2018年12月6日 07:00
E3で本作の要素を見て以来、楽しみでたまらなかった「ジャストコーズ4」がついに発売された。「ジャストコーズ4」は南米の国ソリスを舞台に、グラップリングフックを使いこなす不死身の男リコ・ロドリゲスが革命の炎を巻き上げるオープンワールドアクションだ。
ゲーム中の様々なオブジェクトはオ物理エンジンによってリアルさと派手さを持って大爆発を起こしたり、物を引っ張るグラップリングフックのリトラクターで引っ張られ、転がる。巨大な軍事施設がリコの大暴れで大混乱に陥る。前作「ジャストコーズ3」からより“戦いの感触”を強調した、ストーリー性と、様々なシチュエーションを盛り込んだ作品となっている。
豊富なサイドミッション、そして進化したグラップリングフックによる創意工夫、さらに「大自然の猛威」がプレーヤーを刺激する。特に本作の目玉と言える大竜巻の迫力は背中をゾクゾクさせる力に満ちた場面作りを実現しており、本作の一押しとなっている。
本作の基本的な要素はファーストインプレッションでお伝えしているが、最初からきちんとプレイすることで本作の感触や特性を改めて掴むことができた。レビューではこれらの要素をお伝えしていきたい。
爆発、そして竜巻! ド派手な展開と明るいノリが楽しいオープンワールド
リコ・ロドリゲスはCIAエージェントとしていくつもの独裁国家で革命を起こしてきたが、エージェントを辞め、生まれ育った国であるメディチを解放後、父の消息を追ってソリスにやってきた。リコの父は科学者だったが、ソリスの独裁者エスピノーサと、軍事組織ブラックハンドにその科学知識を利用されたというのだ。
エスピノーサと父の秘密に近づくためには圧政にあえぐこの国の人々の力が必要だ。リコは協力者ミラと共に、対抗組織カオスアーミーを率いて、ソリスをブラックハンドの支配から解放するために立ち上がる。
ソリスは不思議な国だ。リゾート地のような平原、鬱蒼としたジャングル、そして山岳地帯は雪山に覆われている。そして謎の巨大竜巻、近づくものに雷を浴びせる雷雨と、謎の現象が起きている。ブラックハンドも姿を消す歩兵用の光学迷彩や、強力なレールガン、攻撃ドローンなど現在の技術を超えた超兵器で武装している。リコとミラは仲間と共に、ブラックハンドに挑んでいく。そしてリコの相棒、トム・シェルドンも協力を申し出てくる。エスピノーサ、そしてブラックハンドが持つ秘密とは、何だろうか?
「ジャストコーズ4」はド派手で楽しいオープンワールドアクションだ。他のゲームと大きく違うところは、「主人公がほとんど地上を歩かないところ」だろう。グラップリングフックで戦場を縦横無尽に移動するだけでなく、どこでもパラシュートで飛び上がり、ウィングスーツで高速移動する。バズーカやグレネードランチャーなど破壊力の高い武器も持ち歩き、うまいプレーヤーが操れば、まさに超人的な大活躍ができる。戦闘だけでなく、車や飛行機を使わず長い距離を移動できるところも魅力だ。
一方で、敵の攻撃も厳しい。序盤から長距離を打ち抜いてくるスナイパーライフル兵や、耐久力の高いシールドを持った兵士、グレネードをばらまく敵もいる。おまけにヘリからの攻撃や、砲台を積極的に使ってくる敵もいる。最初は本作の独特のリズムがわからず、倒されてしまうことも多いかもしれない。前作「ジャストコーズ3」をプレイした筆者も、序盤はかなり苦労した。
しかし、徐々に本作のリズムになれてくると戦えるようになってくる。確かに四方八方から撃たれるのは怖いが、こまめに移動しながら確実に敵を倒していくと敵の数は減ってくる。武器は比較的弾切れが早いが、敵の武器を積極的に奪って対処していく。武器コンテナの位置を見逃さず、焦らず、戦っていけば良い。グラップリングフックも最初は複雑に感じるが、切り替えて活用していくことで戦闘力が大きく増す。本作ならではの戦い方を覚えてくると、ゲームはさらに楽しくなってくる。
さらにオープンワールドの楽しさも大きい。ミッションだけをせっかちに進めるのではなく、広大なソリスをウィングスーツとパラシュートで移動したり、様々な乗り物で巡りながらチャレンジをこなしていくと色々な発見がある。特に各地の遺跡をめぐるハヴィのミッションは、世界の謎を解き明かす楽しさがある。呼び出せる乗り物が増えることでソリスの隅々を探索する楽しさが増えるのだ。
2018年年末は本当に様々な大作が発売され、ゲームファンは目移りする状態だろう。「ジャストコーズ4」はその中でキラリと光る個性を持っている。もっと派手に、もっとハチャメチャに、本作の面白さを知っている人は文句なく手に取るだろうが、「オープンワールドを遊び尽くしたい」と思う人に、本作を強くオススメしたい。
広大な世界にあらん限りのギミック、ノリノリで破天荒なミッション、圧倒的な自然現象の表現、そして物理エンジンの実験ツールのような多彩なグラップリングフックのMODと、いつまでも遊べる奥深さがある。せっかちにクリアするだけでなく、その後も何度もこの世界に戻ってきて、いろいろな遊びかたができる。「ジャストコーズ4」は長く楽しめるゲームなのだ。
やり応えのあるミッションの数々。盛りだくさんのゲーム要素
“多彩なミッション”は本作の大きなセールスポイントだ。今作のゲームシステムとして、各ミッションの特徴を説明していきたい。敵拠点を攻略する「ストライクミッション」ではリコが単身的基地に侵入、様々な任務をこなす。設計図のハッキングだったり、武器を無力化することだったり、他のレジスタンスの援護だったりする。
1つのストライクミッションに複数の目的がある場合もあり、クリアすることでその拠点を解放できる。解放した場所に兵士を送り込むことで地域をカオスアーミーの支配下にできる。カオスアーミーの部隊はポイントにより増えていくため、ミッションでは目的を達成するだけではなく、様々なオブジェクトを破壊し、より派手な展開を心がけるとどんどん地図を自軍側に塗り替えていける。
今作で力が入っているのはこのストライクミッションだろう。巨大ブレーカーを操作したり、隠された入り口を探したり、展開が凝っている。ミッション目標にチャレンジする前に戦闘ヘリなどで強襲し、敵を減らすという方法も有効だと感じた。
そして地域を制圧などの条件を満たすことで挑戦できる「ストーリーミッション」。こちらは個性的なキャラクターと、さらにド派手な展開が待っている。準備を重ねて作戦に挑むところや、リコの父の話、関係がギクシャクしたシェルドンと再び息を合わせていくところなど、グッとくる展開も多い。
筆者は日本語吹き替え音声でプレイしているが、渋いリコはもちろんだが、色っぽいミラ、ただ者ではない感じのするシェルドン、熱っぽい口調で「エイリアンの驚異」を語る変人のセサルなど、本作の濃いキャラクターを吹き替え声優達が一層盛り上げているのが楽しい。特にセサルと、考古学者ハヴィ、映画監督ガーランドの“怪演”が楽しい。
さらに豊富なサイドミッションがある。サルヘントはカオスアーミーの様々な訓練ミッションを依頼してくる。実際に兵士を車に乗せて様々なポイントを巡るだけでなく、スナイパーライフルで兵士を支援するなど変わり種もある。
ガーランドは映画を撮るために革命活動をしているというとんでもない女性だ。フォーミュラーカーで敵陣をぶっ飛ばせだの、軍艦を派手に破壊しろだの無茶苦茶な要求をリコにしてくる。リコも愚痴を言いながらついやってしまうのは熱狂的なガーランドの口調に乗せられてしまうからだろう。派手な展開も多く、プレイしていて楽しいミッションだ。
そしてハヴィは遺跡探索のミッションである、派手で面白い上、見つけ方も特徴的なので、次章で細かく紹介したい。彼らはまたフィールド移動中にも単発のミッションを依頼してくる。特にガーランドは近づくと「ブラックハンドにリコのこと通報したから、逃げ切ってね」という逃走ミッションをやらされる。これもとんでもない。
3人のミッションはグラップリングフックのMOD解放に繋がる。MODを解放することでものを引き合わせる「リトラクター」、風船状のものをつけて空中に浮かせる「エアリフター」、推進装置を取り付ける「ブースター」に特性が付与できる。
これらMODは最初は複雑なのでうまく使いこなせないだろう。しかし例えばエアリフターをMODで可燃性ガスに変えることで銃で撃って大爆発を起こしたり、ブースターを活用することで巨大なオブジェクトを動かしたり、使い方が徐々にわかってくる。
MODも活用することで戦いが楽になるし、ゲームを進めていきながら、戦車を浮かせて空中で移動したり、ドラム缶を浮かせてリコを追尾させ爆撃を行なったり、色々なことができる。ゲームの本来の目的そっちのけでユニークなギミックを使うなど、ゲームの枠を超えた遊びの可能性を秘めているのだ。
さらにスタントミッションがある。ウィングスーツで空中のリングをくぐる「ウィングスーツスタント」、決められたビークルを見つけて持ってくる「ビークルスタント」、あるポイントを設定速度以上で通過する「スピードスタント」とこれらはやり込み要素であるだけでなく、乗り物のアンロックでゲームの幅も広げてくれる。「ジャストコーズ4」はオープンワールドとしてのボリュームもかなりのものだ。
竜巻に巨大遺跡、他のオープンワールドでは楽しめないスケールのでかさが魅力
「ジャストコーズ4」において、「竜巻」の存在は欠かせない。ソリスには謎の竜巻が発生しており、強力な力で通り道のものを破壊する。ミラ達はこの竜巻はブラックハンドと無関係ではないとして調査を進めていく。セサルは「宇宙人の仕業だ」とノリノリなのだが……。
竜巻は本作を象徴する目玉要素として早くから紹介されていたが、マップ内では常に発生しており、ストーリーミッションを進めることでこの竜巻と正面から向き合うこととなる。巨大な竜巻をゲーム内で実際に見ることができるその迫力は凄まじい。ぜひその目で見て欲しい。
あるミッションでは、この竜巻を特殊な調査車「ストームチェイサー」で追うこととなる。全てのものを巻きこみ、破壊しながら進む竜巻は圧倒的な迫力だ。進路には飛行場があり、巨大な旅客機も巻き込まれていく。燃料タンクは大爆発を起こし、その炎さえも吸われていく。圧倒的なまでの“力”の表現、物理エンジンでオブジェクトが表現される「ジャストコーズ4」だからこその大迫力だ。
そしてリコはこの竜巻を追い越して前に進むこととなるのだ。巨大な力の渦に、パラシュートとウィングスーツ、グラップリングフックで挑む、この時の高揚感は他のゲームでは味わえない。本作の面白さはもちろんここだけではないが、この瞬間を体験するためにも、本作はプレイする価値があると言っても過言ではないだろう。
もう1つ本作でのお気に入りポイントは「遺跡の探索」だ。ハヴィの依頼を受けて遺跡を調査するのだが、他のミッションと異なりミッションの開始ポイントがわからない。リコが“探索”する必要がある。多くの遺跡は地図上に描かれているので、街の拠点ではない大きな建物があるところに目星をつけてその場所に行けば発見できる。この時はヘリなどの乗り物が良いだろう。
遺跡では巨大な“頭”を台座にはめるなど、ものすごくスケールの大きなパズルをプレイすることとなる。観光地化している遺跡の場合、逃げ惑う観光客の声を聞きながら頭の像を動かしていくのが結構ヒドイ。本作ならではのハチャメチャな要素である。ここではグラップリングフックを大いに活用する必要がある。石像にエアリフターをつけて浮かしたり様々なテクニックも使いたくなる。この要素だけを詰めたミニゲームも作れそうで、とても面白いアイディアである。
「ジャストコーズ4」はとても盛りだくさんで楽しいゲームだ。ただ、シビアな見方をすれば本作は大味なところがあるし、敵の攻撃はやや厳し目だと筆者は感じた。エアリフターやブースターを使う時にグラップリングフック長押しという操作は焦っているとうまくいかずストレスになる。派手なことができる一方で、きちんと敵を減らし、武器を交換しながら進む必要性があったり、大暴れするにもコツがいるのだ。
しかし、そのダイナミックさ、底抜けの陽気さ、「どうだい、面白いだろう?」というスタッフの声が聞こえてきそうな本作のハチャメチャさ、派手さは細かい操作性や、ゲームバランスを吹き飛ばす楽しさがある。派手に暴れるためにどういうプレイをすればいいか、そのやり方がわかってくると本作はさらに楽しくなる。
グラップリングフック、特に細かいMODの調整に関しては正直中盤までは使い方がよくわからないし、あまり凝らなくてもゲームは進められる。しかしやり込みとしてとても可能性を秘めている。オブジェクトをカタパルトのように飛ばしたり、巨大なオブジェクトをブースターでへし折ったり、戦車を浮かせたり、プレーヤーの想像力で大きく広がる。日本語化もうれしいところだ。街の住人や、刻々変わるラジオの内容など声優の熱演も楽しい。ただ本作はパラシュートとウィングスーツで移動することが多く、乗り物に乗らないとせっかくのラジオが楽しめない。個人的にはリコは携帯ラジオを持ち歩いて欲しいと思った。
「ジャストコーズ4」はとてもユニークで楽しいオープンワールドアクションだ。ぜひ手に取って、ソリスで大暴れできる楽しさを味わって欲しい。
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