「Minecraft」レビュー

Minecraft

進化し続けるゲーム「Minecraft」が織り成す過去と未来
プロマインクラフターが語り尽くすMagnate IMで体験する新時代の「マイクラ」

ジャンル:
  • アクション
発売元:
  • 日本マイクロソフト
開発元:
  • Mojang
プラットフォーム:
  • Windows PC
価格:
3,150円(税別)
発売日:
2017年9月20日

 Microsoft公認のもとMarketplaceへ作品の出展を行なっているプロマインクラフターの今井三太郎です。

 私と「Minecraft」の馴れ初めはかれこれ7年以上も前になる。

 あらゆるプラットフォームで展開し、今や知らない人はいない定番中の定番ゲームとなった「Minecraft」。その歴史は2009年リリースと意外にも浅く、正式版のリリースは2011年末だ。

 その少し前、開発途中であったものの、Beta版という名で公開されていた「Minecraft」に私は出会った。

 今でこそアーリーアクセス版(開発途中のゲームを公開しユーザーからフィードバックを受けるもの)の公開は珍しくないが、当時は極めて画期的だった。何故ならこの手法はもし開発が遅延すればコピーゲームが先んじて世に出るという危険性を孕む。しかし、Mojangは競合という考えを最初から念頭に置きつつ、ユーザーにとって最も大切なことは何なのかを正確に捉えていた。

 実際、「Minecraft」の大ヒット後、類似のゲーム性を持つゲームが多数登場した。有名なところでは「ドラゴンクエストビルダーズ」(スクウェア・エニックス)、「テラリア」(Re-Logic)、「LEGOワールド」(T Games)などが挙げられるだろう。無論これらを批判するつもりはない。

 むしろこれら類似ゲームも含めて一大ジャンルを築き上げつつ、ユーザーの体験に最も寄り添った結果、「Minecraft」はサンドボックス型アクションアドベンチャーというジャンルにおいて不動の地位を獲得した。その性善説に則った思想は現在も引き継がれ、つい最近もPC版「Minecraft」の心臓部とも言えるソースコードの一部が公開され、これには私も脱帽した。

 すなわち「Minecraft」とは、ただ世界に愛されるゲームではない。誰かに愛されたいならばまず愛せよとはよく言ったものだが、まさにその言葉の通り「Minecraft」自身がユーザーを何より愛しているのだ。世界が「Minecraft」を愛するのも道理というものだ。

 ちなみに世界で1億本以上売れたゲームをご存知だろうか。もちろんシリーズ累計ということであればいくつか名前が挙がるものだが、たった1本でこれほどの大記録を打ち立てたゲームは世界でわずか2本しか存在しない。1つは皆さんもご存知の「テトリス」。そしてもう1つがこの「Minecraft」だ。発売累計販売本数はなんと日本の全人口をとうに越えている。

 以来定期的なアップデートを繰り返し、未だ進化を続ける「Minecraft」。今1度どういったゲームなのか、邂逅からアジア初のプロクラフターとなった現在に至るまで、およそ7年半にわたる私の実体験を踏まえその魅力に迫ってみたい。

日本人初のMarketplace出展を果たした超本格的な日本城郭、一番槍の「睦月城」
はじクラの「The Room Of A Dreamer『夢見人の部屋』」は不思議な世界を旅するアドベンチャーマップだ
日本人プロマインクラフターの最新作、Team-京の「暁城 -oriental world-」は探索しきれないほどボリューム満点だ

いまさら聞けない「Minecraft」ってどんなゲーム?

 そもそも私が「Minecraft」と出会った頃、これをゲームと呼んでよいものかどうか判断に困ったものだ。というのも、その仕様が他に例を見ない斬新な試みだったからだ。

 「Minecraft」は現在で言うところの「サンドボックス(砂場)」と呼ばれるゲームジャンルに属しているが、発表当時はまだその概念があまり浸透していなかった。

 自身のデザインがゲーム内に反映されるという意味では、近しい仕様だと操作キャラクターを自作できる「ラクガキ王国」(タイトー)や、自由にステージ設計ができる「リトルビッグプラネット」(Media Molecule)、思い通りに街を作り上げる「シムシティ」(Maxis)などが挙げられるだろうか。

 だがこの「Minecraft」はそれらのどれとも違う。何せプレイを始めたはいいものの、何をしたらいいのか全くわからないのだ。

 オープンワールドという意味では「グランド・セフト・オート」シリーズ(ロックスターゲームス)や「The Elder Scrolls」シリーズ(ユービーアイソフト)など数多く存在するが、いずれも次に何をすべきかという指針は必ず示される。

 私はというと、初プレイ時にどういうわけだか雪山に1人放り出された。いったいここから何をしろと! なにせまったく何の説明もないのである。このゲームスタイルは現在に至るまで変わっていない。強いて言うならば実績システムが追加され、ある程度の指針をぼんやりと得ることはできるようになった。

一面の銀世界に放り出されることもあれば、絶海の孤島からはじまることもあるのが「Minecraft」だ
何をすべきか迷ったときは実績やレシピを確認するといいだろう

 最初に知ったのは夜の恐ろしさである。仕様上雪山に生み落とされたとはいえ凍えて死ぬことはない。しかし夜は危険だ、無数のモンスターが容赦なくこちらの命を狙ってくる。
ベッドを作れば夜を安全に越すことができるのだが、生憎当時はベッドの素材を生み出す羊を発見するのも一苦労だった。

 先にプレイしていた友人曰く、「最初は小さな家を建てるといいよ!」とのことだったが、私はそのアドバイスをありがたく無視した。

 来る日も来る日も、日中はスコップを片手に雪をかき集め、夜は洞窟の中でモンスターに怯えながらつるはしを片手に石を掘って過ごした。これは雪国の日常か、はたまた鉱山労働者の日常か。少なくとも時間に追われて何かを為すということもなければ、何かをしたことで褒められるわけでもない。

 当時からマルチプレイモードが実装されており、途中から友人と2人で毎日雪を掘っていたが、2人して自分たちが何をしているのかよくわかっていなかった。

 また、ブロックを集めてオセロ盤を作って遊んだりもしたが、私が一方的に勝ちすぎるという理由で封印された。

地下深くに作られたオセロ盤、簡単なゲームなら「Minecraft」内で作ることも可能だ

 そうして現実の時間にして約1カ月経った頃、大きな城が完成していた。

 その名もずばり“弱音城”である。誰に建てろと言われたわけでもなく、完成したからと言って称賛を受けるわけでもない。ただ2人して自己満足に突き動かされていただけだと言ってしまえばそれまでだろう。だが当時まだクリエイティブモードが実装されていなかった頃の基準からすればとてつもない規模の城郭であった。

 地下深くから掘り出した金鉱石をふんだんに使い、金のしゃちほこを屋根の上に設置した時の感慨は今でも忘れられない。

今井三太郎の処女作“弱音城”の大半はサバイバルモードで作られている
日本庭園の向こうに天守閣が見える。遠景も含めて設計するのが「Minecraft」のミソだ
実は城の真下にも巨大な城郭が隠されている、これが弱音城の真の姿だ

 当時から城郭については城跡に足を運んだり、資料を読み漁る程度には趣味として嗜んでいた。しかし本格的に日本のみならず世界の城郭について調べ始め、時代考証からの民俗学、建築工学、神学、植生地理学、地政学、果ては兵法から武道陰陽道に至るまで私が没頭するようになったのは間違いなく「Minecraft」で城を建てたことがキッカケであったと断言する。

 それもこれもただブロックを積んで本格的な城郭を作りたいという欲求に応えるがためである。当時はその後1年に1つのペースで城を作ることになるとは思ってもみなかったが、考えてみれば自然な流れであった。

日本のラピュタこと竹田城が一大観光スポットとして一躍有名になった年に、がっつり影響を受けて作られた山城
海側から見た威容をテーマに設計された大城郭。屋根の素材を変えた分、壁を黒くして見た目を整えた
こちらは城下町とセットで設計されており、戦略的な意図よりも恣意的な意味合いが強い江戸前期の城をイメージしている

 城に合わせてキャラクターの見た目も忍者に改めたが、これはPCを使って絵を描くという自身初めての経験であった。実はこのためにペンタブレットを購入した。

 せっかくなので花や動物なども自分でデザインすることにした。特にベッドを畳にしてしまうという発想は自身の中でも大変クリティカルであった。

 どれひとつとして「Minecraft」から要求されたわけでなく、ただ自分がやりたいという欲求に従ったまでである。「Minecraft」というゲームがそれらを可能にし、私の背中を押したのは言うまでもない。

この忍者のスキンを作りたい一心で、ペンタブレットまで購入して現在に至る
ベッドを畳に置き換えるというアイディアを実践するため、畳の敷き方まで一から徹底的に調べ上げた

 その後、年代物のPCに録画ソフトを導入し、資料を片手に素人ながら苦労して編集した我らが弱音城の紹介動画を作った。本当に画質も荒く稚拙な動画であったが、世界に向けて公開したところとても大きな反響があった。

 私にとってこのゴールのない「Minecraft」なるゲームを攻略するとは、こういうことだったのだと、ここで初めて気づかされた。

「Minecraft」ではどういうことができるの? 「友だちとマイクラする」ってどういうこと?

 「Minecraft」はマイン(鉱山)とクラフト(手工)の名前が示す通り、「掘って、作る」ことをテーマにしたゲームであることは私の体験談から充分におわかりいただけたと思う。

 ひたすらに掘っては積み続けていると、このゲームをプレイしている人たちはいったいどんな咎を背負っているのだろうと勘ぐってしまうほどだ。だが先述の通り、このゲームが提供してくれるのはあくまでも場所と手段である。

 無限に広がる世界と無限に手に入る素材で何を為すかは、全てユーザー自身に委ねられている。そして現実の世界に存在するものも、架空のものも、概ね作ることができてしまうのだ。

 だから「何ができるのか?」という問いについては、「何でもできる」としか答えようがない。むしろ何をするかと悩むうちに、やりたいことが先に頭をもたげてくる。そんなゲームなのだ。

 だがそれ故に、わかりやすい言葉で言えば節度がないのだ。まさに世界そのものであるが故に、自分の中で芽生えた野望がどこまでも際限なく拡がっていく。そんな一例をご覧に入れたい。

無限に土地が有り余っているので、時間とやる気さえあれば世界はどこまでも広がっていく。その野望は果てしない

 例として実体験を挙げるのであれば、先述の通り私はかねてより友人と共に「Minecraft」をプレイしてきた。この友人、齢31歳になった今でも交流のある産湯からの幼馴染である。当時PCに疎かった大学生の私と「Minecraft」を繋げてくれたのがこの友人であり、私のルーツだ。

 大学生にもなってゲームかよと侮るなかれ。我々が目指したのは天下に名を轟かす大城郭“弱音城”である。この“弱音城”の名声が今の私、つまりプロマインクラフターに繋がることになったのだ。

 かくして2人の男が作り上げた“弱音城”だったが、これではまだ不十分であった。我々はこれを世界に向けて発信せねばならない。だがそこで障壁となったのがPCスペックである。当時まさかゲーム動かしながらキャプチャしようなどとは考えていなかった私にとってこれはかなりの難関だった。

 実際に完成した動画は今見てもなかなかに酷いものであった。画質音質そして何より「Minecraft」内での挙動、特に描画距離と処理能力の不足はいかんともしがたい。もし私がこの時点で強力なPCを所持していればと悔やまれる。

 特に泣かされたのが、まさに私が求めた名声という点である。今まで日本の「Minecraft」ユーザーが作ったことのない、ありそうでなかった本格的な日本の城。それが私たちの“弱音城”だった。和風建築の第1人者として日本中をアッと言わせてやるぜ! 当時の私はそんな野望を抱いていたのだ。

 その野望は“白月城”によって打ち砕かれた。僅か3週間というタッチの差で公開されたその動画は私が望んでやまなかった“和の名声”を欲しいがままにした。私がもっとPCゲームに詳しくてアンテナが高ければ……! 当時動画を見てレポートを書くぐらいにしか使っていなかったPCをもっと使いこなせていれば……! うぎぎぎぎぎぎぎぃ!!!!

プロチーム一番槍のどんぼこが作り上げた“白月城”だ。「和風の人」の二つ名に相応しい荘厳な平城である

 悪いことは言わない。PCを使いこなすのは早ければ早いほど良い。そしてそれが高性能ならばなお良い。

 ちなみにこの白月城の主こそ、後に私と共にアジア初のプロマインクラフターチームを結成する一番槍の「どんぼこ」である。かつて煮え湯を飲まされた相手と轡を並べることになるというのはなんとも数奇な縁である。

 さらに例を挙げるのであれば、私はかねてより「京都完全再現project」という集団の副代表を務めている。もう名前からわかる通り、これは京都市全域を細部に至るまで全て「Minecraft」内で再現してしまおうという計画だ。計画に参加するメンバーも相当数に上る。

 実際に京都在住のメンバーが取材に足を運び、ネット上に散在する資料を集めて大人数で手分けしながら政令指定都市を作るという気の遠くなるようなことも、「Minecraft」ではできてしまう。できてしまうから、やるのだ。

知っている人が見れば一発でわかる、京都駅前から烏丸通を望んだ風景。ビルの窓から見える一室一室が全て別のデザインで作り込まれている
駅中の名所「京都駅の大階段」、空中回廊まで全て細かく1ブロック単位で測量され、完全に一致している

 実はこの計画、1度頓挫している。

 理由は単純なもので、デザインを重視して現実の建物を再現した結果、縮尺にズレが生じ、通りの右と左で整合性が取れなくなったのだ。これにはほとほと困り果てた。なにせ京都駅前はほぼ完成していたのだ。

 しかし彼らはそこで計画を諦めるのではなく、計画を新たな段階に進めた。測量専門のチームを発足させたのだ。

 1ブロックを2/3メートル、つまり3ブロックで2メートルという縮尺を規準と定め、1から作り直したのだ。あまりにも正確過ぎる測量の結果、京都駅の地下通路を測量に則って掘り進めると地上側の出口とピタリと合致するほどだった。

 また京都府が定める景観保護条例や建築基準条例の資料に全員が目を通し、チームの統率を高めるべく研修制度も取り入れた。何を言っているのかわからないかもしれないが、大人が本気で「Minecraft」を遊ぶとこうなるのだ。

 こうなってくると最早ゲームではない気もするが、これらはあくまでも「Minecraft」上の企画である。事実として、こういった都市や施設の再現計画は「Minecraft」のリリースから現在に至るまで国内国外を問わず数多く存在する。

京都駅構内の再現度はもはや耳を傾ければ雑踏や駅アナウンスが聞こえてくるほどだ
京都観光の際は必ずお世話になるであろう700系のぞみ新幹線もこの再現度である

 当然これらの“本気遊び”には通話など外部ツールの利用が必須である。これらの縁を繋いだのも、PCと「Minecraft」あったればこそである。

 ちなみに紹介した「京都完全再現project」のメンバーは、現在も活動を続ける傍ら、「Team-京」として日本初の構成員十名をこえる大規模プロマインクラフターチームとしても活躍している。お互いが6年前には「Minecraft」というゲームの中ではじめて顔を合わせた年齢も性別もバラバラな集団である。これはまさに「Minecraft」の友人は一生の友人であると証明する一例であろう。

Team-京が10月末に出展した「暁城 -oriental world-」は海外でも非常に高い評価を受けている
Team-京代表の「ぽりふぇ」と彼を慕うメンバーたち。彼ら1人1人が長いキャリアと高い実力を誇るプロマインクラフターだ

 また「Minecraft」を通じて出会った彼らとの絆は新たな作品を生み出した。「Minecraft」の仕様に精通した統率の高いチーム。そして自由に舞台を作れる世界。加えて録画環境。さらに映像舞台で培った私のノウハウがあれば「映画を撮れる」のではないか。そう思い立つや否や私はすぐさま行動に移した。

 脚本を書き上げ、必要な舞台を整え、キャラクターの見た目を自作できる仕様を活用し登場人物を1人1人自作した。

 この頃どうしても年代物のPCでは挙動や描画距離に限界があったため、件の幼馴染の助けを借りてPCも買い替えた。私の頭には先の“白月城”にしてやられたような失敗を繰り返したくはないという思いがあった。「Minecraft」で発見した“自分がやりたいこと”のために、妥協をしたくなかったのだ。

 そうやって今にしてみれば馬鹿みたいな負のエネルギーから生み出された作品の反響はとてつもなかった。動画サイトの日間総合ランキング1位。私のケータイには30秒おきに通知が届き、充電は一瞬で枯渇した。

Minecraft連続ドラマ「あしがる」の冒頭。大河ドラマや時代劇をモチーフにして作られている
カメラワークにもこだわり抜いており、建築のみならず演出面でも高い評価を受けている
撮影はマルチサーバーで行なわれており、撮影に協力しているのは現Team-京のメンバーをはじめとする作者の友人たちだ
高い評価を受けた構図やカメラワークは、芸術大学の図書館に通い詰めて学んだ知識がベースになっている

 野望成ったり!!!!

 だが今改めて見てみると、まだまだ稚拙なところがあり、直したいところも沢山ある。画質も音質も「Minecraft」での動作も、今の私のPC環境ならばこの数段上を行けるだろう。

 何より、当時できずに断念した長槍+騎馬の表現が今なら可能なのだ。だって今なら槍があるんだもの! 馬だって撮影を行なった当時はいなかったのだ!

 ちなみにこの馬に至っては元々MODというユーザー開発のものを正式に導入したという経緯がある。

固有のパラメータを持つ馬は、正式実装当時クラフターたちにとっては大きな衝撃であった

 とかく開発版の頃からユーザーの意見を広く取り入れ次々と実装されていくのが「Minecraft」の魅力でもあるのだが、実はこんな話がある。

 私はこれまでいくつかの「Minecraft」書籍を手掛けてきたが、その中で監修としてとある有名人“H”のインタビューに同席したことがある。

 インタビューの終わりにHに対してこんな質問が投げかけられた。「今後追加されるとしたらどんな要素がいいですか?」。Hの答えは「動物のクマが追加されてほしい」というものだった。

 その数週間後、折しもイベントで来日していたMojang開発陣と食事をする機会があり、私も運よく同席することができた。「Minecraft」をプレイし続けていてよかったと心から思った瞬間である。

 拙い英語で話は弾み、その席において私は何の気なしにHがクマを欲しがっていた話を彼らにしたのだ。

 「Minecraft」にホッキョクグマが追加されたのは、その数カ月後のアップデートにおいてであった。元から実装計画があったのか、それともこの話がキッカケとなったのかはわからない。だが夢のある奇跡のような話だと、私は思う。

 あの時、畳が欲しいと伝えていればと、私は未だに後悔しきりである。やはり私はこと「Minecraft」においては唇を噛み続ける宿命にあるのだろうか。

ひょっとして本当に某H氏の希望が反映された? かもしれない都市伝説のあるホッキョクグマ

今こそ「Minecraft」をPCで遊ぶべし!

 さて、ここからは本レビューのテーマであるPC版について紹介したい。

 紹介が遅くなってしまったが、今回この記事を作成するにあたり、サードウェーブからミニタワーPC「Magnate IM Minecraft Edition」をお借りしている。もちろん筆者も先述したように「Minecraft」が動作するPCを持っているが、正直な所「Minecraft」と接するにあたってマシンパワーが不足しており、スペック不足に泣かされる場面が多々あったからだ。

 「Magnate IM Minecraft Edition」は3D処理のためにハイスペックなビデオカードを搭載したいわゆる“ゲーミングPC”ではないため、ゲームをフルスペックで動作させつつ、動画も、配信もとなると少し心許ないかもしれないが、PCで「Minecraft」をプレイする導入としては申し分ないスペックを備えている。

 標準の「Magnate IM」との最大の違いは、価格は据え置きのまま、PC版「Minecraft」、正確には「Minecraft for Windows 10」のライセンスが付いているところだ。「Minecraft」はWindows 10を提供している日本マイクロソフトがパブリッシングしているタイトルであるため、レジストレーションコードを申請したり、コードを入力したりする必要はなく、Windows 10をセットアップした時点でインストール可能なゲームとして登録されている。

 本レビューでは、PC版を遊んだことがないという人も多いと思われるので、さらにかみ砕いて説明したい。

 「Magnate IM Minecraft Edition」で「Minecraft」をプレイするためには、まず、「Microsoft ストア」を起動し、右上の「…」をクリック。すると「マイライブラリ」が表示されるため、すでにリストの中に「Minecraft for Windows 10」があるため、インストールをすればゲームが遊べるようになる。

 PC版「Minecraft」は、もともとPCのMODカルチャーを土台にコミュニティが形成されていることもあり、ある程度PCを理解している向けのコンテンツになっており、購入の仕方がわかりにくい。「Magnate IM Minecraft Edition」なら、標準で同梱されているWindows 10の中に「Minecraft」が含まれており、インストールするだけで遊べるようになるため、非常に分かりやすい。これからPC版を初めてみようというゲームファンは「Magnate IM Minecraft Edition」という選択肢も加えてみては如何だろうか。

【「Minecraft for Windows 10」のインストール方法】
まずはMicrosoft公式のオンラインストアである「Microsoft Store」を起動する
右上の「…」をクリックすると表示されるプルダウンメニューから「マイライブラリ」を選択する
「マイライブラリ」ではインストール可能なアプリケーションの一覧が表示されるため「Minecraft for Windows 10」を選択し、インストールを行なう。これで準備は完了だ

【Magnate IM Minecraft Edition】
CPU:Core i5-8500 (3.00GHz-4.10GHz/6コア/6スレッド)
チップセット:Intel H310
GPU:UHDグラフィックス630 (CPU内蔵)
メインメモリ:8GB DDR4 SDRAM(PC4-21300/8GBx1)
ストレージ:1TB HDD
光学ドライブ:DVDスーパーマルチドライブ(DVD±R DL 対応)
電源:400W 静音電源 80PLUS
OS:Windows 10 Home 64ビット
価格:69,980 円(税別)
https://www.dospara.co.jp/5shopping/detail_prime.php?tg=&mc=8370&sn=3212

「Magnate IM Minecraft Edition」で快適に遊べる「Minecraft」は、基本的なPC操作を覚えるにはうってつけだ

 現在、PC版「Minecraft」は2種類ある。かねてより存在するJava Editionと、スマートフォン、ゲームコンソール、そしてPCとあらゆるプラットフォームでのクロスプレイに対応したBedrock Engine統合版(通称:統合版)だ。「Minecraft」はこの両輪でもって回っているのは知っての通りだ。

 無論私のように映像作品を作ったり、外部ツールを使って友人と交流をはかるのであれば、PCでプレイするのが最良である。何をやるにしたって選択の幅が圧倒的に広い。そこはゲーム機やスマホには真似できない強みだ。

 何よりパワーが違う。スマホ版でも基本的に遊ぶ分には同じように動くのだが、その一歩先、「Minecraft」内で風景を撮影したり、ソフトを導入してゲーム内の自分の姿を自作するといったことにまで手を出すとなると単に遊べるだけでは足りなくなるのだ。

 ちなみに先述した例はすべて私の実体験に基づいている。私はこのためだけに写真術のノウハウを一から学び、その知識でもって生放送の出演を果たしたり、ペンタブレットを駆使してPCで絵まで描けるようになった。

 つまるところ、何に興味を抱き、何の才能を伸ばすかという点において、PCというものは目となり手足となりうるのだ。「Minecraft」とPCの組み合わせならば、それがかなうのである。

 そして「Minecraft」は人間の才能を伸ばすだけに留まらない。

 それが家族で「Minecraft」をする、という野望である。これは私というよりも同じプロマインクラフターチーム、一番槍の「タツナミシュウイチ」の野望であり、現に実行に移している。かねてより夫婦+小舅で「Minecraft」を楽しむという試みをしていた彼らしい野望だと思う。

 さすがにPCを家族人数分用意しているというご家庭はあまり多くはないだろう。だが、ゲーム機やスマホも合わせれば揃うという人は多いはず。このマルチプラットフォームによるクロスプレイという「Minecraft」最大の強みがあれば、これが容易く可能なのだ。マルチプラットフォームならば、これらが合わせて家族分あればいいのだ。それぞれ1台ずつ占有してご家庭内で一緒に「Minecraft」ができるのだ。

 先にも述べたが「Minecraft」の友人は一生の友人である。「Minecraft」は一生の間柄である家族にこそ、最も相性の良いゲームなのだ。そしてなにより、そのリリースから長く愛され進化し続ける「Minecraft」は一生の趣味たりえるのだ。

 現在私を含め、多くの日本人がこの統合版「Minecraft」のMarketplaceにおいて作品を展開している。いわゆるプロマインクラフターという面々だ。

 趣味が高じてここまできてしまったが、「Minecraft」は元来、お片付けが不要でいつでも続きから楽しめるブロック遊びであることを忘れてはならない。プロマインクラフターの中には、「Minecraft」は趣味のツールだと断言する者もいるほどだ。

 特筆すべきは、先にも述べたが趣味であるが故に付随する「『Minecraft』の外でできること」の多さだろう。かくいう私も未だにペンタブレットでPCを操作する癖がついている。画像と動画の編集、ならびに「Minecraft」を介して培われた知識の数々はもはや趣味の範疇を超え私にとっては飯の種と化した。

「Intel Core i5-8500」を搭載する「Magnate IM」なら「Minecraft」の動作もサクサクだ

日本と世界の「Minecraft」とこれから

 最後にこれからも続いていく「Minecraft」に起こる今後の出来事をまとめておきたい。

 この2018年後半は国内外のマインクラフターたちにとって既に大きな意味を持つ年となった。現在統合版においては毎月のように大型アップデートが行なわれており、すぐ後にはメジャーアップデート「Holiday Update」が控えている。

 Java版においてもメジャーアップデートとなる「Update Aquatic」が襲来しただけでなく、2019年の初頭には更なるメジャーアップデート「Village and Pillage」が待ち構えており、ますます「Minecraft」は勢いを増すばかりだ。

「Update Aquatic」の名の通り海洋が大幅に拡張され、イルカと一緒に泳げるようになった。近づくと鳴き声も聞こえる
アップデート以降、よく浜で見かけるようになったウミガメ。じっと見つめていると日本人としては竜宮城を作りたくなってくる
これも追加要素の珊瑚に侵食された難破船と、そこに集まる熱帯魚たち。とても幻想的な光景だ

 次期アップデートについてはパンダと竹の追加ばかりがクローズアップされがちだが、建築を主とするマインクラフターにとっては既存ブロックの階段・ハーフブロックの追加も欠かすことができない新要素だろう。

 特筆すべきは統合版におけるアップデートに、アドオンによるMOBの追加が含まれることだ。これまでMODをはじめとする拡張機能という点においてはJava版に軍配が上がっていた。長い歴史を持つという点からそれはこれからも大きなアドバンテージたりえるであろう。

 しかしクロスプラットフォームを前提とした統合版において、拡張性を強化するアップデートが行なわれるということは、PC独自で発展を遂げたJava版のそれとは大きく意味が違ってくる。

 国内における2018年の大きな動きのひとつとして、私が所属する一番槍を筆頭に、日本のマインクラフターが続々とMarketplaceへの作品出展を果たしたことが挙げられる。いまだその敷居は高いままだが、ついにこの「Minecraft」において、日本のマインクラフターが世界で戦う準備が整ったということだ。そこにあってアドオンの力は強力無比な武器たりえるだろう。

 日本が誇るプロマインクラフターたちとアドオンが融合すれば、世界の頂点をも取れると私は信じている。2019年は恐らくそんな年になるのではなかろうか。

 壮大な話になってしまったが、これらは「Minecraft」が持つ楽しさのごく一面に過ぎない。積み上げられたブロックのようにたくさんの面を持ち合わせていることこそが「Minecraft」の最大の魅力ではないだろうか。ひっくり返せばまた新しい一面を見せてくれる、それが「Minecraft」というゲームなのだ。

 「『Minecraft』は遊びじゃないんだよ!」と冗談めかして語られることがある。
実際のところその通りで、「Minecraft」の根幹にあるのは遊びではない。
「できる、やりたい」という可能性と欲求、それを実現するのが「Minecraft」なのだ。

「Minecraft」のお供に「Magnate IM Minecraft Edition」はいかが?