「Figure-rise Mechanics Dr.スランプ アラレちゃん」レビュー

Figure-rise Mechanics Dr.スランプ アラレちゃん

「見た目は人間、中身はロボット」という“アラレちゃん”の設定をプラモで再現

ジャンル:
  • プラモデル
発売元:
  • BANDAI SPIRITS
開発元:
  • BANDAI SPIRITS
価格:
2,700円(税込)
発売日:
2018年4月21日

 バンダイの「Figure-rise Mechanics(フィギュアライズメカニクス)」の最新作「Dr.スランプ アラレちゃん」が、4月21日に発売となった。

 アニメや特撮などのキャラクターをプラモデル化する「Figure-rise」シリーズの中で、劇中のメカニックにフォーカスするこのシリーズでアラレちゃんが登場するというのもちょっと意外だが、原作を知っていて、なおかつキットを作ってみれば納得のラインナップだということがわかるはず。キャラクタープラモデルとしても完成度の高いこのキットをレビューしていきたい。

「Figure-rise Mechanics Dr.スランプ アラレちゃん」パッケージ。キットそのままのCGイラストがキャッチーだ

「見た目は人間、中身はロボット」を組み立てて再現できる楽しさ

 「Dr.スランプ」が「週刊少年ジャンプ」で連載が始まったのは、今から38年前の1980年のこととなる。鳥山明氏が手掛ける最初の連載コミックであり、田舎町「ペンギン村」を舞台としたドタバタギャグと、同氏のセンスが光る絵柄で人気を博し、1981年にアニメ化された「Dr.スランプ アラレちゃん」は平均視聴率20%を超える国民的人気アニメとなった。現在もCMなどでアラレをはじめとした同作のキャラクターが採用されていて、当時を知らない人でもキャラクターの存在は知っているという人も多いはずだ。

 バンダイもアニメ化のタイミングで「Dr.スランプ アラレちゃん」シリーズをプラモデルとして展開。原作の扉絵になったイラストや登場キャラクター、さらにはペンギン村の情景をシリーズ化したプラモデルなどを発売している。これらの一部は現在も再生産されることがあり、この4月末にもいくつの種類が店頭に並ぶようだ。

ランナーA1。イロプラでほとんどが衣服と帽子のパーツとなる
ランナーB1、B2。アラレちゃんの顔と髪の毛、メカの一部のパーツ
ランナーC1、C2。メガネなどのパーツで、後者はクリアパーツ
ランナーDは内部メカのパーツ。右はホイルシールだ
ランナーA2は、ランナーA1の一部パーツを除いたクリアパーツ
マニュアルはアラレちゃんとメカを折り目で分けている凝ったデザインだ

 今回のキット化はそれとは別に、完全新規のFigure-rise Mechanicsシリーズとして設計されたもので、主人公のアラレちゃんこと「則巻アラレ」を劇中での一番ポピュラーなキャップとオーバーオールの姿で立体化している。

 Figure-rise Mechanicsで発売となったのは、原作を知っている人はご存じの通り、彼女は自称天才科学者の則巻千兵衛博士が作り出したロボットであり、キットも劇中同様、「見た目は人間で、中身はロボット」というキャラクター設定を踏襲している。

内部メカ頭部。通常は露出しない頭部内にもディテールがある。眼はクリアパーツだ
内部メカ胸部。胃にあたる部分には、食べ物のシールを貼る楽しい設計だ
内部メカ両腕と両足。ヒジやヒザは可動しないため、パーツは少ない
内部メカの完成。本体を組み付ける関係で手足はかなり細い
内部メカにもちょっとしたギミックがある。お腹のハッチが開閉
口の部分を開けると、アラレちゃんの必殺技「んちゃ砲」が現れる

 同じFigure-rise Mechanicsシリーズで2017年11月に発売された「ドラえもん」と同じ仕様で、内部メカを素体として、本体をそれに組み付けていくという設計となっている。原作では人間と同じ肌色の体の中にメカが組み込まれた設定だったが、キットでは劇中でDr.マシリトが手に入れた「アラレちゃんの構造のすべてがわかるX線写真」に写っている内部メカのみを再現している。

 組み立ては特に難しいところはなく、パーツ数も少ないので、初心者でもニッパー1つで簡単に作れるだろう。顔にはレイヤードインジェクションのような技術は使われていないものの、顔のまゆ毛やまつ毛、口と歯、目の白い部分などはパーツによって表現されていていて、口の中などの一部塗装や衣服のスミ入れなどを行なえば、よりクオリティの高いアラレちゃんのフィギュアが完成する。

本体を組み立てる前に、内部メカを全てばらしておく
顔は6つのパーツで構成。口の中は赤く塗ってもいいだろう
組み立てて瞳にシールを貼った状態。これだけでもかなりアラレちゃんらしい顔に
髪の毛はパーツを切り出すときに所々出ているクセ毛を切らないように注意
頭部メカに組み立てた顔のパーツを組み付けていく
メガネにもちゃんとレンズがある。設定通り、伊達メガネではないのだ
メガネはこめかみ部分にストッパーがあるので、分解しなければ外れない
前髪パーツを取り付けて頭部が完成
ランナーA1のほとんどのパーツはアンダーゲートで、切り出した後ゲート跡が目立たない
赤のTシャツ、水色のオーバーオールの順に胴体に組み付ける
腕と足も同様。メカ部分は余剰パーツとならず、全て本体の中に入る形だ
胴体に手足と頭部を取り付けてアラレちゃん本体の完成
キャップの文字とツバの色はシールに。文字はモールドもあるので塗装してもいい
キャップを被せると、見慣れたアラレちゃんのシルエットになる
うんちくんの枝を持つ右手と、「んちゃ」のポーズの左手が付属
手首を差し替えることで「んちゃ」のポーズを取れる
うんちくんは口のみシールで表情はモールドとなっている。スミ入れをするといい

 さらに面白いのは、衣服を構成するランナーA1のパーツ群が、一部を除いてほぼそのままクリア成型のランナーA2として付属しているということ。これらを使って組み立てることで、Figure-rise Mechanicsにふさわしい内部メカの一部を見られる状態でのディスプレイが可能となるのだ。

 この仕様があることで内部メカにもしっかりとディテールが施され、さらに本体パーツの着脱も容易な設計となっている。

ランナーA2の透明パーツを使用すると、内部メカが見える形でディスプレイできる
キャップとうんちくんもクリアパーツで作れる。これはこれで面白いかも