「WWE 2K19」レビュー
「WWE 2K19」デラックス・エディション
英語が苦手でも頑張って遊ぶだけの価値あり!
- ジャンル:
- アクション
- 発売元:
- 2K
- 開発元:
- Visual Concepts/ユークス
- プラットフォーム:
- Xbox One
- PS4
- Windows PC
- 価格:
- ■「WWE 2K19」通常版(デジタル版のみ)
- PS4、Windows PC 6,306円(税別)
- Xbox One 6,300円(税別)
- ■「WWE 2K19」デラックス・エディション(デジタル版&パッケージ版)
- PS4(パッケージ版) 9,980円(税別)
- PS4(デジタル版) 10,621円(税別)
- Windows PC 10,621円(税別)
- Xbox One 10,600円(税別)
- ■「WWE 2K19」Woooo!エディション(コレクターズ・エディション)(パッケージ版)
- PS4 14,800円(税別)
- 発売日:
- 発売中
2018年10月26日 17:00
今や「プ女子(プロレスファンの女性)」なんてワードも陳腐化した平成30年。アラフィフの筆者らが懐かしく振り返る“プロレスのゴールデンタイム”に比べると風景は異なるが、スポーツ・エンターテインメント「プロレス」は地道に興行を重ね、海外に目を向ければ北米のプロレス団体「WWE(World Wrestling Entertainment / WWE,Inc.)」がワールドワイドで高い人気と知名度を誇っている。
プロレスや格闘技が好きな人であれば、本稿でご紹介するタイトル「WWE 2K」シリーズの名前を聞いたことくらいはあるはずだが、日本で一般的な話題に上がるかといえば、さすがに現状は厳しい。約15年ほど前にフジテレビ系列の地上波深夜枠で「WWE」が放映され、来日公演にあわせてさまざまな仕掛けが行なわれたが、結局一般層にまで浸透するには至らなかった。
以降、地上波の露出はU局のダイジェスト番組「This Weeks in WWE」にほぼ限られていたが、2017年4月よりスポーツ中継サイト「DAZN」が「WWE」の放映を開始。地上波ではないが、PCやスマホなどで手軽に見られるのは僥倖のひとこと。筆者はJリーグ観戦で「DAZN」をすでに利用していたため、棚ぼた的な視聴機会の増加に小躍りすると同時に「これがキッカケで国内の『WWE』ファンが増えるといいな」とちょっと期待したりもした。
筆者的には、この“キッカケ”というやつは、とても重要だと思う。どんなに遠く薄くか細くても、ふとしたことで接点ができれば、そこからさまざまな可能性が生じる。かくいう筆者も、家族にプロレス中継を見る習慣がなければ、そのまま興味もなく今日まできたかもしれない。今回ご紹介する「WWE 2K19」は、初報の時点で購入決定という人も多い鉄板シリーズだが、知らなかった人は“ひとつのキッカケ”として、ぜひぜひ本稿およびゲームをチェックしていただければと思う。
大前提 ~「WWE 2K19」は「WWE」全体を再現するゲーム~
従来型のプロレスゲームは“リング上の戦い”に重点を置いてきた。ドット絵の時代はもちろん、3Dポリゴンで立体表現が可能になってからも基本に変わりはないが、「WWE」に関しては1990年代後半より“アティテュード路線”に舵を切ってから変化が生じてきた。
これまでリング上を中心に展開してきたいわゆる「アメプロ」から、組織、個人、愛憎、裏切りなどリング内外の人間関係や対立構図を大々的にフィーチャー。(当時)社長のビンス・マクマホン氏とスーパースターたちの抗争が評判となり、これが後の大隆盛へとつながっていく。2018年現在は全年齢向けの健全路線にシフトして久しいが、当時はお下品からセクシーまでウケれば何でもありという結構なシロモノだった。
とにもかくにも、リング上だけでなく周辺も話題に事欠かないのが「WWE」の特徴ゆえ、ゲーム化に際しても少しずつ“「WWE」らしさ”が増えていく。選手の造形や技のモーションはもちろん、多彩なルールや試合の小道具にくわえて、入場シーンに代表されるド派手な演出、さらにはオリジナルエディットやキャリアモードなど“「WWE」全体を再現”する方向で劇的な進化をとげていく。近年はハードウェアのパワーアップも手伝って、パッと見で「これ実写?」と勘違いしても全然おかしくないリアルなグラフィックで「自分だけの『WWE』」が楽しめるようになった。
いまだに「プロレスゲームって、ただ試合するだけでしょ?」と先入観を抱いている方々も少なくないかもしれないが、こと本シリーズに関してはそのような次元などとっくに通り過ぎており、特に「WWE 2K19」は“最新の「WWE」”がギッシリ詰め込まれている。ここから先は、主なゲームモードなどを具体的にご紹介していく。
さらに大前提 ~本作は「英語版」。日本語サポートを活用しよう~
本来は1番最初に触れておかなければいけない事柄かもしれないが、日本でリリースされる「WWE 2K19」は英語版のみとなっている。これは冒頭で触れた「WWE」一般認知度の差というほかなく、北米はもちろん欧州クラスであれば日本語ローカライズも期待できたのだが……残念ながら現状そこまでには至っていない。
「えー!じゃあ英語が苦手なら遊べないの!?」といえばさにあらず。2K公式サイトには日本語のFAQがあり、細かいゲーム情報は公式ブログにも掲載されている。正直「WWE」をまったく知らない人が微塵も混乱なくプレイできるかといえば「多少厳しいかな」というのが本音だが、基本的にはシリーズ経験者を前提としているのかもしれない。
過去シリーズをプレイしたことがない人、さらには「全然勝てない!」という人はオプションの難易度を「EASY」にして、FAQにある基本アドバイスを念頭に再挑戦。なお、チュートリアル専用モードはないので、まずはメニューバーの左から3つめ「PLAY」でAI(CPU選手)相手に技の仕掛けや返しのタイミングなどをじっくり覚え、ゲームのテンポに慣れていくことを強くおすすめしたい。
PLAY ~好きな選手や試合形式などが選び放題~
「PLAY」は、前述のとおりAIもしくは友だちと遊ぶモード。「ONE ON ONE」、「TWO ON TWO」、「TRIPLE THREAT」、「FATAL 4-WAY」、「5-MAN」、「6-MAN」、「8-MAN」、「HANDICAP」、「ROYAL RUMBLE」、「TOURNAMENT」といった基本メニューがあり、そこから通常、ラダー、ケージ、バトルロイヤルなど試合形式や選手を決定。ルールを細かくカスタマイズすることも可能だ。
ここでシリーズ経験者は「お!?」と気づかれたと思うが、「WWE 2K19」は最大マッチ人数が従来の6人から8人に増えている。PC版はハードウェアスペック次第かと思われるが、筆者がPS4 Proでプレイした限りにおいて試合展開やモーションはスムーズの一言。スーパースター8人が入り乱れるかつてない光景は、まさにカオスで迫力に満ちている。
選手の技や返し、リアクションは前作以上に多彩になっており、そのあたりを楽しむならやはり「ONE ON ONE(1対1)」形式だろう。自分で操作せずAI同士を戦わせるのも一興で、これがなかなか素晴らしい環境ビデオに早変わり。時には「へー! こんな動きまで再現されているんだ!」と驚かされることもある。
試合中の実況もより多彩……になっているはずだが、筆者の貧弱なヒアリング能力ではバリエーションの増加がかろうじてわかる程度で正確に聞き取れず涙目状態。せめて字幕を……と思わなくもないが、前述のとおり今後のシリーズと国内「WWE」認知度の向上に期待したい。
MyPLAYER ~オリジナル選手で「WWE」に参戦!~
「MyPLAYER」は、自分だけのオリジナル選手をクリエイトして「WWE」の世界に飛び込むモード。クリエイトはファイティングスタイル、名前やホームタウンなどの基本情報、選手の外観、服装、得意技やフィニッシャーなどのムーブ、入場シーンなどを決定。細かい設定や変更などは後々可能だ。
作りたての選手はとても弱いが、試合で賞金やポイントを稼ぎ、本作から採用された“スキルツリー”を伸ばすことで少しずつ成長していく。オンラインで世界中の他プレーヤーと対戦するメニューもあるが、よほどシリーズ作品に熟練した人でもなければ、まずは「PLAY」や「MyCAREER」でAIを相手にプレイスキルを磨いていくといい。
「MyCAREER」は、インディーからトライアウトを経て「WWE」スーパースターの頂点を目指すモード。ストーリー演出に重点が置かれており、シチュエーションの変化や登場人物との会話はテンションアップ間違いなし。ただし、当然のようにやりとりはすべて英語のため、不勉強な筆者は1/3どころか1/100も読み取れないのがとてもつらい……。
「MyPLAYER Tower」は、さまざまなお題を連続でクリアしていくモード。デイリーやウィークリーといった定期更新コンテンツもあり、クリアすればポイントやゲーム内で使用できる通貨などが獲得できる。一部Towerは現実の「WWE」PPVスケジュールに沿って解放され、リアルタイムで追いかけているファンにはたまらない要素となっている。
着実な進歩が感じられる最新作 ~中継とゲーム両輪で楽しむのが一番~
「WWE」の雰囲気がたっぷり味わえる本シリーズ。なかでも試合のテンポと状況に応じた選手の多彩なモーションは「WWE」をとことん再現してやろうといった気概が感じられ、プレイしていて実に心地いい。メインは「MyPLAYER(MyCAREER)」かな? といった印象で、インディーから成長していく姿はプロレスファンなら感情移入せずにはいられない。
個人的にはとても楽しんでいるのだが……繰り返しで恐縮だが、やはりレビューである以上、日本で発売された“英語版”という点は看過しづらい。かつてそうであったといっても、「WWE 2K19」をローカライズして欲しいという願いが現状ムチャなことは冒頭で触れたとおり。それでも“キッカケ”になればいいなぁと思いつつ、やればやるほど「これ『WWE』の予備知識がない人にはリーチしづらいよなあ」に行き着いてしまう。
「WWE」が好きでゲームもやる人は、恐らく初報の時点でチェック済みか購入を決めていたはず。その一方で知らない人や初見さん……となると、妙な話だが個人的には「This Weeks in WWE」、あるいはCS有料放送や「DAZN」で「WWE」を見て、もしピンとくるものがあったら「WWE 2K19」ぜひともプレイしてみて欲しい。
歴然としたモチーフがあり、その再現度が高いとあれば“中継”と“ゲーム”の両輪で楽しむのが正しい在り方。ぶっちゃけ英語が苦手な筆者も、CS有料放送や「DAZN」、U局定期放映のおかげで相応に英語版が楽しめている。何事もキッカケというは本当に大切で、ほんの少しでも興味を抱かれた方はぜひぜひチェックしていただきたい。
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