ゲーミングモニターiiyama「G-Master GB2760QSU」レビュー

G-Master GB2760QSU

144Hz、27型の大型モニターで大迫力のゲーム体験を実現

ジャンル:
  • ゲーミングモニター
発売元:
  • マウスコンピューター
プラットフォーム:
  • Windows PC
価格:
51,000円前後(税別)
発売日:
2018年12月上旬

ゲーマーに人気の144Hz対応モニター

 “iiyama”はマウスコンピューターが扱うモニターブランドだ。そのiiyamaブランドのゲーミングモニターとして12月上旬に「G-Master GB2760QSU」が発売される。WQHDに対応した27型の大型モニターで大迫力のゲーム画面を高精細に楽しむことができる。また、144Hzという高速な書き換え速度でちらつきなしに動きの表現が可能だ。

 144Hz対応モニターと言えば、高リフレッシュレートの設定が可能なモニター。一般的な60Hzモニターと比較して倍以上の速度で画面の書き換えが行なえ、激しい画面の動きが伴うゲームプレイ時には優位に働くため、ゲーマーに人気となっている。

 それでは「G-Master GB2760QSU」の主な仕様を見ていってみよう。

【マウスコンピューター iiyama G-Master GB2760QSU】

項目性能
画面サイズ27型WQHD(2,560×1,440)
パネル方式TN LED(ノングレア)
走査周波数水平:30~222kHz 垂直:55~144Hz(DisplayPort)
視野角左右各85°、上下各80°
応答速度1ms(Gray to Gray)
輝度350cd/m2
コントラスト比1,000:1(標準)、12,000,000:1(Adv.Contrast機能時)
画面入力DisplayPort×1、HDMI×1、DVI×1
USBハブ機能USB 3.0(2ポート)
スイーベル角左右45°
チルト角上方22°、下方5°
サイズ613.5 x 397.5 (527.5) x 230mm

 「G-Master GB2760QSU」は、27型のパネルを採用しており、解像度は2,560×1,440ドットのWQHD。走査周波数は垂直で最高144Hzとなっている。27型パネルの場合、表示部の対角線の長さは約70cmとなるため、PCのモニターとしてはかなり大型の部類に入るだろう。大型モニターはゲームへの没入感を高めることができる。しかし、普段利用する際にも机の上で近くから凝視することになるため、大き過ぎると画面全体を把握することが難しくなり、PCのモニターとしては向かなくなってくる。27型というサイズはそのギリギリのちょうどよいサイズで、机上に置くモニターとしてはほぼ最大サイズと考えてよいだろう。

【25型との比較】
25型パネルを採用したiiyamaの「G-Master GB2560HSU」との比較。25型パネルと27型パネルを並べて比較すると、一回り大きいのがわかる

 解像度はWQHDで、はやりの4Kには届かない。4K解像度の場合、ドットバイドットでの表示を行なうと、27型パネルだと文字が小さくて読みづらくなってしまうが、WQHD解像度の「G-Master GB2760QSU」は画面の広さと文字の表示サイズが、ちょうどよいと筆者は考えている。この点はユーザーそれぞれの感覚があるため、自分に合ったモニターの解像度はモニターの売り場などで確認してみてほしいが、文字の表示が小さ過ぎて情報量が多くなると逆に使いづらいと感じる人でも便利に使えるのではないだろうか。

 パネルの駆動方式はTN方式で、この方式のメリットとしてはコストが低いことが挙げられる。また応答速度が高いため、144Hzの高リフレッシュレートに対応するためには当然の選択だ。デメリットとしては見る角度によって透過する光の量が変わる傾向があるため、発色を重視する使用には向かないというものが挙げられる。しかし、写真家など、色をじっくり見る用途には向かないが、モニター正面でゲームをプレイする際には気になるレベルではないため、最善のパネル選択と言えるだろう。

 入力ポートはDisplayPortとHDMI、DVIが1つずつ用意されており、現在一般的なPCで使われている映像入力に対応している。おまけ的な要素となるが、スピーカーも付いているため、モニタリングレベルの音声出力も可能になっている。また、USB 3.0のハブ機能を搭載しているため、PCのUSBポートにアクセスしづらい場合、利用できるのはうれしいところだ。

【本体背面ポート部】
DisplayPort、HDMI、DVIの3種類の映像入力に対応する
【本体左側】
パネルの左側にはUSB 3.0のポートが2つ用意されており、USBハブ機能を備えている

 スィーベルスタンドは左右に45°(合計90°)の角度で動かすことができる。真横に向けることはできないが、自由度は高く、十分な振り幅だ。上下へのチルトもそれぞれ22°、5°となっており、目線の角度に柔軟に対応できる。液晶画面位置の高さも13cmの範囲で調整可能だ。

【スイベル角とチルト角】
上下左右への角度はかなり自由が利くようになっており、振り幅が大きい
【液晶画面位置の上下】
高さは13cmの範囲で移動が可能だ

ゲームやWebブラウザビューで使用してみる

 では、実際の使い勝手を見ていこう。今回環境としては、マウスコンピューターのゲーミングPCブランド、G-Tuneの「MASTERPIECE i1640PA2-SP2」を利用している。G-Tuneの最上位機種で、Core i7-9900KとGeForce RTX 2080 Tiを搭載したモンスターPCだ。今回はゲーミングモニターのレビューということで、ハイスペック環境で使用してみた。

【マウスコンピューター G-Tuneの「MASTERPIECE i1640PA2-SP2」】
動作試験に利用したマウスコンピューターのゲーミングブランドG-Tuneのフラグシップモデル。Core i7-9900KとGeForce RTX 2080 Tiを搭載したモンスターPCだ

 画面サイズは27型ということで、普段23型液晶モニターを使っている筆者としてはかなり大きく感じる。WQHD(2,560×1,440ドット表示)という高精細パネルを利用しているため情報量も多く、多数のウィンドウを開いた作業が行なえるため効率がよい。

【WUHDとフルHDの違い】
左はWUHD(2,560×1,440ドット)で右がフルHD(1,920×1,080ドット)のモニタ。画面に映っているのは同じWebサイトだが、1度に表示できる情報量がどれだけ違うかがよくわかる。この違いが作業効率にどれだけ関わってくるのかを想像してほしい

 いくつかのゲームを動かしてみたところ、PCの性能が高いこともあり、動作は快適だ。表示はと言うと、144Hz設定を行なうとゲームがヌルヌルと動き、画面のちらつきも感じない。とくに違いを感じるのは、FPSなどをプレイしている際に素早く視点を移動するときだ。なめらかに視点移動が行なえるため、60Hz前後のリフレッシュレートに対応するモニターでプレイしているときとはかなり感覚が変わり、視点移動中に飛び込んでくる物体も形を認識できる。

 また、ゲーム用途ではないが、Webブラウザの動きもなめらかになり、目的の部分までスクロールを行なう際に、高速に移動しているページの内容を認識しながらスクロールすることができる。この点も大きな違いで、ストレスフリーにPCを使うことができた。

 今回は使用しているビデオカードがNVIDIAのものだったため試すことはできなかったが、FreeSyncにも対応している。これはビデオカードとモニター側が同期して画面表示を行なう機能で、AMDの対応ビデオカードとDisplayPort接続すれば「スタッター」と呼ばれるカク付きのない画面描画が行なえることになる。ゲーマーにとってはこの辺りも興味深いポイントとなるだろう。

 OSD(On Screen Display:設定メニュー)はパネル右下の底面にあり、手のひらを上に向けるように操作する形になる。クリック感のあるボタンを採用し、動きもキビキビとしているため利用しやすい。入力切り換えや音量調節のボタンも個別に用意されているため、設定の変更だけでなく、なにげない音量変更なども素早く行なうことができる。

 仕様部分の説明でも紹介したとおり、前後左右の首振りや上下の可動範囲も広く、首振りだけなら片手でなめらかにモニターの位置を変更することができる。縦画面での使用も可能なため、Webブラウザ専用のサブモニターとしても活躍できそうだ。

【リフレッシュレートを144Hzに設定】
通常のデスクトップの画面もリフレッシュレートを144Hzに設定することで、普段のWebブラウズなども劇的に快適になる。デフォルトは低く抑えられているのでモニターの設定を変更しておこう
【縦方向での利用】
液晶画面を立てて利用することもできる。Webブラウザなど、スクロールを多用する場面では、全体を見ることができ使いやすい

レイトレーシングで性能の限界を探る

 さて、今回使用しているPCに搭載されたGPUがGeForce RTX 2080 Tiということで、WQHDでの表示の限界を確認してみようと思う。要は、高負荷のゲームでも144Hzでの表示ができるのかを確認するということだ。テストに使用したゲームは「バトルフィールドV」。エレクトロニック・アーツ(EA)のFPSで人気ナンバリングタイトル、「バトルフィールド」シリーズの最新作にあたる。

 「バトルフィールドV」は、最近話題のGeForce RTXのリアルタイムレイトレーシングに対応しており、高負荷をかけることができるため使用した。前提条件としては、「グラフィックのクオリティー」を「最高」、「DX12有効」を「オン」、「ハイダイナミックレンジ(HDR)」を「オン」にして利用している。また、DXRを利用するためには、Windows 10 October 2018 UpdateやNVIDIAのビデオカードの最新ドライバーを適用する必要があるため、手動にてインストールを行なってある。

 実際に動かしてみたが、WQHD、144HzでDirectX Raytracing(DXR)をONにしたところ、表示速度は20~50fps程度で、FPSを快適にプレイするにはちょっと厳しい値。動きがカクカクして照準が定まらないといった状況にも陥ることがあり、プレイ時には相当なストレスがたまることになった。

 これを画面設定でフルHD(1,920×1,080ドット)の144Hzに変更したところ、60~70fpsになったため、ある程度快適にプレイすることはできるようになった。しかし、144Hzモニターの本領を発揮するレベルには到達できない結果になっている。本機の本領を発揮できるのは、DXRをOFFにした状態で、WQHD解像度の144Hzに設定した場合だ。110~140fpsとブレはあるものの、100fps以上の高速な書き換えを維持しており、PCの性能と合わせて快適にゲームをプレイすることができた。

 リアルタイムレイトレーシングは非常に鮮やかで美麗なグラフィックスを楽しむことができるのだが、フルHD状態でも100fps以上の維持は困難であり、144Hzモニターの本領を発揮することはできなかった。プレーヤーの好みの問題となるが、フルHDで美麗な描画を楽しみつつ60fps前後で楽しむか、WQHDのDXR OFFでヌルヌルと動く快適さのどちらかを選んでプレイすることになるだろう。

【「バトルフィールドV」DXRを有効】
EAが販売を行なう「バトルフィールドV」。人気ナンバリングタイトルの最新作でリアルタイムレイトレーシングのDXRに対応している。画面はDXRを有効にした状態
【「バトルフィールドV」DXRを無効】
「バトルフィールドV」をプレイする際には、WQHD、DXR OFFとフルHD、DXR ONの2択を迫られることになるだろう

サイズと解像度がちょうどよいゲーミングモニター

 価格は、市場想定価格51,000円前後(税別)が想定される。一般的な60Hzモニターよりも少々高いが、ゲームだけでなく普段のなにげない画面のスクロールなどでストレスなく利用できる点は、通常のモニターとして利用するのにも適していると言える。ゲーマーはもちろん、普段使いで高性能なモニターが欲しいPCユーザーにiiyama「G-Master GB2760QSU」はぴったりと言えるだろう。