2018年2月23日 10:38
バンダイは通販サイト「プレミアムバンダイ」にて、「超合金魂 GX-48K ビッグオー 鉄仕上げ(フルパッケージ)」を発売した。本商品は2009年に発売された商品のリニューアルバージョンである。「鉄仕上げ(くろがねしあげ)」という表現で、ビッグオーらしい鋳物の鉄のような質感と、重量感を実現しているのだ。
筆者は2009年に発売された商品を買い逃してしまっていて、チャンスがあれば欲しいと思っていた。今回のリニューアル版発売は個人的に待ち望んでいたのである。今回発売されたものは通販限定だったオプションパーツも追加された“フルパッケージ”である。そのギミックも紹介し、レビューしていきたいと思う。
「ビックオー、ショータイム!」、異形の黒いメガデウスを手にできる喜び
ビッグオーはアニメ「THE ビッグオー」に登場するロボットである。物語の舞台はアンドロイドなど様々な未来のテクノロジーがありながら、1920年代のアメリカの都市の様な雰囲気を持つ「パラダイムシティ」。この年は40年前の何らかの理由で全ての人が記憶を失っている。
都市は海底に沈んでしまっている部分もあり、誰もこの都市以外のことはわからない。都市はパラダイム社という巨大企業の支配下にあり、中央部はドームで覆われている。ドームの中と外では深刻な格差がある。
主人公はこの街で様々な交渉を請け負うネゴシエイターを職業とするロジャー・スミス。彼は人々の中に不意に蘇る“メモリー”によって起こる巨大ロボットの暴走や、モンスターの復活などの災厄に対し、黒いロボット「ビッグオー」を操り立ち向かっていく……。
「THE ビッグオー」は非常に謎めいた物語構造を持つ作品だ。パラダイムシティ、「メガデウス」と呼ばれるロボット達、不意に蘇るメモリー……物語の中でビッグオーやロジャーなどのキャラクターに対して言及される部分もあるが、それが本当の真実か明確には語られない。そういった謎に対して様々な考察をしていくことも楽しいし、その雰囲気を味わうのもいい。様々なことを考えたくなるアニメなのである。
ビックオーはこの作品を象徴するロボットだ。まず目が行くのはその異様なシルエットだろう。頭が小さく、足は大きく、そして肘から手までの前腕は体と同じくらい大きい。この大きな前腕部は物語の中で数体出てきた「ザ・ビッグ」の名を持つメガデウスに共通の意匠だ。他の作品であれば悪役ロボットにされてしまいそうな、異様で、威圧的なシルエットである。
「超合金魂 ビッグオー」は、アニメで活躍したビッグオーの様々なギミックを再現している。全高は21cm、金属部品が多用されており、手に持つと心地よい重さがある。関節はクリック関節も使われていて重量感のあるポーズ付けが楽しめる。本商品の大きな特徴の「鉄仕上げ」によりざらりとした質感がある。この処理は金属部分だけでなく樹脂部分にも施されていて、統一された質感がある。
股関節は引き出すことでデザイン以上に足が上げられる。デザイン上の制約もあり、昨今のアクションフィギュアほどは可動範囲は広くないが、劇中の必殺技のポーズや、平手を突き出したビッグオーならではの決めポーズなどもきちんと決まる。握りこぶしを作ってフックを打つように構えるポーズは劇中の重量感のある格闘シーンを思い出せてうれしくなる。
本商品の最大の“楽しさ”は必殺パンチ「サドンインパクト」のアクションギミックだろう。ビッグオーは肘部分のピストン「ストライクパイル」を動かすことで杭打ち機の要領で拳にさらなる力と、圧縮空気を送り込む。その強力なパンチ力はもちろん、圧縮空気も拳の届かない敵にダメージを与えるほどに強力なものだ。
「超合金魂 ビッグオー」はこのストライクパイルの可動をスプリングギミックで再現している。まずストライクパイルを引くことでパイルが伸びた状態で固定される。次に拳部部分を押すことでストッパーが外れ、スプリングの力でパイルがガシャッと前進するのだ。シンプルなギミックだが、この“手応え”がいい。劇中の活躍を思い出して笑みが浮かんでしまう。
動かしていて非常に高い満足感が味わえる商品だが、ちょっとだけ残念なのは体の前腕を合わせるいわゆるボクシングでの“ピーカーブースタイル”ができないことだろうか。立体物を手にしてみればこのポーズは肩関節をとんでもなく引き出さなくてはいけないアニメならではのデフォルメされた動きであり、デザイン上不可能なのはわかるのだが、劇中で印象的なポーズのため、どうにか再現して欲しかったとも感じた。
オーサンダー、キャノンパーティモビーディックアンカー、必殺技を再現
次に多彩なギミックに触れていこう。今回発売された「超合金魂 ビッグオー」は前回オプションパーツだったアイテムも全て同梱されているので、盛りだくさんな内容なのだ。まずはコクピット開閉ギミック。首回りの装甲をずらすことでコクピット部分が現われる。
また胸の装甲を上に持ちあげ、パーツをつけることで胸部分のキャノン砲を発射する必殺技「キャノン・パーティー」が再現できる。さらに腹の装甲板を交換することで「ミサイルパーティ」。劇中では同時発射も多かった技だが、商品でももちろん再現可能だ。
腕そのものが巨大なガトリングになる大技「オーサンダー」は専用の腕パーツで再現できる。ストライクパイルを内蔵した腕からオーサンダー用の腕に交換、この腕は装甲が展開し、中のメカがむき出しになる。オーサンダー発射の情景はエフェクトパーツで再現できる。エフェクトパーツで伸びる火線は4種類用意されており、しかも劇中でも印象に残ったOの形の光輪パーツまでつけられる。非常に派手で見応えのある“絵”を作ることができる。
そして「モビーディックアンカー」だ。腰のスカート状のところから鎖のついたアンカーを打ち出す武器で、ビッグオーは無数に打ち出したこともあった。一見地味な技だが、相手の動きを止めるだけでなく、壁やビルなどに打ち出して自分を引っ張ることで高速で移動したり、高所に移動したりもした。劇中で非常に有効に使われた武器と言えるだろう。
「超合金魂 ビッグオー」では前2つ、後ろ2つの突起が取り外せ、鎖パーツをつけることができる。アンカーは楔状のもの、左右に広がりジェット噴射で飛翔するもの、さらに先端がハサミ状になったものが用意されており、劇中の名場面を再現できる。4つのアンカーを地面に打ち出して体を固定するポーズも可能なのだ。
さらに「ボーナスパーツ」が用意されている。アニメ「THE ビッグオー」のコンセプトデザインを担当したさとうけいいち氏の監修による「エクストラヘッド」と装甲部分を取り除いた「アーキータイプヘッド」があり、差し替えることができる。そしてロジャーの愛車グリフォン、設定通り足に入れることが可能だ。グリフォンは裏もきちんと造型されていて、リッチな雰囲気だ。
「超合金魂 ビッグオー」は高い満足度をもたらす、遊びごたえの大きなアイテムだ。劇中の活躍を思い出しながら動かし、様々なポーズをとらせるのも楽しいし、飾っておくのも良い。色々な角度から眺めてみたくなる。関節のほどよい強度やクリックは、動かしていてやはり気持いい。
そしてやはり、“重さ”がいいのだ。手で持ったときの重さ、ボディや太もも、足の裏など手が触れるところにきちんと金属パーツが使ってあるし、鉄仕上げならではのざらざらした触感も良い。持っていて楽しい“おもちゃ”である。この重さこそが超合金だ。加えて山盛りのギミックである。色々な技を再現できるのが楽しい。コレクションアイテムとして、遊びごたえのある玩具として、「超合金魂 ビッグオー」は持っていてうれしくなるアイテムだ。
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