかに奥が深く、パンなどの食材やきのみの組み合わせで、100種類以上のカレーを作ることができ、ポケモン図鑑と同様にコンプリートを狙いたくなってくる。また、他プレーヤーのキャンプにもお邪魔できるので、対戦や交換に留まらない交流を楽しむこともできるのだ。

やっぱり筆者のメッソンは、ぶっちぎりでかわいいなあ!(本日3度目の親バカ)
カレーは食べるとHPなどを回復できる。謎にゴージャスなものができたりするのも楽しい
普段は目つきが険しい新ポケモンの「ネギガナイト」も、ボールで遊べばニッコリ!

新時代の幕開けを予感させる最新作で、年末年始もポケモン三昧!

 今回のレビューでは紹介しきれなかったが、本作では新たなポケモンやダイマックスなどの新要素だけでなく、魅力あふれるキャラクターにも要注目だ。一癖も二癖もあるライバルたちや各地のジムリーダーなど、一体どこから集めてきたのかと思うくらい個性派ぞろい。そんな彼らも冒険の中で少しずつ色んな表情を見せるので、ぜひ本編のストーリーも楽しみにしてほしい。

常に上から目線の「ビート」。果たして彼がデレる日は来るのだろうか?
パンクな格好や強がりな言動が実に可愛らしい「マリィ」。これには筆者も鼻の下を伸ばさざるを得ない
リーグ開会式で一堂に会するジムリーダーたち。とにかく本作は全編にわたって演出がカッコイイのだ!
マリィを応援するために主人公たちを妨害する「エール団」。その憎めなさはシリーズでも断トツである

 なお、本作でもローカル通信にあたる「YY通信」の利用や「Nintendo Switch Online」に加入することで、他プレーヤーとの通信対戦・交換が可能となる。シリーズの過去作と同様に、「ポケモン ソード・シールド」でも出現するポケモンが一部異なるため、ポケモン図鑑の完成には他者との交流が欠かせない。また、ゲーム内でチャンピオンになったとしても、現実の世界には更なる猛者がゴロゴロいるので、機会があればぜひ通信機能も試してみてほしい。ポケモンはクリア後が本番! とも言われるように、本編をクリアしてもポケモン剣盾の遊びはまだまだ尽きない。シリーズ経験者も初めてポケモンをプレイする方も、この年末年始はみんなで、ポケモンゲットだぜ!

ゲーム内の一部のNPCともポケモンを交換できるが、それだけでは図鑑の完成は難しい
フィールドのデザインとマッチした新ポケモンの姿に、しみじみと表現力の向上を感じる筆者
不思議な目をしたおまわりさんなど、道中のトレーナーたちにも注目だ!
油断しているとNPCがたまに深いことを言ってくる。それも「ポケモン」の魅力