「ミュータント・イヤー・ゼロ:ロード・トゥ・エデン」レビュー

ミュータント・イヤー・ゼロ:ロード・トゥ・エデン

秋の夜長にぴったり。骨太な難易度だからこそ味わえる気持ちよさが堪らない!

ジャンル:
  • RPG
発売元:
  • 3goo
開発元:
  • The Bearded Ladies Consulting
プラットフォーム:
  • PS4
  • Nintendo Switch
  • Windows PC
価格:
4,800円(税別)より
発売日:
2019年11月21日

 いよいよ12月が近づき夜も長くなってきた。こんな秋の夜には高難易度のハードコアなタイトルをじっくりとプレイしたいものだ。今回紹介する「Mutant Year Zero」はそんな夜にピッタリ、ゲーマーにとっては攻略しがいのある超骨太なタイトルだ。

 見下ろし型の索敵要素と、「XCOM」シリーズライクのターン制のタクティカルバトル要素をミックスした作品で、ノーマルでも難易度が高く油断するとあっさりとゲームオーバーになるほど。レベルを上げて物理で殴ればクリアというようなゲームバランスではない。遮蔽物に隠れたり、高所から敵を狙うのはもちろん、数に制限のある消費アイテムなどをフルに使わなければ生き残れない。

 そのためにフィールドを索敵し装備や、アイテムを探す。この辺りはRPG寄りのシステムが融合した新感覚のタイトルだ。だがフィールドには強力な敵たちがたむろしている。

 グールという集団やカルト教団の信者など個性が強く戦闘力も高い集団だ。敵に近づくと否応なしにバトルが始まり、こちら側が何の準備もしていないと敵の猛攻にやられゲームオーバーになってしまうのは間違いない。立ち回り、戦い方、アイテムの使い方……フルに頭を使い戦い方を考えて戦闘で勝ち残る。見事に勝利できればその難易度に見合った気持ちよさが感じられる、そんな骨太な作品になっている。

【ミュータント・イヤー・ゼロ:ロード・トゥ・エデン アナウンストレーラー】
見下ろし型の探索要素と、ターン制のタクティカルバトル要素が組み合わされた作品

荒廃した世界の探索が堪らない!

 本作の舞台は未来の地球が舞台。極端な気候変動、世界的な経済危機、致命的なパンデミック、そして新旧の大国間の緊張の高まり……1945年以来、初めて武力紛争で核兵器が使用された世界という設定だ。

 地球に人間はもう残っていない、今の地球に残っているのはミュータント達。「ストーカー」と呼ばれる彼らは「アーク」というボロボロの拠点にしながら、古代の地球人が残した食料や水、資材などを危険なフィールドを探検しながら持ち帰りなんとか生きながらえている。そして彼らは「エデン」という安息地がこの地球に残っているという情報を元に旅立った先遣隊を追って冒険に旅立つ……というストーリーだ。

元々はガソリンスタンドだったのだろうか? コンクリートは崩れ、壁には苔が生えている
冒険の拠点になる「アーク」。ここにはキャラの濃いNPCたちが揃っている

探索フェーズとバトルパートの組み合わせのマッチが良い

 ゲームは大きく2つのフェーズにわかれている。ひとつが見下ろし型の探索パート、もうひとつが「XCOM」ライクなバトルパートだ。

 索敵パートではフィールドを索敵して戦闘中に使用するアイテムや、この世界で貨幣のように扱われているスクラップなどが落ちているのでこれらを集めていく。だがフィールドにはアイテムが落ちているだけではない、ストーカーの敵になる勢力たちも闊歩している。敵に気づかれる、もしくはこちらから戦闘を仕掛けるとバトルパートへと移行する。

 バトルパートはいわゆる「XCOM」ライクなターン制のタクティカルバトルになっている。ターン制のシミュレーションRPGをイメージしていただければわかりやすい。フィールドは四角形のマスに区切られ、それぞれのマスに味方、敵が配置される。武器やスキルを使ってお互いを攻撃しあったり、遮蔽物に隠れて攻撃から身を隠すなど、立ち回りが求められる。さらにどのタイミングで、どんな武器を使うかグレネードのような消耗品を使うか、綿密な計画が求められる。

探索パートではアイテムを探したり、バトルに備えた位置取りをすることができる
隅々まで探索すると武器が入手できることも。スクラップもきっちりと集めて武器などを購入したい

 本作の1番の魅力はこの索敵パートとバトルパートがバランス良くミックスされていることだ。

 フィールドを索敵するとこの世界の貨幣的な存在の「スクラップ」や、戦闘時に使用するグレネードや回復キットといった消費アイテム、そしてキャラクターたちの装備アイテムなどが手に入る。

 ゲーム的には一切索敵せずに深部へと潜り、敵と戦うことも可能だ。だがそれは丸腰で強力な敵に立ち向かう無謀な行為だ。きっちりと索敵して来たるべき強敵との戦闘に備えるべきだ。そしてこの索敵がなかなか面白い。彼らから見ると古代人、つまり我々現代の地球人の異物がフィールドに残っているのだ。なんてことのない電化製品の冷蔵庫ですら、彼らには古代人が残していった特殊な装置に見えるようで「古代人はどうしてこんな不思議な機械を作ったんだろう?」というキャラクター同士の会話を見ることができる。この掛け合いがなんとも面白いのだ。

 そして索敵パートには他にも重要な役割がある。それが戦闘前の位置取りだ。戦闘では基本的にこちらの方が人数が少ない。正面から突っ込んでいくのは得策ではない。そこで重要なのが位置取りだ。例えばこちらのキャラクターが全員遮蔽物に隠れた状態でスタートすれば敵からの攻撃を受ける確率を下げることができる。高所からの攻撃は命中率が上がるので手短な建物の屋上に陣取ってから戦闘を仕掛けるのも戦い方の1つだ。

 最もオススメなのが敵に気付かれないように各個撃破していくことだ。本作にはクロスボウやサイレンサー付きの銃など音を出さずに攻撃できる武器がある。敵は集団で動いていることが多いのだが、時々集団から外れて行動する敵もいる。隠れたところから気付かれないように静音武器で仕留める。多勢に無勢、卑怯と言われようが戦闘に勝利するためにはこの戦い方が欠かせない。こうした位置取り、攻撃を仕掛けるタイミングを見計らう……これが他のターン制のタクティカルゲームにはない本作ならではの魅力だ。

戦闘前に高所に登って敵を狙ったり、不意打ちで先制攻撃を取ったりと索敵パートでの立ち回りがそのままバトルに影響する

クリアできなければ思い切って難易度を下げることも重要

 といった形で本作の攻略のヒントというか鉄板の攻略方法を記したが、これは初歩中の初歩だ。こういう戦い方ができて当たり前、むしろこういう戦い方をしてもバトルパートで敵にボコボコにされるということがザラに起きる。

 キャラクターのレベルを上げて、強力な武器を使ってゴリ押しするような戦い方は本作ではまず不可能と言っていい。そもそもザコ敵という存在があまりいないのでレベル上げをすることは難しいし、武器を強化するにもリソースが限られている。それではどうするか。頭をフル回転させてベストな配置から戦闘をはじめる、もちろん不意打ちからスタートするは基本中の基本だ。

 敵からの攻撃は遮蔽物に隠れたり射線が通らない場所に隠れてうまく回避しつつこちらの攻撃が当たるように立ち回っていく。隠れてばかりだとこちらの攻撃も当てられないので時には被弾も覚悟して前に飛び出さなければいけないこともある。また投げ物も忘れてはいけない、グレネードで遮蔽物を吹き飛ばしたり、スモークで敵からこちらが見えないようにすることもできる。1ターン1アクションに全く力が抜けない、そのくらい細心の注意を払い全力を尽くしてもあっさりとゲームオーバーになってしまう……それほどの骨太な難易度だ。

消音武器で不意打ちを仕掛けるのは基本中の基本。さらにグレネードなどを有効活用しないと戦闘に勝利することは難しい
装備を整えたり、レベルアップ時に入手できるポイントでスキルを獲得するのだ

 特に苦戦したバトルは敵に魔法使いのようなユニットが登場したバトルだ。まず敵のユニットの数の方が多く戦闘開始時から不利な様相だ。さらに魔法使いのようなユニットは雷の魔法のようなものを使ってきて、この攻撃の威力が非常に高く、こちらのユニットのヒットポイントをゴリゴリ削られた。さらにやっかいなのが雷は近くの味方ユニットにしていくのだ。各個撃破するために集まって火力を集中させていたら雷の攻撃で味方ユニットが全滅してしまった。

 かといってバラバラに移動していくと敵の体力を削り切ることができずにジリ貧になる。ステルスからの先制攻撃や、味方ユニットのスキルを使ったのはもちろん、煙幕グレネードを使って視界を妨害したり、火炎瓶で持続ダメージを与えても突破できなかった。最終的には至近距離からタックルをかけて魔法使いを動けないようにしつつ、集中砲火で撃破することでなんとか突破したのだが、あとから調べてみると、そもそもその戦闘は回避して先に進むことができそうだった。どうしてプレイしているときに気づけなかったのか非常に悔しさを感じる結果になった。

 筆者も序盤のバトルから幾度となくコンティニューを繰り返し、最終的にゲーマーとしてのプライドを捨てて難易度を下げることで突破した。

デフォルトの難易度は「ハード」。ちなみに本来の難易度は「ベリーハード」とのこと。ハードで始めた筆者は何度ゲームオーバーの画面を見たことか……

 筆者もゲームライターの端くれ、ある程度はゲームに自信があったのだが、そんなゲーマーの心を容赦なく折っていくほどの高難易度なゲームになっている。その分先に進めたときの気持ちよさは言葉では表せないほどで、筆者はガッツポーズをしながら「よしっ!」と言いながらゲームを進めていった。

 気軽に「ストレス解消にゲームをプレイしようかな」という遊び方には向いていないかもしれないが、秋の夜長に腰を据えて「そんなに難しいというならやってやろうじゃないか」という挑戦する気持ちでプレイしていただきたい作品だ。

 間違いなくゲーマーのプライドをくすぐる作品で、リトライを繰り返しているうちに朝を迎えてしまうかもしれない。骨太な難易度だからこそクリアしたときの気持ちよさは表現し難い。この気持ちよさをぜひ多くのゲーマーに味わっていただきたい。

【スクリーンショット】
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