2018年1月23日 11:26
バンダイは、プレミアムバンダイの商品としてアクションフィギュア「HI-METAL R ソルティック H8 ラウンドフェイサー(以下、「HI-METAL R ラウンドフェイサー」)」を2017年11月末に発売した。「ラウンドフェイサー」は、アニメ「太陽の牙ダグラム」における敵勢力の一般機、「機動戦士ガンダム」における“ザク”の位置づけのメカである。
発売から少し時間が経ってしまったが、2月にアニメの主役機である「ダグラム」が再販されることもあり、「HI-METAL R」シリーズにおける“コンバットアーマー(CBアーマー)”の表現、ラウンドフェイサーそのものの魅力を語っていきたい。アニメ版をきちんと踏襲したデザインを再現しながら、幅広い可動と、独特のカッコ良さを実現している魅力ある商品だ。
膝立ちはもちろん、「朽ちたダグラム」ポーズも可能な関節!
本機体は「ソルティック」という名前で覚えている人も多いのではないだろうか。番組が放映していた頃に人気を博したプラモデルなどの関連商品では、ソルティックという名前で販売されていたからだ。ソルティックはこの機体を開発したメーカー名である。
ソルティックはこの「ラウンドフェイサー(丸顔)」以外にも複数のコンバットアーマーを生産しており、劇中でもこの機体は前半ではソルティックと呼称されたが、後に機体固有の名前であるラウンドフェイサーと呼ばれるようになった。ロボットにメーカー名が設定されるようになったのは「太陽の牙ダグラム」からだという。
「太陽の牙ダグラム」は地球の植民惑星である惑星デロイアが舞台となる。デロイアは恒星間航法を成し遂げた地球の唯一の植民星であり、入植が始まって130年、独立の気運に燃えていた。物語の主人公・クリンは地球人でありながら独立を目指すゲリラとなり、ダグラムと共に戦っていく。ラウンドフェイサーはクリン達の敵となる地球連邦が採用・量産した2足歩行型CBアーマーの最初のモデルである。クリンも物語冒頭に連邦軍パイロットとしてこの機体でCBアーマーの操縦技術を獲得した。
ラウンドフェイサーは主人公機であるダグラムの“引き立て役”である。デロイアはガス星雲「Xネブラ」の影響でコンピューターの性能が低下するが、Xネブラ対応型のダグラムと、対応していないラウンドフェイサーは性能差が大きい。またこちらの攻撃はダグラムに通じず、ダグラムのリニアガンはたやすくラウンドフェイサーの装甲を貫く。しかし複数でダグラムを取り囲む事で優位に立ったり、CBアーマーを持たないゲリラ相手に圧倒したりと、強さを見せる場面も多かった。
また、ラウンドフェイサーは最も普及しているCBアーマーだけに、装甲を極限まで削り機動性を追求したタイプや、バックパックを取り付け、運動性と火力を強化させたタイプが出るなどリアルロボットらしさを追求した派生型も登場した。視聴者の印象に強く残る敵メカと言えるだろう。
「HI-METAL R ラウンドフェイサー」は、そんなラウンドフェイサーを立体化している。ぱっと見ると1番目立つのが名前の由来となっている“丸顔”である。丸いキャノピーの奥にオレンジ色のパイロットが座っている。キャノピーも開けられるが、パイロットを乗せる際は首の台座と頭部分を取り外して入れる。コクピットに座るパイロットはいかにもロボットを操縦している雰囲気が出ている。
塗装は全体的に成型色の上にマーキングが施されている感じで、内部に金属パーツが使われているのと、足部分が金属パーツなのでずっしりと重く、関節もしっかりしている。足は腿部分がスライドすることで膝が深く曲がっても自然なラインを作り出しており、股関節も軸が動く設計なので膝立ちも可能だ。
こうやってじっくり見てみると、ラウンドフェイサーはダグラムと共通するデザインが多いように見える。本商品を触ることで「HI-METAL R ダグラム」の可動の優秀さも推察できる。
面白いのは「HI-METAL R ラウンドフェイサー」でもダグラムファンにはおなじみの“朽ちたダグラム”ポーズが可能なところだ。体育座りのような、デザイン上かなり無茶なポーズだが、このポーズを実現できるのが「HI-METAL R ダグラム」のセールスポイントであり、その優秀な可動は本商品にも継承されている。
2つの手持ち武器で広がるプレイバリュー
次にラウンドフェイサーの武装を見ていこう。ラウンドフェイサーは前腕にアーマーがついており、そこに対人用のチェーンガンがついている。個人的に感心させられたのがこのアーマーとチェーンガンを活かせる前腕部の機構だ。
「HI-METAL R ラウンドフェイサー」では上腕部分の軸可動に加え、前腕と肘の接続する部分にも回転軸が仕込まれているため、この腕のアーマーと関節がかなり自由に表情付けできる。チェーンガンで地上を掃射するポーズや、腕アーマーで前面をかばうポーズも可能なのだ。
メインの武器となるのが頭部に接続されたミサイルポッドと、手持ち武器だ。「HI-METAL R ラウンドフェイサー」ではリニアガンとマグランチャーが付属している。手持ち武器を構える祭、肩関節が引き出され、胸部分も内側に曲げられるのでしっかりと両手持ちが可能だ。
細長くシンプルなデザインが非力そうで、いかにも敵メカが構えそうなリニアガンと、強力なブロックヘッドも携行しているマグランチャーの2つの武器が付属していることで遊びの幅が広がっているのが楽しい。どちらもグリップが可動する上、マグランチャーはストックも伸縮する。
ミサイルポッドは取り付け位置がこだわりの部分だ。従来のタカラ製の商品や、マックスファクトリーのプラモデルでは背中や肩に取り付け用のジョイントが設定されていたが、「HI-METAL R ラウンドフェイサー」では頭部に直接くっつく解釈にしている。基部で上下可動するだけでなく、首を動かすことでも射角が変えられるようになっている。
「HI-METAL R ラウンドフェイサー」は筆者にとってかなり満足感を得られたアイテムだった。当時のデザインのまま幅広い可動範囲があり武器と合わせて様々なポーズ付けができるし、メカとしての細部をチェックする楽しさと、やられメカとしての遊びの幅を想像させてくれる面白さがある。コレクションとして持っていて楽しいアイテムだ。
本商品はプレミアムバンダイ専売のため今後の入手は難しいが、2月には主役メカである「HI-METAL R ダグラム」が再販される。こちらはターボザック、ミサイルポッドも装備したフル装備仕様で、プレイバリューも高い。ギミックとして共通点も多い「HI-METAL R ラウンドフェイサー」のレビューでそのポテンシャルの高さは伝わったと思う。「HI-METAL R ダグラム」は一般販売であり、店頭で購入できるため、ぜひ手に取って欲しい。
もちろん、今後のダグラムのラインナップの拡充も期待したいところだ。人気の高いブロックヘッドはもちろん、ヘイスティも欲しいし、ラウンドフェイサーの強化型「コーチマ スペシャル」も出て欲しい。
(C)サンライズ