「カプコン ベルトアクション コレクション」レビュー

カプコン ベルトアクション コレクション

一時代を築いた名作たちを一気プレイ! ファン歓喜の超豪華限定版の内容にも迫る!!

ジャンル:
  • アクション
発売元:
  • カプコン
開発元:
  • カプコン
プラットフォーム:
  • PS4
  • Xbox One
  • Nintendo Switch
  • Windows PC
価格:
  • 【PS4】

  • 3,300円(税別、通常版パッケージ)

  • 5,800円(税別、コレクターズ・ボックス)

  • 3,056円(税別、ダウンロード版)

  • 【Xbox One】

  • 3,080円(Xbox One、税別、ダウンロード版)

  • 【Nintendo Switch】

  • 3,300円(税別、通常版パッケージ)、5,800円(税別、コレクターズ・ボックス)、3,056円(税別、ダウンロード版)

  • 【Windows】

  • 3,056円(Steam、税別、ダウンロード版)

  • パッケージ版 2018年12月6日

  • ダウンロード版 2018年9月20日

  • 発売日:
  • パッケージ版 2018年12月6日

  • ダウンロード版 2018年9月20日

  •  今年は「ロックマンX アニバーサリー コレクション」や「ストリートファイター 30th アニバーサリーコレクション インターナショナル」など、昔ハマった懐かしのタイトルをプレイする機会に恵まれまくっている。

     そうした中で筆者が最も衝撃を受けたタイトルが、9月20日にプレイステーション 4/Xbox One/Nintendo Switch/Steamでカプコンより配信された「カプコン ベルトアクション コレクション」である。1989年から1997年までの人気作品7タイトルが収録されている、ファンにはたまらない1本だ。

     1990年代中頃の格ゲーブーム以前は、アーケードゲームの人気ジャンルであったベルトスクロールアクション(以下、ベルトアクション)。カプコンが最初にリリースした「ファイナルファイト」が大ヒットし、後にベルトアクションの名作を数多く世に送り出した。

    【スクリーンショット】
    カプコンの名作ベルトアクションが現代に蘇る。オンライン協力プレイにも対応

     筆者も幼少の頃に駄菓子屋とスーパーファミコンでプレイした「ファイナルファイト」をきっかけに、カプコンのベルトアクションの虜になった1人だ。

     「ファイナルファイト」が現行のハードで遊べるだけで嬉しいのだが、現在ではプレミアソフトとなっている「キャプテンコマンドー」や、アーケードから初移植の「パワード ギア」と「バトルサーキット」まで収録されていることに歓喜した。

     先述したように本作のダウンロード版はすでに配信中だが、“コレクター”には待望となるパッケージ版がいよいよ12月6日に発売される。豪華グッズが付属したイーカプコン限定のCOMPLETE BOXを予約したので12月の発売まで待っていようと思ったのだが、結局、我慢できずダウンロード版を購入してしまった! さらにカプコン様に頼み込んで、もうすぐ我が家に届くCOMPLETE BOXの限定特典を一足先に見せて貰ったので、そのインプレッションも含めてレビューをお届けしたい。

    【幻のタイトルを多数収録】
    現在ではなかなかプレイできない「キャプテンコマンドー」をはじめ、ゲームセンターでしか遊ぶことができなかった「パワード ギア」と「バトルサーキット」も奇跡の収録

    まずはベルトアクションの代表格「ファイナルファイト」を遊び倒す

     最近では少なくなっているベルトアクションというジャンル。一言で説明すると、奥行きのあるステージ上に現れる敵を、上下左右に動きながらひたすら殴り倒して、横スクロールで奥へ奥へ進んでいくタイプのアクションゲームだ。ざっくりとした説明だが、本当にそれが全て。使用するボタンも、基本的に攻撃とジャンプの2つのみ。極めてシンプルなゲーム性で、そのシンプルさゆえに誰でもゲームを楽しめる作りになっているのだ。

     どちらかというとエンディングが気になるタイプのゲームではなく、やり込み要素などもある訳ではない。それなのに何故そこまで夢中になれるのか――それは、理屈抜きでプレイしている瞬間が面白いのだ。群がる敵を殴って、斬って、蹴散らしていく爽快感がたまらない。他にも、友達と一緒に戦う協力プレイやステージの最後に待ち受ける巨大ボスなど、ワクワクできる要素がこれでもかと詰まっているゲームなのだ。

     ベルトアクションといえば、やはり最初にプレイしなければならないのが「ファイナルファイト」だろう。アーケード版、スーパーファミコン版の無印と「ファイナルファイト ガイ」、ゲームボーイアドバンス版にPS2の「カプコンクラシックスコレクション」、海外でのみ配信されたXbox 360版などなど、これまで発売されるたびにプレイしてきたが、これだけ遊んできても正直全く飽きる気配がない。最後にプレイしたXbox 360版ですらも8年も前なので、飽きて興味がわかないどころか、無性にプレイしたくてしょうがなかった。

     プレーヤーキャラクターはコーディー、ガイ、ハガーの性能の異なる3人。筆者が最もプレイしたスーパーファミコン版では容量の都合上キャラクターやステージが削られていたり、協力プレイもできなかったのだが、本作ではアーケード版を忠実に移植されており嬉しい限りだ。ゲームのオープニングで、ハガーの娘「ジェシカ」が犯罪者組織マッドギアに捕まっているシーンが流れるのだが、ここもスーパーファミコン版とは違い、“あられもない姿”にされている。完全移植とは素晴らしいものだ!

    【「ファイナルファイト」】
    ハガーの娘、ジェシカを救うため3人の男が立ち上がる。上半身裸にサスペンダーというスタイルのハガーを初めて見たとき、その奇抜さに衝撃を受けた

     キャラクターは馴染みのあるコーディーでプレイ。マッドギアのゴロツキたちが根城にするスラム街からゲームが始まる。建物の窓は割られ、車はボロボロに破壊されてそこらに転がっている。スタートから無秩序感全開なこの雰囲気がゲームの世界に一気に引き込んでくれる。

     敵はいかにもヤバそうな風貌で、現実だったら絶対に関わりたくないようなやつらばかりだ。無法者たちが迫ってきたところをボタン連打のラッシュでまとめてぶっとばす。小気味いい打撃のヒット音も相まって、これが痛快の一言。道中にはナイフや鉄パイプ、日本刀などの武器も落ちており、これらを駆使するのも攻略のカギになる。どの武器も強力なのだが、コーディーにナイフを持たせたら抜群の力を発揮する。本来ナイフは投擲用の武器で、一度使うと無くなってしまう。しかしコーディーが装備した際に敵の近距離で使うと、投げずに突き刺すことができる。威力が高く攻撃スピードも速いので、敵の大群を画面端に追い込んでの連続突きで敵を一網打尽にできる。これが楽しくてコーディーを使うのがやめられないのだ。

    【多数の敵を蹴散らす爽快なアクション】
    シンプルながらにのめり込んでしまうゲーム性。殴って、蹴って、ときには武器を使って敵をぶっ倒していく

     ステージ1のボス「ダムド」は難なく撃破できたが、「ファイナルファイト」最初の鬼門がステージ2の地下鉄だ。ここからは敵の数も格段に多くなり、加えてアンドレというタフで厄介な敵も登場するようになる。プレイし始めたばかりの頃はここで何度もゲームオーバーになったものだ。

     敵の猛攻が激しいステージだが、最後の地下プロレスリングに待つボス「ソドム」がかなりの難敵。アメフトの防具を身にまとい、頭には日本の兜を被っている日本かぶれのアメリカ人という、なんとも斬新な設定のキャラクターだ。日本刀とタックルを武器に戦うのだが、どちらの攻撃もかなりの破壊力を持っており、またもに食らえばものの数発でやられてしまう。

    【難易度が急激に上がるステージ2】
    ザコ敵でもっとも体力が高いアンドレ。後に名前を変えて「ストリートファイター」シリーズに登場する
    電車エリアの裏技。本来、敵を倒さないと先に進めないのだが、一定時間安全地帯(タルの上)にいると終着駅に着いて安全に進むことができる
    タックルやダッシュ斬りがとにかく強いソドム。攻略法を知らずに戦ったらまず勝てない相手である

     強敵のボス戦で活躍するのが“パンチハメ”のテクニックだ。攻撃を連続で食らわせると最後のフィニッシュで敵をふっ飛ばしてしまうのだが、最後まで出し切らずに延々と攻撃を食らわせ続けられるのがこのテクニックの強さだ。

     キャラクターごとにやり方は若干異なるのだが、コーディーの場合はパンチを2発ヒットさせたら一瞬だけ逆方向を向いて3発目を空打ちする。そうすることで連続攻撃が一旦リセットされ、再度向き直ってパンチを食らわせると1発目の攻撃になるのだ。この行動を繰り返すことで、敵に一切の自由を与えず倒し切ることもできる。ゲームバランス崩壊レベルの強力なテクニックなのだが、攻撃を空打ちさせるタイミングがなかなかにシビアで、使えるようになるまで結構な練習が必要だ。

     ボス相手に久々の実践ということもあり、フルパワーから一気に倒し切るところまではいかずに途中で何度か途切れてしまった。しかし普通に戦うよりも効率良くダメージを与えられ、危なげなくソドムを撃破できた。

    【禁断のパンチハメ】
    最後まで攻撃を出し切ってしまうと、アッパーで相手をふっとばしてしまう
    2発パンチを食らわせて、3発目を空打ちしたらすぐに向き直って殴る。この一連の流れ、焦り過ぎると攻撃を出し切ってしまい、遅すぎると反撃を受けてしまうのでなかなかに難しい

     この後も、悪の警察官や元軍人など危険なボスが数多く待ち受けている。本作はコンティニュー回数の制限も無いので、気兼ねなくエンディングまで楽しむことができた。1コインクリアに挑戦するのも良いのだが、難しいこと抜きで“敵を殴ってスカッとする”ただそれだけで「ファイナルファイト」はやはり面白い。

     ガイやコーディーをはじめ、ソドム、ロレント、アビゲイルなど、「ストリートファイター」シリーズにも登場しているキャラクターは本作から生まれた。「ストリートファイター」のファンで「ファイナルファイト」をプレイしたことがない人には是非遊んでもらいたい作品だ。

    【「ストリートファイター」シリーズでも活躍するキャラクターたち】
    ハガー以外の主人公2人は、「ストリートファイターZERO」シリーズより参戦
    元軍人のロレント。手榴弾を使うなどの特徴をそのままに「ストリートファイターZERO」に登場した
    アンドレのグラフィックを流用したボス、アビゲイル。シリーズ最新作の「ストリートファイターV」に登場したのは驚かされた

    この日がくるのを待ちに待っていた! 「バトルサーキット」を初プレイ!

     収録されているものはどれもが珠玉のタイトルなのだが、その中でも本作の目玉の1つなのがアーケードから初移植となる「バトルサーキット」だろう。この作品はカプコンのベルトアクションシリーズにおける集大成的なタイトルとなっている。

     正直にいうと、筆者は稼動当時このタイトルの存在を全く知らなかった。稼動時期は1997年。まさに格ゲーブーム真っ只中で、ゲームセンターは格闘ゲーム一色だった。「マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター」が横並びで20台くらい稼動していて全ての台が埋まっているなんてこともザラ。それほど格ゲーに勢いがあった時代なのだ。その頃は筆者も格ゲーに夢中で、他のゲームには一切目もくれずにいた。当然ベルトアクションの「バトルサーキット」の情報は全く入ってきておらず、足を運んでいたゲームセンターで稼動していたのかすらもわからない。今思うと、あの時代にベルトアクションをアーケードでリリースするのはかなりの攻めの姿勢である。

     ゲームセンターで見かけなくなった2000年を越えた頃に初めて本作を知り、死ぬまでに1回は遊びたいと思っていたタイトルなのだ。それがまさか、この時代に遊べる機会が訪れるとは思ってもみなかった。カプコンにひたすら感謝である。

     本作はカプコンのベルトアクションお馴染みの4人同時プレイが可能。かねてより楽しみにしていたタイトルだ。やはり最高に盛り上がれる4人協力プレイで楽しみたいもの。ネットワークモードで仲間を集ってプレイしようとロビーを作成したのだが、日本版をプレイしたため、平日の夜中ということもあってかなかなか人が入ってこなかった。オンラインモードは、ロビーを作って人が入ってくるのを待つ「CREATEL LOBBY」以外にも、ゲームをプレイしながらマッチングをしてくれるモード「CREATE GAME」もある。このモードのお陰で退屈せずに遊びながらプレーヤーを待つことができるのはありがたい。

    【「バトルサーキット」】
    当初は格闘レースゲームというジャンルで開発されていた本作。いったいどういうゲームだったのか気になるところ

     プレーヤーキャラクターは「サイバー・ブルー」、「キャプテン・シルバー」、「イエロー・ビースト」、「ピンク・オーストリッチ」、「エイリアン・グリーン」といった5人の賞金稼ぎたち。パーソナルカラーがキャラクター名となっていて、ヒーローものの空気が全開である。さらに、キャラクターデザインや絵のタッチ、世界観はバリバリのアメコミ調で、一週回って今の時代にマッチした作風だ。

    【個性豊かなプレーヤーキャラクター】

     どれも魅力的なキャラクターなのだが、王道大好き筆者は、正統派主人公のサイバー・ブルーを選択。ステージ1は爆発のカウントダウンがされる敵母船の中。最初からクライマックスの熱い展開だ。最初に驚いたのが映像だ。1997年の作品だけあって「ファイナルファイト」と比べて一層緻密に描き込まれたグラフィックス。そして、攻撃アクションの1つ1つがめちゃくちゃカッコいい。ダッシュの概念も加わり、ゲームの展開もかなりスピーディーな印象を受けた。

     キャラクターにボイスが付いているのも驚きだった。攻撃時のボイスはもちろん、勝利ボイスなどもあり、以前の作品よりもキャラクターの存在感がより一層際立っている。

     攻撃で敵を浮かせて、空中に浮いているところに攻撃をヒットさせるなどの爽快な戦い方もできる。ガチャガチャ触っているだけでシンプルに面白く、それでいてこれまでにないアクション性の高さを感じた。コマンド入力による必殺技も存在し、格ゲーブームの時代背景が垣間見えた。

    【ベルトアクションの最終進化系】
    グラフィックにアクション、どちらもがベルトアクション史上最高のクオリティ

     これまでの作品では、ステージ中に出てくるお金などはスコアアップのためのアイテムだったのだが、「バトルサーキット」ではステージ中で拾ったお金を使い、キャラクターをアップグレードすることができるのだ。体力の最大値アップや新必殺技を解放することもでき、戦いの幅がどんどん広がっていくのも面白い。

    【アップグレードでキャラクターを強化】
    強化すればするほど戦いが有利になっていく感覚が最高に面白い

     ステージを進めていると、ついにプレーヤーとマッチング。今まで自分が進めていたステージの途中でプレーヤーが参加し、その場から協力プレイがスタートした。チャットや定型文を送る機能は無いので意思疎通はできないが(ボイスチャットは可能)、ゲームの性質上特に困る部分もないので問題はない。挨拶などを抜きにして遊べるお手軽さがあって逆に良いのかもしれない。

     近年のゲームではオンライン協力プレイなど何も珍しいことではないのだが、1990年代のレトロゲームを見知らぬプレーヤーとネットワークで協力して遊ぶのはなんだが不思議な感覚である。レトロなのに最先端というギャップにどこか面白さを感じる。オンラインプレイをした感想は、ソロで遊んでいるときとまるで変わらず、ラグなどを感じさせない快適なプレイが楽しめた。

     無言の相棒ではあるのだが、一緒に遊んでいるという感覚がより一層ゲームを面白くさせた。こんな夜更けに一緒に戦ってくれる仲間がいるということにどこか心強さもあった。ボスを撃破すると、相棒がピョンピョンとジャンプをして喜びを表現(と勝手に解釈)したりと、言葉はないが確かな結束を感じた。しかし、外も明るくなってきた頃、苦楽を供にした相棒が退出してしまい、またソロプレイに戻ってしまった。

     パーティ終了後の静けさのような感覚を味わいながら、その後エンディングまでノンストップでプレイ。時間帯のせいもあって残念ながら4人は揃わなかったが、協力プレイの面白さは十分に堪能できた。クリアしてから知ったのだが、条件を満たすことで登場する真のラスボスも存在するらしいので、これはまたもう一周楽しむしかない!

    【ソロプレイに増して面白いオンライン協力プレイ】
    やはり協力プレイこそベルトアクションの醍醐味。次はもう少し人が集まりそうな時間にプレイしたいと思う

    24年ぶりの再会。かつてクリアできなかった「パワード ギア」をプレイ!

     本作に収録されるもう1つの初移植作品、1994年にアーケードで稼動した「パワード ギア」だ。「バトルサーキット」に並び、こちらも結構なレアな作品で、当時格ゲーブームのため、あまり目立つことのなかった隠れた名作だった。しかし、筆者はこの作品がものすごく好きで、いつも1人熱心にプレイしていた。

     他のベルトアクションとは毛色が違う作品で、ヴァリアント・アーマー(以下VA)と呼ばれるロボットを操っていく。筆者が惚れ込んだポイントは、“ロボットならではの重厚感のある挙動”。そして“攻撃時の鋼と鋼がぶつかり合う感触”だ。このカッコよさは他のベルトアクションゲームでは味わえない本作ならではの持ち味である。攻撃によっては敵の機体が真っ二つになったり、ダメージを受け過ぎると部位が破壊されて片腕状態になってしまったりと、ロボット好きのツボを押さえまくっている作品なのだ。

    【「パワード ギア」】
    鋼の拳で敵を引き裂く爽快感。片腕がふっとばされ、肩からバチバチと火花が散るこの表現。少年だった筆者は、これを見た瞬間に引き込まれた

     正直、カプコンのベルトアクションの中で1、2を争うほど好きなタイトルなのだが、筆者は本作のエンディングを見たことがない。いや、エンディングはおろか、最終ステージまで到達したこともなかった。そこまで好きなのになんで最後までプレイしたことがないのかというと、このゲームの難易度が他とは比べ物にならないくらい高いのだ。何がそこまで難しくしているかというと、敵味方共に基本攻撃力が高く、数発の攻撃で撃破したりされたりといったバランスになっているためだ。ステージが進めば進むほど敵の猛攻は激しくなり、1クレジット(100円)がものの3~4分で終わることなど当たり前に起こる。お小遣いが少ない少年に厳しい戦いだったのだ。

     クリアできずに消えていった思い出深いこのゲームを、財布の中身を気にせず無限クレジットで遊べるというのだから嬉しい限りだ。「パワード ギア」のエンディングに到達したときの感動を誰かと共有したく、本作未プレイの友人を誘い、ボイスチャットをしながらオンライン協力プレイをすることにした。

     プレーヤーが選べる機体は「ブロディア」、「レプトス」、「ガルディン」、「フォーディー」の4機。筆者は迷うことなく主人公機のブロディアを選択。パイロットが機体に乗り込むシーンもドットで細かく描かれているのもこだわりを感じる。友人は、パイロットが女性という理由だけでフォーディーを選択。硬派な世界観の作品でなんとも軟派な行ないだ。

     最初のステージはライア星という惑星が舞台。敵サイボーグ部隊に囚われているライア人を解放するのが目的だ。開幕から敵のVAと人間サイズのサイボーグ兵が襲い掛かる。ベルトアクション従来の打撃に加えて本作には射撃武器も標準装備されており、戦いの幅を大きく広げている。迫り来る敵機を殴って撃って蹴散らす爽快感。爆発に包まれる戦場。この空気こそが「パワード ギア」の魅力だ。

    【「パワード ギア」を初協力プレイ】
    見知らぬ人と協力するのも面白いが、ボイスチャットをしながらプレイするのもかなり盛り上がれる

     本作1番のウリともいえる「換装システム」がとにかく熱い。特定の敵を撃破するとVAのパーツを落とすことがあり、拾うことで部位パーツや武装を付け替えて戦うことができるのだ。換装することで戦い方が大きく変わるのも面白く、ロボットアクションというコンセプトが実にうまく活かされている。男のロマンともいえるドリル型アームの「デスドリル」や「レーザーブレード」を手にしたときは、そのカッコよさと強さに友人と大いに盛り上がった。

    【「パワード ギア」のキモであるパーツ換装】
    ドリルアームやタンクの脚部など、当時の開発の方はロボットファンの心理を分かっていらっしゃる

     痛快に敵を薙ぎ倒しながら進むと、ついにボスが待つエリアに到達。本来ならばそのまま即ボス戦に突入するのだが今回は違った。協力プレイで道中に出現する通信機を取ることで、ボス戦直前にメカニックから合体パーツが輸送されてくるのだ。合体パーツは、人型や戦車型など能力が異なる3種類。2体(もしくは3体)のVAが合体し、ボス戦で20秒間無敵状態の合体ロボで暴れまくることができるのだ。

     アーケードで遊んでいた当時は、一緒にプレイする友達がいなかったので合体ロボを見ることが叶わなかった。そして今回、24年越しに初めてその姿を目の当たりにできて感動すら覚える。合体ロボは20秒という制約はあるものの火力がとにかく高く、さらに画面全体を覆うほどの攻撃範囲というチート級の性能! 面白いほどザコ敵を次々と撃墜していく。制限時間が過ぎる頃にはボスの体力も残り3割といったところだった。弱りきったボスを囲んで叩き、危なげなく最初のステージをクリアできた。

    【圧倒的強さの合体ロボ】
    まるでボスのような存在感を放つ合体ロボ。爆撃の雨を降らせて敵を一掃。戦車タイプの合体ロボもたまらなくカッコいい

     カプコンのベルトアクションの鉄板ともいえる“ステージ2からの急激な難易度の上がり方”は本作でも健在。後半のステージでは勢いはさらに増し、プレイしている最中に「こんな数ムリムリ!」という声があがってしまうほどの敵の猛攻。ここからはひたすら撃破されてはコンティニューを繰り返して進んだ。後半のステージを初めてプレイして改めて思うが、これは当時どんなに頑張っても幼少の自分にクリアできるゲームではなかった(笑)。

     ラスボスももちろん手強く、コンティニューにコンティニューを重ねることでなんとか倒すことができた。今回の移植がなければ恐らくエンディングを見る日なんて来なかっただろうと思う。プレイ時間にするとたったの1時間程度だったが、筆者にとってはかなり密な時間であった。幼少の頃に熱中していたゲームを今になって初めてクリアできたというのは実に感慨深いものだ。筆者のように過去にプレイしてクリアできなかった人も、ぜひプレイして感動のエンディングを見てもらいたい。

    【後半ステージの地獄のような難易度】
    後半ステージの道中は、仲間がどこにいるのかわからなくなるほど敵がわんさかと出てくる。ラスボスもハンパじゃない強さだった

     懐かしの7タイトルを全てエンディングまでプレイさせてもらった。シンプルな感想だが、とにかく懐かしく、そしてなにより面白かった。ベルトアクションというジャンルは同じでも作品ごとにそれぞれ個々の特色があり、立て続けにプレイしていても飽きることなく楽しめる作りなのはさすがと言いたい。

     難しい操作もいらず、どのタイトルも1時間程度で全ステージクリアできるお手軽さも魅力だ。さらに、本作はどこでもセーブすることができるので、ちょっとした空き時間にプレイできるのも素晴らしい。筆者はPS4版をダウンロードしたのだが、想像以上に気軽に遊べる設計になっていたので、出先で遊ぶ用にNintendo Switch版もダウンロードしてしまった。

    【今回残念ながら掘り下げられなかった収録タイトル】
    ファンタジーを題材にした「ザ・キングオブドラゴンズ」と「ナイツ オブ ザ ラウンド」。レベルアップの概念もあり、RPGファンならより楽しめるゲーム性となっている
    「MARVEL VS. CAPCOM」シリーズで有名になった「キャプテンコマンドー」。「バトルサーキット」と同じく4人協力プレイができるタイトル
    本宮ひろ志の原作漫画をゲーム化、「天地を喰らうII 赤壁の戦い」。三国志のゲームらしく首が飛んだり、体がまっぷたつになるなど、過激な表現もたまらない

     書き忘れるところだったがギャラリーモードも内容がとても充実しており、貴重な開発時の設定資料やイラストを作品ごとに閲覧することができる。インストカードや当時ゲームセンターに貼られていたポスター用イラストなどは、当時を通った人には懐かしいことこの上ない。過去にカプコンのベルトアクションにハマった人にとっては究極のファンアイテムといえる内容となっている。今すぐ遊びたいならダウンロード版。ソフトを手元に残しておきたい人は、12月6日にパッケージ版の発売を予定しているのでこちらがおすすめだ。

     本作に収録されているタイトル以外にもカプコンの名作ベルトアクションは数多くある。今回の「バトルサーキット」や「パワード ギア」のような奇跡的な移植が実現する日を願っている。

    【ギャラリーモード】
    本作の新規描き下ろしイラストから手書きの資料まで。ファン必見の内容だ

    ファンなら絶対手に入れたい! イーカプコン限定の「COMPLETE BOX」の魅力を企画者に伺った!

     DL版を購入してふんだんにゲームを楽しんだが、パッケージ版の発売は12月6日となっている。通常版のほかに「アーケード版復刻 B2サイズポスターセット」と「アーケード版復刻 インストポストカードセット」が付いている「コレクターズ・ボックス」も発売される。

     ファンならコレクターズ・ボックス一択! ……と言いたいところだが、冒頭でも少し述べたイーカプコンでは「COMPLETE BOX」という超豪華限定版の予約を受け付けている。13,800円(税抜)となかなか高価ではあるが内容は間違いなく値段以上。真のファンに向けた注目のアイテムだ。

     そんなCOMPLETE BOXの内容はというと、コレクターズ・ボックスの内容に加え、貴重なイラストや資料が掲載されている書籍と、7作品の楽曲を収録した5枚組のサウンドトラックCDが付いているという豪華仕様なのだ。筆者も即日予約して発売日を指折り数えて待っているCOMPLETE BOXだが、今回なんと特別に実物を見せていただけることになり、その豪華感を直に触れることができた。

     まだ試作品の状態なので実際の商品とは少し異なるところもあるとのことだが、さっそく中身の方を見せていただいた。箱を開けると中には書籍とサウンドトラックのCDケースが納まっている。書籍の表紙はゲームセンターの筐体に入っているゲーム基板、「CPシステムII」を再現したデザインとなっている。基板を取り扱うゲームショップでよくこの基板を見かけたことがあるが、かなり忠実に再現されており、コアなゲームファンにはたまらない。

     しかし、ゲームに収録されている7作品中、5作品は「CPシステム」のタイトルだが何故「CPシステムII」なのかを限定版の企画者に伺ったところ、アーケードから初移植の「パワード ギア」と「バトルサーキット」が「CPシステムII」なので、表紙のデザインも「CPシステムII」を採用することにしたのだという。

    【イーカプコン限定の「COMPLETE BOX」】
    ベルトアクションファンなら絶対欲しい至極のグッズがふんだんに詰まっている

     さらに、企画者に「COMPLETE BOX」イチオシのポイントを伺うと、まず初めに挙げたのは書籍だ。この書籍にはゲーム内のギャラリーモードで見られるイラストや資料の収録はもちろん、押切蓮介先生描き下ろし「ハイスコアガール」のスピンオフ漫画や、カプコンのキャラクターデザインを数多く手掛けてきたイラストレーターのあきまん氏が過去に執筆した「キャプテンコマンドー」の漫画も収録。「キャプテンコマンドー」の漫画は過去に発売されたカプコンの画集などにも掲載されたことがあったが、文字が抜けているものだった。しかし今回、当時の手書きセリフ入りの原稿が見つかり、文字の入った漫画が初収録されるのだという。

     当時開発に携わっていたクリエイターへのインタビューにも注目してほしいと語る。当時のことを自由に語ってもらったのでかなりギリギリな話も飛び出しているので、そういったところも楽しんでもらいたいとのことだ。

    【貴重な資料が満載の書籍】
    書籍は鋭意製作中の為、サンプルの色校を見せていただいた。
    書籍でしか読めない漫画やインタビューを収録。インタビューは伏字になるようなギリギリなことまで語られている

     「COMPLETE BOX」のもう1つの目玉であるサウンドトラックはトールケースにCD5枚組が収まっている。収録曲数は7作品合わせて200トラック以上。時間にして約5時間の内容を収録しているという、とても豪華な仕様だ。

     現在ではほとんどのサウンドトラックが入手困難な状態なので、かなり貴重なアイテムだと熱く語る。「キャプテンコマンドー」、「ザ・キングオブドラゴンズ」、「ナイツ オブ ザ ラウンド」、「天地を喰らうII 赤壁の戦い」にいたっては、複数タイトルの楽曲を詰め合わせた形(コンピレーションアルバムのような形態)での発売のみで、作品単体でCD化をしたのは今回が初めてなのだという。

     収録曲について伺うと、一部の楽曲を除きほぼ全ての楽曲を収録しており、さらに「カプコン ベルトアクション コレクション」用の曲が4つとタイトルのアレンジが1つ、計5曲の新規楽曲が収録された豪華盤になっているとのこと。COMPLETE BOXに収録される7作品のサウンドトラックは今後世に出ることはほぼ無いと思うので当時からのファンの方には是非オススメしたいとコメントした。好きなゲームのサウンドトラックを集める派の筆者にとって、涙が出るほど嬉しいアイテムである。

    【かなりレアなサウンドトラック】
    ディスクもピクチャーレベル仕様で豪華感全開。収録されている楽曲リストは書籍の方に掲載されている

     コレクターズ・ボックスにも付いているポスターとインストポストカードも見せていただいた。当時のデザインが忠実に復刻されており、その懐かしさから仕事ということを忘れてしまうほどテンションが上がった。

     イーカプコン限定先着購入特典でもらえるステッカーも素晴らしかった。全部で7種類あり、各作品のキャラクターセレクト画面がプリントされている。これにはカッコいいの一言に尽きる。COMPLETE BOXとLIMITED BOXでは全7種をセットで、通常版やコレクターズ・ボックスでもイーカプコンで購入すればランダムで1種もらえるのだ。

     今回、イーカプコン限定先着購入特典を実際に見て、届くまでのワクワク感が何倍にも膨れ上がった。個人的に最も刺さったのが“「COMPLETE BOX」の箱”である。しっかりとした作りで、「CPシステムII」とプリントされている。これは「CPシステムII」の基板の外箱を模したデザインになっているのだ。過去に本物を見たことがある人なら間違いなく感動するだろう。

     予約スタートからわずか数日で1度は在庫切れとなったが、追加生産がされて現在では予約を受け付けている。在庫が無くなり次第終了とのことなので気になった人はすぐにチェックしてみよう。

    【懐かしの復刻アイテム】
    ポスターやインストカードなど、これまで絶対に手にすることができなかったアイテムがついに自分の物になる
    もったいなくて使えないであろうステッカー。これは絶対7種全部欲しくなってしまう