2018年2月20日 17:50
楽器が弾けるといいなあと思いつつ、必死で練習する根性もない筆者のような人間に、お手軽に楽器演奏気分を味わわせてくれる魔法のツール、リズムゲーム。今回紹介する「がるメタる!」は、DMM GAMESの初のNintendo Switchタイトルであり、Joy-Conを使って、女子高校生ヘヴィメタルバンドのドラマー気分を味わうことができるという新感覚のリズムゲームだ。
本作の特徴は、今までのリズムゲームでは考えられないほどの自由度の高さ。決められたリズムはなく、自分で好きなリズムを好きなように組み合わせることでコンボを繰り出し、得点するというシステムだ。さらにそうして生み出したメタルパワーは、なんと宇宙人との戦いに使用されるというのだから、「いったいどんなゲームなの?」と首をひねりたくもなる。
まずは、基本的な設定を説明しておこう。本作の主人公は吉祥寺当たりのどこかの学校に通う男子高校生。ある日、彼は鷺ノ羽学園2年4組の女子高生、星乃凜子と共に、宇宙人に拉致されてしまう。2人の前に現われたタコ型宇宙人、オクト星人は、復讐のために地球を侵略しにきたのだと告げる。
ボイジャーに積まれていたゴールデンレコードに収録されていたヘヴィメタルによって、彼らの文明は無力化され、崩壊してしまったのだそうだ。宇宙人は2人に、この星の代表として宇宙人たちとの勝負をしろといい、強引に2人をおかしな装置に放り込んでしまう。
再び目が覚めると、なんと主人公は星乃凜子と融合していた。凜子自身は主人公としか話ができず、凜子の身体は主人公が操作することになる。主人公は凜子に変わってメタル部の部長兼、ガールズメタルバンド「吉祥寺メタルガールズ(K.M.G.)」のドラマーとして、宇宙人たちと戦うことになる。
デジタルコミック形式で進行するストーリー
メタル部のメンバーは5人。主人公と、リードギター担当の新取椎美、サイドギター担当の倉太恵理依、ベース担当の黒薔薇院摩丹、シンセサイザー担当の潘水キアがいる。アクティブな椎美、一見地味な恵理依、大金持ちのお嬢様摩丹、サブカル&SF担当のキアと性格も趣味も全く違う5人だが、メタル愛で強くつながっている。
女の子だらけのバンドメンバーなどというと、「あーはいはいハーレムね」と思う人もいるだろうが、そういうギャルゲー的要素はイラストも含めてまったく皆無といっていい。
ゲームは章だてになっており、1つの章は基本的にストーリーパート、放課後パート、ライブパートという順番で進行する。ストーリーパートは1コマずつ読み進めていくデジタルコミック形式。メインストーリーはすべてこの形式で進行する。完全に1本道でプレーヤーが何かを選択する余地はない。
メインストーリーの後には、授業中のグループチャットがある。メタル部のメンバーはいつも授業そっちのけて、スマホのグループチャットで盛り上がっている。グループチャットは毎回「○○は是か非か」というテーマがあり、それについてメンバーが雑談する。
たまに「部長はどう?」と主人公の意見を聞いてくることがあり、2択から答えを選ぶことができる。といっても、それで何かゲーム進行上の重要な決定をしているというよりは、「それな」と「イェーイ」のどっちのスタンプを送るか決めたり、放課後どこに遊びに行くか決めたりといった他愛のない会話がほとんど。どちらかというと、主人公と同じく、女子高生になり切って会話に参加することこそが重要な気がする。
何をするか自由に選べる放課後パート
学校が終わると放課後パートに突入する。このパートでは、ライブが始まるまでの間遊んだり、バイトをしたり、曲の練習をしたりすることができる。何かをするにはスタミナが必要になる。スタミナは1日40が自動的に補充され、なくなると自動的に次のパートへと移行する。
放課後の行動には、感性パラメータを上昇させる、メンバーと仲良くなるという2つの効果がある。感性パラメータは5種類。「モラル」は正確性。リズムを正確に叩くことでリザルトに加点される。「カルト」は創造性。リズムを叩くときに、隠れた裏譜面を叩けばリザルトに加点される。「アクティブ」は応用性。異なるリズムを組み合わせてコンボを出すとリザルトに加点される。残り2つの「ガッツ」と「パッション」はどちらもライブを妨害しようとする異星人の攻撃頻度を最大50%減らし、攻撃がヒットした場合の効果時間も短くするという効果がある。
どのパラメータを上げるかは、放課後に何を選択するかで決まる。例えば、カフェで遊ぶと「パッション」が+2、コンビニでバイトをすると「ガッツ」が+5といった形で増えていく。中には、何かは上がるが別のパラメータが下がることもある。
ただ、一応エンディングまで遊んでみた感触でいうと、どのパラメータを上げるかは実際のところそこまでシビアに考える必要はない。むしろこの放課後パートで重要なのは、メタル部のメンバーたちとの交流だ。「カオス」を上げたいから、キアと遊ぶのを諦めようと悩む必要はない。
行動の選択肢にメンバーの顔が付いているものを選んでいると、そのメンバーとの友好度がアップする。どんどん友好度を高めていくと、特別なエピソードを見ることができるイベントが発生する。どのメンバーのどのイベントを見たかは「仲間」画面から確認することができ、まだ見ていないイベントがいくつあるかもここでわかる。メンバーたちの意外な素顔や楽しいエピソードを余さず見る事こそが放課後パート最大の目的かもしれない。
練習で完璧なリズムを身に着ける
とはいえ、放課後パートでもう1つ、忘れてはいけないことがある。個人練習、団体練習などのライブの練習だ。ここで今更だが、基本的な操作方法を説明したい。
操作は、Joy-Con、タッチ、ボタンの3つから選択できる。Joy-Conを選ぶと、右を振るとキックドラム、左を振るとスネアドラム、同時に降るとシンバルという3つの音を組み合わせてプレイすることになる。ドラムを叩くという本来の動作に近く、最も感覚的に使いやすい操作⽅法ではあるが、複雑なリズムを叩くためにはかなり練習を要する。というのも、実際のドラムと同じくJoy-Conを"振り下ろした"タイミングで音が鳴るという仕様になっているため、それを体に覚えさせる必要があるのだ。
タッチ操作とボタン操作では、画面にフルセットのドラムが表示される。より精度が高く複雑な演奏が可能になる代わりに、難易度もかなり高くなる。音楽がリズムに合ってないのが許せないという完璧派はこちらの操作が向いているかもしれない。
個人練習では、凜子が次に宇宙人と戦う時の曲にあったリズムを「HOT」としておすすめしてくれるので、次の戦いに備えて予習ができる。リズムは簡単なものもあるが、中にはかなり難しいものもある。そんな時にはHOT以外から選んでも問題ない。リズムはほかに「METAL」、「ABYSS」、「RACE」、「BEAST」、「SPLASH」、「CHAOS」の6種類があり、自分が好きなリズムで5回正しく叩くことができれば合格だ。
合同練習では、本番さながらにメンバーたち全員でフルコーラスを演奏する。ここで注意しておきたいのが、個人練習はスタミナを5、合同練習では10消費するということだ。練習中はリズムに合わせて動くガイドがあるので、それに合わせて動けばいいのだが、本番ではなにも表示されないため、ちゃんと練習しておかないとまったく叩けない。だが、メンバーと楽しく遊びすぎて練習用のスタミナが残っていないと練習できないのだ。
じゃあ最初に練習して、その後は全部メンバーとの交流に使えばいいや、と筆者も思ったのだが、今度は練習とライブとの間が空きすぎてせっかく覚えたリズムを忘れてしまっていたりと、意外とタイミングが重要なのだとわかった。
いよいよ宇宙人との決戦、しかしかなり自由でOK
ライブ当日の放課後パートでスタミナが尽きるといよいよ宇宙人と戦うライブパートに突入する。このパートはまさにこれまでの集大成だ。積み上げた感性と、練習したリズムを使って自由に演奏し、メタルパワーを貯めていく。撃破に必要なメタルパワーを超えれば勝利となる。
本作には、リズムゲームによくある決められたタイミングでボタンを押すという作業はない。練習で覚えたHOTのリズムを基本に、曲の雰囲気に合わせてシンバルを入れたり、激しくキックドラムを連呼したり、別のリズムを混ぜたりといったアレンジによってコンボポイントが入る。クリアすると、そのときの演奏について凜子からのアドバイスと、成績が表示される。単調なリズムの繰り返しだと、そう指摘されてしまう。
自分なりに盛り上がった演奏ができれば、メタルパワーは意識しなくても貯まる。リズムが曲に合っていなくても、正しいリズムが叩けていなくても、とにかく曲が続いている間、情熱的にJoy-Conを振り回していればなんとかなってしまう。
上手に演奏することは、目標ではあるが本作の目的ではない。ストーリー上でもシステム上でも強調されているのは、メンバーとの交流であり、みんなで楽しく演奏することだ。まずは一通りメインストーリーを追って、収録されている曲をすべてアンロックする。感動のフィナーレを飾った後は、フリープレイで自由に遊ぶもよし、セーブデータを遡って、見逃していたイベントシーンを見たりとクリア後にも遊びの幅は広がっていく。製品と同時に配信が始まったダウンロードコンテンツで、新たなメンバーを勧誘することもできる。メタル部の楽しい毎日は、始まったばかりだ。
©DMM GAMES
©2017 Nintendo
Nintendo Switch、Joy-conは任天堂の商標です。