「FAITH」レビュー

FAITH

わかりやすいシステム、手に汗握る対人戦が融合したMMORPG

ジャンル:
  • MMORPG
発売元:
  • NEXON RED Corp
開発元:
  • ネクソン
プラットフォーム:
  • Android
  • iPhone/iPod touch
価格:
基本無料(アイテム課金)
発売日:
2018年11月21日

 ネクソンが11月21日にサービスを開始したAndroid/iOS用MMORPG「FAITH」は、「連合国ガラノス」、「神聖帝国ダルカン」という2勢力による抗争をテーマとしたフィールドバトルアクションゲーム。プレーヤーはいずれかの勢力に所属し、激しい戦闘に身を投じることになる。

 開発を担当したのはNEXON RED。韓国では「Special Soldier」、「Point Blank: Strike」なども配信しており、ネクソンのモバイル展開の中心にいる存在だ。「FAITH」も韓国では「AxE」というタイトルで配信されており、すでに高い人気を獲得している。

 往年のオンラインゲームファンからすると、ネクソンといえばPCゲームのイメージが強いだろう。しかし近年はスマートフォン向けの大作も目立ってきており、そんな中登場した新作「FAITH」はどんな手触りになっているのか、実際にプレイしてみたので紹介しよう。

敵対する勢力が入り乱れる美しい世界

 ゲームを始めると、まずは所属する勢力と職業を決め、キャラクターメイキングを行なうことになる。本作では各勢力ごとに3種類の職業、合計6種類が存在し、職業ごとで性別も決まっている。いずれの職業も強力な攻撃スキルを備えており、ここでの選択で難易度が極端に変化することはないので自分の好みに合った職業で進めるといいだろう。また日本版では堀江由衣さんや水樹奈々さん、神谷浩史さんといった声優陣がボイスを当てている。戦闘中も頻繁に声が聞けるので、このあたりを決め手にするのもありだ。

ここでは肌や目の色、髪型を変更することが可能。ゲーム内で手に入るアバターも含め、カスタマイズ性は高い

 ゲームシステムは一般的なスマートフォン向けMMORPGに通じるものがあり、画面左側のバーチャルパッドで移動、右側のアイコンで攻撃やスキルの発動、回復アイテムを使用することができる。スキルはクールタイム制で、MPも存在しないため時間さえ経過すれば何度でも攻撃を繰り出せる。画面上に設定できるスキルの数は6個、これに武器固有のスキル1個も加わり、合計7種類を瞬時に撃ち分けられる。強力なスキルほどクールタイムが長くなるのはよくあるパターンで、このゲームも例外ではない。攻撃力ばかりを意識するのではなく、素早く撃てるスキルもバランスよく配置したい。

 といっても、メインシナリオを進める分にはこれらの操作を行なう機会は少ない。本作ではクエストをタップすればイベントが発生するポイントまで自動で移動するし、戦闘もオートで進行する。プレーヤーは最適なタイミングでスキルを発動させるくらいの操作で問題なくプレイできる。

自動戦闘がONの状態でクエストをタップすると、クエストの進行や戦闘などが全て自動で進行する

 ストーリーの進行によって冒険の舞台となるフィールドも変化していく。砂漠や草原、森の中、海とロケーションは多岐にわたり、いずれも美しい風景を堪能できる。それぞれの規模感もかなりのもので、メインシナリオをクリアする過程でもたくさんの発見があるだろう。

 またストーリーの過程でダンジョンに入るケースもある。ダンジョンは基本的に一本道で迷うことはないが、その代わり奥には強力なボスが待ち構えている。ダンジョンは1度クリアしても再び挑戦することが可能。素早くクリアすれば報酬も手に入るので、装備を見直したり、レベルを上げたりして過去のダンジョンに再挑戦してみるのも面白い。

[エリート]と書かれているモンスターがボスに相当する。ダンジョンだけでなく、通常のフィールド上を徘徊しているケースも見受けられた

闘技場で、道端で……対人戦はどこでも始まる

 地に足の着いたシステムで遊びやすさが目立つ「FAITH」だが、それだけだと他のゲームとの差別化に乏しい。そこで良いアクセントになっているのが、多彩なアプローチで体験できる対人戦だ。

 本作ではメインシナリオのチャプター3以降、同じマップで「連合国ガラノス」、「神聖帝国ダルカン」両勢力に所属するプレーヤーが入り乱れる。そしてマップ上で遭遇したら、いつでもすぐに戦闘ができる。

 当然ながらプレーヤーごとにレベル差、装備の差があるため、こちらから挑戦する際は慎重な立ち回りが求められる。また相手もスキルの使い分けや回避行動を巧みに使い分けてくるのは当然のこと。通常のモンスターとの戦いでオートモードばかりを利用していると、肝心の対人戦で一方的に倒されてしまう。本作のオートモードは非常に優秀だが、さすがに他プレーヤーと戦うのは分が悪い。

あっさりと倒されてしまった……ちなみに、敵対勢力所属プレーヤーの名前は赤で表示される

 場合によっては通常のモンスターと他プレーヤーの両方を相手にしなければいけないこともある。すべてがひとつのマップの中で起こるので、充分に想定できるケースだ。モンスターに注意していると対人プレーヤーに背後を取られたり……ということもある。その一方で、偶然にも共にモンスターを倒す、勢力を超えた擬似的な協力プレイに発展することもあった。一期一会の巡り合いが楽しめるのも本作の特徴と言えるだろう。

 2つの勢力で1つのマップを共有している形だが、メインクエストで周る場所が違うため、実際に交わることは多くない。まずはマップから戦いたいプレーヤーを選んで、攻め込む必要がある。余談が、マップでは「偵察」というコマンドを使うことで最大5箇所を指定して、自動で移動することも可能。対戦のとき以外にも、広いマップの奥まで探索するとき、モンスターを狩ってレベルアップしたいときにも使える便利な機能だ。

 便利な機能は他にもあり、例えばメインシナリオを進めたくて対人戦を控えたいときは、戦争モードをオフにすれば攻撃対象にならないし、不意に相手を攻撃してしまうミスも起こらない。一方で、自動で敵対プレーヤーを優先的に攻撃するような設定にすることも可能だ。

戦争モードをオフにするとバリアのようなものが表示され、敵対勢力との戦闘を避けることができる

 戦いである以上、こちらが負けてしまうことも多々ある。熱心な人であればすぐにでも再戦したいと思うだろうが、そんなときに活躍するのが復讐アイコンだ。画面右、スキルの上に表示されるこのアイコンは、タップすると直前に対戦して負けた相手を追従してくれる。同じエリア内であれば自動で移動がスタート、相手がすでに違うマップへ移動している場合は、ゲーム内通貨を支払うことで追いかけられる。

 ちなみに、フィールド上で敵対するプレーヤーを倒すと名誉ポイントが手に入る。名誉ポイントを貯めると、他の通貨では買えない特別なアイテムが入手できるので、今後の冒険を楽に進めるという意味でも挑戦する価値は十分にあるだろう。

 本作には通常フィールドでの自由なPK以外にも、多彩なコンテンツが存在する。1vs1の緊張感ある対戦が楽しめる「決闘場」や、4vs4で戦うPvPコンテンツ「コロシアム」、ひとつの地域を勢力同士で奪い合う「占領戦」、ボスモンスターを含めた三つ巴の争いが展開する「宝戦場」と、ルールが異なるコンテンツが用意されている。人によって得意なコンテンツが違ってくるだろうし、さまざまなタイプの人を受け入れる余地があるのが本作の魅力だ。

 そもそも対戦に興味がなくても、ソロプレイで楽しめるメインクエスト、サブクエストはすでに相当なボリュームであるし、ボス戦は充分な歯ごたえがある。曜日ごとで異なるモンスターと戦えるレイドダンジョンなど協力プレイ用のコンテンツも充実している。どれかひとつでも気に入れば長く楽しめる、あらゆる人に合わせられる懐の深さを実感できるゲームだ。

1vs1の「決闘場」の様子。舞台は狭く、また回復アイテムも使えないため自然と短期決戦になる
マルチプレイコンテンツはメインシナリオをクリアすることで開放されていく。6-1をクリアすることで全てのコンテンツが遊べるようになるので、まずはメインシナリオをそこまで進めるのもいいかもしれない